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Another story of Kirby 第二部 [36]



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投稿時間:02/09/19(Thu) 17:01
投稿者名:シルフィード


 かつて、ルックグリーンと呼ばれていた所―――現在ではこの世の地獄と化しているが―――には、二人の捕虜がいた。
 そのうちの一人がマーテルである。修道士だ。
 彼は数ある巨大植物のうちの一つに縛り付けられ、さらに両腕もその太い茎から伸びる葉の根元で縛られていた。
 その姿は最後の晩餐の翌日、十字架に磔にされたキリストそのものだった。
 しかし彼はそんな状況でも、いや、こういった状況だからこそ、一心に主に祈りを捧げていた。


「天にまします我らの父よ、
御名が崇められますように。
御国が来ますように。
御心が行われますように。
 天におけるよう地の上にも。
我らに必要な糧を今日与えたまえ。
我らの負い目を赦したまえ。
我らも自分に負い目のある人を赦したように。
我らを誘惑に遭わせず、悪い者から救いたまえ」 


 「信心深い人だね☆ま、修道士なんだから当たり前か♪」
 からかうような声。それに反応してマーテルは顔を上げた。そこには悪魔と化した、かつてのルックグリーンの守護者の姿があった。
 その手には「ロッドスパイク」が握られている。
 「マーテルさん♪この槍、なんか面白そうだからもらっておくね☆いいでしょ?」
 「それは…」駄目です、と彼は言いかけたが、
 「文句あるなら取り返してみなよ☆」
 「ぐっ…」
 あまりにも意地悪な言葉。しかし、マーテルはどうすることも出来なかった。
 マーテルは一度深呼吸をしてから、訊いた。
 「…何故私を捕らえたのです?」
彼はは目の前の人物を睨みつけた。
 「べっつにー。深い意味なんてないよ。たまたま見つけたから」彼女は言った。何でそんなこと聞いてくるの?といった顔だ。
 「あ、でもあえて言うなら…血かな?血が、欲しいの♪薔薇みたいに真っ赤で、ぬるっとして、生暖かい、血が…♪」
 目の前の人物―――レモンは笑った。その笑いは子供のようで、それでいて、残酷であり、狂気に満ち満ちていた。
 「ということは…やはりあなたは私を殺す気ですね?」
 「さっすが、修道士さん♪察しがいいね☆女の子は、私のお友達にするの!
  男の子は、みんな殺すの!捕まった人を助けようとする人も、同じよ!できる限り殺して、血をもらうの♪
アハハハハハハハハハハッ!!」
 その言葉にマーテルは激昴した。
 「貴様…今まで一体何人殺した!」
 彼にしては珍しく、感情をあらわにしている。凄まじいまでの怒りが、彼を支配していた。
 「さあね♪だって殺してるの、あたし達だけじゃないもん♪」
 彼女は巨大植物の一つを、ポンポンとたたく。
 「この子達が、自分達で町に行って、自分達の手で殺して、自分で血を採ってくるの☆すごいでしょ♪
言っとくけど…今まで集めた血なんかじゃ、全然足りないんだからね?もっともっと欲しいの!もっともっと、血が…」

                       *

 「おい、ワド坊が寝ちまったぞ」
 呆れたような大王の声に、みなは振り向いた。見ると、確かにそこにはすやすやと気持ちよさそうに眠るワドルディの姿があった。
 「まあ、ワド坊はまだ幼いからしょうがないよ。だって…暇なんだし」
 「そーそー」
 季節風の言葉にみんな頷いた。
 「まあ、暇ってことはそれだけ平和ってことですからいいじゃないですか」
 とはいえ、暇だということにほとんどの者はほっとしているようだった。特にグーイ。
 「ほんっとに暇だよな―…。僕としては、なんかこう、ここらでドカンと一発派手にやりたいんだけどさ…」
 しかしシルトに限っては、あまりに暇だったせいかアブないことを口走っている。
 「おい、シルト…」
 そんな彼をエストが咎める。
 「でもさぁ、いくらなんでもここまで暇だと…」
 シルトの反論も、エストは半分も聞いてなかった。なぜなら…
 「偵察隊から通信が入ったわ!メタナイト、すぐ来て!」
 通信室の番をしていたチュチュが、息を切らしながら本部に入ってきたからだ。
 
