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Another story of Kirby [13]



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投稿時間:02/04/14(Sun) 22:23
投稿者名:星見草


「あれが、空の番人なんですか〜?」
菊花が声にかすかな怒りを滲ませている。
「そうらしいね」
ま〜びぃも怒りを押さえながら答えた。
「空の番人はユートさんじゃなかったんですか〜?」
「十年くらい前に変わったんだよ」
ま〜びぃがもらすと、菊花の怒りは爆発した。
「あんなガキに、番人の資格なんかないです〜!
きっと初流乃はユートさんを卑怯な手段でころしたんです〜!
ええ、絶対にそうに決まってます〜!!」
「これこれ、そんなにいきりたつでない」
Ωがなだめても、菊花の怒りがおさまりはしない。
「番人に力があるのは当たり前で、必要なのは力なんかじゃないです〜!
公正明大な心と慈悲深い魂で世界の均衡を守るのが仕事のはずです〜!
それを、それを、あいつは役職を私物化したんですよ〜!!」
今度はカビラスとスラリンがなだめる。
「だからって、そんなに怒ることないだろうに」
「初流乃が役職を私物化しても、困ることって」
「あります〜!
そんなダメ番人に裁かれる私の身にもなってください〜!
それに、それに・・・ユートさんを殺したことだけは絶対に許せない!
あのガキだけは絶対に殺してやる!」
普段の菊花とあきらかに違う。
「そんなに怒らないでください。
それに初流乃がユートさんとやらを殺したとは限らない・・・ですよ」
グーイが言うと、菊花はとりあえず静まった。
しかし、怒りはまだおさまってはいないらしい。
「・・・ユートさんを殺したかどうかは置いといても、
あの力を振りかざして他人を見下したがるようなガキに
裁かれるなんてまっぴらごめんです〜!
だから、理由もなく殺される前に、こっちが初流乃を裁きたいだけなんです〜!!」
それから、菊花は適当な方向を向いて、
「今度会ったときは絶対に遠慮も手加減もしないから、
覚悟しててください〜!!」
初流乃はこの声を聞いているかどうか。
少なくとも、隠れて全てを見ていたぜぼしんが帰って初流乃に伝えたことだけは事実である。
       

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投稿時間:02/04/16(Tue) 18:48
投稿者名:まーびぃ


ポップスター
もうすでに闇の星と化したその地に、ディンク=ディーラは立っていた。
「なんか俺忘れられたみたいだな・・・」
むなしくそうつぶやくと、彼はぶらぶらと歩き始めた。

いっぽう、たろちすと達は・・・
「何であたし達、ここに戻ってるのよ!」
チュチュが叫んだ。
「どうやら・・・魔法失敗したみたいだ。長年つかってなかったからな。」
「もう、しっかりしてよね!」
カインは無視されていた。
そんなのどかな(!?)場所に、ディーラは近づきつつあった。
「ん、あっちに人影が見えるな・・・お〜〜い!!」
警戒心無くディーラはそちらにかけていった。


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投稿時間:02/04/19(Fri) 01:25
投稿者名:ハガネカービィ


ダークスターにそびえ立つゼロの居城・・・・・
何の因果か再びこの城に戻ってくることになったな〜ビィは
その一室―ぜぼしんの部屋―で物思いに耽っていました。
ぜぼしんが夜明け頃(といってもダークスターは常に闇ですが)に
「ちょっと出かけてくる」と一言だけ告げて出かけてしまったため、
『いくらゼロに認められているとはいえ、下手に出歩くのは危険すぎる・・・・』
そう考えたな〜ビィにはおとなしく部屋の中で待つ以外になかったのでした。
これまでの出来事を思い返しているのか、何か他のことを考えているのか・・・・
それは本人にしか分かりませんが、とりあえず暇を持て余すことはありませんでした。

「お帰りなさいませ。」
不意に、何者かの声が聞こえてきました。
「ご苦労。異常はなかったか?」
「はい、特に変わったことはありませんでした。」
どうやら、ぜぼしんが帰ってきたようです。
「そうか。もう見張っていなくても良いぞ。」
「分かりました。・・・それにしても、一体どちらに行かれていらしたんですか?」
「・・いや、初流乃が出かけたようなのでな、ちょっと尾行してみただけだ。
 特に面白いことはなかったが・・・・・。」
「そうですか?あんなに可愛らしいお客様がいらっしゃるのに、
 それだけのために出かけられたとは思えませんが・・・・。
 まぁ、そういうことにしておきましょう。失礼します。」
「ああ。ではな。」
会話していた相手が去ったのを確認してぜぼしんが振り向くと、
そこにはな〜ビィが立っていました。
「・・・・・・おかえり。」
「!!ゴホ!・・・・・驚かすな。危うく吐血しそうになったではないか。」
「今のは?人間だったみたいだけど・・・・・大丈夫なの?」
「大丈夫、ちょっと変わり種ではあるが、奴はダークマターだ。拙者に忠実だしな。
 ・・・・とりあえず、中に入ろう。」

