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小説の中へ [12]



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投稿日 : 2009/03/05(Thu) 22:16 
投稿者 : ヨツケン  


「うわぁ〜!」
ズドーン!!

城の前に星が叫び声と共に落ちてくる。 
「イテテ…みんな大丈夫ですか?」
「大丈夫よ…でもワド君、此所は?」

ルナが地面にめり込んだカービィを引っこ抜きながら、ワドルディに聞き返すとワドルディは
地図を取り出し調べ始める。
「ロロロ城だよ!!」
引っこ抜かれたばかりのカービィがワドルディに呼び掛ける。
「何で分かるんですか?」
「だって彼処にロロロ達が倒れて…!?」
「大変!!」
ロロロ達が倒れている所へ三人が駆け寄るとまだ二人は気を失って
いた。
「ルナさん!!回復魔法お願いします!!」
「うん!!」
少し驚きつつも、ルナが二人に手をかざし呪文を唱
えると二人の身体が光に包まれ、そして光が身体に吸い込まると同時に
二人が目を覚ます。 
「う…ううん…」
「ロロロ、大丈夫?」
「カービィ…アイツは?」
「アイツって?」
ロロロ達がまだ完全に回復してない身体を起こしな
がら、カービィに聞く。
「何かローブを着て、黒い剣を持ったダークマターよ…」
「!!!」
ラララの言葉にルナが激しく動揺する。
「ねぇ…ソイツが何処行ったか分かる?」
「えっと…確かデデデ山の方に行ったよ」
「ありがと…」
そう言うとルナはカービィ達に背を向け、白い翼を生やす。
「どうしたの?ルナちゃん?」
「ごめん…カー君ワド君、用事が出来ちゃった…」
そう言い残すとルナは翼を動かして飛び去ってしまう。
「ルナさん…」


――――――――――――――――――――――――――――

プシュー…

何やら妖しげなカプセルから赤いシルクハットを被ったネズミが出てくる
。
「ドクの回復カプセルもなかなか役に立ちますね…」
良く見るとカプセルにはMADE IN DOKUと書かれてある。
「親分大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫ですよストロン…」
巨漢のネズミがドロッチェの横に並びドロッチェの身体を見る。
「それにしても親分がこんなに傷を負うとは…」
「それだけ収穫が有ったのですよ…」
そう言いつつドロッチェが
右手に貯めた魔力を放つと、それは水の弾丸と成って岩を砕く。
「さて、そろそろ行きますよ…」

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投稿日 : 2009/03/08(Sun) 18:25 
投稿者 : tate  


 黒い剣を持ったダークマターが現れた、この星に……!
 空に舞い上がったルナは瞑目し、魔力を高める。心臓がドクドクと早鐘のように打ち鳴
らされているのに、手足は妙に冷たく感じる。体中の血液が大気中に拡散されていくよう
な感覚だ。汗のにじむ左手で三日月形のペンダントを握り締め、心を静めるために一度大
きく深呼吸をした。ペンダントからじんわりと優しい熱が伝わってくる気がして、少し鼓
動が落ち着いた。
 そして意識を全方位へと解放し、闇の気配を探る。ロロロと呼ばれていた子は、「デデ
デ山に向かった」と言っていたが、ポップスターにやってきて間もないルナには、生憎と
固有名詞の示す場所は分からない。
 闇ならば、その気配を察することが出来る。そしてそいつは雑多なダークマター達より
も大きな力を持つはず。今のルナになら、きっと感知できる。
 不意にルナが目を開け、そしてある一点を見つめる。彼女の双眸は赤く燃え上がってい
た。


 ロロロとラララを強襲したダークマターは、空高くよりデデデ城を見下ろしていた。そ
の眼前で、それまでサイケデリックな色で塗り潰されていたデデデ城周囲の森が、徐々に
元々の深緑を取り戻していく。
 デデデ城……もとい、夢の泉の防衛はドロシアという魔女が命じられていたはずだ。だ
が、本来あるべき姿を取り戻しつつあるデデデ城は、ドロシアの身に何か、絵画化を維持
できなくなるほどの何かが起こったことを告げていた。
 だが血塗れた瞳は、変わりゆく光景に興味を抱いた様子もなく、淡々と眼下を見下ろし
ている。彼は主からの命令を待っていた。
「……ム!?」
 不意に漆黒の剣が動いた。側方から飛んできた光の矢を薙ぎ払う。
「見つけた……!」

