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Another story of Kirby 第二部 [12]



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投稿時間:02/07/16(Tue) 14:45
投稿者名:yuletear


誰かと何かを成し遂げるには
お互いがお互いを良く理解してこそ…
戦士達の宴は、可能な限りの華やかさを見せる。

「…何処へ行かれるおつもりですか…?」
艦内の廊下を進んでいた菊花達の前に少女が現れる。
菊花とグーイが怪訝そうな顔で彼女を見つめる。
グレンは「さっきの…」と言いかけて、口をつぐんだ。
「リグレット。カービィ達の所にいたんじゃ無かったのか…。」
「私達、ディーラさんを助けに行くんです〜。
さっきまで私達がいた場所で…ディーラさんはまだ戦ってるんです〜。」
菊花が慌てたように葉を揺らした。
「相手はゼイだ。…爆破に失敗したとなれば、キレて何をしでかすか分からない。早く行かないと…。」
続けてグレン。
「でも…貴方はどうしてここに?」
誰にも言わず、自分達はここまで来た筈だった。
それに、菊花の千里眼でディーラの事を知ったのは自分達だけの筈だ。
「…番人さんの気配を辿って来ただけです…。」
「そんなことはいい。」
番人がその答えを打ち消すかのように声を発した。

「菊花の言った通りだ。俺達はこれからディーラの救出に向かう。
お前はあの場所に戻れ。」
番人はまた歩き出す。菊花達も焦ったように後に続く。
「…救出…それだけですね…?」
「そうです〜。私の空間転移を使うんです〜。」
「…ならば…」
リグレットは静かに菊花達に瞳を向けた。

「戻るのは貴方です。リュウガさん。」

「何…?」
菊花はオロオロとその場を見つめる。
「現状を理解して下さい…確かに孤立無援の仲間を助けに行くのは大切な事。
けれど、貴方は行ってはいけない。
貴方はきっと、カービィさんやメタナイトさん達と共に
他の方々を導かなければならない人。
交友関係を持ったその次に考えねばならない事は…今後のことでしょう。」
番人は黙り込む。
「貴方はここに残るべきです。ここが完全に安全だなんて誰にも言えない。
そう………誰にも…。」
正論ではあった。
02達は数多くの兵器を持ち、この地に降り立ったのだ。
某キャメラ…もとい、ナイトメア達も何処に潜んでいるか分からない。
そして、空間において圧倒的な自由と力を持つ初流乃…。
「…しかし、俺が残ったとしてもこいつらだけを行かせるのは心もと無い。
そもそもディーラが傷を負っているかも知れないし…」

「ならば、私が共に参ります。」
グーイが驚いたように1度だけ跳ねた。
「戦う必要は無いのでしょう?そのディーラさんを連れて帰ってくるだけ。」
「あぁ。だが…」
「大丈夫、必ず守って見せますから…私を信じて下さい…番人…さん。」
『……大丈夫だ…。必ず守って見せる…私を信じろ…リュウガ……』
面影が重なる。
菊花が絶句しているのが分かった。彼女も気づいたのだろう。
「菊花さん。余計な時間を取らせてしまって申し訳ありません。
急ぎましょう。」
気にせずリグレットは菊花に向き直った。
「は…はい〜。でも、こ…この場所で転移を使うのは自信が無いんです〜」
菊花はうなだれる。
「頑張って下さい。菊花さん。」
グレンが励ますが、菊花は「でも…」と呟くしか出来ない。
「……奇跡は神が起こすものではありません。
奇跡は、自分達で起こすものです。大丈夫、きっと上手く行きます。
流れに逆らわず、流れと同化して…。自分を信じて…。」
リグレットは菊花の葉を両手で優しく包んだ。
「……頑張ります〜……!」
暫しの沈黙の後、菊花は集中を始めた。
菊花を中心として、光が集まる。
廊下に鈍い閃光が走った…菊花達の姿は消えていた。
番人は一人、ペンダントを握り締めていた。


