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遥かなる旅の果てに [33]



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投稿時間:05/02/10(Thu) 16:48
投稿者名:らいむ


「キャー!!!」

マリアを乗せた丸いケースはいきなりピタリと動きを止める。

「ふが!」

お約束のごとくマリアは丸いケースの壁にぶつかった。

「あたた・・・。ん?」

ぶつけた額をさすりながら、顔を上げる。そこには先ほど、【目的地アシュル】と表示されたところに、新たな文字が表示されて
いた。

【コレカラ、空間ワープヲシマス。非常ニ激シク揺レマスノデ、ゴ注意クダサイ】

「うそぉ・・・?」            

マリアが呟いた瞬間、周りの景色が変わった。

「ギャーーーー!!!」

物凄くガタガタ揺れる丸いケースの中で、マリアは絶叫した。

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投稿時間:05/02/12(Sat) 10:59
投稿者名:一太郎


飾り気の無い、簡素な部屋―艦長室。
十瑠は扉を開け、部屋に入るとずっと小脇に抱えていたヤナギのマントを机に置いた。
と、同時に、カサッという紙の音。
「・・・?」
疑問に思い、マントを良く調べてみる。
音の原因は、すぐにわかった。
マントの内側に紙が何枚か・・・いや、手紙だ。
封筒に入った手紙が何通か仕込んであった。
気になったため、1通だけ手に取ってみる。
無論、すぐに戻すつもりだった。
だが、宛名を見て、好奇心を掻き立てられた。
宛名には『イチタ君へ』と書いてあった。
気になり、他の手紙の宛名も見てみる。
ユカリ宛て
オミニア宛て
クヌギ、ルナギ宛て
・・・
おかしい。
ユカリやオミニアなどは分かる。親友と生みの親だ。
なのに、その中にイチタ宛て?
・・・気になる。
気付けば、十瑠の手は封筒を開き、手紙を取り出していた。


『イチタ君へ

この手紙を読んでるってコトは、あたしはもう生きてはいないと思います。
生きているうちに、できれば気持ちを伝えたかったけれど、この手紙はそれが無理だったコトを表しています。
手紙だから、言えます。
あたしは、貴方が好きでした。
好きと言っても、美味しい、美味しくないの意味ではなく、異性として、です。
そう、あたしは貴方を愛していました。

初めて貴方に会った時は、敵同士でした。
でも、敵の貴方に好意を持っていたのは、事実です。
色々なコトがあり、貴方と共に行動するようになってから、その好意は愛へと変わっていったようです。
行動を共にできたのは、僅かな時間だったけれど、それはあたしにとって一生分に値する思い出になりました。
心からお礼を言えます。

