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Another story of Kirby 第二部 [52]



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投稿時間:03/03/12(Wed) 22:15
投稿者名:ぽ〜すけ


「………で?何でこんなところに?」
いきなりともいえようシルトと質問に少し間をおいてλは答えを返す。
「Ω探しだよ。マキシムトゥーマ星に現れたって噂を聞いたんでコレカラスターで聞いたんでな。」
そこでまた一区切りつけて違う話に変える
「……ったくどーなっちまってんだよ、ここらの銀河は。
 だいぶ前にブルブルスターにいったんだがソルビィの家の前に結界が張ってあるし。
 次によったウルルンスターにはなんか助けを求められるし――断ったけどな。
 とにかくポップスターによったら植物に捕まって死にかけるわ、逃げたら追いかけられるわ、ほかにもいろいろ捕まってるわで…。」
「今度は02が攻めてきたってわけ。
 大群を率いてね。」
竜轡が割ってはいる。
横にはメイスナイト達…もといメタナイツがぐったり座ってる。

「私たちは部下のランサーナイトを探している。
 どこかでこいつらみたいな格好をした者を見てないか?」
「いや、見てないな。」
即答するλ。
彼はそのまま続ける。
「迷子か?」
「……どっちかというと…誘拐かな…。」
シルトがそう告げる。
「………わかった。
 あのときの縁もあるしそいつを探すの手伝ってやるよ!
 それに……Ωが絡んでるかも知れねぇからな…。」
…というとずかずかとハルベルトに乗り込んだ。
「あの…今燃料切れで動かないんダスけど……。」

そして…彼らにはどうしてここから移動するかだけを考えるようになった。



ところ変わってとある小型宇宙船。
内部には本棚がぎっしり詰まっている。
中にいる者は一人、本を読んでいた。
…とそこへ突如、男が現れた。
「あ、リーク、代金はそこの机においてあるから本を置いといて。」
本を読んでいた男は振り向きもせずにそういった。
侵入者……リークは代金を数え、本を置き、領収書も添えた。
そしてこう言った。
「毎度どうもありがとうございます。現在、御利用数がトップですよ。」
「そうかい?自分でいうのもなんだけど読書家だから。」
男は話しながらも本を読んだままだ。
「また会いましょう、歩者さん。」
そしてリークは消え去った。

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投稿時間:03/03/13(Thu) 23:58
投稿者名:yuletear


夕焼けの空、黄昏の海。
ポップスターでも珍しく、
何処か寂しくだが静観な風景を持つ場所。
金色の海に人々は遥か古の夢を浮かべる。


冷静になって考えてみれば、
不時着した場所は、自分の庭も同然の場所で。
今や廃墟と化した基地からほんの数百メートル離れた場所だった。

「燃料タンクの処置が完了すれば、また出発できます。」
ジャベリンナイトが報告を終え、また作業に戻っていった。
「そうか……。ご苦労だった。」
基地があった方角を見つめ、メタナイトは小さく溜息をつく。
「凄く近くに落ちたんだね…」
声の方を向いてみれば、竜轡が同じように遠くを見つめていた。
「ランサー君…何処行っちゃったんだろうね。」
「…そうだな。」
02軍との一戦で、基地が壊滅した後…
気がつけば戦いの日々で、慣れ親しんだこの場所を省みることは
無いに等しかった。
メタナイトは基地を作り上げていた全ての要素に、感謝と謝罪の意を送る。

「…無事だったら、何処に戻ってくると思う?」
黙祷を捧げるかのように沈黙したメタナイトに、
竜轡はあまり有効ではない質問を投げかけた。
もしかしたら、この手の沈黙に自分は弱いのかも知れない。と彼女は思う。
「仲間との思い出の場所…かもしれんな。」
生家は捨てた。
メタナイトは何処か自嘲気味に答える。
「そうだね。私もそうする。
そうだとするとやっぱり仲間と暮らしてた場所かなぁ?」
自分の言葉に何か引っかかりを覚え、
竜轡は生命を司る者としての能力を密かに発動させてみた。

「仲間と暮らしてた場所…か。
我々だったら、やはりこの場所になるかもしれんな。」
基地が無い今となっても、やはりこの場所への思いは強い。
ふと、視線の先の影が揺らいだ気がした。
「………?」
目を凝らし、夕暮れというヴェールの先を見つめる。
「竜轡!」
気づけば、叫んでいた。