「っ…くそっ…!!」
室内にマシンガンの音が響く。
ディーラは相変わらず防戦するしか無く、徐々に後退を続ける。
後ろには廊下へと続くドア。
背がドアにあたる……………後が無い。
「ゼイ。ネズミは始末出来たのか?」
部屋の外から、ヘヴンの声が聞こえる。
ドアノブが音を立てる。
「チェックメイト…一人で来た事を恨むんだなっ!!」
ゼイがマシンガンを向けた。

銃声が響く。
「くっ!………あれ?」
覚悟を決め、目を閉じたが痛みは来ない。
目を開けると、そこには菊花達がいた。
「間に合ったみたいだな。」
グレンがゼイを睨みつけながら言った。
「ディーラさん!無事ですか?!」
グーイの問いに、ディーラは頷いた。
「何とかな…でも…どうして。」
「…話は後です…菊花さん、転移呪をっ!」
ゼイに向かってリグレットは手をかざしている。
「てめえらっ!何処からっ!!」
ゼイが激昂し、マシンガンを撃った。
「我が力…全ての汚れを阻む障壁となれっ……!」
リグレットの呪が編み上がり、魔力の壁が銃弾を防ぐ。
幾つかの弾が微かに彼女のむき出しの腕をかすったが、彼女は声も上げない。
「行きます〜。皆さん、離れないで下さい〜。」
菊花の詠唱が完了する。部屋に光が満ちた。
「ぐぁっ…!!」
ゼイは思わず、目を閉じた。

次に目を開けた時には、既に彼らの姿は無かった。
「ゼイ?」
部屋に入ってきたヘヴンが見たのは、
悔しげな表情のゼイと乱れた部屋だけだった。


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投稿時間:02/07/16(Tue) 21:50
投稿者名:ハガネカービィ


「・・・・それにしても本当に凄い人数ねぇ・・・」
ここはパーティ会場・・・もとい、メタナイトの基地。
立ち去るアドを見送って、改めて周りを見回したチュチュはそうつぶやきました。
「まぁ良いんじゃないか?戦力は多いにこしたことはないし。」
いつの間にか近くに来ていたクーがそれに返事を返します。
「まぁ・・・ね。・・・・・もっとも、役にたたなそうなのもいるけど。」
チュチュの視線の先には・・・・・ピックが居ます。
どうやら、ダークスター脱出の時のことをまだ根に持っているようです。
「はは・・・・。まぁそういうなよ、あれでも役に立つこともあるんだぜ?」
「ぇえ〜・・・?」
「俺達が海の上空で謎の泡で身動きがとれなかったとき、丁度真下に津波が見えてな。
 どうしようかと思っていたら丁度あいつに会って、あいつが海岸の町まで知らせに行ってくれたんだ。」
「それ、本当・・・?」
「嘘じゃないさ。なんなら他の誰かに聞いてみるといい。」
「ふ〜ん・・・・・まぁ、クーが言うんだから本当なんだろうけど・・・・」
チュチュはいかにも半信半疑、と言う顔をしてその場を去っていきました。
「嘘ではないさ・・・・(怒鳴りつけたらやっと行ってくれた、なんてまさか言えないけどな・・・。)」
 


「げふっ!!・・・確かに血が・・・・・。・・・・・な〜ビィ・・・・」
一方こちらはな〜ビィの連れ去られた部屋。
片膝をついて床を調べていたぜぼしんは、(新たな血痕を増やしながら)ゆっくりと立ち上がり、
ここまで案内してきた捜索隊の一人を無言で押しのけて部屋から出ます。
そして向かった方向は・・・・・自分の部屋ではなく、格納庫の方向でした。
「ぜぼしん様?!どちらへ行かれるおつもりですか?!」
「・・・拙者も探しに行く。」
「お待ち下さい!ここは我々に任せて・・・・・」
ぜぼしんは一瞬息を吐きます。
「ふざけるな!!あれからもう30分!いまだに艦内を調べて居るような奴らに任せられる物か!!」
「っ・・・・・それは・・・・。・・・・しかし02様の命ですし・・・・」
「・・・02様に伝えて置いてくれ。『後でいかなる罰でも受けるから、行かせて欲しい』とな!」
「・・・・」

