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Another story of Kirby 第二部 [03]



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投稿時間:02/07/04(Thu) 13:03
投稿者名:yuletear


デデデ城を後にした番人は、歩を進めていた。
ただでさえ、疲れた体に鞭打つような思いで眠りから覚めたのに…
今、時の制約を司る者としての義務を果たさねばならない。
この時ばかりは、流石の番人も『時の番人』という己が役目を恨んだ。
溜息をつきながらも、力を使った者を確かめる為に進み続ける。
…近頃は異変が多い。
何かの前触れでないことを祈るも、長年の勘はそれを否定する。
心なしか歩を速め、丘に差しかかった時…。

ふと行先に人影が見えた。
丘の上に佇む少女。
その後ろ姿は何故か、自分の知る人を思わせた。
けれど見慣れない…白い服の少女。

先の異変も相俟って、番人はおもむろに声をかけた。
「…おい…そこで何をしてるんだ?」
少女は番人に気づき振り向く。

銀髪が風に揺れた。
その深い紫の瞳が彼を捉えた。
…ただ、ただそれだけなのに。

「……ユート……?」
亡き友の名前が口をついて出た。
顔形は別人。美しい翼も無い。
なのに…。
その纏う空気は、間違う事無き友のもの…。
番人は不思議な感覚と驚きに、暫し呆然としていた。


「…誰…?」
少女の言葉にはっと我に返る。
「俺は時の番人。…番人って呼ばれてる。見かけない顔だが…」
「時の…番人……?時の番人……リュウガ……さん…?」
友しか知らない筈の自分の名前。
目の前にいる初対面の少女は、自分の名をたどたどしく呼んだ。
しかし、何かに怯えるように首を振り、『番人さん』と呼び直した。

「…君は一体?」
「私…?…私…私はユー…ううん、違う。…違う…そう私は…」
暫し悩んだ後に彼女は言った。
「…私は…リグレット。」

「…リグレット。君は何処から来たんだ?」
彼女は番人の問いには答えなかった。
「…貴方は何処へ…向かっていたんですか…?随分と…難しい顔をして…。」逆に番人に問い掛ける。
しかし、番人はすぐ答えるわけにもいかなかった。
目的地はすぐそこなのだろうが、その場所は移動するかもしれない。
…対象の人物が移動すれば。
「…聞きたいこともある。ついてこないか?」
自然とこぼれた笑みに自分でも暫し戸惑いつつ、番人はリグレットに問うた。
彼女は小さく頷くと、再び歩き出した番人の後に続いた。

……丘の上を、一陣の風が通り抜けた……。



参加するにあたり、申し訳ありませんが新キャラです。

名前…リグレット
性別…女の子…ですね。
能力…補助、回復専門。
彼女には誰も倒せない(殺せない)んです。誰かに護らせといて下さいw

銀の髪に深い紫の瞳という微妙な組み合わせ。白いワンピースな子(何)
あまり我の強くない大人しい子を目指します。
いつも何か考え事してるような感じでw
察しの良い方は、気づいてしまわれるかも知れませんが、
彼女の正体はおいおい。ということで…w(何爆


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投稿時間:02/07/04(Thu) 16:00
投稿者名:ひでぶ


「……シ、シルト君?」
シルトの不可解な行動に、カービィは少々戸惑っていた。
よくは知らないが、確かにシルトは今、時の制約という物を
破ったのだから。いつだかカービィは、菊花からグーイに
対するのろけ話の中で、制約を破るとどうなるか……そう、
とても厳しい仕置が待っていることを聞いていた。

―番人、怒るよぉ……。

曇らせた顔をシルトに向けたが、彼は「問題ない」とでも
言うかのように、カービィを気にせずにマーテルの前まで
歩いて向かう。

「誰だよあんた。何でオイラ達のことを付回してるんだ?」
「それは、その、えと……その」

シルトの問いに、金髪の少女、もとい、少年は口篭もる。
いらいらとしながらも、シルトは答えを待っていたが、
マーテルが言うより先に、佇んでいる飛行エヌゼットを
見て、正体を見極めた。

