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遥かなる旅の果てに [36]



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投稿時間:05/07/09(Sat) 10:56
投稿者名:一太郎(焉)


「これでひとまず・・・マリアはどう?」
「うーん・・・クリスタルの損傷はなんとか修復できたけど・・・内部に含まれたエネルギーが大分漏れ出しちゃったみたい。なんとかしてエネルギーを充填しないと。」
「エネルギークリスタルの内部エネルギー?・・・どうしよ。」
アシュルが頭を掻く。
エネルギークリスタルの内部エネルギーは電気だとか熱だとか、そういったポピュラーなものでは賄えない。
人知を超えたエネルギーを含まれているが故に、貴重な資源と呼ばれている。
「うーん・・・」
「よーっす!!!」
アシュルとマリアが考え込むとほぼ同時。
ドカッと扉が蹴破られ――鍵なんて閉まってないのに――オレンジのバンダナの少女が機関室へと入ってきた。
少女―ティーラの手には黒い物体・・・イチタ。
「エネルギー方面なら俺とこいつの剣とそこのルークに任せとけぃ!」
「って、怪我してるじゃないですか!イチタ!」
アシュルが驚いて言う。
「んー、ちょっとレイラが裏切ってなー。ま、それはおいといてエネルギーだ。エネルギー。」
ティーラがマリアからクリスタルを受け取る。
「というワケで、そこのルーク。手伝えー。」
呼ばれたルークは一つ頷き、ティーラに近寄る。
イチタもふらふらしながらも立ち上がり、双剣を引き抜く。
ティーラはふと目を閉じる。すると、背から天使の翼が生えた。天使化だ。
3人がそれぞれ―ティーラは手を、ルークも手を、イチタは剣を―それぞれ翳した。
白く眩い、それでいて身の竦むような神々しさをその身に受け、アシュルとマリアは驚いた。

―――確かに、これは人知を超えた力かもしれない。



「十瑠さん、メインエンジン直りましたよー。」
機関室からの通信が入ったのは、十瑠が艦内の点検を全て終了した時だった。
「本当か!?よくやってくれたな!」
「これで惑星外に出ることが可能です。あー、あと、そっちにティーラさんとルークさんとイチタが戻りました。ルークさんとイチタは怪我してるので治療してあげてください。」
そう言い、アシュルからの通信は切れた。
「ふぅ、これで、一安心か。」
十瑠が安堵の息をつく。
だが、
「そうも言ってられないっぽいぜ、十瑠。」
「何?どういうことだ、ルクソル。」
「・・・食堂前で戦闘中。集音マイク曰く『イリスが精神操作されている。ブルーが交戦中』。」
「・・・」
十瑠が頭を抱える。
「どうしてこうも戦闘ばかり起こるんだ、この艦は・・・」
・・・嘆息。



近距離では力で負けてしまう。
遠距離を取れば不可視の波動が襲い掛かる。
戦況はブルーの圧倒的不利。
「・・・せめて、食堂に誰かがいてくれればいいなぁ・・・」
ブルーが苦々しげに呟く。
呟きながらも、ブルーはイリスへと手を翳し、大気中の水分を凍結させる。
イリスの周囲に氷壁が構築され、動きを止める。
だが、仲間であるイリスを傷つけることはできないため、斬りかかるわけにもいかなかった。
打開策は探しているが、みつからない。
イリスの身体を完全に氷で閉じ込めてもいいのだが・・・艦内の通路が狭すぎるためにそれを成すことはできない。
「いったい・・・どうすればっ・・・!」
ブルーが嘆くと同時に、イリスは氷壁を打ち破った。
きらきらと氷の粒が舞う中を、イリスは鎌を振り被りつつブルーへと接近した。



火口付近。
レッドとイレイサーは佇んでいた。
火口は濛々と噴煙と熱風を吹き上げ続けている。
「この星も間もなく溶岩で覆われる。ユカリさんを一刻も早く見つけないと・・・」
レッドが呟く。
「・・・妙ですね。ユカリ様の波動が高速で移動しています。・・・これは、何かに乗っているのでしょうか?」
「何か、に?」
ラウムの言うことに、レッドは首をかしげた。
その時、火口の上空を一隻の船が通った。
「船・・・?誰の・・・」
「ッ!あの船です!ユカリ様の波動が感じられます!」
「なんだって!?」