「げふげふっ・・・・ぐ・・・」
強引に格納庫に来たぜぼしんでしたが、やはり重傷、歩くだけでも辛いようです。
「ぜぼしん様・・・・」
「誰だっ!・・・・セツ?何故ここに・・・・」
「・・・ぜぼしん様の事が気になって様子を見に戻ったのです。
 案の定、御自分で行こうとなさっている・・・・。
 ぜぼしん様・・・どうか思いとどまって下さい。」
「!!・・・・お前までそのようなことを言うのか?!」
「そのお体では無茶です!!」
「無茶は百も承知だ!それでも拙者はな〜ビィを探しに行く!!」
「良くお考えになって下さい!
 無理をなさって貴方にもしもの事があれば・・・・一番悲しむのはな〜ビィ様なのですよ!!」
「ぐ・・・!しかし・・・しかし・・・・・・拙者は・・・・・・・」
「それにもう一つ・・・・」
「・・・・・もう一つ、何だ?」
「・・・先日、02様がな〜ビィ様の存在を疎んで居るとの噂を耳にしました。
 もしここでな〜ビィ様のために貴方に何かあれば・・・・・」
「げふっ!・・・馬鹿な!!02様がそのようなことをお考えになるはずがない!!」
「しかし、可能性が全くないとは言い切れないはずです!
 それに・・・今は非常時なのですから、02様といえども気が立っていらっしゃるかもしれません。」
「・・・・・そんな・・・・・・それでは拙者はどうすれば・・・・!!」
ぜぼしんはやるせなさからか、壁に拳を叩きつけます。
「・・・ですから、私にお任せ下さい。」
「・・・・・何?・・・今何と言った?」
「私にお任せ下さい、と申し上げました。」
「・・・たしかにお前の方があの役立たず共よりはずっと信用できる。
 しかし、お前はお前で何か命を受けているのだろう?」
「たいした命は受けておりません。
 恐らく、私が抜けても東さん達が何とかして下さるでしょう。」
「だが、それでも命令違反は命令違反だ。
 もしその事が02様に知れたら、ただでさえゼロに作られた為に信用の薄いお前は・・・」
「この非常時です。私の命など・・・・・。」
「また命を捨てる気か?!それだけは駄目だ!前に言っただろう!!」
「しかし、ぜぼしん様にもしもの事があれば、どのみち私はこの軍にいられないのです!」
「それでも駄目だ!!」
「・・・・・・・。」
セツは少しの間下を向いて何かを考えているようなそぶりを見せます。
そして、顔を上げるとぜぼしんの目を真っ直ぐ見てこう言いました。
「分かりました、命を捨てるような真似は致しません。
 しかし、やはりぜぼしん様に行かせるわけには参りませんので、私が捜索に赴きます。
 ぜぼしん様さえ無事であれば、02様も罰を軽くして下さるでしょう。
 とにかく、絶対に貴方に行かせるわけには参りません。」
「く・・・・・。」
「お体を治して、元気な姿でな〜ビィ様と再会して下さい。」
「・・・・・・分かった・・・・・。お前に任せよう・・・・・・。
 ・・・・何か、必要な物はあるか?」
「ご理解いただき、ありがとうございます。
 ・・・・移動用に飛行できる乗り物一機と、
 偵察向けのダークマターを20体ほどお貸しいただけますか?
 いずれも動きは速いほど良いのですが・・・・・。」
「分かった、そのくらいなら拙者の独断で用意できる。
 乗り物にはそこの戦闘機を使うがいい。
 一応、02様の捜索部隊とも連絡が取れるようになっている。
 ダークマターもすぐに呼んで、お前が出発するまでに戦闘機に乗せておく。
 ・・・・・・他に誰か連れていかないのか?」
「いえ、どのみちダークマターとの連携が取れないとあまり意味がありませんし・・・・
 命令違反は私一人で十分です。他の方まで巻き込めません。
 ご安心下さい、私一人でも絶対にな〜ビィ様を発見してご覧に入れます。」
「そうか・・・・」
「・・・・それでは、行って参ります。」
セツは軽く一礼して足早に立ち去ります。
「・・・・・セツ・・・・・・・
 くれぐれもな〜ビィのこと・・・・頼んだぞ・・・・・」