な〜ビィは部屋に入ると、二人分のお茶を入れてから、椅子に腰掛けました。
「はい。」
「おお・・・・すまなかったな。いきなり留守にして。」
「別に良いけど・・・・それで、どこ行ってたの?」
ぜぼしんは出されたお茶を一口飲むとゆっくりと口を開きました。
「それは・・・・」


一方、こちらはポップスター。
「で?どうするのよ!」
チュチュは相変わらずたろちすとを責め立てています。
「まさか、光(カービィ)を辿る事すらまともにできなくなっていたとは・・・・。
 どこにいるかさえ分かれば、ここに戻ってきた時のように動けるんだがなぁ・・・・。」
「さっきの一瞬で場所ぐらいつかみなさいよ!」
「いや、あれは宇宙船のようだったからな。今行ってもただの宇宙空間だろう。
 またカービィを辿ってみたところで、誤差の範囲は結構広いから、
 そこに誰もいなかったら警報だけを残してしまうし・・・・」
「も〜〜〜!!じゃあ、どうするの!」
「・・・お〜〜い!!」
そこにディーラが駆けてきました。
「誰っ?!」
チュチュは凄い形相でそちらを睨みます。
「俺ディンク=ディーラっていうんだけどさ、あんたらカービィって知らないか?」
「カービィ?!カービィがどうしたの?!」
チュチュがその単語に反応します。
他の二人も反応はしたようですが、
それ以上にチュチュに睨まれても動じないディーラに驚いて、声が出なかったようです。
「知ってるのか?じゃあどこにいるか教えてくれ!」
「それが分かれば苦労しないわよ!!」
「・・・なんだ、どこにいるのか知ってるわけじゃないのか。はぁ・・・・・・。」
「何よその反応!人を馬鹿にしてるの?!」
「いや、そんなことないけどさぁ・・・・・」
「じゃあ何よ!」
しばらくこんな会話が続き・・・・・・(一方的にチュチュが怒っているだけ)
チュチュの怒り、それに動じないディーラ、双方に圧倒されて声もでなかった
たろちすとが、やっと会話に入ってきました。
「・・・なぁ、あんたカービィに一体何の用なんだ?
 あ、俺はたろちすと。こいつがチュチュで、こっちがカインだ。」
「・・・ああ。俺はマルクって奴に傭兵として雇われたんだ。
 だけど、いつの間にか集合場所が変わったのか、待ちぼうけをくっちまってな。
 カービィを倒す、とか何とか言ってたから、とりあえず、
 カービィを探してるって訳だ。」



―――――――――――――――――――――――――
新キャラについて。
人間(若い男、17ぐらい)にとりついたダークマターです。中身もどちらかといえば男です(謎)。
とりついた、と言うよりは融合している、の方が合っているかもしれません。
なので、攻撃を受けても抜け出しません。
というか、抜け出せるけど、させないで下さい。ここが変わり種な所(何)です。
基本的にダークマターですので、闇サイドの偉い人なら誰でも動かすことができます。
また、これといって名前は決まってません。
強いて言うなら、とりついている人間の記憶から『セツ』です。
はい、中途半端ですね(笑)。記憶は完全には読めないのです。
一応、機械関係、剣術関係の知識が豊富なようです。
       

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投稿時間:02/04/20(Sat) 12:40
投稿者名:堕天使


「マルク・・・・?カービィを倒すために雇われた傭兵・・・・・ですって?!」

チュチュたちの表情が一瞬強ばる。
しかし、それに全く気付いてないディーラは、頭を掻きながら困ったような顔をして、

「どーっすっかなー。しゅーごーばしょ判らないし。くそぅ、後でマルクってヤツに文句いってやる。」


(・・・・・どうする?byたろちすと)

(どうする?じゃないわよ!あの人気付いてないみたいだし、今倒すべきよ!!byチュチュ)

((鬱憤晴らし?チュチュ・・・・;)もしかしたら、彼強いかもしれないよ?byカイン)