 ダークマターの目の前に現れたのは、背中から魔力の翼を生やしたルナだった。その眉
がぎりぎりとつり上がっていく。両手を力の限り握り締めた。ツメが掌に食い込んでいく。
「逃がさない、絶対に逃がさない。お父さんの……お母さんの、お兄ちゃんの仇!!」
「フ……何ノ話ダ、娘ヨ」
 喚くルナに、ダークマターが冷笑を送る。抜き身の剣はだらりと下がったまま、ルナを
迎え撃とうというポーズすら取っていない。
「忘れたとは言わせないわ! あの日……貴方は皆を、私の家族を殺した!!」
 ルナの故郷は突如現れた闇により、壊滅させられた。その侵攻に果たしてヒトがどれ程
抵抗できたのか、どれ程の時間耐えたのかは分からないが、赤子の手を捻るかのごとく、
人々の命を食い散らかしていった闇により、ルナの知る世界は一瞬にして壊されたのだっ
た。
 強く生きて、と彼女の腕の中で、彼女の手を握り締めながら逝った母の温もりは、もは
や思い出せない。一人生き残ったルナは、あの時垣間見た闇の眷属の姿だけを鮮やかに脳
裏に焼付け、復讐の機を窺い、今まで生きてきたのだ。
 冷徹に見下してくる鮮やかな鳶色に、すべてを飲み込む一振りの闇の剣。見間違うわけ
がない、ルナは眼前の敵を睥睨する。
「ホウ? ……我ラガ同志ニヨリ滅ボサレタ星ノ末裔カ。ト言ッテモ、我ニソノ記憶ハナ
イガナ。有象無象ノコトマデ、イチイチ記憶ニハ残サヌ」
 ダークマターの一つしかない瞳がぐにゃりと歪む。笑っている、ルナの故郷の人々は、
ルナの両親と兄は、所詮は力なき存在だったのだと、嘲り笑っている。
 ルナの心に揺れる憎しみという暗い炎の勢いが増す。
「ソウダ、ソレデイイ。ソノ暗キ憎悪ハ我ラノ糧。モット怒(いか)レ、怒ッテ憎シミノ
炎ヲ立チ昇ラセルガイイ!」
「黙れ!!」
 ルナの哭(おら)びに呼応し、周囲の空間に幾多の水塊が現れる。間髪入れず、それら
がダークマターに襲い掛かった。闇の剣士は左右に体を振り、それらの攻撃をすべて避け
る。
 続けて両手を頭上に掲げ、稲妻を纏う鏃をありったけの力を使って作り出す。ルナの上
空に光の束が現れた。
「いっけぇー!」
 両手を振り下ろすのと同時に、稲妻の雨がダークマターに襲い掛かる。得物で降り注ぐ
光の鏃を防いでいた剣士だったが、直にスパークの波に飲み込まれた。それでもなお、ル
ナは攻撃の手を緩めない。この程度の攻撃で倒せる相手ではない、敵の内包する闇の大き
さがルナに油断するなと告げていた。
 作り出した稲妻をすべて敵に降らせ終わると、止めの一撃のために精神を集中し始める。
「ノヴァを導きし七つの星の光よ、闇を滅する為……その偉大な光を……!」
「遅イワ!」
 力をその身に集めるために呪文を詠唱するルナに、ダークマターが肉薄し、漆黒の刃を
薙ぎ払った。暗黒が青い空を妙にゆっくりとしたスピードで、ルナごと切り裂いていく光
景が、彼女の緋色の双眸に飛び込んでくる。
 ダメ、かわせない……!
 刹那、光の波紋が漆黒の刃の軌跡に干渉し、僅かに軌道を歪めた。
「きゃああっ!!」
 だが光と闇の生み出した衝撃波までは殺しきれず、ルナは空気に切り裂かれ、大きく弾
き飛ばされた。
 敵わない、私一人じゃとても……ごめんなさい、お父さん、お母さん、お兄ちゃん……
私、こんなところで死ぬの?
 激しい痛みに体が裂かれたかのようだった……体勢を立て直すどころか、空に浮かぶだ
けの力をも込めることが出来ず、少女の体は落下していった。

「フン、咄嗟ニ壁ヲ張ッテ逃レタカ……」
 稲妻に焼かれたマントからは僅かに白い煙が燻っているが、その奥に広がる闇は、戦い
の前と寸分も変わっていなかった。
 血の赤を湛えた単眼は、白い少女が落ちていった森を一瞥したが、やがて新たな獲物を
求めてその場を飛び去った。

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投稿日 : 2009/03/12(Thu) 04:56 
投稿者 : guri  