ありがとう―――』


十瑠は困惑していた。
ヤナギがイチタを愛していたというコト以上に、
「これでは、まるで遺書じゃないか・・・」
死を現す文面に、不安を覚えた。



火山活動は活発化していた。
煙は濛々と舞い上がり、時々地響きが起こる。
軽く自己紹介を走りながら終えた4人は、マトリエス号へとイチタの先導で走り続けていた。
「マズイな・・・かなりの広範囲に被害が及ぶぞ・・・」
ラダスが舌打ちする。
「もう少しで着くはずだ。方向が間違っていなければ。」
イチタが振り返らずに言った。
やがて、ジャングルを抜け、視界は開ける。
そこには、マトリエス号があった。
方向は間違っていなかったらしい。
「あれだ。マトリエス号だ。」
イチタが走るのを止め、歩き始める。
「立派な艦だね。」
デットが言う。
「とりあえず、艦長である十瑠に話をするべきだな。」
イチタが言う。
と、その時、艦から1人の少年が出てきた。
アシュルだ。
「イチタ!」
駆け寄り、言った。
「何処行ってたのさ!」
アシュルが訊き、辺りを見回す。
「何が起きてるの?火山活動が活発化してるみたいだけど。」
「あとで、話すよ。」
イチタがアシュルに言い、マトリエス号へと入っていく。
ラダス達もその後に続いた。
アシュルは首を傾げる。
イチタの顔が、翳ったような気がしたからだ。
火口付近を見ると、吐き出される煙の量はますます増えている。
一刻の猶予も無さそうだ。
マトリエス号へと戻ろうとした時・・・
ヴンッ、と空間が裂けるような音がし、
がっつん、とアシュルに何かがぶつかった。
吹っ飛ぶアシュル。
受身を取り、ぶつかった物を見てみる。
そこには、何か卵のような丸いケースが浮揚していた。
と、ケースが開き、中から人―少女が落ちた。
「きゃっ。」
幼い声。
見た目も自分と同い年くらいか、とアシュルは思った。
「君、大丈夫?」
一応、訊く。
「は、はい・・・」
少女は身体を起こす。
少しクセのある茶の長髪に黒い瞳。
何処と無く自分に似ている少女を、アシュルは何処かで見たような気がした。
そして、その答えは少女が出してくれた。
「アシュル!ホントに会えた!」
「は?」
「私、マリアです。覚えてない?」
「マリア・・・?」
考える。
・・・1秒にも満たない間に・・・
思い出した。
「マリア!?所長の娘の!?」
驚くのも無理は無い。
彼女、マリアはアシュルが両親を亡くしてから養ってくれた研究所所長の娘だった。
一緒に暮らしていたのだが、1年前、宇宙に飛び立つ時に別れを告げた。
もう、会うコトは無いと思っていたのだが。
「何でここに?」
「ん〜、話すと長くなるけど・・・」
マリアが説明する。
どうしてもアシュルに会いたかった為、自分で機械を作ったコト。
機械の誤作動で異空間に飛ばされたが、リステイトが力でここまで送ってくれたコト。
そして、今、ようやく会えたコト。
「大変だったんだね・・・」
アシュルが笑みを浮かべる。
「とにかく、皆にも紹介したいから艦の中に入ろう。」
アシュルがマリアに言う。
「うん。」
マリアが、嬉しそうに言った。

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投稿時間:05/02/13(Sun) 18:43
投稿者名:季節風


とある一つの大きい火山に向かって黄色い目の仮面の羽を持つ者が話をした。
「にゃぜこの火山だけ…」
少々わかりにくい言葉になっている。この火山だけ他と比べて活動が微妙に違う。
「あぁ、俺様の溶岩が…」
うめき声が聞こえた。
「どにゃたでしゅきゃー?」
「誰だい?このヨガン様に名前を尋ねる時はまず自分から名乗れよ」
「私ですか?わらしはシトカですぅ」
自分をヨガン様と名乗る溶岩に向かい、シトカは普通に答えた。
「あぁ、この宇宙一かっこよくて綺麗な俺様に何のようだ?
あいにく、サインはお断りだ。できないからな」
溶岩の中から黒い目、口が出てきた。
「しょーいうにょであありましぇん。この星の火山はそりょそろ噴火すりゅのでしょう?」
「そうさ、俺様の美しすぎる体が流れてしまうのさ」
ヨガンは少し悲しそうだ。
「とゆうことぁここはこりぇからすたーなのですか?」
「当たり前だろう。しかしシトカとか言ったな。君は少々言動がおかしくないか?
このヨガン様の前ではもう少ししっかり喋って欲しい」
「普通にしゃべってまひゅよ?」
この時、ヨガンが立ちくらみを覚えたのは言うまでも無い。
「あ、ああ、そういうことにしておきたまえ。
で、そろそろ俺様の美しい体が流れ出すが、普通は溶けてしまうだろう」
「しょおですか。それであ失礼します」
シトカは羽で飛んで言った。
「…あぁ、俺様の体が」
ヨガンはずっとその言葉を繰り返していた。



(かなり噴火までの時間が近づいています…マトリエス号の周りも慌しく…マトリエス号?)
シトカは考えた。マトリエス号があるからだ。
(敵の船を落すか…乗り込む…それも得策でしょうか?)
シトカは船に乗り込むか落すか考えた。
前に戦った者が乗っている場所。ゼロツーの部下と知れればどうなるか分からない。
落すには時間がかかる。自分も溶岩に飲み込まれるか、降ってきた火山岩に当たるだろう。
密航には見つかれば危険だが、バレなければ大丈夫。

