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Another story of Kirby 第二部 [56]



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投稿日 : 03/08/16-06:16 
投稿者 : ひでぶ  


グレープガーデンよりも高いところに位置する雲の色が、わずかだが
黒く変色し始めていた。その雲は日に日に大きくなり、厚くなり、
太陽の光を確実に遮ろうとしている。

雲の色が完全な漆黒に変わったとき、ポップスターは光のない星となる。
大地も海も風も、凍えてしまうくらい冷たくなり、生き物は生きる
気力を失うか、自分のココロを失ってしまう。

幸か不幸か、未だ闇のものの影響を受けず、無事でいるポップスターの
民は、2年前の黒き空を、この空の行方に重ね合わせた。


「ランサーナイトはもちろん無事じゃ、ただ気を失っているだけじゃな。
3日間も気を失ったままなのは、マホウとやらの影響だろう。そこらへんは
詳しく知らんが、からだには問題ない……この変わった嬢ちゃんも、
確かに重い怪我を負っているが、大したことはない、意識もしっかりして
おるし、何より、信じられん勢いで回復が進んでおる……が、
メタナイト卿は……」
ポップスタータイプ、キャピィ族である医者・ヤブイが溜め息をついた。
本来ヤブイが切り盛りしているグレープガーデンの病院に、
ランサーナイトの救出に向かった(着陸時に誤って砲撃したメイスナイトを
除く)メンバーが、3人の容態を聞きに来たところだったのだが。
「正直、まずい状況じゃ」
「そんなに酷いんですか……?」
ジャベリンナイトが、その表情を険しくした。
「確かに、怪我も酷い。並みの者ならば、立つこともできんような
怪我じゃ。だが、これよりもまずいことがある」
「だから何だよ、メタナイトのからだに何が起きてんのさ!?」
不安で、自然と荒い言葉が出たのはシルトだ。両肩をゆするシルトに
解放されてから、ヤブイはもう一度溜め息をついた。そして、
「こんなこと、医者が言うのも変じゃが……」と前置きして、彼は続ける。
「今のメタナイトに、生きようとする力が感じられないのじゃよ。
そう、まるで、自ら生きることをやめようとしているかのように……」
「何だって!」
アックスナイトも、ヤブイの言葉で座っていた席を立った。
「おい、そんなワケあるかよ、このヤブ医者!」
「落ち着け、アックス!」
仲間のメタナイツがヤブイに迫ろうとするアックスナイトを止めに入る。
「だって……メタナイト様が、そんな簡単に生きることを諦めるわけ
ないじゃんか!」
「その通りじゃ、アックス」
「メタナイトに生きようとする力が感じられない」と言った他でもない
ヤブイが、アックスナイトに向かって、今度はそう告げる。
「メタナイト卿だけではない。生き物というものは、生きようとする
意志が、必ず備わっているものなのじゃ……普通はの。じゃが」
メタナイトは怪我のせいか、全身が高熱を発していて、頻繁にからだを
氷嚢や濡らした布などで冷やさねばならない。ヤブイはそれを行いながら、
続きを話し始めた。
「わしは、2年前にメタナイト卿と同じ容態の患者を診たことがある」
「え……!?」



外は、とっくに日が落ちている。星はない。
グレープガーデンの雲の大地に立ち、見えざる星を眺めている少女は、
雪のように白い肌で、赤い衣を身に纏っている。竜轡の妹・花乱だ。

星を映さない暗い空。自分の心も姉である竜轡の心も、この空の
ようだった。ありのままの心の輝きを、何かに遮断されていたのだ。

今思えば、自分の心を遮ったものは、自分で作り上げた気がする。
里を滅ぼした者を追っている途中、幾度となく他者の記憶を奪ってきた。
「復讐の糧」とするために。
だが、自分のものとなった他者の記憶は少なからず、自分に影響を
与えていた。ヒトと花乱自身の記憶が混ぜこぜになり、結果、花乱は
自分を見失いかけていたのだ。

「だけど……ねえさまは、違う……」
花乱はもう思い出していた……姉は、竜轡は、決して自らの意志で
自我を捨てたのではない。あの時、花乱とメタナイト達を襲った、
あの竜轡は。