「ゼロツーの、手下か!?」

マーテルは「はぅぅ……」と声を漏らすと、慌ててロッドパイクを
握りしめて、シルト目掛けて振りかぶった。
「うわ、いきなりかよ!」
急いで背負ったエクスアポカリプスを構えて、ロッドパイクの
先端の鉄針を受け止める。

「ご、ごめんなさい、ごめんなさい……!」
言うことと全く逆で、マーテルは勇猛果敢にロッドパイクを振り回す。
……が、それほどの腕ではないようだ。

―敵だって焦ったけど、この程度ならレフォンの力を借りなくても
大丈夫そうだ。……にしてもこいつ、なんでこんな格好を?
……趣味か?

シルトが大地に自分の剣を突き立てると、ちょうどロッドパイクが
半円を描いてそれに衝突した。突き立てたエクスアポカリプスを
握るものとは逆の掌が、マーテルの懐にちょうど接触した。そして。

バォォン……!

「あぁ……」
弱めだったが、その掌から放出されたテラ・ソルトが、
マーテルを吹っ飛ばした。飛び方が嫌に華麗だったりしたが。

地に伏した敵を確認すると、シルトは再び自分の武器を背負い
直した。参加する機会を最後まで見つけることができなかった
カービィは、とりあえず制約のことは忘れてシルトに駆け寄る。

「すごいやシルト君。1人でやっつけちゃうなんて!」
シルトは少し照れながら、首を横に振った。
「いや、やけに手応えが無かったから、オイラだけでよかったよ」

カービィもその場から動かないマーテルを見る。
「……ん、どうしようか。あの子」
「手下なら、何かすごい情報を隠してたりするんじゃないかな?
捕まえて、洗いざらい吐かせよう」

あまり酷いことはしたくないなぁとか思いながらも、とりあえず、
シルトの意見には賛成だった。本当に、もしかしたらだけど、
ゼロツーの味方なら、リボンのことを何か知っているかもしれないし。

「お〜い、シルトぉ〜」
「カービィさぁ〜ん」
声が聞こえて、カービィとシルトは振り返る。その先に、
何やら変な音と煙を出す不思議な4輪の乗り物が見えた。

ワドルディ達である。


「ゼロツーの手下なんッスか?この可愛い子が?」
「バカ、よく見なよ。男だよこいつ」

ワドルディは倒れているマーテルを眺め、唸った。
「男の子には見えないッスけど……」
その言葉に、シルトが溜め息をつく。
「……とりあえず、みんなのところまでこいつを運ぼう。
対ゼロツーの貴重な情報源だからね」

「じゃあオイラが起こしてあげるッス!」
何だか楽しげにマーテルに近づくと、ワドルディは
「もしもーし」と彼女、いや、彼に声をかける。
それから少し、黙ってワドルディは、彼の寝顔を
眺めていたわけだが。

「ねぇ、どうしたのワドルディ?」
カービィが尋ねると、怪訝そうに、彼は応答した。
「……なんか、ブツブツ喋っているんスよ。寝言ッスかね?」

顔を見合わせたシルトとレフォンも、マーテルのもとへと近づいた。
彼は、こんなようなことをうめいている。

「天に……まします、我らが……神よ。……その、私は、
汚れし……闇の者ですけど。それでもよければ、あの……
聖なる、力を貸して、ください……ませ」

2人はとりあえず聞き終えてから、その意味を考えた。
それから、「あぁ!」と声を上げて理解すると、再び顔を見合わせた。

そうだよ、魔法の詠唱だよ、これ。……ん、魔法の詠唱?


