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Another story of Kirby [43]



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投稿時間:02/06/15(Sat) 07:34
投稿者名:ひでぶ


空中で尚も戦い続けるカービィとゼロの姿を、カービィの仲間達は
見守ってはいたが、助けようという意思を持つ者は、誰一人として
いなかった。この戦いは、互いの全力を出し切ってぶつかり合う、
純粋なものだ。だから、誰であっても、介入してはならない。
手出しをしてはならない。皆、そう思っていた。
ガーネットのように輝く1つきりの瞳を、ゼロは一層煌かせていた。
満たされる戦いへの欲求、己の攻撃を切り抜ける敵の技巧。何より、
会話なんてものでなく、からだとからだをぶつけ合わすことで、
カービィとの意思の疎通が少しずつできてきたこと。闇の君主である
彼が、ただの生き物を相手にしてここまで気持ちが昂ぶるなど、彼
自身も想像すらしていなかった。

ゼロは笑みを浮かべた。しかし、その場において、それは不謹慎では
なかった。カービィもまた、同じ気持ちでゼロと戦っているから。

ミニダークマターミサイルを無数に飛ばすと、カービィはそれを
潜り抜け、ゼロに向かい、『心』を象る光の波動を放つ。
大きなゼロにそれをかわす術はないが、多少の光の波動程度なら
ものともせずに立ち向かえる頑健なからだを生かして、それを
叩き潰した。瞳をカービィに向けて見開くと、そこから紅い闇の
波動が生じる。拡散された紅い波動は、威力は劣るものの、カービィに
打撃を与えるには丁度良かった。今度は避けられずに、カービィは
紅い波動を1つ顔面に受け吹き飛んだ。

「いったぁい、ずるいよゼロ!ずるいずるいっ!」
「何を言う、これは戦いなのだぞ?」
床に落ちたカービィが、膨れっ面をして宙のゼロを睨む。
「よぉし、そっちがその気なら……」
カービィは高く跳躍し、その後『心』の杖の力でそのからだを舞い
上がらせる。杖を掲げ、『心』の象徴に光が灯ると、カービィは
そこから光の波動を放射線状に撃ち出した。
無数の小さな光の波動はやがて全てがいつものハート型に変わり、
ゼロの全身に降り注いだ。霰のような光の波動は、ゼロにぶつかる
度に音をたてて消滅していくが、あまりの眩しさに、彼は目を
瞑った。その時に。
「やぁぁっ!」
カービィがゼロの脳天目掛けて、『心』の杖を叩き付けた。
メテオスマッシュの如く、今度はゼロが床まで落とされる。
「……やるな」
半身を瓦礫に埋めたゼロは、そう呟いて小さく笑った。
からだを起こし、彼はゆっくりと浮上する。

「私は負の存在として生まれた。他者の弱い心を糧として
この姿となり、闇の世界に君臨した。今でも、生物の心の闇が
存在しないと生きてはいけない」

カービィと向き合って、ゼロが言う。
「だがな、カービィ。私はお前に感謝している。心の光が、
これほど暖かいものだと教えてくれたのはお前だった。
お前が気づかせてくれたのだ」
「ゼロ……」
「……行くぞ、カービィ。これが私の最大の力だ!」

闇の気を収束し始めたゼロを、カービィはただ眺めるばかりだった。
カービィの気持ちが、それを妨げようとする気分にならなかったから。

―最大の力。ゼロは、ぼくに向けて想いをぶつけようとしてくれて
いるんだ。そんなゼロの力を、受け止めずに逃げてしまうなんて、
絶対にイヤだ。……ぼくは、負けないぞ!

