×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

ふしぎワールドと魔法のピース [2]



-------------------------------------------------------------------------------
投稿日 : 2006/12/27(Wed) 02:07 
投稿者 : てぃと(A)  


「仲間を粗末にしちゃ、いけないんだぞ!」

 頭上に降り注ぐ欠片を左手で振り払い、カービィは裂帛(れっぱく)の気合いと共に、
右手を鋭く打ち振るった。その手から飛び出した星型のビームは、光の軌跡(きせき)を
半円状に描きながらダイナマイト・ジョンのボディを薙(な)ぎ払った。

「おっと!」「わー!」「おやびんお助けをー!!」

 ビームの攻撃を正面から喰らったダイナマイト・ジョンは、たたらを踏みながらもその
場に留まった。

「随分と物騒(ぶっそう)な攻撃をしやがるな、ピンク餅(もち)!」

「ピンク餅言うなー!」

 ぷっと小さく吹き出すレナードを横目に、心の中で後程の仕返しを誓(ちか)いつつ、
再びカービィはビームで攻撃を仕掛ける。光の束がダイナマイト・ジョンの顎(あご)を
打ち据(す)えると、彼は思わず膝(ひざ)を付いた。

「ぐっ……なかなかやるな!」「戦略的撤退(てったい)だー」「わー!」

 がくがくと震える膝を隠しながら、体を起こすダイナマイト・ジョン。不敵な笑みを浮
かべながら、彼は片手で焼けた顎に触れる。

「だがな、これしきのことでやられる俺じゃない。爆弾の材料ならいくらでもあるのだか
ら!」

 仁王立ちになったダイナマイト・ジョンは、掌(てのひら)を上に向けて軽く指を曲げ
る。そして、「どこからでも掛かってこい」と言わんばかりに軽く手を振った。そんな彼
に、カービィとレナードはほんの少し哀れを帯びた視線を向けた。

「すごく言いにくいことなのだけど……」

 口を開いたのはレナードだ。

「君の背後には……もう誰もいないよ?」

 その言葉に、はっとダイナマイト・ジョンは振り返った。

 その目に映ったのは、誰もいない丘に揺れる草ばかり。ダイナマイト・ジョンは苛立(
いらだ)たしげに地面を踏みならし、拳を振り上げた。

「ちっ、逃げやがったか。不甲斐(ふがい)ない奴らだぜ!」

「いや……キミが爆弾にしちゃったのがいけないんだよ。仲間は大切にしなきゃ!」

 ピンク色のぷにっとした手をぐぐっと握り締め、カービィは声を張り上げた。およそ正
論である。その正論をかざす相手を、ダイナマイト・ジョンは一睨(ひとにら)みした。

「こうなったら、てめえらを爆弾に変えてやるぜ!」

----
<状況>
コピー ビーム残り2回

-------------------------------------------------------------------------------
投稿日 : 2006/12/27(Wed) 14:38 
投稿者 : BOMB(B)  




「『弾』がねーと少々面倒だな……」

 仲間の事を『弾』呼ばわりしながらニヤけるジョンの態度が、カービィの心の中の、
怒りの琴線(きんせん)に触れた。

「悪人とはいえ、仲間を弾なんて言うのは、正気の沙汰(さた)じゃないよ!」
「ひどい言い方だな? いいか、『部下は自由に使っていい』って契約だったんだ! 無
駄に殺すわけじゃなく、敵を倒す為だし問題無いだろ。普通に戦っても死ぬことはあるし
な。それを、俺を放って逃げるとは……こりゃボスにボーナスを払って貰わないとな」

 契約をした人は、部下を爆弾にして放つ、という事まで頭の中に入っていたのか? も
しもそうなら、そいつはジョン以上にひどい奴なのだろう、と、カービィは思った。

「だがてめーも見たところ……『何かを別のものを利用して戦うタイプ』の戦士だろ?
条件は同じだぜ?」

 確かに、カービィの戦法は、物をコピーしたり吸い込んで吐き出すのが主だ。ザコ敵が
逃げてしまい、能力には制限があり、あまり飛び道具を使わない近接戦が主の『ファイタ
ー』が相手、という条件が重なると、やや不利と言わざるを得ない。もしも能力を使い切
ってしまったらどうする? レナードの足は引っ張りたくない。
 カービィが思考を巡らせていると、突如ジョンが地面を蹴り、飛び込んできた。