 薄暗い海の彼方へ、黒い点が小さくなって消えた。
「なんなのサ、あのお気楽ダークマターは……」
 黒丸が去りきったのを見届け、マルクは思わずため息をついた。これからは林檎でウサ
ギさんを作る時のように、丁寧に慎重に行動しなくてはならないと言うのに。下っ端の
ダークマターとはいえ、姿を見られた自分に腹が立った。
 波打ち際でボールを転がしながら、マルクは頭の中を整理していた。後どれぐらい余裕
があるだろうか。ノヴァは幸いにも早く発見出来た、ポップスターで休憩してたと言い分
け出来る範囲で戻れれば、ゼロの覚えも悪くなる事は無いだろう。
「今は少しでも警戒されちゃダメなのサ……」
 ふとドロシアを取り込んだ事を思い出した。試してみるかと帽子の先に力を込める。帽
子の先が歪み、粘性を帯びる。それは紅い、蒼い、血液のような粘性を帯び――
「ていっ!」
液体が弾けて飛び、近くにあった椰子の樹に穴を穿つ。
「あっれぇ……おかしいのサ」
 あまりの軽い威力に唖然とする。魔女ドロシアの力とはこんなものだったのだろうか。
マルクは暫し逡巡した後、先に用事を済ませるべく闇空へと翼を広げた。




 ピンクの悪魔が目の前を駆け抜けてゆく。その行く手には樫で出来た頑丈な棚があった。
棚の上には、質実ながらも壮麗な仮面が数多く並んでいる。悪魔はおもむろにその一つを
手に取ると、口に運んだ。仮面が、パリポリと煎餅の如く噛み砕かれる。
「美味しいよ、メタナイトも食べる〜?」
 一枚、二枚、サンドイッチにして一気に五枚。次から次へと喰われていく。止めたくて
も体が動かない、なんとか声を絞り出す。
「カービィ、やめろぉおお……」

 メタナイトが目を開けると、そこは要塞内部の自室だった。
「相変わらず、慣れないものだな……」
不定期に襲ってくる悪夢に、メタナイトは疲労を隠せないでいた。麻で出来た粗末な毛布
を畳むと、仮面を付けマントを羽織った。部屋を見渡しホッと安堵する。
「やはりココは落ち着くな……」
 定期的に雲のアジトへは訪れているものの、陛下はフラービィと自室に篭っていること
が多い。日が経つにつれ、要塞に居る時間の方が長くなった。
 部屋を出ると、アックスナイトが駆け寄ってきた。メタナイトが要塞に居る日は皆いつ
にも増して明るい、やはり主君が側にいるというのは大きいのだ。
「メタナイト様、おはようございます!」
「アックスか。作業の進行状況はどうだ?」
「はい、7割程度かと思われます」
「遅いな……間に合いそうか?」
「バッツとマッシャーが手伝いに来てくれたので、何とかなるかと」
「奴等が来てくれたのか。 トライデントとジャベリンはどうした?」
「まだ戻ってきておりません。とはいえ技術要員ではないので、期日までに戻れば問題無
いと思われます」
「連絡だけは、忘れずに入れておいてくれ」
 メタナイトの矢継ぎ早の打ち合わせに、アックスナイトは淀みなく答える。話しながら
部屋から大広間へ出ると、黒々とした壁が聳え立っていた。その金属質の物体は雄雄しく
羽を広げ、今にも飛び出さんとしていた。その周囲をメイスナイト達が大荷物を抱え、忙
しなく走り回っている。
「ウィリーの手配が終わっただスよー」
「流石先輩、パネェっす!」
 メイスナイトとバッツが陽気にはしゃいでいる。遠くで火花を散らして修繕しているの
はマッシャーだろうか。
「ねーねー、メタ様ーッ」
 大広間を見渡していると、水兵ワドルディが飛びついてきた。
「うぉ、何事だ?」
「バル艦長が戻ってきてるんだけど、連れてきてもいいかなッ」
 水兵ワドルディの、お気楽な物言いに広間の空気が凍る。誰もが言いたくても言えなか
った事をあっさり言ったよ……オイ。
 メタナイトはそんな周囲を見渡すと、ため息をひとつ。
「……今は少しでも力が必要だ。戦力になりそうなら連れてくるがいい」
「わいっ、ありがとうメタ様ッ」
 素直に喜ぶ水兵ワドルディをよそに、アックスナイトとメイスナイトはホッと胸を撫で
下ろした。

 万全の準備をした上で、フロリアに攻め込むべきである。メタナイトはそう考え行動し
ていた。デデデ陛下は、当面の勢力を一掃し、城を取り戻す事を第一に考えておられるよ
うだった。だが、メタナイトはそれに疑問を抱いていた。仮に城を取り戻せたとしても、
スターロッドはもう無いのだ。フロリアに敵の首魁が潜伏しているのは間違いない。戦力
が削られる前に、攻め込むしかないのだ。
「カービィ達が戻り次第フロリアに乗り込む、皆抜かりなく準備を頼む!」
「「はっ!」」
 メタナイツ達の快哉が大広間に響いた。