「噴火まで秒読みって感じやね。」
ユエンがどこか楽しみな様子で言った。
「ん・・・火口付近に誰かいるなァ。誰やろ。」
「え・・・?」
火口・・・ヤナギが散った場所。
そこに誰がいるのかが気になって、ユカリはそれを見下ろす。
そこには14の影。
ユカリは息を呑んだ。
見覚えのある姿が、火口付近に佇んでいることに対して。


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投稿時間:05/07/17(Sun) 16:23
投稿者名:さびかび


一方コレカラスターにはイレイサー一同以外にもう一同、
交戦中の者達がいるのを忘れてはいけない…

「出てくるなケルベロス!中に入ってろ!」
メタナイトは血相変えてそう言った。
「え、な、ほわっと!?」
どうやらケルベロスはまったく状況をつかめて無い様子である。
そして彼が状況を理解できず戸惑ってる間に後ろに忍び寄る影…
宿主…いや今はエオと名乗る宿主であった。

「調度良かった…やつが抵抗をし始めたので辛くなったとこだ…」
ケルベロスの背後から彼の首に手を当てる。
「くっ…」
「状況は理解できてる様だな…こいつに逝ってほしくなければ、
下手に動かない事だな!」
どうやら状況をやっと飲み込めたらしいケルベロスは手に持っていた
斧を握り締め…
彼が斧を握り締めた瞬間、背中に激痛が走った。
「余計なことはしない方がいい、今は背中を切り付ける程度で
済ましたが…次無駄なことをしようとしたら…
刺身にでもなってみるか?」
邪悪な微笑みを浮かべながらケルベロスの耳元で囁く。

「さて、元星の戦士の倒し方がこうでは格好がつかないが、これ以上
やってればあいつがまた出てくるんでな…悪く思うなよ…。」
そういいエオはもう片方の手をメタナイトに向ける…
そして彼が具現化しようとした瞬間…!

 ごめしゃっ

鈍い音が響きエオが倒れる。
彼の後ろには血がぽたぽたと落ちてる岩をかかえたクヌギがいた。
「えぇい、もう少しで噴火するって分からんか、ボケェ!」
そういいその岩をどこかに放り投げながらメタナイト、ケルベロス
とエオを全員抱えてハルバードに投げ入れる。

「はよう発進させて、仲間の船追いかけんと…」
そう言いつつクヌギはハルバードの操縦席にメタナイトを
引きずり込む。
「そ、そうだったな…全員に告ぐ、これよりハルバードは
離陸する、衝撃に備えろ! そうしなかった者がどうなろうと
私は責任をとらない!」
艦内放送の中でとんでもない事を言っちゃってることは
無視しましょう。

ハルバードが離陸した瞬間、火山が火を噴いた。
火山灰と岩が次々と飛びたまにハルバードにあたり衝突音が
時折聞こえる。
(それにしてもこのクヌギとやら…あの時の気配の消し方…
只者とは思えない手際の良さ…何者…)
そうメタナイトは考えながらハルバードを宇宙へと出したので
あった。



一方こっちはマトリエス号…。

破壊音と共に氷が砕け散る。
「この通路じゃ狭すぎる…けどマトリエス号の通路って…
これより広いのってあったかな…」
そう自分に話しかける様にブルーは考える、
考えながらイリスの攻撃を紙一重でかわし続ける。
…もうちょっとぐらいならなんとか…でも長くは続かない…
そう考えながら今度はイリスの鎌を凍らせる。
「…通路の広さが足りないのなら空気中の水分が多ければなんとか…
うわっ!」
そう思いついた刹那、ブルーの頭の上を凍った鎌がハンマーの様に
残像を残しながらふられる。
「ちょっ、冗談じゃ無いよー、うわわ…」
ブルーはさらに鎌を壁に氷結させる。
イリスがもがいてる間ブルーはさらに通路を駆け抜ける。
「大きい部屋…湿った部屋…」
そう呟きながらかけていって…どうやら迷った様だ…
「うわああぁぁん、もうどうしろって…!」
「助太刀、しましょうか?」
その時いつか聞いた声と何時か見た長くなびく黒髪…
「ルナギさん!?」
「ごめんなさい…寝起きでちょっと頭痛が酷くって…」
「あ、はい…」
それは間違えなく彼女だった、だが、彼女の頬にはまるで涙が
通ったかの様な跡があった…、まるで彼女らしく無い。
「水よ、霧となり全てを包み理想の世界へ…ミストストーム…」
そう彼女が呪文を唱えた直後、ルナギの足元に現れた魔法陣から
大量の霧が流れ出す。
そしてそこに調度良くイリスが追いかけてくる。
「これならなんとかなる…凍れッ!」
彼女の手の冷気が空気中の水分と共に回りにある霧も凍らせ
一点、イリスに集中させる。