「死ね! 『スパイクパンチ』!」

 上空から叩き割るようなパンチが、素早く飛び引いたカービィの足元に炸裂する。威力
は凄まじく、地面にクレーター状の穴が開いた。正にダイナマイトのようなパンチだった。

「隙あり!」

 地面にパンチを炸裂させたジョン目掛け、レナードが槍を構えて疾走(しっそう)する。
だが、それを見たジョンは、小さく笑みを見せた。

「バカめっ!」

 ジョンはその姿勢から腕を振り上げ、レナードの顔面目掛けて土を撒き散らした。一瞬、
土を目に受けたレナードが怯(ひる)む。その隙をジョンは見逃さなかった。

「『スマッシュパンチ』ッ!」

 自らに向かってきていたレナードに合わせ、ジョンは大きく踏み込み、殴りかかった。
普通ならまともに受けてしまうか、せいぜい防ぐのが関の山だろう。だが、レナードは寸
前で霊体になり、すり抜けて回避した。攻撃を外したジョンは、その勢いのまま大きくス
テップし、レナード(が居た場所)から距離を取った。

「反撃を察知して咄嗟に距離を放すとは、勘が鋭いね?」
「その幽霊になる力、俺の力じゃ相性が悪いな……だが、少しだが見切ってきたぜ」

 霊体を解除したレナードとジョンが対峙(たいじ)する。今の一連の応酬は、どちらが
やられてもおかしくないギリギリの戦いだった。ジョンが先ほどのカービィの攻撃で負傷
していなければ、レナードが負けていたかもしれない。カービィの額に冷や汗が流れた。



―――――
<状況>
コピー ビーム残り2回

------------------------------------------------------------------------------- 
投稿日 : 2006/12/27(Wed) 18:01 
投稿者 : 鏡の題名旧(B)  


>BOMBさん
レナードは紳士っぽいキャラですが会話で「ですます体」はあまり使わないので最後の
「勘が鋭いですね?」も「勘が鋭いね?」
程度のくだけた感じの喋り方でOKです。

――――

「見切った? 何を見切ったんだい?」

 レナードは首を傾げ、心底不思議そうに尋ねた。何のことやら、とでも言いたげな様子
だった。

「強いて言うならてめーに攻撃を当てるタイミングだな」

 ダイナマイト・ジョンは薄ら笑いを浮かべながら言うと同時に獲物に襲い掛かる獣の如
くレナードに飛びかかってくる。そしてさっきと同様スマッシュパンチを繰り出した。相
変わらずスピードは速いが所詮はただの格闘技。レナードもさっきと同様霊体化し、すり
抜ける。そして実体化すると同時に槍を横薙ぎ(よこなぎ)し、反撃にでるが既に相手は
ステップを踏み距離を取っていた。

 なんだ、ワンパターンじゃないか。そう思っているとあることに気づく。

「さっきと同じだと……」

 ダイナマイト・ジョンはレナードの槍の間合いに入るギリギリで足を踏ん張り、今の瞬
間にも攻撃できる体勢を作っていた。わずかにかすったのか額に小さな切り傷が見えた。

「思うなよッ!」

 そう叫ぶと同時に飛び出し、フックを繰り出した。レナードは反撃を読んだのかフック
が繰り出されるコンマ一秒前にしゃがみ込み、ダイナマイト・ジョンの真下に潜り込んで
両手を地面につき、蹴り上げた。