探し人の気配が近くにあることに
竜轡は驚いていた。
他にあった、得体の知れない気配と、空の番人に近い気配は
探し人の周りにうっすらと残るだけで
感覚だけで物を言うならば、それは「その場」にはもういない事と
全く同じであった。
ただ、残り香のような気配に嫌な予感は覚えつつも
メタナイトにそれを切り出す前に、
唐突に名前を呼ばれた。
「ど…どうしたの?」
「…夜目ゆえ、はっきりとは言えないが…基地のところに…。」
言われて、そっちを見つめる。
気配を探る。
間違い無い。
「メタナイト…間違い無いよ。あの人影は…。」


機体の修復をメタナイツ達に任せ、
メタナイトと竜轡は廃墟となった基地へ赴く事にした。
「良かったなぁ、これ以上探す手間が省けて。」
「ハイリスク ハイリターンって気もするんだけどなー、オイラは。」
何故かλとシルトも一緒である。
珍しく、シルトが自分から同行を願い出たのだ。
「なんかさー、やな予感するんだよね。」
「さっきも聞いたよ、やめてよね。」
竜轡は繊細なフォルムの尻尾でシルトを軽く叩いた。

薄暗い廃墟に、瓦礫が散乱している。
その前に佇んだ人影。
「ランサー!無事だったか!」
メタナイトが声を上げ、駆け寄ろうとした刹那、
ギィンンっっ…!!
見えない壁がメタナイトを阻み、同時にランサーの槍を阻んだ。
「あ…あぶなぁ〜……」
シルトが青ざめた表情をしながら、片膝をついた。
空術。とっさにシルトは簡単な障壁を張ったらしい。
λは目を白黒させていたが、次の瞬間 声をあげた。
「ボーっとすんな!やられっぞ!!」
その言葉に、メタナイトは身を翻し、ランサーと距離をとる。
「これは一体どういうことだ!ランサー!!」
「よくも………」
ランサーナイトは槍を再び振り上げた。

「メタナイト様を!皆をっ!!」
「?!」
「ちょ…ちょっと待ってよ!」
メタナイトだけではなく、自分にも襲いかかる刃を避けながら
竜轡は理解した。
得体の知れない気配は、何らかの方法でランサーナイトの正気を奪った。
今、ランサーナイトの記憶の中では、
自分達が基地を壊滅させ、メタナイト達を殺したと認識されている。
うっすらとかかった気配はさほど強いものではない。
気絶でもさせて、落ち着かせれば彼は元に戻るだろう。
「メタナイト様達の仇っ!!」
「しっかりしろランサー!私がわからんのかっ?!」
剣と矛先が金属音を上げて離れた。
メタナイトはマントを変化させ、一旦空へ回避する。
下手に攻撃するわけにも行かず、竜轡は途方にくれる。
何時までもこんなことをしているわけにはいかないのに…。

「疾っ!」
暫く、間合いを取っていたランサーが動いた。
槍は空を切ったが、衝撃波が生まれる。
「きゃああぁっっ!」
竜轡がそれを回避しそこねた。
風の刃が彼女の表皮を傷つける。
「竜轡っ!?」
一瞬、彼女に注意が向いたメタナイトに、ランサーは容赦無く攻撃をしかけた。
「唸れ!ロンギヌス!!」
「っ…しまった…!」
ランサーの一撃がメタナイトを弾き飛ばす。
「とどめだっ…!」

槍を構えたままランサーは立ち尽くした。
否、体が動かない。
「また怒られちゃうかなあ?ま、緊急回避ってことになるよね?」
「どういう事情かは知らねえけど、同士討ちは勘弁だぜ。」
シルトがランサーの隙を見て、時間を止めたのだ。
動けなくなったランサーにλが当身をくらわす。
がくりと崩れ落ちた彼をλがひょいと抱えた。
「竜轡、メタナイト。大丈夫?」
シルトは二人の意識を確認すると、竜の姿を取り二人を背に乗せた。
「こっちの奴の目も元に戻ってるぜ。」
λはそう言って、シルトの背にランサーも乗せる。
「ゴメン、じゃあλさ、先に機体の方 戻って、
本隊の方に連絡いれるよう頼んでくれないかな。
後、治療の用意も頼んでよ。」
「あいよ……ったく、俺等も手ぇ出した方が怪我人出ないで
済んだんじゃないか?それにしても、着いてきて良かったな。」
λは軽く屈伸して、駆け出した。

