×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

Another story of Kirby 第二部 [54]



-------------------------------------------------------------------------------

投稿時間:03/04/17(Thu) 19:00
投稿者名:St@Na


「・・・・・・・気になるな」
「何が?」
ディーラと柳は、廊下に立っていた。
「エストのことだ。何故記憶を失っている奴があんな知識があるんだ?」
「それがどうしたの。私はそんな疑ったりなんてしてないわ」
「・・・・・言ってみただけだ」
「・・・・私の何が気になるんですか?」
噂をすれば影が差す。・・・・・エストに聞かれていたようだ。
話のネタとなっている本人に聞かれた以上、隠すことはできない。
「いや・・・何でそんなに知識があるの?記憶喪失じゃなかったのかしら」
「・・・・・・・分かりました、本当のことを話します」

話は、自分が遙か彼方の惑星の姫君であるという所から始まった。
それはそれは博学であった彼女は、ある日偶然一つの本を拾う。
それはあの「闇からの傍観者」によって書かれた書物だった。
・・・・・誰がその書をそこにやったのかは知らないが、その書には破滅の厄災などのことや、何故かカービィ達の戦いの事まで書かれていた。
真相を知るため、彼女はポップスターへ向かった。・・・・・・記憶喪失者を装って。

「・・・・・そういうことか」
「でも、もうここまで来たら今更帰るなんて薄情なことは出来ませんからね。最後まで戦います」
「よく言った」

-------------------------------------------------------------------------------

投稿時間:03/04/18(Fri) 18:03
投稿者名:ひでぶ


さびかびの話を聞き終えた後、一行は再び見張り番と通信の確保を
交代で行うことに時間を取られていった。
そして落ちた日は、また昇る。

ヨーグルトヤードにごく近い場所にあるが、ここはまだ
オレンジオーシャンと呼ばれる場所のようである。
山の麓、随分昔に廃坑となった坑道の入り口には、滴り落ちる
金属粉混じりの雫を浴びて腐りきった木製の椅子と卓が、
無造作に放置されている。
濁っているように感じる湿った空気は、遠き日となった
最盛期の頃の坑道から、さほど変わっていないらしい。
私欲に貪られた山の恨みを滲ませているとも思えるようなこの
空気の質は、魔道に長けていないものでさえどこか薄ら寒く感じる。
あの桜の悪魔がこの場所を選んだことが、負の力が残っているという
何よりの証拠だ。

腐った卓から鉄臭い水を溜めたコップが、坑道の整えられてない
地面に向かって落ちる。金属で作られたそれも腐食が進んでおり、
叩きつけられるとそのまま砕け散った。


「大丈夫?」
これまでにない花乱の動揺に、桜の悪魔は、からかいながらだが
いたわりの言葉をかける。無言の花乱に、余裕は見られない。
その様子を、桜の悪魔がますます面白がるのは言うまでもない。
無理に顔を覗き込む。

花乱はいつも血色のいい顔をしていないが、それでもこの時ほど
蒼白になった顔面を覗ったことは、桜の悪魔にはなかった。
悪くない。と、歯車に宿っていた時の頃の自分を少々思い出した。

「あの、竜轡って子が怖いの?……フフ」
桜の悪魔のその台詞に、花乱は急に顔を上げる。
「……どうにか、しないと。……どうにか」

力の入らない精神体では、殺意を覚えることのない仮初めの心では、
どうすればいいのか分からないこの状況で、花乱は混乱せざるを得なかった。

-------------------------------------------------------------------------------

投稿時間:03/04/20(Sun) 22:40
投稿者名:yuletear


「あなたが竜轡さんですね。」
「貴方が…さびかびさん?」
一人、倉庫での作業を続けていた竜轡の前にさびかびが現れたのは
日も高くなった頃。
昨日、さびかびはシルトとの『感動の再会(さびかびのみ)』で
疲れて寝入ってしまい、竜轡とはこれが初の接触だった。
「さびかびです♪よろしくです♪」
握手を求める手を竜轡は握り返した。
「ここ、一人でお仕事してたんですか?」
「うん。そうだけど…?」
さびかびはちょっと考えて、にぱっと笑った。
「なんか竜轡さん、顔色悪いし…私もお手伝いします♪」
「そ…それはありがたいけど…。いいの?シルト君のところにいなくて。」
竜轡の言葉でさびかびの顔がぼふーっと真っ赤になる。
「あ…シルト様は、シルト様のお仕事を頑張ってらっしゃいますから、私がいない方が捗っちゃうし、私…今、鉄だし、邪魔しちゃうと…その…もごもご。」
後ろ手を組んで、つま先をとんとんしながら言うさびかび。
倉庫が軽く揺れているが気にしてはいけない。
竜轡がクスっと笑う。
「じゃあ、お願いするね。」
「はーい♪」