彼らが次に目にしたのは大きな氷の塊に身を包まれ動けない
イリスであった。
「…もう一人、いるんですよね…? もう一人の方が来れば、
この程度の氷ではすぐに戻されてしまいますよ…?」
そういいルナギは封印の呪文を唱え始めるがー
「いいの…そのもう一人がまだイリスを操ろうとする様なら、そっち
と戦った方が…イリスは傷つかないと思う…」
ルナギは呪文の詠唱を止め、その場にぺたんと座り込んで、
ブルーが一緒だと言うことも気にせず、泣き始めた…。

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投稿時間:05/07/21(Thu) 12:04
投稿者名:クロム


ブルーが一緒だと言うことも気にせず、泣き始めた・・・。

「なっどうしたの!?」

ブルーは泣いているルナギを見て、驚き自分が泣かせたような
錯覚に陥った・・・しかし、次の瞬間更に驚かされる出来事が起こった。

「まだ、終わらせてもらっては困るわ!!」

凍りついたはずのイリスが氷を粉々に砕いてその場に飛んだ。

「なっ何で!?」

ブルーは呆れた様にそう言った・・・だがそうも言ってられず
イリスは攻撃してくる。

「水よ、霧となり全てを包み理想の世界へ…ミストストーム…」

イリスをもう一度凍りつかせようと、呪文を唱えたルナギだが、
いとも簡単に霧を振り切った。

「僕に二番煎じは通用しない。」

ルナギが赤く光ったかと思うとルナギは床に倒れていた。

「ルナギさん!!」

ブルーはしゃがみ込みルナギを抱き上げた。

「安心してよ、気絶してもらっただけだから。イリスがお世話になってたらいけないから、俺の指示通りに動いたんだよ。さぁ、まだまだイリスは元気だよ?」

「なっ」

トールが手を上げるとイリスは少し光、がくんと床に座り込んだ。

「もう少し、面白くなきゃ!肉体操作の方がいいよね?」

不敵に笑うとイリスは立ち上った。

「え!?ここは、って…うわぁあ!!何!?体が…言う事を聞かない!」

イリスはいつものイリスの声、身体だけが動く”肉体操作”もちろん
怪我をすれば精神操作と違い、悲鳴を上げるだろう。

「っつ、どうしたら!?」

ブルーは襲い掛かってくる本心ではないイリスに戸惑った。

キィィィイイン

ブルーの氷のナイフとイリスの鎌がギリギリと音を立てながら、
二人を向かい合わせにした。

「て・・・」

「え!?うわわ!!」

聞こえなかったイリスの声に気をとられた一瞬イリスの鎌が肩を掠め
血が流れ出た。

「っ痛」

パシ

それでも、緩むことなくブルーは床を蹴りイリスの手を叩いた。
ガランと音を立て床に落ちたはずの鎌は既に消えてイリスの手に
あった。

「なんでっ!?うわっ!」

「て…逃げて!!早く私にかまわず!」

「無理だよ!友達でしょう!!?」

ギリギリと確かにある意識の中でイリスは真っ直ぐブルーを見た。

「友達…?」

「そうよ!」

ブルーは肩の痛みを堪えながら笑った。

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投稿時間:05/07/22(Fri) 23:05
投稿者名:サイビィ


食堂に近いマトリエス号の廊下。
ここに赤、青、緑の球体があった。
「いやぁ、お腹すいちゃったねー、何か食べに行こっかぁ。」
赤い色の球体が言う。
「そうだね、ピンクとシャドーも誘おうよ。」
「あれ?でもピンクは確か携帯持ってなかったような・・・。」
「持ってたような気もするよ?」
球体達は立ち止まり、言った。
誰の台詞かはわからないのは突っ込んじゃいけない。