彼らは10数分話し合ったそうな。







「ゼロ様・・・・・おられますか?」

『最も偉い人達にしか入れない場所』(byマルク)に、・・・・15,6歳程であろうか・・・・人が立っていた。

・・・・・『人』ではある。否、『人ではない』存在が。

「ゼロ様、居られるのなら、返事をして下さい。お願いいたします」

その『人であるが人ではない者』は、もう一度、自分らの主の名を呼ぶ。
無機質な声色で。





「――――――――来たか。」

突然、いや、あまりにも自然に、彼は。
ゼロは姿を現した。湧いてきたかのように。

『人であるが人でない者』は、素早く跪く。

「ナイトメア様からの伝言で御座います。『我現在痛手被り暫し休息必須』」

ゼロは『人であるが人ではない者』の言葉に、微かに頷く。

「・・・・『時の番人』の力・・・・か。」
「・・・そうで御座いましょう。『時の番人』・・・彼の力は、私達の予想を遙かに超えております・・・。」

ゼロは無言のまま。『人であるが人ではない者』は、再度口を開く。

「しかし、彼は先日自らの力を解き放ったばかり。
 ならば、私めにも足止めくらいなら出来ます。・・・・初流乃様や、ぜぼしん様のように、私には大した力はありませんが。」

そこできり、『人であるが人ではない者』は苦笑する。
ソレは、自分より高い地位を持つ者への敬いか。
それとも、自分への嘲笑か。
それは誰も知らないが。


「カービィたちの足止めをどうか私にさせてください。<ココロ>を忘れた、『夢見る者』に。」


********************
オリジナルキャラ、『夢見る者』を出しました。夢でもいいですね。
とりあえず、地位はかなり下。一番下。(ならなぜあの場所に・・・;)
性別は・・・・・両性ってナシですか(逝け)
このキャラの設定はチャットで聞いて下さいー。(ぇ)

       
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投稿時間:02/04/21(Sun) 01:57
投稿者名:ゲームの番人中西


「どこに行ったんだろ…カイン達…。」
ぼんやりと、海を眺めながらカービィは呟いた。
砂浜では、竜轡が貝殻を拾い集めている。
リックとナゴは水泳で勝負しているらしく、
ひたすら海を泳いでいる。
メタナイトは浅瀬に立ち、剣を振っている。
レモンは特訓に付き合っているらしく、メタナイトと対峙している。
彼等を除く他の皆は、宇宙船の中にいた。
「…こんな大変な時だって言うのに、
何だか…それを忘れちゃうな〜…。」
そう言い、彼はまたぼんやりと海を眺める。

「お〜い、出発するぞ〜!!」
スラリンが、外で出発の時間を待っていた者達を呼びに出てきた。
外にいた者達は、宇宙船に入って行く。
ぼーっとしていたカービィも、宇宙船の中に入ろうとした。
「君が星のカービィか。」
冷たい声が背後から聞こえた。
振り向くと、そこには『人であるが人でない者』―夢見る者が立っていた。
「君は誰?」
「ここで君達に『ある場所』に行かれると困るんだ。
だから、僕は君達と戦う。」
カービィの問いを無視し、夢見る者はそう言った。
ふとカービィが後を見ると、夢見る者の存在に気付いた皆が宇宙船から降りて来ていた。
辺りに、重い空気が流れ始めた…。

「おい、何の真似だよ。」
自分の首に槍の刃を突き付けているたろちすとに、ディーラは尋ねた。
「お前が倒すべき相手…カービィとはまぁ一応『仲間』なんでね…。
お前がまだ、カービィを襲う気なら俺は今、あんたを倒す。」
「そうか、君達はカービィの仲間だったのか…」
ディーラは苦笑した。
「傭兵をやめるなら、見逃してあげてもいいけど!?」
チュチュがディーラにそう言う。
「まさか。僕はやめないよ。」
ディーラは即答した。
「皆、気をつけて。」
カインはのんびりとした口調で、そう言った。

「へぇ、初流乃以外にも空間を操る事ができる人がいたんだ。」
な〜ビィは驚きつつ、言った。
「ゲフゲフ…まあ、そう言う事だ。」
その時だった。
ぐううぅ〜〜〜〜…。
「あ…。」
な〜ビィが顔を赤らめた。
彼女の表情の変化を見るなり、ぜぼしんはすぐに言った。
「何だ、腹が減っていたのならば早く言えば良い物を。
今作ってやるから暫し待たれよ。」
「あ、ありがと…。」
この時、彼女は気がついた。
今日は朝から何も食べていない事に。
ぜぼしんと話すのが楽しかったらしく、それを忘れていたのだった。
な〜ビィは、半分化け物の肉でも出されるのかと不安に思っていたが、
まあ大丈夫だろう、と考える事にした。
       