辺りが一瞬、眩しく輝いた。

「!?」
花乱は驚き、思念のからだを身構えさせた。
次に彼女を襲ったのは、一瞬ではない、壮絶な光の輝き。
「……誰!?」
叫んだ言葉は、周囲の光で乱反射するかのようにこだました。

「ついに思い出してしまいましたね」
目の前に瞬時に現れた男は、花乱に向かってそう言った。
「記憶が重なれば、その憎しみは他の憎しみと交じり合い、最後には
見分けがつかなくなるはずだったのに……残念です」

「あなたは……誰なの?」
震えが止まらない。足も手も動かない。このまま倒れこんでしまいそうだ。
花乱は何だか分からない感情に圧倒され、まるでそこに縛られたかのように
硬直した。

「私ですか? 誰でしょうね……案外、あなたが知っているヒトかも」
「誰なのよ!!」
気づいたら、息がきれている。分からない、分からない……!

「……竜轡さんがあなたを滅すれば、これまで得てきたあなたの力は
竜轡さんのものになったのですが……あなたがこうなった今、私の力で
あなたを滅するしかありません。お覚悟を」
男の掌に光が弾ける。広がった光は花乱を捕え、締め上げた。
「か、はぁ……!」

光。
痛みと、熱と、苦しみを与える光。
皮肉にもその時、花乱の記憶が完全に蘇った。

この男……

「愚かですね……何故思い出してしまったのでしょうか。そうでなければ、
あなたには先があったはずなのに。ですが、結局はこれが、刃向かった
ものの末路……絶対なる存在には、何者も太刀打ちできないのです」

この男が……!

「さあ、お別れです」

黒き一閃が、光に縛り付けられた花乱を瞬時に横切った。
遠のこうとしていた意識の中で、花乱は何故か、しっかりと
見ることができた。それはさっきまで見ていた、冷たい空のような
色をしていて、周囲の目がくらむほどの光をも、飲み込むような勢いで
貫いていた。

男が短く叫んだのを聞いてから、花乱の身体は楽になった。
彼女はもう、永遠に目が覚めることがないことを覚悟した。

……が。

「……貴方がなぜ『空の知識』に介入することができたのか、
ようやく僕は証明できそうです」

はっきりとした意識の中で、花乱は、その言葉を確かに聞きとった。

「『心』を象るあの思念体と、最初から貴方は何か違っていた。全くね」

視界が晴れる。
そこは元いた、上空に星のない夜空が見える、グレープガーデンの大地。

「……っ!!」
片腕を無くした男が、いまいましそうに睨みつけたその先には、
銀髪の少年が立っている。

「次は本気で狙いますよ……こちらでの実体がなくなったら、
さすがの貴方もしばらくは生命界への介入ができなくなりますよね? 
……リークさん」
リークと呼ばれた男と対照的に、冷ややかな笑みを表情に浮かべている
少年が言った。
しばらくの無言の後、男は周囲の闇に溶け込むようにして消え去った。

「……危ないところでしたね」
銀髪の少年が笑う。
「空の、番人……」
花乱は、銀髪の少年を眺め、こう言った。

「……あなたに同行させてください」


……ねえさま、ごめんなさい。
私はやっぱり、真実を真実のまま、想いを想いのまま受け止めたい。
いつか、このココロをねえさまに返す日が来ると思うから……



「……『ホシミソウ』?」
「さよう。2年前、メタナイト卿と同じ容態だった者にその薬草の根を
煎じて与えたのじゃが、不思議なことに目を覚ましてな。以降は数週間
安静にしていただけで完治したんじゃよ」
アックスナイトが、それを聞いてはしゃぐ。
「何だよヤブイのおっさん、治療法が分かっているなら話は早いじゃんか」
だが、アックスナイトの活気付いた言葉の後に、周囲は再び沈黙した。
……何だよ、俺、何か悪いことでも言ったか?
アックスナイトがそんな表情で周囲を見回した。
「それはないのでしょう? 今、ここに……」
一際暗い表情をするブレードナイト。
「残念じゃが……あったとしたら、さっさと使っておる」
「そういうオチかよ……」
そこまで聞いて、アックスナイトも、やはり落胆した。

「……俺が探しにいきます」
ベッドから、ランサーナイトが起き上がった。
「ランサー!」
「お前、大丈夫なのか!?」
きっぱりと頷いて、ランサーナイトは言う。
「メタナイト様がこうなったのは、俺のせいなんだ。先輩達は
グレープガーデンの守りを固めてください、俺が、必ず……」