 「メイスナイト!どうした!」
 交信しているメイスナイトの画像が乱れている事に、メタナイトは驚いた。偵察隊に何かあったことは明々白々だった。
 「謎のエネルギー波で、偵察艦が墜落したダス!何とか通信機器は生き残ってたからよかったダスが…」
 メタナイトは愕然とする。
 「墜落だと!?それで、偵察隊のほうは全員無事か!?」
 「それは大丈夫ダス。でもちょっと厄介なことになったダス…」


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投稿時間:02/09/19(Thu) 18:04
投稿者名:山餅


「くるみさ〜んお帰りなさ〜い♪」
優越の薔薇勢力本拠地、ルックグリーン。
菊花は、いかにも自分が喰われそうな植物の上で、
滑り台に近いことをしていた。
彼女は、うつむいたくるみをみて、元気よく、愛想よく言った。
「・・・キューティーハニーごめんね。」
「どうしたんですか〜?」
菊花はそう言うと、くるみの顔をのぞき込んだ。
「あの人たち、キライ。今度は、こっちに連れてこようかなぁ。」
くるみは、顔をあげると、空を見た。
「そうですか〜。みんな喜びますよ〜あたしもレモンさんも〜♪」
菊花は無邪気な笑顔を見せると、ぴょんぴょんと跳ねて・・・
ぱしゃっ・・・
巨大な植物に乗ろうとしたが、ころんだ。
「くるみさ〜ん助けてください〜・・・。」
「はいはい♪乗っていい?」
くるみは、菊花の鉢を起こしながら、菊花をもちあげる。
「一番上に乗りましょうか〜♪」
一番上、と言ってもかなり上。
だが、くるみはこくんと頷くと、聖霊をよんだ。
そして、ふわりと上へあがる。

「きゃははっ♪楽しいです〜♪」
「気持ちいい〜♪」
聖霊は、ふわりふわりと仲間のもとへ帰っていった。

―そろそろ、この力を守る種族から抗議が来るんじゃないか・・・。―
聖霊達は、くるみの心配をしていた。
―そうね・・・。人を殺すような使い方はしてはいけないもの。―
―戦いに乱用するために与えられた力じゃないから。―
―とくに敏感だものね。これ系の種族は。―


「!?血!?」
空中で色々なことを教えられていたやまもちは、突然叫んだ。
「・・・何が?」
海星は、不思議そうな顔をした。
「悪いって!おかしいよ!ごめん!ここらへんで待ってて!」
やまもちは、分からない人には全然分からない言葉を言うと、
風に乗っていってしまった。
一人残された海星は、不思議な顔をしていた。


「おかしいな・・・なんで・・・風といっしょに血のにおいが・・・。」
自分では意識していないつもりだが、彼は、ルックグリーンへ向かっていた。
「この星・・・風の差がある。なんなんだろ・・・。」
風と一緒に流れてくる血は、ルックグリーンに近づくにつれ、濃くなってくる。
「き・・・気持ちわりー・・・。」
風に敏感なことを、初めて嫌に思った瞬間だった。
「この小さい島・・・血の風が吹いてる。」
やまもちは、はじめてそこで速度を落とした。
「あった、あった。地図・・・っと。」
どこで手に入れたかは謎だが、地図のはじからはじまですみずみ探した。
「・・・ない。こんな小さい島だから、当たり前か♪」
なぜか開き直るが、問題が解決されたわけではない。
「風に血流しちゃいけないって・・・。」
そんなことをぼやぼや呟きながら、ルックグリーンに急降下していった。


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投稿時間:02/09/19(Thu) 19:52
投稿者名:S.A