「がッ!」

 ダイナマイト・ジョンが唸り声(うなりごえ)をあげ、受身を取る。すぐに辺りを見回
すが既にレナードの姿はなかった。



「この俺を舐めやがって……」

 霊体化し、一瞬の内に遙か上空まで飛んだレナードが言った。霊体には形が存在しない
がまるで悪魔のような声だった。

 ブラスト・ジャベリンを殺さない程度にね。普段と同じレナードの声が頭に入ってきた。

 ブラスト・ジャベリンとは、『霊体のレナード』がエネルギーを溜め、『実体のレナー
ド』が巨大なエネルギー波を投げ槍(ジャベリン)のように放つ技である。

「殺さねえのかよ。めんどくせえな」

愚痴(ぐち)をこぼしながらもエネルギーを溜める。そして実体化した。

――――

<状況>
コピー ビーム残り2回
レナード再霊体化 あと8秒以降

-------------------------------------------------------------------------------
投稿日 : 2007/01/05(Fri) 00:09 
投稿者 : わかんないんです><(C)  



 レナードが手に持っている槍はもはや槍では無かった。白い柄(つか)と小さい両刃(
りょうば)で構成された槍は膨大なエネルギーによって一筋の光と化していた。持つ手の
形をやり投げの持ち方に変える。一筋の光は一瞬で膨れ上がり、その後には槍の周りと
ぼんやりと淡い(うすい)光で被う(おおう)程度にまでおさまった。

 深く息を吸う。そして、


「ブラスト・ジャベリンッ!!」 

 ありったけの怒号(どごう)で(殺さない程度に手加減しているが)自身の最大の必殺
技を放つ。レナードの手を離れた槍が稲妻(いなづま)のように閃光を放ち、光速さなが
らダイナマイト・ジョンに向かって一直線に飛んでいった。



 ダイナマイト・ジョンは先ほど、レナードの奇襲(きしゅう)にやられた場所からは動
いていなかった。

 否。

 動けないのだ。

 ついさっき頭の中から聞こえてきたレナードという青年とはまるで違う声に驚いて、い
や、それ以上に彼の放とうとしている禍々しい(まがまがしい)までに輝くその槍――ブ
ラスト・ジャベリン――にだ。

 彼は、今までにない修羅場(しゅらば)にただ立ちすくんでいるだけであった。


――――
<じょうきょう>
前回と特に変化なし。

-------------------------------------------------------------------------------
投稿日 : 2007/01/05(Fri) 18:57 
投稿者 : 鏡の題名旧(B)  


レナードについては厳密に言うと多重人格ではないのですが単純に実体化中と霊体化中で
区別してもらえればそんな感じに解釈してもOKです。どちらかと言うと憑依や乗り移り
といった方が近いです。

――――

 轟音(ごうおん)が鳴り響く。辺りの木にいた鳥達が蜘蛛の子を散らすように飛び立つ。
大気を揺るがし空間を歪めるかのような衝撃が広がっていった。

「うわっ!」

 カービィはレナードの放ったブラスト・ジャベリンに直撃はしなかったが体重の軽さと
衝撃の強さで吹き飛ばされ、巨大な岩にぶつかってようやく止まった。

 その場に静寂が戻った頃、レナードはいつの間にか地上に降りてきていた。

「レナード、ジョンは?」

 カービィが尋ねるとレナードは振り向き左手の親指をある方向に向けた。その方向には
ボロボロになりながらも必死に立ち上がろうとしているダイナマイト・ジョンの姿があっ
た。

「手加減したとはいえあの技を食らって動けたのは彼が初めてだよ」

 レナードは微笑みながら言った。だがカービィは彼と初めて会ったときのように反応に
困っていた。無論、彼自身の事でだ。

「レナード……君は一体何者なの?」

 カービィが恐る恐る尋ねる。

「そうだね。今のうちに話しとこうか」

 レナードは語り始めた。その話はどれも衝撃的なものだった。

 まず、彼はおよそ五年前に何らかの形で死んでいた。だが未練が残っておりどうしても
生き返りたかった。そして見つかった唯一の方法が『悪魔の取引』だった。あの世にいる
悪魔のうち誰かに自分の生前の記憶と霊体時の身体を渡すことで取引が成立し、半人半霊
という形でこの世に復活できるということだった。しかし生前の記憶を渡してしまったた
め自分の未練すら忘れてしまったという。覚えているのは名前と言葉、その他基礎的な知
識ぐらいだった。旅人をしているのは生前の記憶の手がかりを見つけるためだという。他
にも霊体化中のことも教えてくれた。