…方法はこれだったら大丈夫だろうと勝手に確信した。
実行に移した。


マトリエス付近

ゼロ達がマトリエス号の中に入り、それより少し離れた場所ではユウがタレていた。
(チャンスです!!)
何か意気込みを入れて、急いで飛んでマトリエス号に入っていった。


中はいろいろな声が聞こえた。扉が沢山あり、周りを見渡さなければいけなかった。
扉の隙間から覗いていき、食堂等の近くを通ったり、人から隠れたりしていた。
と、その時、扉の隙間から覗くと、人のいない倉庫があった。
(良いタイミングです)
ほこりをかぶった物の詰め込まれた倉庫の奥の隙間になんとか入った。
「……」
シトカは固まった。隙間に入ったのはいいが、動けなかった。
倉庫の物と物の間に丁度挟まってしまった。
そのまま見つかってはいけないので声が出せず、電波も送信できずにそのままシトカは出られない気がしていた。

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投稿時間:05/02/21(Mon) 20:11
投稿者名:一太郎


マトリエス号会議室。
そこにあるのは長い机が幾つかとその分の椅子。
そして、何人かの人。
その中の1人が椅子から立ち上がった。
艦長の十瑠だ。
「火山活動が活発化しているが・・・イチタ達は何か知っているのか?」
十瑠がついさっき帰還したイチタ、それと搭乗したラダス、デット、28号に訊いた。
「・・・ああ、知ってる。」
「良かったら教えてもらえないか。」
一瞬イチタの顔が翳る。
だが、すぐに顔をあげ、事態を話し始めた・・・

「ヤナギが・・・?」
十瑠が戸惑いを顔に表しながらも訊き返す。
「あぁ・・・あいつはあいつ自身の闇と共に、散った・・・」
イチタが拳を握り締める。
「そして、ユカリも行方不明・・・か。」
ゼロが言う。
「火山の噴火までさしたる猶予は無いだろう。火砕流を食い止めることは流石に厳しい。それまでになんとかユカリを見つけ出し、
この星を発つ必要があるだろう。」
「炎の欠片は敵方の手に渡ったが器はこっちが手に入れた。この星に残す物はもう無いだろう。全員がそろい次第、コレカラスタ
ーから脱出。これで行こう。」
十瑠の言葉で会議は締め括られた。

続々と皆が会議室から出て行く。
そんな中、未だに椅子に腰掛けたままのイチタに十瑠が話し掛けた。
「イチタ。」
「・・・どうした?」
十瑠が、手紙、ヤナギの手紙を取り出し、イチタに渡した。
「ヤナギからイチタへの手紙だ。読んでやってくれ。」
「手紙?」
イチタが封筒を受け取り、手紙を取り出す。
目線が文を追う。
やがて、目線を文面から上げ、手紙を机に置いた。
「・・・俺のせいだよな。」
イチタが苦々しげに言う。
「俺がヤナギを力ずくでも良いから助けていれば・・・」
やり切れない想いがイチタの心を支配する。
あまりにも唐突過ぎる手紙の文面と、自らの未熟さ故にその手紙の主を失ったという2つの圧迫。
「・・・護りきれなかった・・・」
イチタが十瑠に向き直って、言った。
「手紙を渡してくれて、ありがとう。」
イチタが立ち上がり、会議室を出て行く。
十瑠はその背を、複雑な想いで見つめていた。
励ましたいが、どのように励ませば良いのかがわからなかった・・・



噴煙が濛々と吐き出される火口。
それを眺めつつ、イチタは刃が今は無い、ルインズ・フェイとの鞘を手に取った。
・・・あの日。
ルインズ・フェイトをとある惑星の盗難市で購入し、アシュルを護ると誓ったあの日。
友を護ると誓ったのはあの日だ。
それ以来、必死で仲間を護ってきた。
だが、皮肉にも護ると誓ったその剣で、仲間を、殺した。
・・・悔しかった。
拳を握り締める。
・・・仲間を失うのは、嫌なのに。
頬を伝うのは、一筋の涙。
・・・まだ、仲間を護れるだけの力が無いということか。
それならば。
ヤナギの死は、無駄にしない、否、できない。
今以上に力を得、これ以上、仲間は失わせない。
俺は、仲間を護る。
「おい。」
そんな折、声が掛けられた。