杖を構えるカービィの瞳は、絶えずゼロを映し出している。
闇の気を収束するゼロの瞳が映し出すのもまた、カービィ。
両者の視線が交わり、それは互いの存在を確認しあい、意思を
めぐらせあう。

闇の気の収束が、完了した。

ゼロが放った紅い闇の波動は、今までのものよりもとてつもなく
大きく、とてつもなく強力だった。カービィは、その紅い波動を
前にして、杖を前面に押し出し、闇の波の押し付けてくる力に
抗う。波動はカービィを包み込み、尚も彼を吹き飛ばそうと無限の
圧力をかけた。彼は徐々にその力に圧倒され始め、宙に浮かぶ
からだは少しずつ後退されていく。少しでも気を抜けば、このまま
闇の波動に浚われてしまうだろう。

カービィが触れたゼロの攻撃は、冷たく、悲しみのつまった感情の
集まりだった。ゼロがそれを糧に産まれ生きていたこと、暖かい
気持ちを嫌ったこと、全てが闇の波動の中で、カービィに伝わった。
カービィは、目の前の『紅』を見て、急に居た堪れなくなって、
不意に叫んだ。そして、涙を流した。

―きっとゼロは、光になれるはずなんだ。

その強い想いは、握った『心』の杖に大きな力を与えた。
紅い波動が急に穏やかになり、カービィとゼロを結ぶ道が
開かれる。
翼を広げた、黒髪の者が、カービィの全く無い肩を抱いた。
彼女(彼)は、優しくカービィに語り掛ける。

「……君の想いは、きっと伝わるよ」

穏やかに微笑みを残して消えたユートの言葉に、
カービィは決意した。
「……ゼロ、ぼくが君を、必ず光にしてあげるから……!!」

カービィの光の波動。その想いは、闇の中、ゼロへと届いた。


「……カービィ!!」
リックが叫ぶ。ゼロの波動に飲み込まれていたカービィが、
急に落ちてきたからだ。
しかし、ゼロも波動を放出しきったあと、力を失うようにして
その身を重力に委ねた。

床に落ちたゼロが、カービィに語りかける。

「光……か。カービィ、私はなれるだろうか?」

「なれるよ、きっと。ううん、絶対!」

その光景が眩しくて、リックは何となく微笑んだ。
クーも顔を背けてはいるが、その表情に憂いはない。
仲間達にはもう、ゼロへの敵意はなかった。

……そんな折。地響きが、ゼロの間を襲った。
「な、なんだ!?」

ゼロも不審に思い、部屋全体をモニターと化して
ダークスターの至る場所を探った。戦いによって
映像を映し出す壁や床は穴だらけだったが、その事態を
確認するには何も影響を及ぼさなかった。
……白濁したエネルギーが、ダークスター上空に集まっている?

「……これは、マターアサルトってやつか!?」
ディーラが叫ぶ。
「嘘だろ?発射にはまだ時間があるはずだ!」

「異空間と元の世界では、時の流れが違うのだ」
ゼロはそう言うと、力を振り絞ってからだを浮上させた。
「この力……ポップスターにも影響が出るな。私がマターアサルトを
受け止める。お前達は急いで脱出しろ」
「そんな、ダメだよそんなこと!ゼロが残るなら、僕だって!」
カービィがゼロの言葉に驚いて言う。

「お前にはまだやることが残っているだろう!」

言い返すことができないカービィに、闇の君主は頼もしく言った。
「私を誰だと思っている?ゼロツーの兵器ぐらい抑えられる」
思い悩んだカービィは、ゼロの顔を見て、心に決めた。
「ゼロ、また会えるよね?約束だよ!」

頷くゼロを見届けて、パーティはゼロの間を走り去った。

―ダークスターよ、これより以下の者のダークスター内の出入りの
許可を撤回せよ。……ネレイド、レイヴン、バール、カレス、
ぜぼしん、セツ、東、ナイトメア、夢見る者、レクイエム、ラーク、
Ω、スラリン……初流乃。

マターアサルトを映し出す王座の間に、闇の君主は堂々と
その姿を映えさせた。
       

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投稿時間:02/06/15(Sat) 10:14
投稿者名:くるみ


バタバタバタバタバタ……
番人たちが、通路を全力疾走する。
カービィは番人に。まーびぃはリックに。それぞれ背負われていた。
「ゼロ、大丈夫かな…」
ソルビィが、ふっ、と、言葉を漏らす。
「大丈夫だよ。伊達に、闇の主君やってねーからな。あいつは。」
リックが言った。
「でも、さっきの戦いで、だいぶ疲れてるんじゃない?」
またソルビィが。
「あいつは、意地でも止めるだろうな。」
クーが。
「問題は、マターアソルトのパワーがどれくらいかって事だ。」
ディーラが言った。
「目分量でも、あれは…」
「大丈夫!ゼロは、きっと止めてくれるよ!」
ソルビィの言葉をさえぎり、番人の背中の上で、カービィは言った。
「根拠でもあるのか?」
番人が問う。

「だって…



  約束したんだもん!!!