「……まあ、霊体は悪魔、僕の奴はジュネルっていうんだけどそいつが動かしてるけど基
本的に僕とジュネルは常に交信可能で僕の考えてる通りに動かしてくれる。実体と霊体を
切り替えるのもジュネルの仕事なんだけどある程度霊体化してると交信する力が弱まって
なかなか切り替えてくれなくなるんだ。はっきりと交信できるギリギリの境界線が十秒な
んだ。交信が完全に途絶えるともう僕は悪魔に体渡したままだから二度と戻れなくなる」

「……」

 あまりの衝撃的な話の数々にカービィは言葉を失っていた。

「ちょっと喋り過ぎたね。じゃあ先に行こうか」

「……うん」

 二人は再び歩き始めた。

――――

レナードのエピソードは大体こんな感じです。
ちなみにカービィはレナードを怖がってるわけではなく呆然としてただけなので。
それとちょっと補足。
霊体化は一応十秒以上行うことも可能です。ただし悪魔の反応が遅くなります。
交信が完全に途絶えるのはおよそ一分後です。
実体化中も常に悪魔と交信できます。
ブラスト・ジャベリンなどの技は霊体化中に悪魔が必要なエネルギーを溜めて実体化中に
繰り出すもので、技にはレベルがあり一度使った後はそのレベル分の時間が経つまで使え
ません(例、レベル十のブラスト・ジャベリンは十分後)霊体化は可能です。
今後のためにジュネルの使える技の一覧を。
レベル一 パワー・アームズ(一時的に腕力を強化する)
レベル三 エナジー・ディフュージョン(拡散するエネルギー弾を放つ)
レベル六 キャプチャー・ヴィップ(触れた相手を捕らえるエネルギーのムチを出す)
レベル八 ブラッド・カウンター(身代わりを作り攻撃した相手に同じ痛みを与える)
レベル十 ブラスト・ジャベリン(巨大なエネルギーの槍を飛ばす)

一見ブラッド・カウンターが反則クラスに見えますが身代わりは一秒までしか出せないの
でやや扱いづらいです。
もし悪魔の取引をしたキャラを作りたい場合は勝手に作って他の技も考えていいですが作
り過ぎるとバランスメチャクチャになるので注意してください。
これでレナードの設定は多分生前のこと以外でないと思います。
生前のことは特に考えてないので無視しても良いです。
<状況>
コピー ビーム残り2回
レナード再霊体化 いつでも可能
悪魔技 約7分後(話などで3分経過したとして)

長々と書いてしまいました。

-------------------------------------------------------------------------------
投稿日 : 2007/01/06(Sat) 23:13 
投稿者 : 鏡の題名旧(B)  

どうも鏡の題名旧です。ここに投稿していいのかよく分かりませんがオリキャラのレナー
ドとジュネルについてある程度まとめておいたのでNM様がルールや設定などをまとめた
ページで登場人物のところを書く際に役立てば嬉しい限りです。
また本編を見ててよく分からなくなった人もここで整理してください。