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投稿時間:02/07/17(Wed) 00:18
投稿者名:星のカーヴィ


ここは、アトランティス艦隊の支配下にある
『デニオストロン』という惑星。
惑星の表面は、殆ど氷で覆われてデューロンクリスタルがある以外は、
価値の無い惑星だ。
そして、そのデューロンクリスタルですら採掘し終わるところなのだ。
その惑星の指令センターに、突如警報が鳴る。
「所長!Dh A-O-78区に非常事態発生です!」
「げぇほっ……。好い加減にこの病気は、
どうにかならぬかな……。」
そこの所長は、どうやらこの惑星のほど寒い気候で、
インフルエンザにかかっている様だ。
だが、次の瞬間メンバーの悲鳴が聞こえた。
窓の外に立つ異様な影、蜘蛛の容をしたその影は、
すぐ実態を現した。
だが、閃光が彼らを飲み込み、周りは瓦礫と化した。
「や、やめろ!ぐほっ。」
謎の襲撃にも生き延びた所長は、
ささやかな抵抗をする。無論、派遣された半次元生命体のだれもが、
勝利を確信した。

だが――――

「ぶへぃくしょっ……。」
所長のいき込んだ咳が、戦闘ロボのアーマーにかかる。
なんと、見る見るうちにそのロボットが解けていくではないか。
「なんだ!?」
指揮していた半次元生命体が、驚きの声を挙げる。
その効果は、どんどん最初にかけられたロボの周りに居たロボにも、
どんどん伝染していき、
最終的には十数隊が残骸と銀色の液体に化していた。
「う…うわあぁぁっ。ごほっ。」
その隙に、所長はエアーライダーに乗って、
近くの司令センターに向かっていった。
数分後、その惑星から数十隻のシャトルが飛びたって行った。
だが、同時期に数個の惑星が襲われた知らせが、
彼らの耳に届いた。


――――この世界は不毛です。
 ――――何故なら、この世の創造主が愚かだから。
  ――――この世に生きているものは不毛です。
   ――――何故なら、生命の創造主が愚かだから。
    ――――この事態を解決するには、
     ――――創造主であるロウの絶対神を滅ぼすまででしょう……


「此方アンフィッシャー。カービィ討伐のために、
デデデ城付近に到達しましたが、残っているのは
デデデ城の跡地と思える瓦礫のみです。
以上、連絡を終了します。」
アンフィッシャーからの連絡を終えた02は、
ゼイの計画が失敗した事に気付く。
その連絡を受けたマーテルは、ゼイを呼び出した。
「ゼイ。この企みを企てたのは貴方でしょう。」
「はい。」
普段自信満々のゼイも、この時ばかりは口を破らない。
「そう、ここで優秀な人材は、篩で見つけて行くのです。」
そう02が言い終わった途端、ゼイが苦しみ始めた。
言葉にならない言葉が、02の間を駆け抜ける。
マーテルは、酷く気分が悪そうに壁に凭れ掛かっている。
彼の頭の中に、幾度と無く見せられた人の苦しむ姿……。
その中で生き延びた者は、
此間の彼の伯父を加えて数人しか見たことは無い。
とはいえ、彼は02に主従を誓った身。
全ての者より、いや、一人を除けば02と一番近かった存在だろう。
面識のある相手が、もがき、喘ぎ、苦しむ姿を……
陛下は楽しんでいるのかしら……。
ふと疑惑に思うこともあった。
だが、主従の身。逆らえない。
ゼイの喘ぎ声が、彼の頭の中を駆け巡る……。