ウィ・・ン・・・・カチャカチャ

いやぁだぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・

・・・所変わってここはカメ・・・ナイトメア組。
「フフフ・・・この回路は金属探知機に繋げて・・・」
「やめてくれぇぇぇ!!!!!(泣」
ナイトメア、文字通り泣くに泣けません。

「面白いことしてるねぇ。」

突然の声に、レクイエムとカ・・・ナイトメアは声の主を探しました。

声の主は、自らの頭上にいた。
「初めましてレクイエム。最近はカメラいじりにハマッてるのかい?」
背はカービィ8匹程。まるで忍者みたいに天井に逆さに張り付いている青年がいました。
「おっ・・お前は・・・シードか!?」
一瞬遅れて、
「・・・その声は・・・ナイトメア!?」



「ふ〜ん・・・それで『魂を入れ替えるキャメラ』に封じ込められ、
レクイエムの手によりキャメラのまま戦えるようになり、現在『万能ナイフ』になろうとしていると。」
「ああ恥ずかしい・・・俺の姿を見ないでくれ!!」
ナイトメア、恥ずかしさのあまり顔を隠します。もっとも機械の体では意味無いですが。
「ところで・・・シードさんはナイトメア様とはどういう関係で?」
レクイエムは質問しました。
「ああ・・・シードは俺がまだたいして大きくない闇だったころ、色々と世話になった奴だ。
一応、02とも面識がある。一度だけだったが。ところでシード、一体何のようだ?借りた金は返せんぞ。」
ナイトメアがそう言うと、シードという少年は小さな宝石のような物を取り出しました。
大体、ビーダマ程の大きさ。
「・・・僕の能力は、物質、非物質等のあらゆる物を『種』に変える事。
 この玉は、『光』の種。それを体に組み込めば、多少なり耐性がつくはずさ。」
「ちょ、ちょっと待て。俺は闇だぞ?『光』なんか体に入れたら、闇と反発してぶっ壊れてしまうだろうが!!!」
「それは可能です。今あなたは機械ですから、部品としてあなたの体に取り付けることはできます。」
レクイエムはそう答えた。
「ところで・・・」
シードは、何か言いたげにレクイエムに近づきました。
「僕にもちょっと、いじらせてよ。機械いじくるのは、得意なんだ。」
「え゛・・・・・」
ナイトメアは青い(と言っても体はピンクですが)顔をします。
「いいですよ。では・・・次は嘘発見器を取り付けて・・・」
「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!」

一句。
室内に キャメラの悲鳴 コダマする

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オリキャラの説明を。

名前・シード
属性・LAW。根源を見届ける者。
特技・あらゆる者を小さな宝玉・・・『種』にすること。
   魔晶変化に似ていますが、これは自分自身の中に眠る能力なので根源から違います。
   それに魔晶変化はどのような形になるかはバラバラですが、『種』は一定の形を取ります。
   また『種』にするには、その物質に触れなければなりません。しかも、かなりの集中力が必要です。
武器・戦闘では色々な『種』を使います。しばらく戦わないとは思いますが。

シードはしばらく、レクイエムといっしょにカメラいじくってるので、他の所で出さないで下さい。


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投稿時間:02/09/19(Thu) 20:09
投稿者名:ネレイドキラー


上空で待機していた海星は、かすかだが、嫌な電波が入って来るのを感じていた。

「なんだか…変な電波…」
過去に彼女が体験した事がある、「クルエ」や「シネ」などが3行以上続くような、
エスカレートした危険な思考ではなかったが、それでもたしかに嫌な感覚だった。
血を求める、まるで吸血鬼のような思考。だが、動物だけではなく植物に近い電波も混じっている。
それに、誰かに無理矢理操作されたような状態の電波もあった。
そして、電波が流れてくる方向はやまもちが飛んで行った方向である。
「・・・」
彼女には並外れて強力な魔力があるし、
いざとなれば電波で表層思考や神経への命令を誤動作させて思い通りに操る事も出来る。
しかも電子を防ぐ手段を持たない限り、相手は防御できないし、かわす事も出来ない。意志の力でも防ぐ事は無理だ。