      また会うって!!」

「あんまり無いな…」
ディーラが苦笑する。
「まず、宇宙船に戻ることが先決だな。」
メタナイトが言った。
全員が、それぞれ語り合った場所を抜け、激戦が繰り広げられた間も抜けた。











思いがぶつかり合った、この空間











あと少しで、宇宙船が見える。
そう、全員が思った刹那。

バリバリバリバリバリバリ

黒い稲妻が走った。


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投稿時間:02/06/15(Sat) 12:04
投稿者名:レクイエム


黒い稲妻がほとばしる。雷鳴がとどろき、鈍い閃光が目を襲う。
それらは一瞬のことであったが、何故かカービィたちには長きことに思えた。
そして、稲妻が去ったあとには・・・
「あれ・・・?」
そこは、稲妻に襲われた大きな廊下ではなかった。
しかし、見覚えのあるその場所は・・・
「ゼロの部屋の前・・・?」
振り返れば見覚えのある扉。間違いなく、ゼロの部屋の前だ。
「何で?確かに、僕たちは出口に向かっていたのに・・・」
番人に背負われたカービィが、おそらく皆も思っているであろうことをつぶやく。
「・・・空間の歪みか・・・」
「どういうことだ?」
番人がつぶやき、リックが問う。
「この空間はゼロに作られたものではないが、ゼロの影響は受けているだろう。
そのゼロがあの状態だ。何かしら影響があってもおかしくない」
番人が己の推論を話し出す。
「それに、マターアサルト。別空間へ攻撃する以上、何かしらの副作用が出てもおかしくないだろう」
「つまり、マターアサルトによって空間に影響が出て、普通に進んでても変なところに出ちまうようになったってことか?」
「そんなとこだな」
ディーラの問いに番人が答えた。
「そして、最悪なことに、空間の歪みがどこにあるのか、どれくらいの数があるのかわからない」
この言葉に、皆の緊張感が増した――


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投稿時間:02/06/15(Sat) 15:51
投稿者名:ソルビィ


もう40分経った。しかし一行は未だに城内から脱出する事はできていなかった。
6つの通路は全て試してみた。しかし全てなんらかの地点で歪みに巻き込まれ、戻されてしまった。
この8人のなかで唯一空間転移が扱えるまーびぃはまだ目を覚まさない。
目がさめても魔法が扱えるような状態では無いだろう。
「どうする…………他に通路は無いぞ…。」
リックが言う。
「…ならば私がカビラス達に応援を頼もう。」
メタナイトがカビラスから前にもらった通信機を作動させた。

ザーッザーッザー……。

「雑音がひどいな…カビラス、聞こえるか!?」
『…………。』
「おぃ!!カビラス!!!聞こえるのか!?」
『…聞こえてるよぉ!!戦いは終わったの!?今忙しいの!!また後でね!!健闘を祈ってるよ!!!』

プツッ。

…あいかわらずのパターンで通信は切られてしまった。
「…どうする?徒歩の脱出は無理、外部からの応援は期待できない。」
メタナイトが淡々と告げる。
「なら…こうしてやるか!!!」
リックが壁にストーンで体当たりをかけた。
「なるほど…こっちで通路を作ってやるというわけか。リックらしい考えだな。」
クーが感嘆の声をもらした
ディーラ、ソルビィ、番人が魔法を放ち、リックは体当たりを続ける。
クーとメタナイトも真空刃を繰り出した。そして壁が壊れると、隣の通路でおなじことを繰り返した。