そして・・・球体達が食堂の入り口に着いた時・・・。

食堂は惨憺たる有様だった。机は倒れ、整えられていた筈の椅子は散らばっており、所々に水たまりが出来ている。
そして、戦っている人間が2人・・・。
その光景を見た三つの球体は現状が把握できずに、しばらくその場に佇んでいた。



食堂の入り口に佇んでいる三つの球体に気付いたブルーは、
「何やってるの、早くこっちに来てよ!今の状況わかってるんでしょ!?」
そう叫んだ。その隙にイリスはブルーに斬りかかる。
ブルーは氷の剣で鎌を受け止める。
三つの球体はやっと現状を把握できたらしい。

「大変だ!助けないと!」
「でも、どっちを!?」
「負けてる方を!」
「え?でもどっちもあったこと無いからどっちを助ければいいのか・・・。」
「ああもう、どっちかわかんないからピンクに聞こう!」
「じゃあ僕が電話かけるね。」
・・・誰が何の台詞かわからない・・・
少なくとも今わかるのは、電話を掛けたのがレッドカービィだったこと。


一方こちらは会議室に近い廊下。
そこに何やら携帯電話のコール音が響く。
「あれ・・・?携帯?誰からだろう・・・。」
そう言い、カービィは携帯を取り出す。
「あ、レッド。何の用?」
「大変なんだよ!食堂が・・・。」
カービィより少し低い声。レッドカービィの声だ。
「え?た、大変って・・・何が?」
カービィは状況が理解出来ずに受け応える。
「グリーンとイエローとご飯を食べようと食堂に向かったら、誰かが戦ってるんだよ。」
レッドカービィが状況を簡単に説明する。
「え!?誰と・・・誰が?」
「そこまではわからないよ。」
「特徴とかはわかる?」
「えっとぉ・・・、負けてる方は半袖、半ズボン、肩より長いぼさぼさな青髪・・・それから、氷の剣を使ってる。」
カービィはそれを聞いて、すぐさまこう答えた。
「ブルーだ!今すぐ助けるんだ!」
「え?そのブルーって人を?わかった!」
レッドカービィはそう言い残して、電話を切った。
シャドーは電話の内容を聞きたくて仕方がないようだった。
「どんな電話だったの?カービィ。」
「食堂で誰かが戦ってるんだって。まあレッドとイエローとグリーンがいるんだから大丈夫だよね。」
カービィ達は再び歩き始めるが、直ぐに足を止めた。
何故なら、彼等の目の前に、悪魔のような少女が立っていたからだ。
カービィとシャドーはその少女を目にした瞬間、直感でこう思った。


  ―この子、もしかして・・・闇の欠片・・・・?―

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投稿時間:05/07/27(Wed) 19:39
投稿者名:bomb


「コピーの素DXッ!」
「プラズマ!」「ミラーッ!」「スゥープレェックス!」
カービィズの頭の上に、それぞれ対応した帽子が浮かび上がる。

その瞬間、イリスの鎌がブルーの氷の剣を弾き飛ばした。
「うわぁっ!」
「危ない!プラズマ、アローッ!」
ブルーに鎌で斬りかかろうとするイリスに対し、レッドカービィは手元から電撃の矢を生成して放つ。
イリスはそれを見て素早く飛び引き、電撃の矢をかわした。

「もう大丈夫!僕達はカービィレンジャー!君の味方だよ!君は下がってて!」
イエローカービィがブルーに呼びかける。
ブルーはそれを聞くと、素早く食堂の外のカービィズの後ろへと下がった。
カービィズも入れ替わるように食堂の中へと入る。

「「「行くぞ!」」」
「ま、待って!」
戦闘の構えを取り、今にもイリスに飛び掛ろうとしているカービィズをブルーが後ろから静止する。
「何?危ないから君は隠れていた方がいいよ。怪我してるみたいだし」
ブルーの方に顔…いや、半身を向けるカービィズ。
「イリス…あの人は、近くに隠れている別の敵に精神操作で操られているだけなんだ。だから…やりすぎないようにして!」
「近くに居る別の敵に操られている?」
『ミラー』をコピーしたイエローカービィが聞き返す。
「じゃあ、念の為に、防御シールドを張っておいたほうがいいね」