自分の上でぐったりした三人を考えて溜息をつきながら
シルトは呟いた。
「…だから、オイラの嫌な予感は当たる。って言ったじゃないか。
でも…、全部は外れて良かった。おかえり、ランサー君。」

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投稿時間:03/03/14(Fri) 08:34
投稿者名:ひでぶ


竜となったシルトのがっしりとした体格は、小さめのドラゴンである
竜轡と、ポップスタータイプのメタナイト達を背に乗せるなり、
抱えるなりするのには苦ではなかった。

気を失った人たちの中で、最初に竜轡が気がついたのは、救出するはずの
ランサーナイトと一戦交えてからそれほど経たずしてのことである。
竜轡は礼を言い、シルトの背から降りた。

「しっかし何で、いきなり襲い掛かってきたんだろ?」
「それは多分、間違いなく……」
シルトの疑問に答えようとした竜轡に、今一度、あの悪寒が過ぎった。
彼女は、素早く夜空を仰ぐ。
「どうしたの……大丈夫?」
竜轡が見上げた不気味な漆黒の空間は、彼女の悪い予感を的中させる
わけでもなく、星1つすら浮かばせていなかった。安堵の溜め息をついて、
彼女は「何でもない」とシルトに告げる。

「ん〜、とりあえずさ、ランナイ君とメタナイトをハルベルトの中まで
運ぼうよ。応急処置の道具はあっちにいった方が多いでしょ?」
「そう……ね。その方が良いかもしれない」
そうしてメタナイトとランサーナイトを載せたシルトと竜轡は、
ハルベルトへと移動を始めた。


竜轡が見上げた空に、ランサーナイトを拉致した桜の悪魔と花乱が
姿を現したのは、それから間もなくのことだった。
強く吹き荒ぶ冷たい夜風は、義骸の桜の悪魔の髪だけをなびかせている。
「これで終わり……?」
桜の悪魔が、残念そうにそう言った。

ところが。
尋ねた相手は、身震いを起こし、目を大きく開けたまま動こうとしない。
「花乱……?」
怪訝そうに、桜の悪魔は彼女の名を呼ぶ。しかし彼女は、口を
少し動かすだけで、やはり体全体は硬直したままだ。
口を動かすのも、桜の悪魔の呼びかけに答えているのではなく、
小さく何かをうめいているだけである。
彼女は、花乱は。竜轡の姿があの場にあったことが、どうしても
肯定できずにいた。



「なあおい、俺、何も変なことしてないんだけど……」
ハルベルトに戻った2人が聞いた、λの第一声がそれだった。
「お前達の仲間と通信できないんだよ。ここに書いてある通りの
やり方でいいんだよな……?」

「ホント?……変だなぁ」
既に『人型』に戻ったシルトが怪訝そうに、通信機器の前に立つ。
それから暫くの間の後に、彼は顔を曇らせた。
「こりゃぁ……ねえ竜轡さん、ジャベリンさんを呼んできてくれないかな?」

数分後。
竜轡に呼ばれてやって来たジャベリンナイトが、シルトに代わり
通信機器を操作し始めた。だが、どれだけ操作の手順を踏んでも、
通信機器は作動しない。エラー表示が出るものの、どこか不規則で
何がおかしいか分からない。
「ダメですね……墜落のショックで壊れたんだと思います」
「修理はできそうなの?」
シルトの問いに、ジャベリンナイトは頷くが。
「ですが、通信用のデータが全部消失しています。通信機器を正常に戻すのと
通信用の波長を捉えるのに2,3日はかかるし、グレープガーデンに戻った
方が早いかと……燃料タンクの方は、多く見積もっても数時間で何とかなると
思いますし」

「グレープガーデンに……戻るぞ」
扉を開けて、操舵室に入ってきたのはメタナイトである。
駆け寄るジャベリンナイトに、「大した事はない」というと、彼は続けた。
「敵もあの基地跡の近くに陣をとっていると聞く。長居は無用だ」