 その夜。
 自室に戻ったメタナイトは、言い知れぬ違和感を感じとった。無言で剣を引き抜く。
「何者だ」
 メタナイトの誰何に、違和感は素直に姿を現した。
「流石は仮面の騎士メタナイト。ボクはマルク、おっと剣は向けちゃダメなのサ。ただキ
ミを誘いにきただけなのサ」
 マルクは調子のいい口調で捲し立てる。
「誘う……だと?」
「キミはボクと一緒にポップスターを支配するのサ」
「……戯言を」
 敵と見たメタナイトが、剣を勢いよく振るう。マルクの右肩から金色の翼が勢いよく伸
び、剣を受け止めた。
「酷いなぁ、話し合いに来ただけなのに」
「他人の寝所に無断で忍び込んだのだ、斬られても文句は言えまい」
 鍔迫り合いのような構図の中、マルクが語りかける。
「ねぇ、メタナイト。国を追われた王は果たして王なのかナ? 外敵の侵略に耐えかね疲
弊した王国。力を失った夢の泉。今こそキミが立つ時じゃないのかナ? 歴史上英雄が作
った国なんていっくらでもあるのサ。 ゼロもデデデもカービィも、み〜んな倒しちゃえば
いいのサ」
「……!」
「キミにはその力も志もある。ボクはそんなキミを応援しにきたのサ」
甘言を弄するな!私には私の理想がある!!

声にならなかった――

「メタナイト様、何事ですか!」
剣戟の音を聞き、アックスナイトが扉を勢いよく開く。
「また来るのサ!」
マルクの体が液体となり、飛び散り、消えた。

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投稿日 : 2009/03/14(Sat) 00:11 
投稿者 : フラービィ  


ゼロとダークマインドとの間に流れていた、闇に似つかわしくない温和な空気を、不意に届い
た思念波が打ち破った。
『ぜろサマ、トドイテオリマスデショウカ』
「思念なら問題なく届いている。どうかしたのか」
『でででジョウデ、フカカイナゲンショウガハッセイイタシマシタ」
「不可解、だと?」
少しの間思念波が途切れる。が、再び伝わってきた。
『ナントモウシマショウカ、マルデ、エガジッタイヲモツカノヨウニ』
「え? ……ああ、絵か。案ずることは無い、恐らくドロシアだろう。何かの事情があって絵
 画から元に戻したに違いない」
『ソレナラバヨイノデスガ』
「これで終えるぞ」
『ア、マッテクダサイ。サイキン、ワタシノクチョウヲマネスルモノガオオクイテ、ワタシノ
 コセイガウシナワレツツアルノデスガ」
「そのカタカナ語か? ……そこまで気にするな」
それだけを言い、交信を終えた。
「何かあったのか?」
「なに、案ずることは無い。さて……、ポップスターに向かってもらおうか」
「なんだ、結局用事があったんじゃあないか」
「気が変わっただけだ。カービィを殺してからポップスターを落とすのも、ポップスターを落
 としてからカービィを殺すのもあまり変わらないからな」
一度破られた温和な空気はもうそこには無く、あるのは殺伐としたそれだけだった。
「それで? 我輩は具体的にどこに行けばいいのだ?」
「本拠地に乗り込め。今までの情報で大体の位置はわかっている」
無闇にダークマターをけしかけてるわけではない、とゼロの目が語っている。
「が、一気に攻め込まずに周囲から少しずつ、だ。逃げ回られると厄介だからな」
さあ、さっさと行くんだの声に押されて、ダークマインドがワープした。
――こちらに誘い込んでもそれはよし。最終兵器Fがあるからな。

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投稿日 : 2009/03/14(Sat) 05:43 
投稿者 : guri  