「話は聞いただスよ!」
独特な語尾を扱う者が、メタナイツの面々の背後に現れた。
「め、メイス!?」
「わしもランサーについていくだス! イヤだと言っても、
絶対ついていくだス! その『ホシミソウ』とやらを探しに!」

アックスナイトが溜め息をつき、そして、笑った。
「俺とメイスとランサー……この3人で、『ホシミソウ』を探しに行く。
みんな、グレープガーデンの守り、頼んだぞ」

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投稿日 : 03/08/17-04:19 
投稿者 : yuletear  


宇宙パーティ進行再開。
…にあたって、ちょっぴりおさらい(何)

宇宙パーティ〜5日目〜
・ブルブルスターにてソルビィ、まーびぃの両名が合流。
Ωからの手紙を受け取る。
・ガーディアンレインフォースでブルブルスターに結界を張る。
(この際、ポップスターにも結界が張れるかもしれないという話があがる)
・HR-H搬入のち、ウルルンスターへ出発。
(ウルルンスターへ近付くまで、各々休息をとることにする)

ソルビィとまーびぃが朝ご飯の途中で合流したことから考えて、
宇宙パーティが出発したのは午前中〜昼頃とするのが無難かと。
よって宇宙パーティ・現在の時刻は、昼過ぎとしたいと思います(何)

ウルルンスターまで1日はかかるので、ウルルンスター到着は6日目。
8日目にはポップスターに帰還ということになっているので、
約2日でウルルンスターイベント攻略ということになりますね。

ちなみに宇宙パーティの面子は現在15人。以下の通りです。
カービィ アドレーヌ カイン   カビラス  ソルビィ
グレン  ターツ   チュチュ  ディッセ  時の番人
ピック  まーびぃ  リック   リグレット ワドルディ

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ノヴァの内部でも食堂はひときわ明るい。
ところどころに観葉植物が置かれており、テーブルが幾つも並んでいる。
カウンターには席は無く、食器の返却口がついており
すぐ側にはボタンを押すとお茶やら水やら…果てはジュースまでが
出てくる機械が置いてある。
自分で好きな飲み物を選んで注ぐ…セルフサービスというものだ。
厨房の方からは食材を刻むトントンという音や、
ジュウジュウという焼き物の音が聞こえ、
プラズマウィスプ達が幾分せわしなく動いている。

食堂に足を踏み入れたリックは、食堂内をきょろきょろと見まわす。
「リック!こっちこっち!」
入り口からやや離れた一席でチュチュとカインが手を振った。
それに左手をあげて答えると、先にリックはカウンターへ向かう。
「木の実入りのグラタン……いや、やっぱドリアで。」
番号札を受け取るとリックはお茶を持ち、席へ移動した。

「リックは何を頼んできたんだい?」
サラダをつついていたカインがリックに聞いた。
「木の実のドリア。カインのそれは?」
「僕のは海藻がメインのサラダ。海と森のサラダって感じかな?」
野菜と海藻の緑の中にちりばめられたトマトやパプリカ、小エビが
鮮やかなサラダにオリーブオイルが主体のあっさりとしたドレッシング。
味だけでなく見た目に関しての腕も良いんだなぁ。とリックは関心した。
「あれ?チュチュはもう終わったのか?」
ファンシーなストローでアイスティーを飲んでいたチュチュが頷く。
「そう。私は完熟トマトとハーブの冷製パスタ。」
ここって何でも作ってくれるのね。と笑顔を作る。
「このところ気持ちも張り詰めてたから、美味しいものでも食べて
少しは息抜きしないとな。」
リックの言葉に二人がうんうんと頷く。
「お待たせしましたー。」
小柄なプラズマウィスプがリックの前にグラタン皿を置いた。
「熱いので気をつけて下さい。」
代わりに番号札を受け取ると厨房の方へ戻っていく。
チーズと木の実のクリームソースの匂いにリックは鼻をひくひくさせる。