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投稿時間:03/03/16(Sun) 03:41
投稿者名:yuletear


「ねぇ…花乱?さっきからどうしたの?」
訝しげな顔をするわけでもなく、
いつものようにクスクスと笑いながら
桜の悪魔は再び問うた。
「何故………ここに……ありえないわ……」
相変わらず、その硬直が解かれないまま
花乱はうめく。
「……つまらないの…。」
夜深はメタナイト達が去っていった方とは
逆へ視線を向けて…ニィと笑う。
「花乱。見て、またお人形さん達が来てる。」
夜深の視線の先にあるのは………

隊列を乱すことなく、その歩みを進めるダークマターの一小隊。
小隊とは言え、その数は少なくない。
恐らくオレンジオーシャン付近に偵察部隊として
配属されていたもの達で、本隊への帰還を命じられたのだろう。
真っ直ぐと前を見据え、距離をびくともせずに決してその歩みを
遅らせることなく先へ先へと進んでいく。


「いいように扱われてるだけなのに。嫌いよ…大嫌い……。」
搾り出すような声で桜の悪魔は吐き捨てた。
花乱もようやくその硬直を解き、小隊へ目を向ける。
恨言のようなうめきが止まった。
「ねぇ…違うところに行きましょうよ、ここはもう飽きたわ。」
「夜深、あれを使いましょう。」
花乱が扇でダークマター達を指した。
「あなたの狂気であれを止めて。」
そこはかとなく自らこそが狂気を浮かべて、
花乱はそっと先急ぐ小隊に近づいて行く。
「同じなのね………でも、いいよ。」
微笑み彼女は頷いた。



夕日に照らされ、金色に輝く海が
最もこの場所を表現するに相応しい情景なのだが、
周りを包む暗闇は夜の到来を告げていた。
それは激しい戦いがあろうとなかろうと変わらない
自然の摂理である。

ダークマターの一小隊は何も気にせずに進み続ける。
このまま進めば、明日の早朝には
本隊と合流することが出来る筈だった。
軍に所属するものとしては、まさしく懸命な判断だっただろう。
しかし………


「忙しそうね……」
小隊の前に赤い着物の女性が立ちふさがる。
流石にダークマター達も、目の前の人物が醸し出す気配に
ぎょっとして停止する。
隊長であろう、人型のダークマターが警戒色も露に問う。
「何者だ。」
臨戦態勢をとりながら、花乱の様子を覗うダークマター。
「………夜深っ!」
彼女が半ばヒステリックに桜の悪魔を呼ぶ。
後ろに気配を感じて小隊が振りかえった時、狂気は捕らえた。
「ふふふ……誰にでもいいように扱われるのね。あなた達って。
でも、仕方無いわよね。あなた達は何も疑問に思わないで、
それを望んでいるんでしょ?…大嫌い。皆、大嫌い。」
皆一様に体の自由を奪われ、ダークマターの隊長は困惑する。
「な………何が狙いだ貴様等っ!我々は総指令殿の指示のもと……」
「あなた達が行くのはそっちじゃないわ。」
花乱は扇を振る。
辺りに花の香りが満ちた。



そう遠くない未来、ここオレンジオーシャンには
『零弐』の指揮の元、ポップスターに布陣する全ての
戦力が集結しようとしていた。
言わば、敵の本陣となる場所である。

通信システムの復旧よりも、帰還を指示したメタナイトは
知らずして、危険を回避する形の選択肢を選んでいた。
しかし………

「どうダス?」
ハルベルトの燃料タンクの破損は思ったよりも酷いものでは無く、
積んでいた分の工具で充分処置できるものだった。
「そうだな…これくらいなら何とかなると思う。
この状態で機体へのダメージがこれ以上 加算されなきゃ。の話だが…。」
メイスナイトとトライデントナイトのやり取りの中、
アックスナイトがやってきた。
「あ!ランサーはどうだったダス!?」
アックスナイトは頷く。
「少し衰弱してるけど、大丈夫だ。休ませればすぐに良くなる。」
その言葉に二人は安堵のあまり溜息をつく。
「そっちは?」
「まあ後 数時間もあればカタがつくと思う。
ここは任せて、他の場所を頼む。」
わかった。と頷いて、アックスはその場を後にした。
それを見届けてから、メイスナイトはまた工具を手にした。
「…じゃあ、作業開始ダス…って、うわぁっ?!!」
機体全体に震動が響いた。