『やばい!!』




<フラッシュ・フラッド、です……>



凄まじい光の渦が轟音を打ち鳴らしながら集まったかと思うと、
一点に収束された大きな光の珠がその周囲に光の大洪水を
巻き起こした。シルトがシールドを張ろうとするものの、
時は既に遅く、カービィ達は全員もみくちゃになって
投げ飛ばされた。尚も続く巨大な光の波が、それぞれに
襲い掛かる。

「あの、本当に、ごめんなさいです……
捕まったら、おじさまに怒られてしまうんで……
あの、これで、その……失礼させてもらいますね」

マーテルは小走りに、飛行エヌゼットがいるところまで駆けて
いって、上に乗り、飛んでその場から去っていった。


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投稿時間:02/07/04(Thu) 20:21
投稿者名:たろちすと


「う・・・うぅん」
光の洪水がなくなって、何分かかったろうか。
カービィが目覚めたのは、森の中だった。
周りには、ぐたーっと。横になっているワドルディ、
すでに目覚めてぶつぶつ言いながらなにか考えてるシルト。
「ん?起きた?」
シルトがカービィに気づいたのは普通よりワンテンポ遅かった。


「ふぅ・・・・助かりました・・・神様は闇のものでも加護をくれるんですね・・・・」
飛行エヌゼットは山地の奥に向かってふよふよと飛んでいる。
その山にはなにやらシャトルが。
山のひらけたところにシャトルが停まっている。
飛行エヌゼットを抱いてハッチを潜り、中へ。
「あのー・・・東さん・・?セツさん・・・?」
呼んでみたが返事が無い。
「いないんですか・・?この時間には・・・帰っているはずなのに・・・」
辺りを見回すと、テーブルの上に青い球・・・もとい、
「メッセージ・ボール」が。
マーテルはその球に気付くと、指でちょんっとつついた。
青い球は光だし、よく清んだ、しかし機械的な声が響いた。
「一件、メッセージが届いてます。」
そして画面が現れた。写っているのは人のよさそうな・・・セツの顔が映し出されていた。
「おかえりなさいマーテルさん。」
画面の青年がにこやかに微笑んだ。
ホログラムと知ってても思わず赤くなり、「た・・ただいま帰りました!」
と言ってしまってからさらに赤くなった。もう耳まで真っ赤。
「私達は用事で遅くなります。明後日までには戻れると思いますが。
あと、一応各設備の説明を―――」
シャトル内の設備、機械などの説明が始まり、終わったころには太陽が沈みかけていた。
知っているものより知らないものの方が多くて覚えるのに苦労したが
なんとか頭に叩き込むことができた。
「―――あと最後に、マーテルさんだけだとちょっと不安なので、
・・いや、別にマーテルさんが頼りないとかそういうのじゃないので。
念のためです。念のため。
私が道中で知り合った人がそのへんにいると思いますので、
いっしょにこのシャトルを守っててください。結構信頼できる人ですよ。
戦いにも慣れてるというので・・。
外で笛の音か歌声が聞こえたら聞こえた方に行ってみてください。
白い衣を羽織ってる人がいたらその人です。
自分で紹介してくれるでしょう。
では――・・・」
プツン・・と画面が消えた。
マーテルは少し戸惑いながら設備や装置を見て周り、
外に出てみた。
―――今夜は冷えそうです・・・
たしかに、吐く息が白い。
一度シャトルに戻り、厚手の服に着替えて、もう一度外に出た。
耳を澄ましてみると、たしかに誰かの歌声が聞こえた。
声がするほうに歩いていくと、セツが言っていたように
白い衣を纏った人が歌っていた。
本当に綺麗な声に思わず感嘆の声を漏らす。
声に気付いたのか、白い衣を纏った男が振り向いた。
薄い灰色の髪に透き通るような深い藍色の瞳。
白い肌。これぞ(略
「えーっと・・・貴女、マーテルさんですよね・・?」
さきほどより低いものの、やはり澄んだ声で問うた。
「あ・・はい。あなたこそ・・セツさんのお知り合いでしょうか・・」
最後の「でしょうか・・」の部分はよく聞こえなかったが、
青年は答えた。
「はい。僕はユシアといいます。
セツさんとは・・・知り合い・・かな?
ここらへんで歌っていたら
誉めてもらいまして・・・それから話こんで、仲良くなりました♪」
ニコっと微笑むと、マーテルは赤くなる。
ユシアはそれを見て
「(可愛いなぁ・・・おもちゃみたいで(赤くなったりもぞもぞしたりしている)」
などと思ったりしていた。
それからしばらく話こんでいたそうな。