名前:レナード=ノエル
性別:男
年齢:外見年齢約18歳(実年齢は本人にも分からない)
一人称:僕
武器:槍
水色の髪に淡い赤色の目で、右目に片眼鏡を掛けた白服の紳士的な雰囲気の青年。最初の
不思議ワールドのとある村で出会う。彼はおよそ五年前に何らかの形で死んでいたが、未
練を果すため悪魔の取引を行い悪魔のジュネルに自分の生前の記憶と霊体時の体を渡し、
半人半霊という形で蘇った。しかし生前の記憶を渡してしまったため覚えているのは名前
と言葉、その他基礎的な知識ぐらいで生前の記憶の手がかりを見つけるため旅人をしてい
る。悪魔の取引をしたため実体化と霊体化を使い分けることができ霊体では自分の姿が見
えなくなり、自由に空を飛べ、障害物をすり抜け、疲労しないが実体化しないと物に触れ
ることができない。霊体はジュネルがレナードと交信し、彼の指示通りに動かしてくれる
が霊体化を続けると交信する力が弱まって指示が伝わりにくくなる。また実体化と霊体
化を切り替えるのもジュネルが行うためはっきりと交信できる10秒を過ぎるとなかなか
実体化できなくなり1分以上経つと完全に交信が途絶え霊体をジュネルに渡しているため
二度と生き返ることができなくなる。一度実体化した後は霊体になっていたのと同じ時間
が経たないと再び霊体化できない。また霊体化中にジュネルがエネルギーを溜めることで
実体化したときに悪魔の技を使うことができる。悪魔の技の詳細はジュネルの方を参照。

名前:ジュネル
性別:男
年齢:不明
一人称:俺
武器:特になし
レナードと悪魔の取引を行った悪魔。レナードとは正反対で不良っぽいイメージがある。
霊体時のレナードの体を操っていてそのときに喋っているのも彼だが悪魔の掟で定められ
ているため愚痴をこぼすこともあるがレナードの指示には絶対に従う。またレナードから
生前の記憶を貰っているためレナードの未練などを知っており、そういう意味ではレナー
ドの過去を知る数少ない人物だと言えるがこれも掟のため教えることができない。またレ
ナードが望めばエネルギーを溜めて悪魔の技を使用させることができる。ジュネルが使え
る技の種類は
レベル1 パワー・アームズ(10秒間腕力を増加させる)
レベル3 エナジー・ディフュージョン(広範囲に拡散するエネルギー弾を放つ)
レベル6 キャプチャー・ヴィップ(触れた相手を捕らえるエネルギーのムチを出す)
レベル8 ブラッド・カウンター(身代わりを作り傷つけた相手にその痛みを与える)
レベル10 ブラスト・ジャベリン(巨大なエネルギーの槍を飛ばす)
でブラッド・カウンターの身代わりは1秒間しか出せないため使いどころが難しい。また
悪魔の技を使うとそのレベルの数字×1分の間悪魔の技を使うことができないが霊体化は
可能。悪魔の技自体は上記のもの以外にも存在する。

-------------------------------------------------------------------------------
投稿日 : 2007/01/10(Wed) 22:07 
投稿者 : てぃと(A)  


「そうだ!」

 不意にカービィが踵(きびす)を返し、満身創痍(まんしんそうい)ながらもギラつい
た眼でこちらを睨(にら)み付けているダイナマイト・ジョンの方へと、ぽひゅっぽひゅ
っと歩いていった。

「カービィ、どうしたんだい?」

「うーんとね、やっぱり有効活用しないとと思って」

 と言うが否(いな)や、カービィは大きく口を開いてダイナマイト・ジョンを吸い込ん
だ。突然の出来事にレナードが一歩後退(あとずさ)るのを横目に、口の中のモノをごく
んと飲み込んだ。

 そして、おなじみの効果音と共に脳裏(のうり)に浮かび上がってきたイメージは、
「ボム」だった。ダイナマイト・ジョンは己の能力を「ボムファイター」と称していたが、
所詮(しょせん)ダイナマイト・ジョンはポピーブロスSr.である。「ボムファイター」
に至るには、ファイター成分が足りなかったようだ。



 闖入者(ちんにゅうしゃ)と対峙(たいじ)するダイナマイト・ジョンを置き去りに、
戦略的撤退(てったい)を選択した紅の団の面子(めんつ)は、ひたすらに野を駆(か)
け山を駆け、森を掻き分けて、とある洞(ほら)へと飛び込んだ。