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投稿時間:02/04/21(Sun) 21:16
投稿者名:ソルビィ


「…傭兵はやめないよ。俺のクイブチだからな。だがマルクとの待ち合わせはできずにその後も連絡は無い…いわば契約はチャラ同然の状態。
 そこでだ、あんたら俺のことを雇わないか?それなりに腕は立つぜ。」
「…本気か?」
たろちすとがすかさず聞く。
「…本気だが、何か問題でも?」

(…どうするの?信用しちゃっていいの!?)
(…どうします?)
(う…しかし雇うとなると金がまた…。)
再び3人の話し合いが始まってしまった。

ウルルンスターの海岸。「人であるが人で無い者」―夢を見るものとカービィ達が対峙している。重苦しい空気はなおも続く。
やがて番人が口を開く。
「…お前一人でこの人数を相手に出来るとでも思ってるとか?」
「いえいえ、私程度の実力では到底無理ですね。私の目的は番人…あなたです。」
「そうかよ…おい、カービィ。先に全員を連れてポップスターへ向かってくれ。」
「えっ…でも…。」
「おっと、あなた方も行かせる気はありませんよ。」
夢見るものがカビラス達の宇宙船に衝撃波を放つ。大地が少し揺れた。
「あぁ!僕の船が!!なんてことするんだよ!?」
カビラスが慌てて船内に戻り修理にとりかかる。
「…これで時間に余裕が出来たでしょう?」
「ちっ…仕方ないな…。」
時の番人と夢を見るものの戦いが始まった。

「…カービィさん、それと今手が空いてる人、ちょっといいかな?」
「えっと…ソルビィ君だっけ?何?」
「何人かの人達と移動魔法が使える人、僕についてきてくれるかな?僕に考えがある。」
「どうする気なの?」
「今ウルルンスターの衛星軌道上に宇宙空間を移動できる機体を用意したんだ。そこへワープできればあいつに悟られる事無くポップスターへ先に行ける!
 このまま修理が終わるまでだと虚空の歯車が敵に渡る可能性もあるでしょ?だったら先に何人かを先行させたほうが・・・。」
「…分かったよ。でもその機体でポップスターに行ける保証は?」
「…あるよ。HR―Hっていうんだけど多少の戦闘能力もあるから恐らく平気さ。
 前に僕が留守にしてた時何があったか知らないけど壊されてたんでこの前かなり改良したんだ。」
「HR−H…どこかで聞いたことある…えっと…。」
カービィは前のクリスタル騒動のことを思い出した。そしてブルブルスターで戦ったそのロボの事を・・・。
そして苦笑いするしかなかった。


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投稿時間:02/04/23(Tue) 06:03
投稿者名:ひでぶ


自室の冷蔵庫の中身が空であることに、ぜぼしんは
それのドアを開けるまで気がつかなかった。
な〜ビィに「なにもないじゃん」と笑いながら突っ込まれて、仕方なく
城の冷凍室まで食糧を取りに向かうこととなった。もちろん彼女の口に
合うような物を取りにいくつもりではあったが、な〜ビィをそこに連れて
行くことはできなかった。冷凍室には、他の生き物ならばあまり好意を抱く
ことのできないおぞましい物も保管されているからだ。