金髪の男、ラダスが立っていた。
「・・・何か用か?」
ラダスは無言で何かを放った。
イチタがそれを受け止めると、ラダスは言った。
「抜いてみな。」
「なんだ?いきなり。」
「さっさとしろ。」
ラダスが無表情で言う。
仕方なくイチタは受け取った物、2振りの剣を鞘から抜き放った。
青い刀身が姿を現す。
光の当たり方によっては、漆黒へと姿を変える、美しい刀身。
刀身に眼を奪われていると、ふと、脱力感。
同時に、体内が沸き立つような感じが身体中を走った。
「・・・っ?これは!?」
「剣自身に秘められた魔力がお前の微弱な魔力を増幅している。」
「・・・何?」
「その剣はルインズ・フェイトとは比べ物にならない魔力の増幅効果を持っている。」
ラダスが表情一つ変えずに言う。
「お前の魔力と意思が剣に不相応ならば、剣はお前の全てを貪り尽くすだろう。だが、剣がお前を認めた時、剣はお前を主として
認める。」
ラダスが口の端をニヤリと曲げ、続ける。
「お前を試させてもらった。その剣を使いこなせるか、否か。」
やがて、イチタを襲う感覚が無くなる。
剣はイチタの手に馴染み、仄かな、淡い光を刀身に携えていた。
「剣はお前を認めた。友を、仲間を護るため、刃を振るえ。」
ラダスが踵を返し、艦内へと去っていく。
「情に任せ、我武者羅に剣を振るうことはできない。剣はそれを拒み、刀身は鞘から現れることは無い。つまり、剣は抜けない。」
ラダスは立ち止まり、言った。
「まァ、お前なら道を踏み外すことは無いと信じているがな。」
「・・・銘は?」
「『エターナル・シンメトリー』。『永遠の調和』だ。」
ラダスが艦内に姿を消す。
イチタは改めて双剣を目の前に翳す。
そして、言った。

「俺はこの剣で友を、仲間を護ることを誓う。遥かなる、果ての無き旅であろうと、天寿を全うするまで、仲間をこの手で、この
剣で護り抜いてみせる。・・・ヤナギ、お前が証人だ。」

火山を見て、イチタは誓った・・・

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えー、なんだかんだ言いながらもイチタの剣が新しくなりました。
伴って、魔力もアップ。魔法の威力が上がったと信じます。(何
エターナル・シンメトリー(Eternal Symmetry)(←スペル間違ってるかも)
通称、永遠の調和。
光の当たり具合によって青かったり黒かったりする剣。(ぇ
ミスリル製です。

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投稿時間:05/02/21(Mon) 19:57
投稿者名:Bomb


倉庫の物と物の間に丁度挟まってしまったシトカ。
ただひたすら時間だけが過ぎていく。







ただひたすら時間だけが過ぎていく。








ただひたすら時間だけが過ぎていく。








もう一生出られないかと思ったその時、背後で扉が開く音がした。
誰が入ってきたのかは、荷物の位置的に見る事が出来ない。
扉が閉まる音がすると、少しして背後から声が聞こえてきた。

「こちらレディ。マトリエス号の中に潜入した。」
女性の声だ。どうやら背後に居るのは女性で、名前をレディと言うらしい。

「こちらPSPマン。そうか、それは良かった。船内はどうだ?」
今度は別の者の声が聞こえてくる。男性の声だ。
ややノイズが掛かっている所を見ると、通信機を通しているのだろうか。
レディにPSPマン、共にシトカの知らない名前だ。