「もう止めてくださいっ!」


02に大きな負担が圧し掛かる、マーテルだ。
大きな音がして、02が倒れこむ。
まさかマーテルがぶつかってくるとは思っていなかったせいか、
階段を転げ落ちた。
その先では、ゼイが虫の息で必死に立ち上がろうとしている。
マーテルは、起こってしまった事態を見て後悔した。
抗い。そう、02陛下は昔、こう言ってたわ……。
《私の夢を果たすためには、抗う者も容赦はしない。
結果的に、私達は救われるのだから……。》
倒れていた02が立ち上がる……。
「マーテル。」
不思議と、02に笑みが零れる。
「す…ぁの、すいませんでしたっ……。」
「いいのよ、マーテル。貴方のやったことは、決して悪くは無いわ。」
「……。」
「でもね、善くも無いことなのよ。」
02がまるで、ベテラン女教師のようにマーテルに話し掛ける。」
「ど、どう言う事ですか……。」
02が微笑ではなく、珍しく満面の笑みで応えた。
「その内分かるわ。」
マーテルには、何がなんだかさっぱりわからなかった……。
だが、これだけは確か。
ゼイは、死刑を免れたということ……


――――戦艦の発着場
「矢鱈とさっきからざわざわしいな。」
ゼイが、丸い形をした奇妙な自分の船を修理している。
周りは、忙しく駆け巡るダークマターでいっぱいだ。
「ああ、どうやらオレンジオーシャンの基地に
カービィ達が立て篭もってるらしいから、そこに進軍するらしいよ。」
「御名答。」
ふと、ユシアの後ろで声がする。
振り返れば、Ωだった。
「なんとも、陛下の部下であるグリブスとかクレバスとかいう奴が、
カービィ達に追跡装置を付けたらしい。」
「ぁ、その人知ってます……。なんか、偉そうな態度な人だとか……。」
マーテルがそう言うと、背後にいる不吉な影をΩが感じ取った。
なんの!Ωは気を放ったが、呆気無く避けられてしまう。
「グリブスとかいったのはお前だな。ったくよぉ、
最近の爺さんはアルツハイマーで衰えちまって……。
引退した方が身のためだぜ。」
背後に居たのは、グリボスだった。
「仕方ないであろう、人間、いや、生命は必ず老いる者。
運命に従わずに、如何に生きる!」
グリボスは、舌打ちする。
「さてと、わしは行くとするかな……。」
暫しの沈黙。そして、Ωの方が先に口を開いた。
「市街地等で人を殺せば殺人犯として曝されるが、
戦争で人を殺せば殺すほど英雄になれる……。

老兵は死なず、ただ消え去るのみ……。

Ωは数秒間グリボスを見つめなおすと、
自慢の髭をしゃくりながら歩き始めた。
「ったく、どいつもこいつもつけあがりやがって……。
分けわかんねぇ事言うんじゃねえよ。」
グリボスは、Ω達の言った方向とは反対の方向に、歩き始めた。

ぜぼしんは、只管に松葉杖で発着所に向かっていった。
せめて、セツを見届けてやらないとな……。
「ぜぼしんか。」
「ヘヴン……。」
ぜぼしんは必死に、今までのことを語りだした。
「……。残念だ。」
「ああ。」
二人のやり取りに、語り部である私はこれ以上のことを感じ取れなかった。

セツがやや大柄のアトランティスガンシップに乗り込んでいる。
「愛する者のためにか……。」
ゼイが呟く。ふと東が、
「ゼイにも好きな子が居たのか?」
素朴な疑問を投げつけた。
ゼイは顔を赤く染める。
だが、その瞳は悲しみで溢れていた。
「俺はもともと賞金稼ぎだったんだよ。」
「ふ〜ん。」
「こう見えても凄く腕が良かったんだからな。一部じゃ、
俺がバクダンを多用するから、バウンティーボマーって
言ってる輩も居たぜ。」
だが、本人にしては力強く応えたゼイも、
どこか東には悲しく聞こえた。
何か隠してる。この強気な言葉で……。
そう悟った東は、単刀直入で話をつける。
――――彼女居たでしょ。
そう聞かれたゼイは、蟠る心を押さえ、落ち着いて応えた。
――――かもな……。