――――――――――――――――――――――――――――――
つーわけで新キャラです。
一応共有キャラ・・・です。
名前・・ユシア
性別・・♂
年齢・・二十前後。
性格・・底抜けに明るい。そりゃもうウザイくらい(爆)陽気と明るいは違いますよ?
身形・・白い浴衣のようなものの上にやわらかい布で作られたスカーフを羽織っています。両手に金と緑の刺繍が施された腕輪をはめています。
灰色がかった白いうなじで束ねた髪に深い藍色の瞳です。
武器・・歌、笛の音、低級魔法(各属性)、防御魔法もつかえる。
属性・・neutral
他・・・歌い手です。笛も吹きます。その声で稼いでいます。が、それは商売用。本当の歌や演奏は特殊な効果をいろいろもってます。
なかには寿命を増やすものも・・・
不老長寿の仙薬として一度狙われたことあり。でも逃げ延びたとか。


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投稿時間:02/07/04(Thu) 23:01
投稿者名:くるみ


風にのって、空を行く人影。

くるみだ。

「うーん、このごろ、鈍らないぐらいにしか、借りてなかったからなぁ。」
カービィを、探すてがら、自分の力が劣ってないか、ためしているようだ。
しかし、うれしくてうれしくて、しょうがないらしい。
こぼれそうになる笑いを、こらえてる様に見えた。

――――――♪

風に運ばれる、きれいな歌声。
思わず、足(?)を止めた。
下に広がるのは、山の奥地の、開けた台地。
あまり、人がいるという感じはしない。
くるみは、足を地に乗せた。


――――♪―――♪♪―――――


「……歌が、生きてる。精霊が宿ってる。まだいたんだ……これほどの人。」
言葉が、口からこぼれた。
きれいな旋律。きれいな声。
足は、自然と、音を生み出す泉へと歩く。

目的の場所にあったのは、見慣れないシャトル。

不審に思ったのだけれど、好奇心が上を行った。
そっと、シャトルに近づく。
灰色の髪に、白い衣をまとった男の人。
金髪の修道女みたいな少女。
歌声が、彼らの周りを舞う。

「誰ですか?」
いきなり、声をかけられた。
心臓が飛んだ。
「え、えっと、あの、散歩してたら、歌が聞こえてきて、
すっごくきれいだったから、誰が歌ってるのか知りたくなって、
えっと、あの、お邪魔でしょうか…」
自分でも、変だと思った。
内心、冷や汗たらたらのくるみ。
『や、やばいかもしれないです。確か、カービィ側の人です。どうしましょう…』
こちらも、冷や汗たらたらのマーテル。
「大丈夫ですよ。あなたも座りますか?」
二人の心情を知ってか、知らずか、ルシアは、くるみを誘った。
「あ、ありがとうございます。」
いそいそと、そばによる。
しかし、彼女の中の警戒心が、腰をおろすまでさせなかった。
『ち、近いです。でも、おじ様から、接触するよう言われてたです。
チャンスかもしれないです。』

「け、結構遠くまで散歩するんですね…」
マーテルが口を開いた。やっぱり、最後の声は、小さかったけれど。
「えぇ。ちょっと昨日は眠れなかったから。気晴らしにでも行こうかなって。」
さっきよりも、落ち着きを取り戻していたくるみは、ちゃんと答えることができた。
そのあと、何回か、(小さかったけど)マーテルは、質問を繰り返した。
しかし、どれも期待にそえる回答は得られなかった。

一回ほど、ルシアの演奏を聞いたくるみは、そこを離れることにした。
「突然お邪魔してすいませんでした。生きている歌が聞けて、本当に良かったです。」
「そんなたいした事はありませんよ。」
「これ、お礼です。ありがとうございました。」
くるみは、カービィが食べるかと思って、持ってきていたクッキーをルシアに渡し、走るような去っていった。


また、空の上。
くるみは、歌の余韻に浸りながら、あの金髪の修道女(男)のことを考えていた。
「あの子の周りの気……ゼロの城の気と似ていた…」
敵なんだろうか。
『僕もそう思うよ。』
「でも、悪い人には思えなかった。」
『みんな同じさ。悪い人なんていないんだよ。
考えてることが違ってしまうと、悪いだの、悪だの、そんなことになってしまうんじゃないかな。』