イエローカービィが持った杖を軽く振ると、カービィズとブルーの体の周りに薄い半透明の膜のような物が出来た。
「これは?」
「精神操作を防ぐシールドを張ったよ。僕から離れすぎたり、力を加えると結構簡単に消えちゃうから気をつけて」
それだけ言うとカービィズはイリスに向き直った。
そして、数秒の睨み合い。

先に動いたのはイリスだった。
鎌を構え、イリスはカービィズに一気に接近する。

「僕に任せて!」
他のカービィズを押しのけ、突進してくるイリスに自らも正面から突進していくグリーンカービィ。
それを見たイリスは、意思に反してグリーンカービィに向けて鎌を振るう。
「危ない!避けて!」
イリスが叫ぶと同時に、グリーンカービィに不可視の波動が襲い掛かる。
「効かん!」
グリーンカービィは突進したままイリスの波動を『スープレックス』の力で掴み、横へ弾き飛ばす。
そして互いの攻撃射程内に入ろうかという時、グリーンカービィが軽く飛び跳ねた。
イリスを上から攻撃するつもりだ。

「うぅぅぅりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
イリスとグリーンカービィの間で、超高速のキックと鎌の応酬が続く。
しばらくマトリエス号の中に、まるで鋼鉄を連続でぶつけるかのような音が引っ切り無しに轟いた。
最初は完全に互角かと思われたが、やがてグリーンカービィの方が少しずつ押していき…

「勝ったッ!喰らえーッ!」
隙を突き、イリスの鎌を横から蹴り飛ばすグリーンカービィ。
「ああっ!」
鎌に引っ張られる形でイリスの体勢が大きく崩れる。
それを見たグリーンカービィは一旦着地し、フィニッシュを決めるべくもう一度イリスの上に向かって跳んだ。



そして――



「ピンポイント―」
グリーンカービィの短い足が、容赦なくイリスの顔面を歪ませる。

「―――キック!」
何かが砕けるような音がマトリエス号の中に響くと、イリスは勢い良く吹っ飛んで壁に叩きつけられ、その場に倒れこんだ。


「へっ、どうだい、ざまーみろっ!…と、操られているだけなんだっけ」
壁に持たれる様な形で倒れているイリスの様子を観察するグリーンカービィ。
鎌と打ち合ったはずなのに、その足には傷一つ無かった。

「でも、これでもう大丈…」
他のカービィズの元に戻ろうとした瞬間、グリーンカービィはギョッとした。確かに倒したはずのイリスが起き上がってきたのだ。
その顔こそ先ほどの攻撃で多少歪んでいたが、まるで何事も無かったかのように。

「…に…逃げ…て…」
カービィズに対して力無く呟くイリス。


「無駄だよ。俺の支配下にあるイリスは気絶できないようになってる。普通の人のようにポンポン気絶しちゃったらつまらないからね。
気を失うことも出来ず、永遠に痛みを味わうのさ。あ、一つだけ痛みから解放される方法があるよ。――死ぬ事さ」
食堂の陰から、シールドに覆われた見慣れない何者かが現れた。トールだ。

イリスの方を凝視していたカービィズは、声に気付いた途端トールの方に向き直った。
「お前があの子を操ってる悪い奴か!」
トールを睨みつけるカービィズ。

「ねえ、あいつを倒せばあの子元に戻るかな?」
ブルーに問いかけるレッドカービィ。
「あいつは精神操作はユカリにしか解けないって言ってたけど…元に戻るかどうかは分からない」
「んじゃ、試す価値はありそうだね」
カービィズはトールの方に一歩踏み出し、各々の戦闘の構えを取る。

「おおっと、俺を攻撃するつもりかい?させないよ。
さっきのシールドで君達に精神操作は効かなくなったようだが、俺にはイリスの掛けたシールドとイリス自身という無敵の盾があるからね」
トールがそう言うと、トールとカービィズ達の間に割って入るようにイリスが移動した。
「ククッ、さあ、したいのなら好きなだけ攻撃してきな!ただし、その前にイリスという盾を破壊してからな!……ん?」
その時、トールは背後に何かを感じ、後ろを振り向いた。