「お、親分! 大変です、親分! 怪しげな闖入者二人に仲間がやられました!」

「ピンク色の餅と、やたらでかい白い人間の二人組なのですが、その白い方がまたヘンな
技を使いやがりまして!」

 正確には、仲間を殺(や)ったのはダイナマイト・ジョンなのだがそれはさておき、生
還(せいかん)したブレードナイトやソードナイト、タック達はわやわや言い合い圧(へ)
し合いながら、洞の中をどんどん進む。やがてその洞は終わり、木々が伸ばした枝が鬱蒼
(うっそう)と多い茂る深い森が彼らの眼前に現れた。

 深い森の中央には巨大な二本の木がそびえている。太い幹には大きな洞(うろ)が三つ
に、その中央には中途半端な所で折れたかのような、分岐(ぶんき)した枝が一つあり――
それはまるで人の顔のようだ。

 二本の木の中央に立っていたものが声を張り上げた。

「何事だ、騒々しい!」

「お、親分!」「親分、聞いてください! 変梃な闖入者が現れました!」

 それは徐(おもむろ)に振り向き、ゆっくりと騒ぎ立てるブレードナイト達の方へと歩
いてくる。丸いシルエットが徐々に大きくなってくるのと共に、体の色が識別できるよう
になる。それは熟(う)れたリンゴのような赤。

 木陰から姿を現したそれは――黒いもやを纏(まと)ったビッグワドルディだった。

-------------------------------------------------------------------------------
投稿日 : 2007/01/14(Sun) 23:39 
投稿者 : 鏡の題名旧(B)  


「闖入者だと?」

 紅の団の首領であるビッグワドルディがずいぶんと落ち着いた様子で言った。

「はい! 奴らの強さは反則級で自分達がいくら集まっても到底かないません!」

 部下の一人が声を張り上げて言った。

「そうか、だがもうじき『紅の魔竜』を復活できるだけの自然のエネルギーが集まる。そ
れまで持ちこたえればそんな闖入者ごとき敵ではない」

 首領が洞の奥にある赤色の卵を見て言った。その卵は二本の木から伸びている根が巻き
ついておりその根の中を緑色に輝く光――いわゆる自然のエネルギー――が通って吸い取
られるように卵へと運ばれている。それはまるで血液が心臓へ送られているようだった。

「紅の魔竜・・・」

 部下の一人の顔が一瞬青ざめた。

 紅の魔竜、それは遙か昔に現れた蛇竜(ワイバーン)で炎と雷を起こす紅の悪雲を無限
のように繰り出し、それらと自身のブレスで大地を焼き尽くしあらゆる生物を根絶やしに
し、混沌に満ちた当時の世界をゼロに戻したと言われる神話上の生物だった。

 最初はその存在を信じていなかったが首領がその卵を見つけた場所にあった蛇竜の死骸
から事実を確信していた。そしてそれを孵化させるために森の木々や村にある物や住民か
ら自然のエネルギーを掻き集めているのであった。

「まさかこれほどの年月がかかるとは思っていなかったがこれでようやく紅の魔竜が孵化
する。そして……」

 そこで首領が不敵に笑う。

「俺が世界を変えてやる」

-------------------------------------------------------------------------------
投稿日 : 2007/01/29(Mon) 00:58 
投稿者 : てぃと(A)  

 紅の団員が首領の元に走っている頃、ダイナマイト・ジョンを飲み込んだカービィ達と
いえば、彼らの使命を果たすべく再び歩き始めていた。

「ねえレナード。紅の団のアジトってどんなところにあるの?」

「彼らのアジト? どんなところにあるんだろうね」

「アレ? レナードは詳しいことを知っているんじゃないの?」

「場所は知っているよ」

 そう言うと、レナードは彼らの進むべき道の向こうを指差した。

「あそこに見える山の窟(くつ)に居(きょ)を構えている。でも山のどこかと言われる
と、具体的な場所までは知らないんだ。……これは飽(あ)くまで噂なんだけど、紅の団
のアジトはツインウッズの袂(たもと)にあるらしい。山に自生していたツインウッズの
袂にあった窟をアジトにしたのか、彼らのアジトにツインウッズを持ち込んだのか、その
辺は定かではないんだけど、気が付いたときには山の一角は鬱蒼とした森で覆われ、その
どこかに紅の団は巣くっている……というわけだね」