―――光と闇は、紙の表と裏みたいなもの―――

「この世が闇に変わろうとしていた。
私たちは、住めなくなってしまうから、それを止めた。
でも、変えようとした者たちにとっては、居心地のいい場所…にしたかったのかな。」

――話し合えたら、わかるかもしれない――

ゼロツーとか、敵と。









初流乃と









突然浮かんだ、憎い人の名。
自分でもびっくりして、取り消してしまった。

支えが…消えてしまうような……

『くるみちゃん。カービィ、見つけたよ。シルト君と一緒。』
「ほんと?行ってみよう。」
精霊の知らせ。
くるみは飛んだ。

浮かんだ思いを、振り切るかのように。


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投稿時間:02/07/05(Fri) 15:32
投稿者名:ひでぶ


魚の鱗のような雲が、空に広くのびていた。光の波を浴びた
せいで、身体に倦怠感が残るシルトやワドルディ達ニュートラルの
存在は、目が覚めてからも暫くは仰向けだったので、その雲を
眺めている。今現在唯一まともに動けるのは、守護神のカービィのみ。
「み、みんな、大丈夫……?」
カービィが心配そうに、全員と視線を交わす。

「あ゛ー」
うめくシルトは、日焼けした時のようにヒリヒリする体を冷やすべく、
ひんやりとする秋の大地の上でゴロゴロと転がる。土埃で服が
汚れるのは彼も嫌だったみたいだが、そんなことよりも、痛々しい
体の火照りを何とかしたい様子。

それの真似をして、他四人も転がり出した。割と気持ちが良いらしい。


『何しているんだろう、あれ?新手の宗教みたいだね』
「うん。……でも、何だか面白そう」

妙な好奇心を抱いたくるみが、風の精霊の力を解いて、そこに
降り立った。着地と同時に大声で「私も混ぜて♪」なんて言うもの
だから、シルト達は驚いてヒリヒリ肌を余計土に擦ることになった。

揃って悲痛な叫び声をあげる。

「ど、どうしたの?」
半泣きのワドルディが、転がりながらくるみに近づいた。
「くるみさ〜ん、今すぐ光の精霊を呼んで下さいッス〜!」
転がるワドルディ。後ずさりするくるみ。レフォンが言う。
「ま、待て。光の精霊での治癒はもっと痛くなりそうな気がする!」




「たとえ仮初めのものでも、何かきっかけがあると、魂が入ることが
あるんだ。そういうの、滅多に見られないんだけどね」
丸太に腰掛けている少年が、不意にそう言った。
「だから、グーイ君やセツって人を見たとき、正直すごいと思った」
対面しているのは人形のような、色白の少女である。

「君だって、僕と同じ種族だけどさ、生まれ方は違うよね。
多分……恐怖とか、憎悪とか、ヒトのモヤモヤした感情が集まって
君の姿をとっているんじゃないのかな。……間違ってる?」
少女は少年の推測に、クスクスと笑みをこぼすだけで、否定も
肯定もしなかった。分かっていたので、気にせずに少年が続ける。
「そういう、作り出された存在で、自分の意思を持ってるヒトって、
一味違うなぁって尊敬しちゃんだよね、なんとなく」

不自然なほど闇の濃度が高いその場所で、少女の桃色の髪がなびく。
その後ろには、木を背もたれにして、何らかの書物を読んでいる
男がいる。どうやら、彼も少年の仲間らしい。

開いた書物を閉じると、男は立ち上がる。
「でも……」
続いて、少年が、少女が立ち上がった。

彼らの周囲には、闇の者の無数の死骸が転がっていた。
それらのからだの大半は、もう空気中に溶け込んでしまっているが。
少年……いや、悪魔は立ち上がってから、何らかの操作で
手にした鎌をその場から消す。


「こいつらじゃ、何ぼ頑張ってもそんな風にはなれないね」


悪魔スラリンは、そう言ってせせら笑った。


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