そして40分ぐらい経っただろうか。
何度か歪みに押し戻されながらも、彼らはこれを続けていた。
…しかし。
「だめだ…もうへとへとだ。」
「魔法力も使いきっちまった…。」
「弾薬切れですよ…。」
みな、先の戦いの関係で、完全に消耗してしまった。
「…まだだぁ!!!」
メタナイトが死力を振り絞ってソードビームを放つ。
しかし弱々しい閃光は回廊の壁に打ち消された。
「くそ…ならばこれでどうです!!!」
ソルビィがポケットから何かのスイッチを取り出す。


カチッ。


「……何も起きないよ?」
3分ほど経ってカービィが口を開いた。
しかし次の瞬間。


ガシャァン!!ドガァン!!!バッコォン!!!


何かが砕ける音が隣の通路から聞こえる。そして…。


ガラガラガラガラガラッシャァン!!!!


突然回廊の壁が崩れ落ちた。
そしてそこに現れたのは…巨大な機体だった。
「…ご苦労様、HR−H。」

一同は唖然とするが、ソルビィの声で気がつく。
「さ、皆さん。これで宇宙船までひとっ走りしますよ!!!HR−H、モードE!!」
巨体はザリガニのような姿に変形し、エンジン音を唸らせた。


――
補足ですが、何故カビラスの通信が急に切られたのか。
修理はほとんど終わってるというのに。
それは時間差にあります。
現在の進行状況だと、宇宙船時間は残り30分切ってるんですね。
しかしメタナイトが通信をいれたときの決戦メンバーの残り時間は1時間ちょい。
つまりまだカビラス達が放射能漏れを修理していた時間なんです。
・・お分かりいただけたでしょうか?


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投稿時間:02/06/15(Sat) 19:12
投稿者名:ひでぶ


HR−Eに乗ったカービィ達は、機動兵器のクラブとミサイルで
壁に穴を開けて進む。やはり、様々な場所を進んでも、大体は空間の
歪みにぶつかったが、先程よりも状況は良かった。慌ててそのまま
走り続けるより、ブラックホール等の探知機がついているHR−E
ごしならば、空間の歪みに入り込む前にその存在に気づくことが
できるからだ。

ソルビィは、センサーが鳴る度に、HR−Eを吸い込もうとする
空間の歪みを丁寧に避けていく。パーティは、落ち着きを取り戻した。

HR−Eの腹部から発射されたミサイルが、城の一番外側の壁を
打ち破る。ダークスターは光の射さない空間だったが、開いた先は、
城の中より随分明るかった。

「……外だ!」
クラブで瓦礫をどかすと、パーティを乗せたHR−Eは
城の外へと飛び出した。



「何故ダークスターに戻ることができない!?」
「わからねえよ!でも……何ぼ頑張ってみても異空間への穴が
開かないんだ!」
ネレイド達は、ダークスターへと戻る術を探っていた。
こんな事態に陥ったのは、ゼロと共にダークスターに腰を据える
ようになって初めてのことだった。今まで、異空間の出入りの
許可を持っているならば、何事もなく穴が開き、簡単にそこへ
招かれるはずだった。

……許可を持つ者ならば。


―まさか、ゼロ。俺達の許可を、撤回したのか?

ネレイドの脳裏に漠然とした不安が現れる。ゼロは、自分の身を
呈して、マターアサルトを受け止めるつもりじゃないだろうか?
……命が尽きるとしても。

「くそ!!」
ネレイドは、ブリッジの操作台に両手を叩き付けた。


「……ゼロ、無事でいてくれ!」



闇の君主は、自らの名のついた間にて、時が来るのをただひたすら
待ち続けた。カービィにああは言ったものの、この残る体力で、
マターアサルトを受け止められるかどうかすら、本人も分からなかった。
だが、強敵に認められ分かり合った今、自分の命よりも、その強敵の
使命を優先することが先決だった。生を成してから、初めて他者の為に
奮い立たせた勇気は、心なしかゼロ自身に大きな力を与えていた。