「な…なんだぁっ?!」
燃料タンクと同時に、通信機器の修理も始めていたシルトが
素っ頓狂な声を上げた。
「…地震の揺れじゃないですね、もしかして…」
ジャベリンナイトが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
バタバタと足音が響く。
「やばいって!こんな時に悪ぃけど、敵襲!」
λの言葉に一同の間に緊張が走った。
「もう見つかったのか?」
負傷しながらも戦闘準備を整えるメタナイトにλが首を振る。
「それが変なんだよ。さっきの奴みたいな様子でさ。」
竜轡がビクリと身をのけぞらせた。
「俺は先に行ってるからな!」
λがまた足音を立てて走り去る。
「とにかく、今は撃退しよう。ジャベリンはそのまま復旧を。
メイスとトライデントにも伝えておいてくれ。
アックスはランサーの警護を。」
メタナイトは指示を飛ばし、外へと向かう。
「怪我人なのに、よくやるよぉ…」
シルトが頭をがしがし掻きながら工具を置いた。
「ゴメン、すぐ戻ってくるからさ。なるべく急いでくれる?
さっき説明した通りで大丈夫だと思うから。」
それでもデータ修復で日数はかかるけど。と言い残し彼もまた外へ。
「一人で平気?」
竜轡がジャベリンナイトに聞く。
「はい。ここは比較的安全ですし…」
「じゃあ、私も行くね。確かめたいことがあるの。」
彼女もまた外へ出ようとする。
「竜轡さん、メタナイト様とあなたは怪我人ですから。
無理はなさらないで下さいね!」
竜轡は頷いて、迎撃に向かった。


花乱と夜深はその様子を上空から見ていた。
ダークマターの小隊にハルベルトを襲わせる。
花乱がダークマター達を見つけた時に咄嗟に考えたことだった。
いくら手錬れの戦士達でも、数には弱い。
必ず穴は出来る。
今暫く、彼女の姿をその目に捕らえたまま
この場にいるという、理由を考える為……
これ以上の破損が出れば、きっとあの機体は
暫くここを動けなくなるだろう。
ダークマターの小隊も、敵となる彼等に損害を与えて散るのだから
悔いなど無いだろう。
それが遅いか早いかの違い。
花乱は笑った。満足そうに笑っていた。
桜の悪魔は、下の光景と彼女を見ながらやはり微笑んでいた。
どこかに小さく嫌悪を嘲りを浮かべて。

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投稿時間:03/03/15(Sat) 21:43
投稿者名:St@Na


交戦開始から30分が経過した。突然メタナイトが言い出す。
「このダークマターは、死を恐れている気配はない。誰かの意志で動かされているのかもしれないぞ!」
メタナイトは、遂にこのダークマター達が操られていることに気付いたのだ。
それに反応して、シルトが作戦を言い出した。
「確かに、攻撃パターンが単純だぜ!おい、竜轡!あんたは俺達の射程距離外にいると思う操作術の術者を捜してくれ!
 飛んでるにしろ地上にいるにしろ、ずっと遠くにいるはずだ!何、飛べば早い!」
しかし、シルトの作戦は却下された。すぐに竜轡がこの作戦の弱点を述べたのだ。
「そうもいかないよ?そいつはあたしが飛び立ったら、それに気付いて真っ先にこいつらの攻撃目標をあたしに変えるね」
「なるほど、そりゃ言えてる。・・・・・何とか避けられないのか!?」
「自信はないけどね。怪我のこともあるし・・・」
「だめか・・・・・・」
既に、彼らは満身創痍の状態であった。この作戦がうまくいかなければ、全滅を免れる事は出来ない。
「(どうする・・・・?)・・・・・・」
「く、俺ももう限界だ!」λが弱音を吐き出したその時。
「いくわよ!!」竜轡が飛び立った!
「本当に実行したのか!?無茶だ!」メタナイトは嘆く。
そして、花乱の注意は空中に飛んだ竜轡に引きつけられた。
すぐにダークマター達は竜轡にレーザーを撃つ。
が、奇跡的にほとんどがはずれ、そして、竜轡が彼女の前に出た。
「・・・花乱、あなたが・・・・それに・・・・誰!?」
「・・・・あなたも自分の意志で動けずにいいように使われている『人形』なのね。邪魔。消えて・・・・・」
「!!!」
その頃。地上にいたダークマター(ただし、浮遊できる者)が逃げるように飛び立ち、待機していたメタナイツの面々はひとまず安心した。
が。
「・・・・・・・・逃げろ!!」
メタナイトの声と共に、残っていたメタナイツはすぐさまランサーナイトを担いで逃げ出した!
「あれは!?」
ダークマターのレーザー。放たれたそれが収束してハルベルトに命中した。
そして、飛び立ったダークマターは、花乱の意志操作を解除されると共に夜深の狂気によって体の自由を奪われ、動けぬまま墜落した。
そして、上空にいた花乱と夜深もどこかへ消えた・・・・・。