「いただきます。……んー、美味しいな。」
スプーンで1匙、2匙。ゆっくり匂いと味を楽しみながら
ふと思い出したようにリックは言った。
「そういえばカービィは?てっきりここにいると思ったんだけど。」
食べることが大好きなカービィもきっとここで食事をしていると
思っていたリックは、もう一度辺りを見ながら言った。
「あぁ…カービィならリックが来る少し前に食べ終わって
食堂から出ていったよ。」
「え、じゃあ完全に入れ違いか。」

リックは鼻をひくりとさせ、呟いた。
「…ちゃんと休んでるといいけどなぁ。」
小さく溜息をつくとチュチュは言った。
「そうよね…。カービィも皆も最近ずっと頑張ってるから。」
「大丈夫だよ二人とも。」
ミニトマトを飲みこんだカインが言う。
「ここにいる皆もカービィもポップスターの皆も、大丈夫だよ。
こんな時こそ休める時には休まなきゃってことはわかってるだろうから。」
僕達も今は少し休憩だよ。そう言って、カインはサラダの中に入っていた
やや大きめのクルトンを頬張った。
「…そだな。」
リックは頷いてドリアをぐりぐりと混ぜ、口に運ぶ。
チュチュがデザートでも食べようと言いカウンターへ。

静かな時間が流れる、遅めの昼食風景。

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投稿日 : 03/08/17-15:31
投稿者 : ひでぶ  


「そう、今から7年前のことになる」
まだ入っている缶コーヒーをぶらさげたまま、時の番人はどこか別の所に
視線を向けている。
「7年前……か、もしかして、『浄化』のこと?」
そう答えたのは既にアップルサイダーを飲み終えているまーびぃだ。
「ああ。知っているよな? 『浄化』は絶対神に反旗を翻す者の力と数が
肥大化するととられる措置だ。神の使いを集結して、総攻撃をおこなう……」
「やっぱり、番人も出てたんだ」
と、まーびぃ。彼女はどうやら、どちらかの師に話を聞いているらしい。
「悪魔召喚師、だったよね。敵は」
時の番人は頷く。
「……酷い戦いだった。あの戦いで生命界に存在した守護神の半分が
犠牲になったんだ。それに、レオ殿も……」
「れお?」
「元の闇の師。退任していたが、浄化には参加したんだ。今の闇の師からは
彼のことは聞いてなかったのか?」
時の番人の問いに、まーびぃは首をひねった。
「う〜ん……そう言えば、ハインは前の闇の師のことはちっとも
話してくれなかったんだよね」
「……今の闇の師が、レオ殿のことをどう思っていたかは分からないが、
ターツはレオ殿のことを尊敬していたのだろうな」
「ふ〜ん……」というまーびぃの相槌の後、時の番人は自分が口にしたことに
ついて考えた。あいつが管理人をやめた理由は、これだったのか……?
「それで、『浄化』の話が、どうかしたの?」
「ああ」
問いに我に返り、時の番人は短く、こう告げた。
「……その時の夢を見る。それだけのことなんだ」

それだけのことなんだ。
まーびぃには、そのセリフが何故だか、彼女に対して言ったものじゃ
ない気がした。そう、まるで番人が、自分自身に言い聞かせているように
聞こえたのだ。

「ホントにそれだけ?」
「……それだけだ。すまないな、くだらん昔話をして」

コーヒーを飲み終えて、すぐにくずかごにそれを捨てると、時の番人は
「じゃあな」と言って、その場を後にした。
まーびぃはしばらく時の番人の後姿を見送っていたが、やがて、何かに
気づいたように駆け出した。

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投稿日 : 03/08/18-03:57
投稿者 : yuletear  


「ふぅ……」
何気なく発した声が、誰もいなくなったブリッジに響く。
眼前は星の海。暗闇でも鬱屈した気分にならないのは
その暗闇の中で煌く星たちのお陰なんだろうと一人頷いてみる。
地上とは違いゆっくりと過ぎていく景色をぼぉ…っと眺めながら
この星たちが全て消えてしまったらどうなってしまうのだろう?と
考えてみたりなんかしてぶるぶると首を振る。

星たちが瞬くのは、彼らが精一杯生きている証。
それが失われるということ…それはつまり、
目の前の風景が死に絶えるということ。
死してなお、何かが残ればまだ良い。
生きていた…そこにあったという証すらなくなってしまうのは
あまりに残酷だ。と彼は思う。
それは彼が今、生きていて…それでいて、生きていたい。と
望んでいるからかも知れなかったが、それでも彼は
そんなことは必ず止めなければならない。と今一度心に誓った。