―長年考えていたが、死という物は、一体どんなものなのだろうか?
心の闇さえこの世に存在すれば、私は永劫生き続けることができる。
私の命を脅かす者がいるとして、それはカービィだった。
しかし、結局奴は私の命を奪おうとはしなかった。……クク、可笑しな
話だ。自分を危ぶめると思っていた者に、結局こうして救われ、
今度は奴の為に身を捧げようというのだからな。

穴だらけのモニターに映るダークスターの上空。
マターアサルトのエネルギーは、今も尚不気味に蠢いている。

―生命が終わりを告げると、また新しく別の生命へとなることが
できる。長い長い輪廻の旅に、生きる者は常に委ねられている。
……くだらなく感じていたあの神話も、今となっては私に都合がいいな。
そうだ、私は生まれ変わるのなら、ささやかな光になろう。
小さな家をぼんやりと照らすだけでも、スープを温めるのでもいい。
多くの者を照らす太陽の光のように、華やかな光となることは
望まない。ただ、あるべき所でその使命を果たせるならば。


闇の君主とも呼ばれた者であろう自分が、そんなことを思い巡らせた
ことに、苦笑せずにはいられなかった。しかし、本心からそう
願うゼロは、生きているうちに少しでも光になることができたのでは
ないかと、心地よい気分になっていた。

……そんな折だった。
宙に浮くゼロの前に、不思議な紫色の光が浮かんで、1人の少年の
形をとった。銀髪の少年は、ゼロと同じく宙にその身を委ねながら、
蒼い瞳を彼に向けている。
少年・初流乃が、ゼロに言う。
「まさか、こんな展開になるとは、思いもよりませんでした」

「……出入りの許可を撤回しても、空の番人であるお前には
何も影響が起きないわけか」

ゼロの言葉に、初流乃は無言で返したが、暫くして静かに問い掛けた。
「死ぬつもりですか?」

鼻で笑うような声をもらしたゼロだったが、1つきりの瞳は
笑ってはいなかった。初流乃の後ろに映るマターアサルトに、
ゼロは視線を向ける。

「闇は私の母だ。どう抗っても、私は闇を捨てることは
できないだろう。こんな風に生を受けたことを、私は悔やんでは
いない。だが、もしここで光の為にからだを張ることができたなら、
私がこの世から去った後、再び光として舞い戻れるかもしれない。
……私は、それに賭けてみたい」

初流乃は真顔で、それを聞き取った。
「肉体を消滅させ闇を光に変える、か。今の貴方になら、
きっとできるでしょうね……ですがね」


ゼロの眼が一杯に開かれた。彼の無い筈の下腹部に激痛が走ったのだ。
……初流乃の左腕が、深々とゼロに突き刺さっている。

「初流乃……貴様!!」
「貴方も分かっていたはずです、僕は貴方への忠誠心など
少しも持ちえてはいなかった」

大きなからだを震わせて、初流乃の腕を引き抜こうとした。
だがそれは、より一層ゼロの腹をえぐる。

「お、前……何を、企んでいる?何が目的なのだ!?」

叫ぶゼロを間近に、初流乃は狂ったように笑い出す。

「貴方には分からないはずだ。僕の望み、僕の理想!
この世を自分の物にしようとしかしなかった貴方に、僕の目的を
理解できるはずがない。もっとも、その力、無駄に失わせるには
実に惜しい。……だからゼロ、貴方は僕の一部となれ!!」

次の瞬間、ゼロは闇の煙をばらまきながら、力が込められていく
初流乃の左腕を通して、彼の意志を感じとった。
その内面にかすかに残るものは、闇の君主であった彼すら
恐ろしさを感じるような、曇り無き憎悪、欲望。

―あぁ、カービィ。この男だけは……決して許されざるこの男だけは!
頼む、止めてくれカービィ……!!


最後に1つ、大きく震えると、ゼロは完全に霧散して、初流乃の
掌に吸い込まれた。その後暫く、初流乃は左の掌を眺めていた。


マターアサルトの光がダークスターを包み込んだ。
開いた元の空間への穴、脱出する宇宙船の中、反物質の放出を
ギリギリまで見届けていたカービィが、ゼロの名を呟いたのは、
仲間達の誰もが気づかなかった。


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