「ひどいな。大丈夫だったところもやられてる」
「この場に留まらせるのが狙いだったのか。くっ・・・・・!」
メタナイトが、何もできなかった自分を戒めるように岩を叩いていた。

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投稿時間:03/03/16(Sun) 08:42
投稿者名:ひでぶ


機体の損傷を入念にチェックするほど、ハルベルトを使っての
オレンジオーシャン脱出は絶望的に見えた。一番大きな損害は、
主動力機関の破損。ダークマター達の攻撃で、ハルベルトが
爆発しなかったのが不思議なくらいに思える状況である。

ジャベリンナイトとトライデントナイトの『精密機械に詳しいコンビ』は、
応急処置としてハルベルトの動力機関を取り外した後、結局通信機器を
修理しなおすこととなる。

アトランティス軍の索敵兵、そして桜の悪魔達の襲撃を警戒しながら、
ランサーナイト救出隊の一同は交代に番を務めながら一夜を過ごした……。



「ふぁ……」
シルトが番についていたのは、日付が変わって一刻程度の後から、
夜が明ける直前、薄っすらと周囲が見えるくらいになる頃までだった。
そんな彼が起きたのは、午前中も終わりのことである。

眠っていた席から立ち上がり、操舵室に向かってみるシルト。
扉が開くと、やはり彼の思った通り、通信機器を修理し続けている
ジャベリンナイトとトライデントナイトの姿があった。
「寝れましたか?」
「寝れましたか?じゃないよ〜、君達まだ一睡もしてないんでしょ?
そんなんで大丈夫なの?」
少し笑ってから、トライデントナイトが言う。
「通信機器、本体自体はあと一息で元に戻ると思いますから。
私達はそれが終わり次第休ませてもらいますよ」
「メタナイツとして、こういう時はしっかり仕事しなければなりませんし」
と、ジャベリンナイトも。
「それに竜轡さんやシルトさんには、メタナイツでもないのに協力して
もらってますし、早くグレープガーデンに……よし、これでOKか?」

通信機器の管制ディスプレイに、大きく『Hello!』と文字が現れる。
ジャベリンナイトはディスプレイにタッチ操作を行ってみた。
画面にエラーが出ることはなく、正常に作動している。
その様子を見て、シルトは感嘆の声を漏らした。
「おぉ、直ったみたいだね!」
「えぇ。……ですが、グレープガーデンとの通信を確保しなければ、
我々は安心できませんよ」

ディスプレイを眺めていたトライデントナイトが、ジャベリンナイトの
方を向いた。2人は頷き合うと、片方はキーボードと通信の調節レバーに
手を置き、片方はマイク付きヘッドホンを頭につける。
「……やっぱりこのまま、通信を確保しようと思います」
「今から続ければ、明日の朝までにはできるはずです」

シルトは言葉を失って、溜め息をついた。
「2人とも……」
「お前達、いい加減にしろ」
シルトの後で、誰かが彼が言おうとしたことを先に告げた。
作業を続けようとしている2人の上司だ。

「休養は取れる時に取っておく。これは戦う者としての鉄則だろう。
通信の調整は、手間がかかるが作業自体は簡単なことは私も知っている。
……私がやるから、お前達は寝ておけ」
ジャベリンナイトとトライデントナイトは返す言葉を失って、黙り込む。
それを見て、シルトは微笑して言った。
「僕もメタナイトの手伝いをするからさ、君達2人は、ちゃんと
寝なきゃダメだよ。……心配しないで。僕、それなりに機械は
弄れる方だから」
一息の後、それぞれ作業しようとしたものから手を離す2人。
「……すみません。メタナイト様、シルトさん。では、頼みます」