『レディ』が早口で一気に喋り始める。
「私が見た限り、全ての船員は人間のようだ。だが、一人や二人くらいは人間ではない者が居るかもしれない。
船員の正確な数は不明。それなりに多かったが問題無い数だ。
この船に兵器が装備されているかどうかはこれから調べるが、無い可能性が高い。
警備は悪い。私が見る限り監視カメラの類はなかったし、船員も、互いの顔が把握できていないようだ。
一応気配を『操作』して見つからないようにしていたが、
もし見つかったとしても『新しくこの船に来たレディだ。宜しく』とでも言えば怪しまれなかっただろう。
最も、潜入なんかせずに正面から戦っても、私は負けんがね。
話を戻す。この警備状況だと、こいつらから見た敵陣営のスパイが入っている可能性も高い」

「待て」
『PSPマン』が口を挟む。
「敵陣営、だと?」

「ああ、どうも、時間を止めているのはこいつらではなく、こいつらと敵対している奴ららしい。詳細は完全に不明だ。」
『レディ』がその質問に答える。やはり早口だ。こんなに一度に喋って息切れしないのだろうか。

「なにぃ?くそ、人間め、殺し合いをするのは自由だが、関係ない所に迷惑を掛けるな。」
『PSPマン』が憎らしげに呟く。

(うーん、どうやら、この人とその仲間はデストル様の配下ではなく、他の第三の勢力の人達らしいですね)
物と物の狭間で考え事をするシトカ。第三勢力の者なら『レディ』の姿だけでも確認したかったが、この状況では不可能だ。
下手に動いても見つかるだけだろう。

「分かっている事はそれだけだ。これからどうすればいい?」
指令を催促する『レディ』。

「そうだな・・・お前の情報によると、こいつらを殺すだけでは事態は収集しなさそうだ。
今は様子見をするしかない。取り合えず、エンジンを発見し、そこに爆弾を仕掛けるんだ。」
『PSPマン』は少し考えた後にそう言った。

「なるほど。今は待ち、時が来たら最適のタイミングで爆破するのだな?」
納得したように言う『レディ』。
今すぐ爆破されたら自分も堪らないが、少なくともまだ平気だろうか。だが、早めに船を下りた方が良さそうだ。

「そういう事だな。あと、機会があったら、船員や船のデータも入手するんだ。」
「了解した。最も、お前と違って私なら、データなんか無くとも負けんがね」
「…早く行けっ」
プツンと電源が切れるような音が聞こえる。どうやら通信を切ったようだ。



  *  *  *



「ふう。…タバコでも吸うかな」
レディはそう呟くと、右手で胸ポケットからライターとタバコ一本を取り出した。
そのまま器用にライターを持ったままタバコを口に加える。

「このボディは収納が少なくて不便だな…」
レディは手馴れた様子で加えたタバコに火をつける。タバコの先端から灰色の煙が上がる。



と、その時、部屋の扉が開いた。



「誰か居るんですか?」
入ってきたのはルークだった。
ルークはふと、足元にある何かに気付く。

「これは…」
屈んでその何かを指で摘み、目の前に持ってくるルーク。
これは…タバコの吸殻のようだ。

「(誰かがここで吸っていたんでしょうか?こんな埃っぽい所で吸ったら、火事になる可能性があるとは思わないんでしょうか?)」
吸殻をまじまじと観察するルーク。
先端を触ると、まだ暖かい。ついさっきまで吸われていた物のようだ。
つまり、吸っていた者はまだ近くに居る可能性が高い。

「この緊急事態にこんな所で隠れてタバコを吸っている悪い人は誰ですか?」
視線を吸殻から倉庫の中に向け、吸殻を持ったままゆっくりと立ち上がるルーク。


バタン


「え?」
思わず後ろを振り向くルーク。扉が…閉まっている。
更に、ドアノブも無くなっている。
扉を右手で押してみる。開かない。両手で力を入れて押してみる。開かない。

「…閉じ込められた?」


倉庫のすぐ外。
レディは中から扉を叩いているルークの様子を見てニヤリとすると、
左手に持ったドアノブを胸ポケットに仕舞い、右手に持ったバトンを消してすたすたとその場を立ち去っていった。