「っは〜…。」
作業を続けていたシルトがため息を漏らす。
「引力に引っ張られて…って、ドジなの変わってないなぁ。」
ところどころ痛む体を伸ばす。
「錆びてたりするし、しかも頬のとこだし…」
ぶつぶつとさびかびに対する軽い文句を口にしながら手を動かす。
「まったくさびかびの奴。こんな危ないところに…はっ!」
恐怖のジャンピングプレスさびかび嬢の事をなんだかんだ言って
心配してしまった(?)彼はぶんぶんと頭を振った。
「オイラ何考えてんだー!仕事しろ仕事ー!」
再び通信機器とにらめっこを始めたシルト。
「そういえば…」
さびかびみたいにどっか抜けてそうなあの子。
「なんて言ったっけかなー…あの時は今よりももっとゴタゴタしてたからなぁ。えーっと…あ、エストちゃん。皆と頑張ってんのかなー?」
どっか抜けてそう。という繋がりでシルトはエストを少し思い出す。
思い出してすっきりしたのか、また作業に没頭し始めた。

同時刻、倉庫の整理をしていたさびかびが作業の手を止めて
辺りをきょろきょろと見回していたとかいないとか…。

-------------------------------------------------------------------------------

投稿時間:03/05/28(Wed) 02:15
投稿者名:ひでぶ


夜が訪れるのは、星が自転することでそこに太陽の光が届かなくなるからだ。
もっとも、絵に描いたような五亡星を象っているポップスターにそんな解釈が
通用するかどうかは分からないし、ポップスターを照らす太陽が他のそれと
同じように、天体の集団の中心に位置して光を放っているというのも、確実に
そうであるとは言い切れない。

ただ確かなことは、ポップスターを照らす太陽の光もまた、闇を払う力を
持っているということである。闇のものが夜を好むのは、これが理由だ。

そして、これはアトランティス軍の陣営にごく近い場所にいる救出パーティの
一行にも影響する事柄だった。見張りの番についているものはもちろん、
仮眠を取るべき者も、夜はあまり眠れなかった。


「今日も無理だったかぁ……」
見張りの番を告げられたシルトが、溜め息をつく。
墜落から2日。未だ通信の回復の目処がたっていないようだ。
がっかりしているシルトの言葉を聞いて、共に番につくメタナイトが
静かに言った。
「今は、ジャベリンとトライデントに任せよう。敵に夜襲をかけられ
全滅となれば、元も子もない」
「でも、でもさ。こればっかりは、運以外の何物でもないけれど……
ゼロツーの軍隊に見つかったら、オイラ達、ジ・エンドじゃん?
やっぱり焦るよ」

確かにシルトの言う通りで、それについてメタナイトもまた憤りを
感じていた。退路も進路も閉ざされた閉鎖空間で敵と遭遇し、
大掛かりな戦闘になったとしたら……再起できるかどうかは疑わしい。
ここからは、一刻も早く抜け出すのが望ましかった。

「徒歩で引き返す手も考えるべきか……む?」
「!?」

暗闇を歪ませて、何かが向かってくることを、2人とも、運良く
察知することができた。左右に散って、回避するシルトとメタナイト。
音もなく、元いた足場が抉り取られるかのように消え失せる。

着地したシルトが見上げた先には、月明かりに照らされて、
2人の少女が映しだされていた。
「……あいつら、また来たんだ!」


「……外れちゃった。フフ、あんまり上手くいかないな……」
桜の悪魔は指先をぺろりと舐めて、シルトとメタナイトを見据える。
「今日は遊びに来たんじゃなかったんだっけ……ねえ、花乱?」
「……」
真一文字に口を閉ざし言葉を返さない花乱の頭の中が、竜轡のことで
いっぱいになっているのを察してか否か、桜の悪魔はクスクスと笑う。
「あの子達が邪魔をするなら、私は楽しもうと思うけど」