無言のまま海星はやまもちの後を追った。


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投稿時間:02/09/20(Fri) 22:19
投稿者名:ひでぶ


あきれかえるほど平和な星。

かつて、その星を表す言葉だった。春夏秋冬、朝も夕も、その頃は
ただのん気に、働いて、遊んで、ご飯を食べて、寝る。
そうして過ごしていけば良いのだった。

それなのに。
ここ数年、星全体を不吉な黒い雲が覆ったり、いるはずのない
怖い生き物がのさばったり、穏やかな星の住人が狂ったように
暴れ出したり、事件が絶えない。

今も、外から来た連中がこの星を自分達の物にしようとしていて、
その上、植物がどんどん枯れ始め、食べるものも殆んどなくなって
いる。このままでは、彼らのお腹が空くどころではないようだ。

かつての代名詞が、その星の住人には懐かしく感じられていた。


「……優越の薔薇とゼロツー、ね。星の戦士達も苦労します」
空の番人初流乃が、危機のポップスターの空で口を開いた。
「もっとも、どちらと戦うのも僕達には好都合でしょうけど。
……少々、多勢に無勢のようですね。ノヴァを与えたくらいでは
どうにもならなさそうだ」

闇の師ハインが、先陣をきってその身を降下させる。
続いて、桜の悪魔、時幻魔スラリンと。

「ねえハインさん。……優越の薔薇は、僕達のこと、悪く
思わないだろうか?」
「さてな、初流乃次第だ」

スラリンとハインの問答を聞き、初流乃が屈託無く笑う。
「もちろん、敵になるつもりはないですよ」


―大事な母上となる方ですからね。


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投稿時間:02/09/22(Sun) 07:55
投稿者名:St@Na


その頃。
セツは未だに精神世界を彷徨っていた。
「・・・・・臨死体験とはこんな物なのか?」
聞き覚えのある声が聞こえたりもするが、
その場所まで行けない。というか、足に力が入らない。
誰だか思い出す気力もなかった。
その時である。何か、見えない『力』に引っ張られ、
一瞬目の前が真っ白になったような気がした。

次の瞬間、ぜぼしん達が周りにいた・・・。
「い、一体何があったんですか!?」
何があったのかを彼らに聞こうとしたが、やめておいた。


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投稿時間:02/09/22(Sun) 18:16
投稿者名:S.A


海星は、ルックグリーンが豆粒程の大きさに見える位置に来ていた。

それは悪ではない。憎悪ではない。恐怖でも、ましてや『善』のようなものでもない。
ルックグリーンに近づくにつれ、気味の悪い電波は益々強く、恐ろしい物になってくる。
吐き気がする程に。
「・・・嫌な感じだな・・・・」
本当はその電波の出所になど行きたくも無かったが、そういう訳にはいかなかった。









守護者。それは島や星、それに息づく生命を見守る者

生まれ持った不思議な力

僕の周りに、それを貶す者などいなかった



平和、というのはあの時のようなものなのかもしれない。



平和すら守れないで、何が守護者だ。

何が力だ。

・・・何が神だ!!!


だから僕は『人』を捨てた。

守護者を捨てた。

守護者としての自分を貶す為に。

神を恨む為に。

そして・・・一つの『平和』ぐらいは、守れるようになる為に。



「あなたはこれからどうするつもりですか?」
レクイエムはシードに問う。
「・・・02に会う。だけど今は、そのときじゃない。だから・・・君達と手を組みたい。」
シードはキッパリと言った。
ナイトメアは少し驚いていた。しかし、すぐシードに言った
「02なんかに会ってどうするつもりだ?」
「・・・奴がやっている事を止める。・・・出来なければ、殺す。」
「あなたに出来るんですか?」
レクイエムは言い放った。
シードは何も言わない。
ナイトメアは黙りこくっている。そして・・・
「お前が仲間になるって事はつまり、今すぐ02を敵に回すという事になるな。」
「君達が仕掛ける時で構わない。」
「あとは、あなたに『利用価値』があるかないかですが・・・それは暫く置いておきましょう。
 ・・・利用価値が無いのであれば、すぐにでも切り離します。」
「・・・ありがとう。」