「あいつは、俺の仕事仲間だった。ベルーとかだったな。名前。」
乗り気になったゼイは、ポンポンと話してゆく。
いつのまにか、マーテルやユシアまで近づいてきた。
コックピットに居るセツですら、耳を傾けている。
「仲良くやってたさ。あの日が来るまで……。
その時、ベルーが失敗したんだ。
敵に掴まった。そして、俺は悟った。拷問される。とな……。」
ぜぼしんまでが、同じ愛する者として感傷に浸っている。
「普段、感情を殺していた俺は。何の躊躇いも無く、
ベルーを殺った。だが、後で気付いた。何故、あの時殺したのか?
答えは簡単さ。情報が漏れれば、俺や雇い主にも迷惑になる。
だが、最愛の友であり最愛の彼女であったベルーを、
俺は躊躇せずに、殺してしまったのだ……。」
メンバー全員が、喉を濡らす。
「俺はそのときから、賞金稼ぎの仕事をやめた。
正真正銘の爆破野郎になったんだ。
その時、ベルーが狙っていた獲物。グレンを見つけたんだ。
奴だ。ベルーを殺したのは奴だ……。
おかしい話だよな。結局自分の手でやった事に変わりは無いのに……。
責任転嫁って奴だろ。グレンとの戦いで、俺は右足一本無くしたよ。」
「じゃあ、この右足は?」
ゼイは答えた。義足だと。
「あのときから、グレンが俺の目の仇になった。
感情って奴だろうね。全く、一度無くしたと思ったら、
いつのまにか芽生えてるんだから……。」
メンバー全体が、静まり返っている。
聞こえるのは、周りに居るダークマターの声。
「おいおい、静まってんじゃねえぞ。今、自分にやるべきことは何か。
そうだろう。そうなんだろう。
早く、とっとと嫁さん連れて帰ってきなよ。
白馬に跨った王子様が、待ってるってね。」
「お…王子とは……。」
ぜぼしんの顔が赤面する。
途端に、メンバーが笑い出した。
――――感情ってのも悪くねえな。

セツの戦闘機が離陸した。

「さて、わしもまだまだ現役じゃぞ。」
Ωがそう言って乗ったのは、操縦の難しいシルバーファイターだ。
「老人で、シルバーファイターか。なかなかなギャクじゃろうに。
ファッファッファッファッファ。」
この爺さんには、敵いっこねぇな。
ぜぼしんは、仄かに笑った。
ゼイも、自分の戦闘機『ケミナス9』に乗っている。
ゼイの隣に居るのは、なんとユシアだ。
どうやら、砲撃手ということらしい。
ゼイも、数年ぶりに隣に座る相手が出来て、喜んでいた。
「マーテルよ。拙者達は、このまま戦艦に乗って、
彼らの応援でもするか?」
マーテルは、にっこりと笑ってこくりと頷いた。

アンフィッシャー将軍も、02部隊からの連絡を受け、
オレンジオーシャンへと軍隊を進める。
――――審判の時は近い……


――――ルックグリーン
南に位置するこの島は、年中植物が育っている。
だが、今は違う。育ちすぎているのだ。
緑の生い茂る森の中、光は仄かにしか届かないところで、
それは行われていた。
とても恐ろしい儀式。
鮮血が飛び、舞い、滴り落ちる。
既にな〜ビィは切り刻まれ、レモンが至る所でその切り傷から出る血を、
嘗め回す。こうしてみると、阿鼻叫喚地獄絵図に相応しかった。
な〜ビィの服は至る所に切り口がある。
そこから白い獣人の肌が、ちらりと見えていた。
「メインディッシュまで間が持たないよ。」
そう言ったレモンは、いや、
これはレモンであってレモンではない存在なのだが、
レモンの名に相応しい存在ではあった。
そして、レモンは動けないな〜ビィの指を……
切断した。
指先に激痛が走る。
だが、これで終わりではなかった。
包丁が、彼女の手の甲を突き刺した。
掌に血は透けて見えない。
見えるのは、包丁の先端部分と真っ赤に染まった血である。
そう、包丁が彼女の手を貫通した。
――――ぜぼしん……。
過去を懐かしむな〜ビィ。
ふと、彼の姿が見えた。
だが、幻影であった。煙のように消えてしまった。
「誰か、助けて……。」
彼女の瞳に、輝きが消えた……。


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