  *  *  *


目の前にまで来ていた宿主に最初に気付いたのは、メタナイトだった。
「お前は…」
メタナイトは宿主に話しかけようとしたが、宿主の様子に気付いたのか言葉が途切れる。
クヌギ、ジョニーも宿主に気付く。

「ん?あんたも仲間かい?俺は・・・」
宿主に近づこうとしたジョニーを、メタナイトが手で制する。
「何だよ?」
「あんた…気付いていないのか?奴の殺気に…」
下げていた槍を上げ、宿主の方に構えるクヌギ。メタナイトもギャラクシアを構える。
宿主は身動き一つしない。

「え?な、な、な………」
ジョニーは一歩後退り、宿主の様子を確認する。そういえば、何か殺気の様な物が奴の体から発せられているような…

「戦うつもりか?冗談だろ?喧嘩はいけないって学校で習うじゃあないか。へ、平和的に解決しようぜ」
顔を引き攣らせ、再び一歩後退りするジョニー。
メタナイトとクヌギはジョニーの言葉を全く聞いていないかのように、宿主と睨み合っている。


「……よ、よし、武器を持っているお二人さん、前方は任せる」
宿主に聞こえないよう、メタナイトとクヌギに小声で話しかけるジョニー。
「俺は後ろから援護するぜ。敵を近づけるなよ」

そう言うなり、ジョニーは素早く宿主とは反対方向に走りだす。
やがてメタナイト達が米粒程の大きさにしか見えなくなると、適当な木の後ろに隠れた。
木の後ろで髑髏の刺繍の帽子から、巨大な拳銃を取り出すジョニー。

「絶対に近づけるなよー!」
ジョニーが声を張り上げて叫ぶ。
メタナイトとクヌギはそれを無視した。


一瞬の静寂。


「行くぞ!」「行くで!」
メタナイトとクヌギは宿主に突進していった。


――――――――――――――――――――――――――――――
レディの設定追加です。
「『気配』や『音』など、目に見えない物も『操作』出来るが、
『重力操作』や『精神操作』等はパワーが必要なので上手く使う事は出来ないらしい。」
…マトリエス号のドアにドアノブなんて無かったらどうしましょう。

ジョニーは善良な一般市民(何 なので戦闘なんて出来ません。
ジョニーが持っていた銃は「M500ハンター」という名前の実在する銃です。
これは五発入るリボルバー式の拳銃で、「500 S&W マグナム弾」という専用の弾丸を使用し、
デザートイーグルの3倍の威力があり、熊をも一撃で倒す威力があるらしいです(カービィの世界ではどうか分かりませんが)。
普段から武器として使っていた訳ではなく、その為シリンダーに入っている五発以外の予備の弾丸は持っていませんし、射撃も素人並みです。
家に偶々あった武器を持っていっただけなんですね。

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投稿時間:05/02/21(Mon) 21:19
投稿者名:ダーク28号


「・・・ん?」
不意に28号が声を上げる
デットは、どうした?、と言う様な視線を28号に向けた
「生体反応に、何か異質な物がひっかかりました」
「どこだ?」
「むぅ・・・この艦の構造がよくわからないので、どこかってのはわかりません・・・」
デットの問いに28号が少ししょんぼりした様に答える
「んじゃ、その異質な物は動いているか?」
「えーと・・・動いている・・・いや、動いていない?」
再び出されたデットの問いに曖昧な答えを返す
「どっちだ・・・て、もしかしたら二つ居るんじゃないのか?」
28号は、なるほど、と手を合わせる
「まぁともかく、行ってみようか」
「ですね」
そうして、二人は歩き出した

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投稿時間:05/02/21(Mon) 21:11
投稿者名:踊る米玉・十瑠


ヤナギが、いなくなった。


もともとは彼女は敵だった。……だが、つい最近は仲間になれるかも
と思い始めていた頃だった。
そんな矢先に、彼女は火口へ己の闇と共に落ちていった……
彼女がイチタへ宛てた手紙には、彼女はイチタのことを想っていたと
書いてあった。
彼女は――あの明るさの裏に、寂しさを秘めていたのだろうか?
本当は……光の中へ来たかったのだろうか?
だが、彼女が亡き人となってしまった今では、真相は分からない。