「お言葉に甘える事にするよ。その意見に賛成だ。ただし、『好きなだけ攻撃する』という部分だけだけどね」
そこには、さっきまでブルー達の近くに居たはずのイエローカービィが立っていた。

「『盾は壊さない』…『相手を攻撃する』…両方するのは、君が相手なら、そんなに難しい事じゃないね。
あそこに居る僕は、僕が作り出した偽者だよ」
イエローカービィの持つ杖から、光り煌く鏡の刃が出現する。
それと同時にカービィズの近くに居るもう一人のイエローカービィの姿が薄くなり、消えた。


イエローカービィはトールが何かを言おうとした瞬間、トール目掛けて鏡の刃を振り下ろした。
トールは腕を前で交差させて防御しながらバックステップで避けようとするが、
完全には避けきれず、身を守っていたシールドが切り裂かれて粉々に消滅した。
それと同時に、イエローカービィの鏡の刃も砕けて消滅した。

「シールドを自由自在に生み出す事が出来るミラーの能力者なら、逆にシールドを自由自在に破壊する事も出来る。
特に、相手が自らの力で張ったシールドじゃないならね」
そう言いながらイエローカービィは杖から新たな鏡の刃を出現させる。先ほどの刃よりも長く、鋭い刃を。


そして姿勢を崩して無防備になったトールに向かい、大きく踏み込んで鏡の刃をもう一度振りかぶる。
狙いはトールの首筋。当たれば確実に絶命する、必殺の一撃。
「もういっぱぁぁぁぁぁぁつっ!!」


「イリス!こいつの剣を撃て!」
トールがそう叫ぶと同時に、肉体操作から精神操作に切り替わったイリスがトール越しにイエローカービィの鏡の刃を拳銃で撃つ。
弾丸は鏡の刃の側面に命中して跳ね返り、食堂の床を僅かに抉って止まったが、
衝撃で鏡の刃の機動が僅かにずれ、トールの首を撥ね飛ばすべく振り下ろされた鏡の刃はトールの首筋を掠るに留まった。
そのままイリスはトールの横をすり抜け、鎌を構えてイエローカービィと対峙する。

「イリス!そいつから殺せ!」
トールが姿勢を直しながら命令すると、すぐさまイリスは鎌でイエローカービィに襲い掛かった。
イエローカービィの鏡の刃とイリスの鎌が両者の間で何度も激しく激突する。

「死ぬのは……」
それと同時にレッドカービィは自らの頭上にパワーを貯め始め、グリーンカービィはトールに向かって一直線に突進した。
イエローとの挟み撃ちの形だ。

「お前だッ!」

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投稿時間:05/07/28(Thu) 11:53
投稿者名:さびかび


グリーンが次々と連続して蹴りをトールに向けて放つが精神操作が
かかっているイリスにその大半が防がれ防がれなかった蹴りは
トールに避けられた。
「イエロー、グリーンを頼んだよ!」
そういいレッドカービィは頭上に貯めていたプラズマを放つ。
プラズマは轟音を上げトールに向かって投げつけられる、
イエローカービィは素早くグリーンカービィを掴みプラズマの
効果範囲から素早く抜け出る。
「ちっ、イリス!」
そうトールが言うのと同時にイリスとトールの姿が消える、
テレポートである。

「やったか!?」
と、イエロー。
もうもうした埃が静まったときイリスとトールの姿はそこには
無かった。
「残念でした。」
その声の主、ルートは彼らの後ろにいたのであった。
「しまった!」
そうイエローが叫ぶのと同時に背後から振り下ろされるイリスの鎌。
レッドがすかさず間に入ってプラズマを体の周りに発しバリアを張り
イエローを庇う…のと同時にイリスの拳銃から発せられる銃声。