メタナイトとシルトが操舵室で通信確保の作業を始めた頃。
竜轡は最後尾の貨物室にて、この状況で何か使える物はないか、
貨物の整理を行っていた。傷薬や乾燥食材を見つけることもあったが、
どれも使用期限や消費期限の切れたものばかりで、一体どのくらい
この貨物室に積んであったか分からない。

「まぁ……使える物があったら、真っ先に使われてるわよね。
でも、メタナイツの皆も、ちゃんと整理はしてほしいところだよ」
乾燥食材の蓋を空けて、びっしりと黴が生えているのに顔を青くしながら、
竜轡はそう愚痴を漏らした。

再び蓋を閉めて、ふと。
竜轡は、先の戦いを思い出す。

―意識を操られたダークマター達との戦い。あれを操っていたのは、
ランサーってヒトの時と同じ2人組み……。
あの時私は、何て言ったっけ?

「……花乱」
思うよりも先に名を呼んだ者の、その名を再び呟く。





「あなたもいいように使われている『人形』なのね。邪魔。消えて……」
「!!!」





桜の悪魔の放った狂気の蛇。
あの時、それを制したのは、今にも飲まれそうになる竜轡を助けたのは、
彼女が『花乱』と呼んだ、同じくランサーナイトを攫った者だった。
花乱が、竜轡と桜の悪魔の間に立ちはだかり、狂気の蛇を止まらせたのだ。

―あたしは、確かにあの子のことを『花乱』と呼んだ。
でも、誰なんだろう?『花乱』って、一体……。


『……お困りのようですね』
彼女以外誰もいるはずのないその場に、男の声が響き渡った。
はっとして、辺りを見回す竜轡。
やはり誰もいない……が、程なくして、彼女は背後の虚空が
歪み始めるのを察知した。

「おはようございます、生命の司祭さん。
まぁ、今はこの肩書きとしての力も不完全ですけれど」
男……リークは気さくに笑って、竜轡に言った。
「あなた……皆が言っていた情報屋でしょ?何でこんなことを?
こんな、違法もいい事、いつか絶対神の使いに……」
「竜轡さんは、私を裁くのですか?」
尚も笑い続けているリークを見て、逆に竜轡は、落ち着きを取り戻す。
「……不完全って言ったよね?あなた、何か知ってるの?」

「おや?」
竜轡の問いに、リークは笑うのを止めて、眉をひそめた。
……かと思いきや、こらえきれなくなったかのように、また笑い始める。
竜轡は唖然としてその姿を見つめるほかなかったが、暫くの後。
「いや、失礼。まさか竜轡さんも記憶を失っているとは。
ですがこれは人為的なものでも、神懸り的なものでもない。
あなたの記憶喪失は、単なる事故ですね」
「記憶を無くしている。あたしが?」

含み笑いを抑えて、無理矢理真顔を作ると、リークはこう言った。
「あなたは記憶を失っていますよ。とても重要な記憶をね。
そして、私は消失したその記憶の内容を知っています。もちろん、
花乱さんのことも、そこに」
「……情報屋って言うからには、何か代償を取る気でしょう?
何が欲しいの?」

即答する竜轡に、リークは彼女の予想とは違う答えを出した。
「大サービス、無料で結構です。だって、竜轡さんが記憶を
取り戻してくれなければ、私でない私が困りますからね……」

リークが広げた両手には、目が眩むほどの激しい光が集まっている。

……ライフストリーム。
生命界ほど『時』と接点がある世界は、この世には存在しない。
生命界に棲む生命の営みは、やがて『時』として区切りつけられていった。
本能や社会的な欲求を満足させるための戦いのエネルギー。
自分達の種族を繁栄させる為のエネルギー。
生命の終止は生命の始動に繋がり、始動した生命もまた、終止する。
繰り返される『生命時計』は、いつだかライフストリームと呼ばれ、
『時の記憶』として、番人が所有することになった。