到着時間までまだまだ余裕がある。
仮眠用に使うアイピローを瞼に乗せうつらうつらとし始めた時、
背後の自動ドアが独特の音を立てて開いた。
廊下の光が薄暗いブリッジにさしこむ。
「あれ?部屋に戻らなかったの?」
そう言いながら、隣の席にぴょんと座るポップスタータイプ。
再び薄暗くなった室内で、手にしている金色のロープが
幾分控え目に輝いていた。
「なんかここが定位置って感じになっちゃって…つい、ね。」
小さく笑いながらアイピローを取り、逆に問いかける。
「ピック君は?どうしてここに?」
「うん……。」
自室から持ってきたらしい薄手の毛布を肘掛にかけ、
俯いて足をプラプラさせているピック。
目線を前に戻して言葉を待った。

「ケビオスで、神様が…あの人だって知って……」
ぽつりぽつりとピックが言葉を発する。
「……信じてたんだよ、ホントに。」
「…そっか……。」
小さく相槌を打って、チラリと視線を送る。
彼は悲しそうな口調だったが、真っ直ぐ前を見据えていた。
二人の間に沈黙が流れる。

「綺麗だなぁ……。」
暫くして、ピックが呟いた。
「うん。綺麗だよね。…守りたいって思ってたところなんだ。」
「…星を?」
「うん。」
彼の問いに頷く。
「…僕も、役に立ててるよね?」
「立ってるよ。」
搾り出すような声で聞いてきたピックに、静かに答える。
「ピック君は、ピック君の。僕には、僕の。皆にも皆の役割が
ちゃんとあるよ。大丈夫、口に出さなくたって、皆それを知ってるよ。」
「そうかな。」
ピックが照れ笑いのような表情をする。
「そうだよ。」
少し笑って瞳を閉じた。


「ねえ、ピック君。ちょっと休んだらさ、そのロープ調べさせてもらっても
いいかな?気になって気になって…。」
まず何処から調べようか考えながらまどろむ。
「いいよ。ほんと、カビラス君らしいや。」
ピックも笑って、毛布にくるまった。

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投稿日 : 03/08/19-05:56 
投稿者 : ひでぶ  


ノヴァ・まにゅあるに書かれているのだが、ノヴァの内部では朝と夜が
交互に訪れる。もちろんそれは、太陽による賜物ではない。

半永久機関のハート型動力を持つノヴァにとっては必要のない機能だが、
通常航行をしている際は、ポップスターの時間で考えて、(期間によって
違うらしいが)1日の約半分が「省エネもーど」の時間になるのである。

こうなると、ノヴァ内部の照明や設置施設などの半分以上が稼動を休止する。
プラズマウィスプ達の食堂はそれなりに遅くまでやっているようだが、
やはり「省エネもーど」に入ってから数時間後にオーダーの受け付けが
終了する具合になっていた。食事の後、少々雑談をしていたリック達だが、
省エネモードに入ってからしばらくして食堂に集まったものだから、
話の途中でやむなくそこから出ることになったようだ。



ノヴァにいくつもある格納庫の1つも、「省エネもーど」の影響を受けた
状態にあるらしい。薄暗くて、どこに何があるのか少々分かりづらい。
カービィ達がノヴァに着艦した際に乗っていた時の番人の宇宙船は、
いつの間にか移動し、ここに保管されている。
それと、もう1つ……HRだ。外から着艦した搭乗機は、自動的に全て
この格納庫に移動するようだ。

ソルビィが1人、薄暗い中でHRの整備を続けていた。
「省エネもーど」になっても、この格納庫の照明を再点灯させることは
可能らしいのだが、彼はその術を知らないし、ノヴァに詳しいカビラスは
仮眠中、それに、整備は懐中電灯の明かりさえあれば十分できる
作業だったから、あえてソルビィはこの状況下で作業を進めている。
「外見は異常なし……」
次はプログラムだ。ソルビィは手馴れた動作でコクピットハッチを開いて、
その中へと乗り込んだ。

「ソルビィ君、持ってきたよ〜」
声と一緒に、コクピットに向かって光が照らされた。ソルビィはそれが、
懐中電灯のライトではないことを知って、感慨深げに唸った。
……光の波動って、便利だな。