狙いはカービィ達…では無かった、この期間に十分な氷を作ろうと
していたブルーであった。
「え、嘘、何でこっちー!?」
そうブルーは言えど銃弾は彼女に向けて発射されている、
やむを得ずブルーは銃弾を回避すべく走りながら避ける。
走りながら…
「油断してる時なんて卑怯だよー…わわわっ!」
ブルーは床に落ちていた茶碗に躓く、忘れてはいけない、ここは本来
は食堂である、障害物は有り余るほどある。
「もう終わりかい…? …ま、一人目…。」
そうトールが微笑みながら呟くと同時にイリスの銃が発射される。
轟音。
爆発音と立ち上る砂埃。
カービィ達はそこに唖然として立っていた…が砂埃が
突然吹く飛ばされる…闇の風に。
そこに立っていたのは半分忘れ去られていたであろうオミニアだった
オミニアとブルーの目の前にはどす黒い黒の障壁があった、
魔力壁というやつであろう。
「食堂に来たかったのですが…この荒れ様、はて、道を間違えました
かね…?」
と、そう言う。
そしてその顔には邪悪は微笑みが浮かぶ。
「今は荒れるべき時では無いのですよね…。」
そう呟いた刹那、オミニアはトールの背後にいた。

そして小さい声でトールにだけ聞こえるように、こう言った。
「デストルさんはまだ虹の女神の消失を望んでません、故に私は
これ以上彼女が痛めつけられるのは許せません。理想なる世界…
どういう理屈かは分かりませんが、彼女はデストルさんが目指す
強大なる力、そう世界を変える力の一部が潜んでるとか…
彼の望む世界…見てみたいと思いませんか?
旧友の願いも面白そうですし…。」

「デストル…久しく聞く名前だな…なるほど、お前はさしずめ…
デストルの送った『トロイの木馬』…か?」
そうトールが声を押し殺しながら答える。
「理解して頂いて光栄です…ならば、お引取り、願えますか?
どうやら私以外にも騒ぎを嗅ぎ付けたお方もいらっしゃる様ですし…」
今度はオミニアはみんなにも聞こえる声で言う。
そう、食堂の扉を開けてそこに立っていたのはルートである。

「こんなゴタゴタに巻き込まれていちゃ…遅くなるよね。」
そう言いルートは気絶したルナギに向けて歩き出す。
「なるほど…いくら彼女という盾がいても意味が無い…と言う事か…」
そう呟くとトールはいきなり笑い出す。

「よおし…よく分かった。 ここは一旦退こう、だがイリスの存在
がどういうものか完全に分かるまでは…。」
そう言い彼は姿を消した…イリスも共に…。

「彼女は預かっておくよ…次はあの子もセットで来ると良いね…。」

その声だけが最後に無残に残った…。

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投稿時間:05/08/15(Mon) 12:13
投稿者名:イリス


「イリス・・・」

「ユカリ・・・?」

独特の薬品のにおいと柔らかいベッドの上にイリスは寝ていた。

がばっ!
「ユカリ!」

「ようやくお目覚めかな?イリス」

「トール・・・。(ここは何処なの?)」

精神操作や肉体操作の所為で急激に体力を消耗したイリスは、どうやら少しの間気を失っていたようだ。
その証拠にイリスの目の下にうっすらと影ができていた。

「うっ・・・」

いきなり動いたためか、頭痛がする。

「イリス、少し話をしよう。」

「貴方と話すことなんかないわ。」

イリスはキッパリと断った。
しかしトールは続けた・・・

「君は強気なんだね。でも、この状況がどういうことか聡明な君なら
わかるよね?」

「っ・・・。いいわ。」

トールはふっと笑うとイリスの寝ていたベッドの脇に座った。

「単刀直入に言おう。イリス・・・君は何者なんだ?」

「簡潔すぎて解からないわ。イリス・カルトレイただそれだけよ。」

「知らないはずはないだろう。」

トールの眉間にしわが寄る。

しばらくの沈黙・・・。




「私は、過去の記憶が少しないのよ。」

「じゃあ聞こう君はどうして兄と名前が違う?」

「お兄様は結婚済みよ。」

「なぜそこまで兄を慕う?」

「最後の肉親だからよ。」

「ほかの家族は殺されたんだよな?」

「知ってるなら聞かないで・・・」

イリスは下を向いた。と、同時にシーツに丸い染みが出来た。

「・・・。(まだ16の少女か・・・)」

声も上げずに静かに涙を流し続けるその姿は、過去がどれだけ辛かったかを物語っていた。

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