闇の回廊を独り歩いていると、いきなり背後に気配が現れた。
「!?」
振り返ったぜぼしんの目の前にいたのは、あの(冷ややかな)笑みを
絶やさない旧知の友だった。無言で溜め息をつくぜぼしんに、
友・初流乃はクスクスと笑う。
「フェイクは君の得意技のはずだ」
「確かにそうだ……お前、拙者のことスナッチしたな!?」
ぜぼしんがおどけて、初流乃はますます笑ったが、笑いが収まると、
一息ついてから初流乃は言った。
「あの時、何故ついてきたんだい?」
無言のまま答えないぜぼしんに、初流乃は続けて問い質す。
「まさか、止める気だったんじゃないよね?……だとしたら、
変じゃないか?あれほどゼロ様に忠義をつくす君が、菊花さんを
消すことを望まないなんて」
ぜぼしんは、首を横に振った。
「確かに拙者はゼロ様に忠誠を誓っている。だが、菊花を始末
しようとしたのは、お前の独断だ。ゼロ様が本心から望まれた
ことじゃない。……それに、何も殺すことはないだろう」
「それがおかしいじゃないか!確かに僕の独断だった。
でも、君がゼロ様に忠義をつくしているからだけじゃない。
ぜぼしん、君の正体は……っ!?」
初流乃は言い切ることができなかった。言うより先に、初流乃の
うなじにぜぼしんの鎌の刃が触れていたからである。
「それは言わない約束だ、初流乃」
珍しく、初流乃は真顔を作っていた。その表情でぜぼしんの眼を
みつめていたが、やがて下を向いて、呟いた。
「……そうか、そうだったよな」
何かを考えている初流乃を見て、ぜぼしんは手元から鎌を消失させた。
「変なのは初流乃、お前だ。何をそんなに焦っている?
お前は、今は自分のやりたいことをやればいいのだ」
歩き出したぜぼしんは、すれ違い様に初流乃の肩を叩いた。
「別に拙者はお前の邪魔はしない」
通り過ぎるぜぼしんの数歩後に、初流乃もまた歩き出した。
「……すまない」
初流乃のその言葉が、何に対しての詫びなのか、はたまた感謝なのか、
ぜぼしんすら分からなかったが、初流乃の足音が途切れ、気配が消えた
ことを感じると、彼は振り返らずに、足を速めた。
「な〜ビィが待っているし、早くしなければ……」

やがて回廊には、誰もいなくなった。
       

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投稿時間:02/04/23(Tue) 18:16
投稿者名:星見草


冷凍室から一抱えの食材を手に戻ってきたぜぼしんは、
驚きの目でその食材を見やるな〜ビィになぜか一抹の不安をおぼえた。
「このなかに嫌いな食材でもあるのか?」
「ないけど、そんなに冷たいものをいっぱい持ってたら辛くない?」
なんだ、そういうことかとぜぼしんはほっとした。
「この程度、拙者にはつめたくも痒くもない。
それより、そこをのけ。
ドアの前に立っていられたらとおれないではないか」
「あ、ごめんごめん♪」
な〜ビィは慌ててドアの前から離れた。
「なに作ってくれるの?」
「できあがってからのお楽しみだ」
そういってぜぼしんはな〜ビィを厨房から締め出した。
「さて・・・」
ぜぼしんは水色を基調としたエプロンをつけた。

かしゃかしゃと金属と金属が触れ合う音がする。
同時に、かぱっと卵が割れる音と、バニラエッセンスの甘い香りも。
な〜ビィは、お菓子も作ってくれているのだと気づいて嬉しくなった。
厨房とな〜ビィがいる居間は空間的になにもさえぎられておらず、
実際に料理をしている姿こそ見えないが、音も匂いも直接伝わってくる。
ぜぼしんは肉を焼き始めたらしい。
空気を伝わってやってくるスパイスのほろ辛い香りに、
な〜ビィは感謝と期待感で胸がいっぱいになった。
そして・・・
「こんなものしか作れなかったが、我慢しろ」
そういってお盆を持って現れたぜぼしんを見て、な〜ビィは爆笑した。
水色を基調とし、各所に「ひよこ」があしらわれたエプロン。
それはぜぼしんの渋い雰囲気とのギャップを生み出し、ついふきだしてしまう。
「拙者の顔になにかついているのか?」
ぜぼしんはそのことに気づかず、憮然となった。
「ち、ちゃうちゃうそんなことないよ!
それより、さめないうちに早く食べよ?」
ぜぼしんは黙ってうなずき、料理をテーブルに並べた。
野菜よりフルーツのほうが多いような気がするサラダ。
みずみずしい苺と生クリームをたっぷりくるんだクレープ。
そして、芸術的とすらいえる焦げ目がついた、厚く大きなステーキ。
予想していたものよりはるかに豪華なメニューに、な〜ビィは感動した。
「わあ、おいしそう!」
「口に合うかどうかわからんが」
ぜぼしんはエプロンをはずしながら言う。
「そんなの食べてみなくちゃわかんないじゃん。
いただきまーす!」
な〜ビィの食べ方は至って元気で、なおかつテーブルマナーを正しく守っており、
体の奥に染み付いた気品というものが感じられた。
ぜぼしんは突然な〜ビィをからかいたくなった。
「ちなみに、そのステーキは拙者の肉だ」
予想通り、な〜ビィはステーキをほうばったまま、はじかれたようにぜぼしんを向いた。
「冗談だ。それは普通の牛肉だ」

二人の平和なひとときはまだしばらく続きそうだ。
       

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