 一気に説明を終えたレナードが息を吐(つ)く。その隣では、カービィが目を白黒させ
ていた。

「ええと……ツインウッズが何?」

「ツインウッズが作った森のどこかに、紅の団のアジトがあるんだよ」

「そっか! ツインウッズかぁ……懐かしいなぁ」

 遠くを見るような目で、「リンゴが美味(おい)しいんだよねー……」と破顔(はがん)
して口元を拭(ぬぐ)うカービィをレナードは見下ろした。

 随分と不思議な生き物だ。ただのピンク餅かと思いきや、強力な吸引力で敵を吸い込ん
で飲み込んだり、先程はビームだったか……武器を使いこなしたりすることも出来るらし
い。

 問い詰めようとは思わないが、こちらの手駒(てごま)を見せている以上、カービィが
持っている能力についても近いうちに聞いておいた方がいい、特に紅の団と対立する以上
は――レナードはそんな事を考えていた。

「で、ボク達はこれからどうするの?」

「ツインウッズの森の近くに、集落があるらしいんだ。そこで情報を集めて、紅の団のア
ジトへ向かおうと思っている。情報を日々の糧(かて)にしているヒトが居るらしいんだ」

-------------------------------------------------------------------------------
投稿日 : 2007/02/18(Sun) 16:58 
投稿者 : 鏡の題名旧(B)  


「やっぱり山は気持ち良いね」

 レナードが大きく伸びをしながら言った。紅の団のアジトに近づいているというのにと
てもリラックスしている様子である。

「レナード緊張しないの? またさっきのダイナマイト・ジョンみたいに強い奴が出てく
るかもしれないのに」

「うん、出てくるよ」

 カービィが何気なく言ったことにレナードはごく当然のように答えた。しかも言い切り
の形で。

「……えっ!?」

「ダイナマイト・ジョンのことも想定の範囲内だったんだよ。紅の団は強奪を繰り返して
いるから資金力が豊富なんだ。紅の団はかなり高額の賞金首なんだけど凄腕の賞金稼ぎを
自身に懸けられた賞金の何十倍もの金で逆に雇ってそれでも使い道に困るぐらいの資金が
無尽蔵(むじんぞう)にあるんだ。それで何人もの賞金稼ぎとかを雇って武力まで豊富に
したんだ。この先ダイナマイト・ジョンと同等か、あるいはそれ以上の強さの敵が数え切
れないぐらい出てくることは確実だね。……まあ遠征してる可能性もあるけど」

「……ええ〜!?」

 カービィは暫く硬直したあとようやく事の重大さに気づいたように驚いた。

「さすがにそれだけの相手を僕一人で倒せる保障はないからね。それで仲間が必要だった
んだ。下手したらさっきのダイナマイト・ジョンだけでやられてたかもしれないし」

 カービィは急に身震いした。世のためヒトのため、と言って軽々しくついてきてしまっ
たがまさかこんなに大変なことになるとは思っても見なかった。

 トリポカが言ってたアタラシイスゴロクジョウデアソブタメニハシンリュウヲトクテイ
ノターンスウイナイデタオサナキャイケナイものだ、という言葉をここで痛感したような
気分だった。確かにそう簡単な話ではなかったということだ。

 レナードは優しい。口調も柔らかく安心感もある。だがさっきの言葉はまるで内面にこ
ちらの不安を煽る(あおる)ことを楽しむ小悪魔のような一面を秘めているようである。
普段は優しい彼だからこそ味わうことのできる恐怖感だった。

 だが、不思議だ。それならなぜレナードはこれほどにも余裕なのか。今も呑気にあく
びをしている。何か秘策でもあるのか、それともこれが彼のやり方なのか。だが敢えて
ここでは聞かなかった。

 レナードは信頼できる。それだけは確かだったからだ。

-------------------------------------------------------------------------------




前へ リストへ  次へ