背中から狂気の蛇達を生やした桜の悪魔は、メタナイトめがけて急降下する。
「……苦汁を飲まされてきたが、今回は違う」
カビラスが複製した虹の剣と宝剣ギャラクシアを、メタナイトは、
おもむろに十字に構えた。

噛み砕こうとする蛇の顎と2つの剣が激突し、爆風で粉塵が巻き上がる。
その延長である力比べが始まった時、桜の悪魔は笑うことをやめていた。
おかしい。相手が、自分の狂気に気圧されていない。

「その剣の力?」
操る蛇を交えながら、桜の悪魔はメタナイトに問うた。
「そうだ。身体の自由が利くのなら、戦いで貴様等には負けはしない。
……覚悟!」

身を翻し、振り向き様に斬撃を放つメタナイト。ところが、その剣閃は
波紋と金属音を生じさせ、何かに受け止められた。剣を受け止めた
桜の悪魔の髪もまた、蛇と化している!

「ふふふ、あははははは!……気持ちよくしてね!!」
桃色の髪をも狂気の蛇と変化させた桜の悪魔が、蛇全てを操り、メタナイトに
猛攻を仕掛ける。……舌打ち。いかにメタナイトが刹那における見切りの
達人であろうと、捌ききれる数ではない。

「テラ・ソルト!!」
真横から、桜の悪魔めがけて光球が飛んでくる。桜の悪魔はメタナイトを
弾き飛ばすと、すんでのところで光球を回避した。

「メタナイト!!」
駆け寄ってきたシルトが大声をあげる。「心配ない」と一言告げ、
メタナイトは再び二刀を構えた。

桜の悪魔は、テラ・ソルトをかすめたことで、炭化して黒く変色した
部分の髪を眺め、触れた。「痛んだ」という表現すら不可能な髪の毛は、
不自然にぱらぱらと地面に落ちる。
桜の悪魔は何も言わずに暫くそれを眺めていたが、ゆっくりと顔を上げ、
即座に2人へと飛び掛かった。


花乱の視線は下で起こっている戦いではなく、ハルベルトに向けられている。
「ねえ……さま……」
これから存在を抹消しにいかなければならない竜轡の存在は。姉の存在は。
今更ながら、花乱を船内へ赴かせることを遮る要因となっていた。

-------------------------------------------------------------------------------

投稿時間:03/05/29(Thu) 04:21
投稿者名:yuletear


「ふにゃ……?」
ハルベルトの一室で仮眠を取っていたさびかびは
ふと目を覚ました。
「んん〜……ふぁぁ…。」
大きく伸びをし、辺りをきょろきょろと見まわす。
シン…とした暗い室内。
扉からは微かに光が漏れている。
「皆、頑張ってるんだなぁ…」
ここで彼女に与えられた役目はランサーナイトの様子を看ることと
簡単な炊事。夜警はシルトが頑なにやらせようとはしなかった。
細かい機械のことは出来ない。何より自分は鉄だし、錆びてるし。

「はぁ…」
彼女の小さな溜息が部屋に響く。
その後はまた静寂がこの一帯を包む筈だった。
「……あれ?」
目が覚めた時から気になっていた。
虫の声が止んでいる。
微かな破砕音、光、笑い声。
「外…?……シルト様っ!」
さびかびは布団を跳ね除け、部屋を飛び出した。
いきなり外に飛び出すのは流石に危険と判断し、
出入口に身を潜め、外の様子を覗う。


見た事も無い着物の少女が2人。
さびかびは一瞬見惚れたが、纏う空気に身を固くした。
桃色の髪の少女が狂ったように笑いながら
夜警の2人に襲いかかっていた。

その姿に背筋が凍った。
蛇…何か恐ろしいもので作り上げられた蛇。
自らの髪の毛まで蛇へと変えた少女は攻撃の手を緩めない。
それらはあらゆる方向からしなやかにそれでいて鋭く襲いかかる。
メタナイトの後方で一房…否、一匹が牙を剥く。