「ありがとう、まーびぃさん」
「いいよ、気にしないで」
まーびぃは「よっ」というかけ声と共に、元気よくコクピットに飛び乗った。
「さっき番人に会ったんだけどさ、何か変だったんだよね」
「変……番人さん、大丈夫でしたか?」
「分かんない。問い詰めても、さっさとどこかに行っちゃうし……
あ、ホラ、頼まれてたやつ」
まーびぃはポケットから、何らかの鍵を取り出して、ソルビィに手渡した。
「ホント、助かりました」
「いいって。でも、この鍵って何なの?」
ソルビィは「これはですね……」と、HRの無骨なコントロールキーボードを
操作した……作動音。
「内部機器の……追加?」
「ええ。HRの中に、新しく部品を組む時に使う鍵なんです」

ソルビィはHRの動力を切って、再び外へ出た。
「何か新しいもの、取り付けるの?」
まーびぃもコクピットから飛び降りて、床に着地する。
「これです」
掌に収まるくらいの小さなパーツだ。
「これは……?」
「僕の持っている武器の一部にも使われている『守護神の武器』です。
一度壊れた時、ハインが魔晶変化をしてくれて、たくさんのパーツに
変化しました」
さきほどの操作でHRの背部の装甲はすでに開かれた状態になっており、
ソルビィは懐中電灯のライトをつけて、作業に入った。
「『因果律』……って、知ってます?」
「もちろん。管理人にとっては、すごい重要なことだよ」
まーびぃは自信満々に答えた。
「『時』の流れに必ず存在する、生ある者と生ある者の巡り合い。
……元々生命界の住人は1つの目的をもって生まれるんだ。
そして、知らず知らずのうちに、それに向かって歩むことになる。
その中で、お互いがお互いの目的を果たすべく巡り合うことは、
全て『因果律』による出来事なんだよね」
「その通りです」
ソルビィが頷く。
「そして絶対神の使いは、より強い『因果』を秘めている。
……『守護神の武器』は、『因果律』が起こす出来事によって、その力を
開花させるらしいんです……ん」
手を止めて、HRの内部に上半身を突っ込ませるソルビィ。
まーびぃが彼の腰のあたりを叩いて、もう片方の掌を広げた。
放たれた光の珠はソルビィの頬をくすぐりながら、HRの内部に放り込まれ、
そこかしこを鮮明に照らした。
礼を言ってから、ソルビィは作業と話を続ける。
「……『守護神の武器』は、主人が望んだものを象ります。
だからあのパーツも、僕が考えた武器に、かならずどれかが組み込まれる
仕組みになっているようなんです。だけど……」
先程のパーツを、ソルビィは再び取り出す。
「こいつだけは、今まで考えたどの武器にも合わなかった」
「それで、このロボットに?」
「……すっかり先入観を持っていました。僕、このパーツが
組み込まれるのは、絶対武器だと思っていたんですよ」

カチリ。上手くかみ合う音がした後、おもむろにソルビィが突っ込んでいた
上半身を外に出した。
「うん……やっぱり、はまりましたよ」
「ホント? ……あ」
まーびぃが急に吹き出した。
「ど、どうしたんですか?」
「だって……ふふ……ソルビィ君、顔が煤だらけだよ」
内部に放り込まれた光のもとで額を拭うと、手にべっとりと黒いものが
ついた。ソルビィの「あぁぁ」という何とも頼りない声に、まーびぃは
余計に笑わずにはいられなくなった。

「そんなぁ、わ、笑わないでくださいよぅ」
「いや、だって、はは、そんなこと言ったって……あはは」
笑いながら後ずさりするまーびぃ。と。
「わっ!」
後ろの工具につまずいてひっくり返ろうとしたところを……
間一髪、ソルビィが支えた。

「だ、大丈夫でしたか?」
「うん……ごめん」

正直、まーびぃはちょっとびっくりして、硬直した。
線が細いと思っていたソルビィが、こんなにもしっかりと自分を
抱きとめることができるとは思っていなかったのだ。
「あの……まーびぃさん?」
「え? あ、ああ……」
はっとして我に返ると、落ち着いて身体の重心を元に戻した。

「うまく、いきそう?」
「分かりません……とりあえず、試運転してみないと。
でもまあ、今日のところはこれで終わりにします」
「ん、おつかれさま」
転びそうになった時の驚きを隠しこんで、まーびぃは
にっこりと笑いながらそう言った。 

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投稿日 : 03/08/19-13:29 
投稿者 : 緑魔導師  


一方、ノヴァの一室にある丸い大きな窓から椅子に座って
星々の大海を見ている緋色の髪の少年がいた。
ディッセだ。
この果てしなく続く大海を見て、
彼は何を思ってるのだろうか。
今後の事か?
想い人・・・の事か?
それとも・・・?