艦長室の椅子に座りながら、十瑠は今までの出来事に思いを馳せる。
ポップスターへの着陸、カービィとの出会い、そして――今の仲間達
との出会い。
皆、一様に何かを背負っていた。その重さに負けないように、皆がそれぞれ頑張っていた。
……だから、ここまで来られた。
(時の停止を解除出来るまで、あと少し……)
十瑠はそう思った。師に、また会える。あの優しい笑顔で、自分の名を呼んでくれる日が来るのだ。
だが――失ったものも多かった。
この旅に加わる前に、既に何かを失ってきた者もいた。

時を戻せば、帰ってくるもの。
時を戻しても、帰ってこないもの。

(この戦いが、一体何をもたらすのだろうか……)
ここのところ、ゆっくりと体を休める機会がなかった様に思えた。
椅子に深く座り込み、目を瞑る。
(私達は、私達の大事なものの為に戦っている。
決して無益な殺し合いをしているわけじゃない。……決して)
十瑠は服の下に隠してある、シェリルに預かったペンダントを握りしめた。
ローズクォーツ……紅水晶。シェリルの家に伝わる、大事な家宝。



――……艦長さん、あなたは優しい人ですね。
それがあなたの良いところでもあり……弱点でもある――

シェリルが言った言葉が甦る。

――私の家に代々伝わってきたお守りで、負の感情やエネルギーから
心を守ってくれます――

でも、それはあくまで外側からのものからということだ。
内側――自分の思いまでは、効果は及ばない。

仲間を守れなかった。
守ってみせると、師に、ディアルトに誓ったのに。
もうこれ以上、犠牲を出さないと言ったのに……


――ケープ、お前……強いよな。両親いないってのに――


「私は……」
ディアルトとの思い出が、風にめくれる本のページの様に思い出されていく。


――ダカールさんの跡を継ぐんだろ? 俺より小さいくせになあ――



「私は強くなんかない!!」
艦長室で、十瑠は一人叫んだ。

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投稿時間:05/02/22(Tue) 01:04
投稿者名:プチかび


「どういうこと、イチタッ!!」
マトリエス号に帰還して数歩歩かないうちに。
鬼のような怒りの形相でイチタを睨みつけるのはイリス。
珍しく彼女はユカリの元にいなかった。
いや…居た事にはいた。
ただイリスが目を離した時…その僅かな時にイチタがユカリを連れて行ったのだ。
そして―――ユカリは戻ってこなかった。
だからイリスは激しい憤りに駆られていた。
イチタはそんな彼女を見やる、今までに無い冷たい眼差しで。
それが何を意味するのか彼女は理解したのか。
無言の威圧に流石のイリスも一歩だけ退いた。
イチタはそれを尻目に十瑠を初めとする者達と会議室へと消えていった。
「何なのよ、一体……!」
イリスはそれを眺めながら、そう一言だけ呟いた。


「…ほぇえ、思ってたより噴火の時は近いんちゃうか、これ…」
小型の宇宙船から下を眺めるのはユエン。
煙が窓を着実に覆いつつあるその限られた視野の中、ガタンと機体が揺れる。
「な、なんやっ!?」
慌ててモニターを見ると、そこにはあまり嬉しくない文字が点滅している。
『エンジン部に異常発生、緊急着陸要請
着陸後メンテンナンス開始、所要時間:約3分』
「…は、ハア!?
……なんでやあ、オレは見るだけでよかったのに……。」
文句を言いつつもどこか楽しげにハンドルを切る。
ゆっくりと降下していく宇宙船。
段々と地面が近づいてくる。
やがてふわりと着陸すれば、ユエンは即座に船を出る。
「……さあて、何しよっかな。」
宇宙船の位置を覚えるかのように見やった後歩き出す。
(にしても……この大噴火。時は止まってるはずなのに……)
―――もしかして、『時の束縛』が弱まっているのか?

