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Another story of Kirby 第二部 [64]



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投稿日 : 03/10/16-09:36
投稿者 : yuletear  


廊下を行き交うダークマター達はそれぞれの持ち場を決めて
慌しげに分散していった。
先ほど遭遇したリペヤーという少年の指示で自分達を
探しているのだと思うのだが、
それにしてはちょっとずさんだな。とグレンは思った。
ソルビィとまーびぃも同じことを思ったのか、
顔を見合わせている。

やがて廊下の前から完全にダークマターの気配が無くなった頃、
ソルビィがふぅ…と小さく溜息をもらした。
隠れた部屋は暗く、かと言って明かりをつけるわけにもいかなかったが
その暗闇に目がなれてきたこともあり、
3人は警戒しながらも、この部屋が何の部屋であるか確認するべく
周囲を見まわした。 

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投稿日 : 03/10/16-09:47
投稿者 : ひでぶ  


何も置かれていない、殺風景な部屋。
ダークマター用の生活品も、会議で使われるような卓もない。
中心に水を貯めるようなプールが存在するが、これでは、敵が入ってきた時
隠れたりするのには使えない。

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投稿日 : 03/10/16-09:57 
投稿者 : yuletear  


「こんなところにプール?」
他にこれといって何もない部屋で、貯水用か何か…
ともかく用途不明のプールはえらく目立った。
気になるのだが、それを気にしている時間が無いのは確かで
運良く通気口を見つけた彼等は
最初と同じ要領で即席の足場を作り、再び通気口の中へ潜り込んだ。 

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投稿日 : 03/10/16-10:03
投稿者 : ひでぶ  


ソルビィ達が通気口に入り込んでから間もなく。
プールの部屋の天井が膨らみ始め、そこに大きな液体を湛えた。
透明な液体はプールの中に落ち……やがてそれはヒトの形をとる。

アムスフォードは、外れた通気口の網をおもむろに睨んだ。 

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投稿日 : 03/10/16-10:13 
投稿者 : yuletear  


通気口の中は相変わらず埃っぽい。
そんなことに文句を言っている場合ではないので、
3人は端末があった部屋へと進み始めた。

「え……?」
一番後ろに居るまーびぃが、小さいながらもやや驚いた声を出して
後ろを振り返った。
「どうしたんですか?まーびぃさん。」
すぐ前を進んでいたソルビィが彼女に問い掛けたが
まーびぃは首を振った。
「なんでもないんだ。それより急ごう。」
何かすっきりとしない感じがしたが、ソルビィはそれ以上は何も言わなかった。
やがて進む先が少し明るくなる。
「さっきの部屋ですね。早いところパスワードを解きましょう。」
グレンはそういうと、音を立てずに部屋へ降りた。

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投稿日 : 03/10/16-10:25
投稿者 : ひでぶ  


「リペヤー様、見つからないのです」
「きっと奴らは逃げたのです」
報告に来た2体のダークマターがたたみかけるように喋る。
「そんなことあるもんですか、きっと彼らは作戦を偵察しにきたに
違いない。ちゃんと探したのですか?」
2体のダークマターは、顔を見合わせてから、リペヤーに言う。
「たくさん探したのです。もうどの通路も、どの部屋も見たのです」
「もう帰るです、僕達は今日非番なのです」

リペヤーはその答えに口を「ヘ」の字にした。
だが、ふと考えつき、帰ろうとしたダークマター達を呼び止める。
「アムスフォードさんの部屋は? あそこも探しましたか?」
2体のダークマターは、再び顔を見合わせる。
「あのヒト、僕達ダークマターが部屋に入るの、すごく嫌いなのです」
「僕達があの部屋に入ったら水圧で圧死させられてしまうのです。
リペヤー様ご自身がアムス様にお願いしてほしいのです」

結局帰っていったダークマター達を見送って、リペヤーは溜め息をついた。

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投稿日 : 03/10/16-10:35
投稿者 : yuletear  


ダークマター達の言う事は正しい。
彼がここに来た当初、何匹ダークマターが犠牲になっただろう。
アムスフォードさんはダークマター達が
自分の領域に入ってくることをひどく嫌う。
だったら何故、こんなところにいるんだろう。と僕は常々思っていた。
だけど今はそんなこと考えてる場合じゃない。
さっき見つけた3人組は、絶対怪しいことに間違いないんだから。

静けさが戻った廊下を歩く。
ぶら下げたバケツが少しへこんでいた。
相手に当て損ねただけじゃない。
急激な温度差で変形してしまったのだ。
「…大事なバケツなのに。」
自然とふくれっつらになるのも気にせずに、リペヤーは一室の扉を叩いた。
「アムスフォードさん。リペヤーです。失礼しますね。」
特に拒否もされなかったので僕はそのまま部屋へ足を踏み入れた。

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投稿日 : 03/10/16-10:47
投稿者 : ひでぶ  


その瞬間。水の塊が勢いよく飛んできた。
「ぶっ」
水撃砲の直撃を受けたリペヤーは通路まで飛ばされて、壁に叩きつけられた。
なおも水撃は止まずに、アムスフォードとリペヤーを結ぶ直線上だけが
大洪水となっている。

「同じことは言わない主義なんだ、何が言いたいか、分かるだろ」
「ず、ずびばぜん、勘弁じで」

アムスフォードが手を下ろすと、大量の水は嘘のように消えてなくなった。
「そこから一歩もこちらにこなければ、話は聞いてやる。何のようだ?」

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投稿日 : 03/10/16-10:57 
投稿者 : yuletear  


水が鼻の中に入ったらしい。
少しの間ぐすぐすとやっていたリペヤーだったが、
アムスフォードの射るような視線を感じて、一度だけ咳込むと言った。
「さっき侵入者がいたんです。アムスフォードさん何か知りませんか?」
リペヤーは自分が見た侵入者の特徴を身振り手振りをしながら
アムスに伝えた。
「そっちでは見つからなかったのか?」
青く澄んだ瞳をすぅ…と細めて、アムスフォードはリペヤーに聞いた。
「…だから、アムスフォードさんにも聞いてるんです。」
少し不機嫌な表情を浮かべてリペヤーは肯定した。
「ふん……。」
黙ってしまったアムスフォードにリペヤーが訝しげな顔をして
一歩踏み出そうとした。
「同じ事は言わない主義だと言った筈だが。」
手をあげる仕草にリペヤーの動きが止まる。

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投稿日 : 03/10/16-11:08 
投稿者 : ひでぶ  


「……知らないな、そんな奴らは見ていない。この部屋にもいない」
「そうですか、分かりました。じゃあ、僕ももう諦めます」
くしゃみをひとつして、去っていくリペヤーには、もうアムスフォードの
視線は向けられていなかった。彼は水の力で扉を閉めるとにやりと笑い、
その身を液体に変え、開いた通気口の中へと潜り込んだ。 

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