「時の制約を破ったなんて、堅い事は言いっこ無しです。
……さあ、竜轡さんの記憶を。生命の司祭であるあなたなら、
簡単に見つけることができるはず……!!」





―まだ、ほんの小さな竜の頃の話だ。
あたしはいつか、誰かに自分が生命の司祭であることを教えられた。

「……!?」
光の中をどこにいくでもなく駆け回った竜轡が、自分の声を聞いたのは
ライフストリームに飲まれて間もなくだった。

―私には、妹がいたの。
双子の妹……でも、私とは違う人型の、とっても可愛い子。
その子もまた、生命の司祭だった。
とっても仲が良くて、あの子は私のことをいっぱいいっぱい、
好きだって言ってくれた。

「その子の名前は……そうよ」

―花乱。
あの子はあたしよりずっと物を知っていて、
ずっと、生命の司祭らしかった。
……なのに。

目を閉じている竜轡に、記憶の波が押し寄せてくる。
その波動に、そのうねりに、竜轡は一瞬、気を失いかけ。
瞳を大きく見開く。

―破滅なんて、幸せだった時間よりずっと短い出来事だよ。
でも、何でだろう?あたしには、壊れていく様子が、
随分と長い出来事に感じられたんだ。
……誰かが、あたし達の住んでいたあの場所を、あの時を、
めちゃくちゃにした。

「……あたしもそうだったけど、花乱はもっともっと怒って、
あの子は、旅に出た」

―死ねない体を使って、『誰か』がどこにいるか
探すために、記憶を探して……。
そのうち花乱は、記憶を集める理由すら、分からなくなってしまった。
忘れてはいけないと自分を戒める花の言葉さえも。

「そう……だからあたしも、あの子を探す為に、助ける為に旅に出た」

そんな風に言葉にした竜轡。
だが、彼女を包む眩しい光が、嘲るように笑いだす。

―そうだったかしら?
もう一度、思い出してみて。
あなたはあの時、どんな風に思っていたか。
あなたはあの時、何を使命としたか。



「……!!」
光が晴れ、その場に、その頃の自分の姿が映し出される。
どこかの聖堂に身を浮かばせているその竜轡は、
天井のステンドグラスの、そのすぐ下の『聖なる肖像』を眺めている。

どこかから、声がする。
「……喜びなさい。貴女は真の生命の司祭に選ばれたのです。
これより貴女は、絶対神の御名のもと、いかなる手段を用いても
絶対神の敵となる悪をこの世から浄化することを使命とします」

「光栄です……この身を、絶対神の剣として捧げます」

「では、手始めに。
貴女を生命の司祭とするべく行った行為を、貴女の双子の妹は
快く思っていないようです。元々生命の司祭として選定された者である
彼女は、恐らく我々の脅威となる存在でしょう」

竜轡は無言のまま、視線を逸らさない。

「そして……彼女は貴女の精神を分けて造られた存在。
我々は貴女を咎めはしませんが、貴女の精神の半分を取り戻すのは、
彼女に『滅びの言葉』を放つのは、貴女の使命。貴女があれを取り戻せば、貴女はより完全な生命の司祭となる。いいですね……」





花乱を殺しなさい。





「……はい」





わなわなと震えながら、かつて自分が口に出した答えを、竜轡は疑った。

―信じられない?
確かにあたしが言ったことなのよ。

「嘘……」

―あの時のあたしは、花乱が憎かったの。

「嘘よ……」

―大きな力に捩じ伏せられないで、復讐を誓ったあの子に、
あたしは嫉妬を覚えた。

「やめて……やめてっ!」

―あの子を生み出した自分より、あの子の方がより勇敢だったから。
あの子の方がカッコよかったから。

「お願い、やめてぇ!!」

目の前に映る、自分の姿。
鏡ではない。醜悪な、狡賢い、白い竜の姿。
「あなたは喜んで、花乱を殺すことを誓ったんだよ」


絶叫した竜轡が、目の前の自分に向かって『レイ』の呪文を放つ。
その瞬間、彼女を包んでいた空間は、元いた貨物室へと姿を変えた。



あの眩しい空間の光に、今更ながら頭痛を覚え、浮かんでいた
竜轡はそこに身を落とした。
リークはその光景に少し笑って、虚空へと姿を消失させた。

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