その後はしばらく、誰も話をする事はなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
シード補足説明。
彼は種の『力』を解放して戦います。
力の形は彼のイメージで変化しますが、やはり精神力を消耗します。

彼の目的は02を止める事。あわよくば、この戦いを終結させようと思ってますが無理でしょう。返り討ちに遭うかも。(爆
とりあえずナイトメア達が動く頃に動き出します。彼等とはまだ『仮同盟』的関係なんで。


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投稿時間:02/09/24(Tue) 02:25
投稿者名:ひでぶ


ルックグリーンの位置は、ポップスターの地図などにも明確に表されて
いない。もちろん、いくら他の星と比べて発展途上といえど、完成された
世界地図くらいは存在する。だが、どういうわけか、ルックグリーンは
地図の中には記されていない。間違いなく、ポップスターにあるはずの
島なのだが。

「なんていうか……不思議」
スラリンが不意に口を開けたのは、その謎についてである。
「だってさ、こんな簡単にこれちゃう場所なんだよ?それなのに、
地図にも載せないなんて」

彼は、まとわりつくジメジメとした空気にうんざりしている様子である。
熱帯特有の空気と言ってしまえば終わりなのだが、それ以上に。
人間より発達している彼の第六感が、空気の中に隠された淀んだ何かを
察知しているのだ。

だが、ハインはいつもの黒いマントを羽織っていないものの、汗1つ
かいていないし、初流乃は初流乃で、苦もなく足早に先に進んでいる。

―負けてらんないなぁ。

そんな思いを浮かばせて、スラリンもまた一歩ごとに力を込め直した。


深い、深い、森。
しかし、目につくのは植物ばかりである。獣や虫といった動くものが
まるで見当たらない。故に、風で木々の葉が揺れる音しかその場には
聴こえてこない。優越の薔薇が、そこらの生物を喰らったのだろうか?
……だとすれば、ここはもうテリトリーだ。

時幻魔はいつでも自分の鎌を呼び出せるよう、右手に力を込めた。

暫く進むと、彼らの目の前に小さな沼が現れた。泥が混ざっており、
底が見えない。初流乃は両腕を広げて、沼を睨んだ。……すると、粘度の
高い泥水が全て空中へと浮上し、底にある横穴が顔を覗かせた。

「近道か?」
ハインが問う。
「ええ。……ですが、夜深の『負』の探知だと、ここを通っても
随分かかりますね」

ぼんやりと初流乃の背後に現れる桜の悪魔。この島に着いてから、
彼女は彼に憑依したままで、まるで義骸に入ろうとしない。
ハインが怪訝そうに桜の悪魔を眺めると、そのまま彼女は姿を消した。

「少々機嫌が悪いらしいです」
短く言うと、初流乃は沼の底に向かって飛び降りた。

沼の底には、かつてここで生きていたであろう生物のなれの果てが
無造作に散乱していた。飛び降りてきたスラリンがそれを見て、
ひとパーツ拾い上げる。
「沼に嵌ったのかなぁ。それとも、薔薇に喰われたのかな?
どっちにしろ、かあいそ〜」

「スラリン」
不意に、ハインが彼の名を呼び、天を指差す。
「えっ……」

空術で浮かせていた泥水が、力から解放されて降ってきた。
「わわわわわわっ!」

慌てて横穴に飛び込み、奥へと続く坂道を駆け上がるスラリン。
勢いよく流れ込んできた泥水に背中まで漬かったが、間一髪、彼は
坂を上りきった。

「……可哀想な奴らの仲間にならなくて良かったな」
ハインの言葉に膨れるスラリン。彼の頭の上には先程まで彼が手に
していた骨が乗っていた。


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