コンコン。

ドアのノック音。
その音に素早く反応するディッセ。

「誰だッ!?」
「ディッセ君?僕だよ?入っていい?」
「ああ。いいぜ。」
「おじゃましま〜す。」
ドアが開き、そこには食堂から帰ってきたカービィがいた。
丸い窓の方に椅子を向けているディッセを見て、
カービィは彼に言った。
「・・・?星を見てたの?」
「ま、まあな。」
普段と違うところをカービィに見られて、
照れ隠しするディッセ。そして、
「・・・あ、あのさ、あん時はごめんな。」
「ん?何の事?」
カービィは不思議そうな顔を浮かべる。
「俺が迷い込んでるお前を見て殴っちまったことだよ!
・・・あん時は、ちょっと俺もムシャクシャしてたし、
それに俺、こんな性格だから、
ウジウジしてる奴につい、殴っちまうんだ。
・・・あん時は・・・悪かったな。」
うなだれながらカービィに言う。
しかし、カービィは微笑んでた。
「ううん、気にしないで!僕は大丈夫!
・・・だけど、今でもレモンのこと、気になってんだ・・・。
・・・でも、でもね、あの時の、
殴られた時、ディッセ君のあの言葉、
僕、好きだよ。 え〜〜と、確か・・・
『大切なのはそれを・・・』
え〜〜〜と・・なんだっけ?」
「『大切なのはそれをバネに・・・』
・・・悪りィ。自分で言ったことなのに
俺も覚えてねえや。」
二人から笑いがこぼれる。

大切なのはそれをバネに前に進むこと・・・

今のカービィにとってはとてもいい響きの言葉だった。
そして、しばらくしてディッセが口を開いた。
「なあ、カービィ、フレイマーって奴、知ってるか?」
「うん、知ってるよ。火の玉になって体当たりしてくる奴でしょ?」
「じゃあさ、蒼フレイマーって知ってるか?」
「蒼フレイマー?青いフレイマーのこと?」
「いや、ただのフレイマーじゃねえんだ。
俺の故郷の星にそいつらの住む里があるんだ。
そいつらは他のフレイマーにはない特殊な力を持ってるんだ。
・・・その中に俺の親友の様な奴がいるんだ。
俺が旅の途中に出会った奴で、
そいつがさあ、真っ直ぐで単純なやつでさあ・・・
すぐ意気投合しちまったんだ。
それからそいつと一緒にいた。
けど、俺が守護神になってから全然会ってねえんだ・・・」
しみじみと昔を思い出すディッセ。
「あいつ、今頃どうしてんだろうな・・・」
「多分、離れていても、守護神になっても、
その人はディッセ君のこと心配してると思うよ。
・・・友達なんでしょ?」

「・・・そうだな。あいつならあいつらしく
生きてるかもしれないしな。俺がウジウジしたってダメだもんな。」

カービィの言葉を聞いて安心したのか
彼に笑みが浮かぶ。
そして、椅子から立ち上がり部屋から出ようとしたとき、
彼は振り返ってカービィにこう言った。

「ま、いろいろと心配してくれてありがとな。
あと、俺が言ってた言葉、忘れんなよ。
またウジウジしてたら本気でブン殴ってやるからな!!」
彼は得意気な顔をして廊下の方へ走っていった。
カービィは満足した顔でディッセを見送り、
彼が座っていた椅子に座り、
窓の外の星々の大海を見ていた。
一際輝く薄い桃色の星を見て、
突然行方をくらまし、
あの時、確かに声が聞こえた
妖精・・リボンのことを思いながら・・・

「リボン・・・必ず探してあげるからね・・・!」

赤、黄、緑・・・に輝くたくさんの星達が、
カービィ・・・ノヴァを見守っていた。

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