なんにせよユエンにはあまり関係のないこと。
星の戦士を殺す―――それが彼の存在意義なのだから

彼は適当に詮索を開始する。何か面白い物が無いか、そう言った好奇心から。
表情はピクニック気分の楽しげな子供のようで

――ある意味時に見放されて

そのとき彼は何か、動く「者」を発見する。
少女のようだ。

――――ある意味時を止められた

「生存者発見、と……」

――――――哀れな青年。その名は―――結縁

ユエンはにやりと笑うとその人物の元へと、足を早めた。


「……どうしよう……」
完全に、離れてしまった。
虚ろげな目で火口を見つめる。
視線の先には舞い上がる煙、今にも流れださんとする灼熱の赤
――今でも、信じられない、「親友」の死―――
「…ヤナギさん……」
ポツリと呟く。
そのとき―――ぐらりと、何かがゆれる音。
「!!」
見上げればそこからジャングル特有の樹が、自分に向かって倒れてきていた。
何の影響を受けたのか――しかしこのままでは自分はこの樹の下敷きになる。
なのに―――
ユカリはその場から動けなかった、何も動かなかった。
―――!!
反射的に体を強張らせ、目を閉じる。

―ざくん、と何かが斬れる軽い音がする。
次に、ずしんと何かが倒れる重い音。

「だいじょぶ?」
「……?」
目を開ける。そこには一人の青年の姿。
ユカリはその姿に、一瞬目を奪われた。
「は、はい……」
かろうじてそれを口に出すと青年は軽く頷いて、倒れた木のほうを見る。
「この樹が倒れたのは火山灰の影響かなあ、なんか植物とかにも異常をきたすんかな……まあ吸ったら健康に良くなさげやもんな……」
ユカリに聞かせるというより、自分で納得するために言葉にしているかのような口調。
「……君、どっからきたか覚えとる?」
ふ、とユカリの方を振り向き青年は問う。ユカリは胸が高鳴るのを感じながら。
「……はい……でも……見失っちゃって……
それで、一人になっちゃって……」
手を離したのは自分。
それでも、やっぱり心細くて。
泣きそうになるユカリの頭に青年は手を乗せて軽く撫でる。
「そーかそーか。でもだいじょぶ、オレも探してやっから」
ニカッと微笑まれる。何故かその笑顔に安心感を覚える。
直後、地面が揺れる。近い。青年は軽く舌打ちして。
「せやけど……此処にこれ以上居るのは危険やから、
一旦空へ避難するで……走れる?」
青年が問う、ユカリは軽く頷く。
「よし、ほないくで!」
青年がユカリの手を引いて走る。ユカリもそれについていく。
灰色の風を切って走るユカリ。
先ほど幼なじみに手を引かれたときとは何か違う気持ちが、同時にユカリの中を走っていた。
――――この気持ちはなんだろう。


一方マトリエス号では苦渋の決断が下されようとしていた。
会議室。そこでそれは起こった。
そこには先ほど居なかった仲間も居る。
ただ艦長の十瑠の姿はそこに無く、又他の仲間全員がいるかと言えば答えはノー。
「ユカリを置いていくだと!?」
そんな中珍しく怒気を上げて言うのはイチタ。
がたたん、と音を立ててイスから立ち上がる。
「……ああ。待つだけ待った。だがこの火山灰の影響かレーダーが上手く作動しなくて結局ユカリの位置は探れなかった。
最早限界だ、このままではマトリエス号に被害が及ぶ。
……そうなれば当然、乗務員は全滅だ」
苦々しそうな顔でゼロが言う。
隣にいるリヴリィーナも複雑そうな表情をしている。
「だからって……!」
言いかけて、ぐらぐらと艦が揺れる。同時に言葉に詰まるイチタ。
すとんと座ると、軽い深呼吸をする。
「……いや、なんでもない。イリスにはどう伝えるつもりだ?」
「…正直に話す事にする。隠そうとした所ですぐ見抜かれるだろうからな」



―――巨大万能戦艦マトリエス号がコレカラスターから離陸したのは、それから数分後だった。



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