「ぁ…あぶなっ……!」
「テラ・ソルト!!」
さびかびが声を上げるよりも先、シルトが光球を放つ。
自らに襲いかかる蛇にも同じように光をぶつけると
隠れている彼女を見つけ、中に入るよう視線を送る。
だが、目の前の光景に彼女が動けないと知ると、
小さく舌打し掠れた声をあげた。

『なにやってんだよ…!中行け早くっ!』
『え……あ…!で、でもシルトさ…』
『オイラとメタナイトは平気だからっ!
お前のこと危ない目になんか合わせらんないんだからな…!』
早く戻れと目配せし、彼は再び桜の悪魔と対峙した。
ちら…と視線をやると、さびかびはハルベルトの中へ戻ったらしい。
桜の悪魔がさびかびに気づかなかったことに、少し安心した。
守れる自信は無いから。
「…立派に騎士をしているな。」
「そりゃどーも…;」
構えたまま、メタナイトと軽口を交わし、
狂気の笑みを絶やさない桜の悪魔に向かっていった。


「ど……どうしたらっ、きゃっ?!」
急いでハルベルトの中に戻ったさびかびは白い物にぶつかりかけた。
ひらりと身をかわしたのは竜轡。
「どうしたの?」
ただごとでは無い様子に眉根をひそめ、彼女に問う。
「そ…それが、その、外に着物の女の子が2人来てて、1人が蛇を、
メタナイトさんとシルト様が……。もう1人の子はわかんないです…!」

(桜の悪魔と………花乱)

「竜轡さん?あの、あの、どうしたら……」
「ランナイ君のところに居てあげて。外には、私が行くから。」
竜轡はそれだけ言うと出入口へ向かった。
さびかびが駆けて行く音がやけ遠くに聞こえる。
胸の奥と頭にちりちりと痛みが走ったが、竜轡は止まらなかった。


焦げたような匂いと、地面の抉れた痕。
笑いながら蛇をけしかけ続ける夜深。
呆然と立ち尽くしたような花乱……だが、
彼女は、現れた竜轡の姿に目を見開き、食い入るように見つめた。
竜轡もまた花乱から視線を逸らそうとはしない。

「………花乱。」
「姉様……。」

白い竜と赤い着物の少女との間に夜風が吹いた。

-------------------------------------------------------------------------------

投稿時間:03/06/01(Sun) 21:53
投稿者名:St@Na


「・・・・・・」
「・・・・・何止まってんだ、竜轡!」
「それよりも、奴の台詞を聞いたか?竜轡のことを姉様と言っているぞ。」
「まさか、竜轡の・・・・・。」
「何してるの・・・・・?早くしないと、私が・・・・・・。」
しびれを切らしたか、夜深が動き出す。
「危ない!!」
「はっ!?」
間一髪のところで、竜轡は夜深の攻撃から逃れた。
「・・・・再会を惜しむのは夜深を追い払ってからにしろ。」
「だけど・・・・・。」
「そうよ、姉様・・・・・。」
「しかし、空気が重いぜ・・・・・。これが桜の悪魔の『本気』か?」
そこまで言ったとき、桜の悪魔、夜深の口が開いた。
「・・・・・・死んで。」

・・・・・・そして、ハルベルト内部にいたさびかびは。
「怖い・・・・シルト様、どうか私を守って下さい・・・・。」
神にでも頼むような言い方である。
が、これが彼女の精一杯の祈りであり、叫びである。
半機械人間であるさびかびですら、外からの狂気で身動きがとれないような感じがした。
「シルト様・・・・・。」

「・・・奴の間合いにいるだけで脱力感がする。まるで、何かが脳を浸食するような・・・。」
「なんて奴・・・・。」
「やはり、勝てないのか・・・!?」
メタナイトの脳裏に、あの時の敗北の瞬間がよぎる。
「(今、やられたらもう生かして置いてはくれないだろう。
  どうすれば・・・・)く・・・・。」
「終わり・・・・・・。」
夜深は、止めの一撃の準備を始めた。

-------------------------------------------------------------------------------



前へ リストへ  次へ