 デデデ城の一室。燻した金で縁取った豪華な鏡がそこにある。それはデデデ大王の全身
が映せるように大きめに作られていた。唐突にその鏡に波紋が走り、妖しく歪む。
「よっこらしょっと……全くゼロも人使いが荒いねぇ」
 鏡の縁を紫色の手がガシリと掴む。鏡から屈むようにして大男が姿を現した。それは水
牛の骨のような厳しい兜を被り、漆黒のマントをたなびかせている。その周囲を二枚の鏡
が緩慢にぐるぐると回っていた。
「おやおやホントだ、二次元空間じゃぁないねぇ……」
 大男は城を見渡すと、面倒くさそうに呟いた。回転する鏡が大男の側に静止すると、そ
れに向かって話し掛けた。
「なんで戻っちゃったんだろうね。ドロシア、解るかい?」
 鏡には紫のローブを身に纏った女性が映っていた。それは同色のマフラーで顔を覆い、
深々と被った山高帽から、水浅葱の髪がサラリと覗く。手にもった大きな筆の穂先が、酷
く痛んでいる。
「ざっまぁないわ、きっとやられちゃったんじゃないの?ダークマインドのドッペルゲン
ガーとやらも、大した事ないわね」
 ドロシアがケラケラと笑う。
「どう言うことだ……?」
ダークマインドと呼ばれた大男の目が、鋭く睨む。
「私の空間は創るのは難しいけど、安定しちゃえばそうそう崩れる事はないわ。
でも力の供給が完全に途絶えたとしたら話は別ね。やられたか、あるいはこうして幽閉さ
れているか、ね」
「成る程な。お前さんが弱かったというだけの事か」
「あんな安っぽい分身と一緒にしないで貰いたいわね!」
ガガン!!
 ドロシアがいきり立ち、鏡面を裏から筆で叩く。
「あっさり我輩に掴まった身で言っても、説得力が無いねぇ」
「復活したてだったんだからしょうがないでしょ!いい加減出しなさいよ!」
「じゃあゼロに忠誠を誓うかい?」
「だっっれがあんな眼球に、従うもんですか!」
「それでは我等にメリットが無いな。一生そこにいるといいよ」
 ぐ……と、ドロシアが言葉に詰まる。
「大体、なんでアンタは従ってるのよ。私の力を封じられる程の力があって、従ってるの
は解せないわね」
「そりゃぁ……甥の為だもの、頑張るさ」
 ダークマインドがへらりと言う。
「甥いぃ!?あんたらに血縁関係なんてあったの!?」
「我輩は、3代目ゼロの鏡なのだよ。彼の力が鏡の世界へ投影され、生まれた。まるで双
子のようじゃないかね?だから君達ナマモノ風に言うなら、4代目は甥にあたるんじゃぁ
ないかな」
「随分と世俗慣れしたダークマターもあったものだわ……」
 ドロシアが呆れたように呟く。
「ふむ……悪夢が転がってたぐらいで面白い物は無いな。そろそろお仕事に行くとします
か」
 ダークマインドはデデデ城を一通り散策すると、空へと舞い上がり、雲のアジトに向か
って轟然と飛び出した。

 ダークマインドが風を切り雲を切り、駆け抜けてゆく。ドロシアがふと言った。
「鏡でワープ出来るなら、それでパパッと移動した方が早くない?」
「……体がつかえて通れんのだ」

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投稿日 : 2009/03/18(Wed) 18:04 
投稿者 : tate  


 包帯でぐるぐる巻きにされたデデデ大王は、ベッドから上半身を起こした。ベッドサイ
ドには、フラービィが一人腰掛けている。
 ここは雲の隠れ家の一室。ドロシアに襲撃され、主には自身の手により壊滅的なダメー
ジを受けた仮の自室から、デデデ大王は別の部屋に移されていた。壁際には、あの爆発に
巻き込まれても尚、ほぼ原型を留めている諸悪の根源となったニューデデデハンマー・改
(未完成)がふてぶてしくも鎮座している。
 デデデ大王が意識を取り戻したのは、ドロシアの襲撃からはおよそ一日が経ってからの
ことだった。
「つまりフラービィ、お前はここを襲撃したドロシアとかいう輩はゼロの手下だと言いた
いのだな」
 デデデ大王の言葉に、フラービィは小さく頷いた。
「ということは即ち、ダークマター以外の敵が現れる可能性が大きいということか」
 今一度、フラービィは頷いた。
 ふうむと唸り、デデデ大王は腕を組んだ。
「確かに、ワシの城を襲ってきた敵にはビュートとかいう剣士もいたからな、敵がダーク
マターばかりではないのは間違いないだろう。問題は、この隠れ家が既に敵に発見されて
いることだ。クラッコ! クラッコはどうした!」
「クラッコ殿なら、先程クラッコJr.殿とブライト殿、シャイン殿を連れて帰還したとこ
ろですが、呼んでまいりますか?」
 クラッコを探すデデデ大王の大声に、戸口からひょっこり首を出したブレイドナイトが
答えた。彼の右腕には相変わらず包帯が巻かれたままだ。同時に付けられた胸の傷も、ま
だ完全には癒えていなかった。
「やはり勝手に隠れ家を離れていたのか……全く。いや、その件については今回は不問だ。
とりあえず呼んで来い」
「はっ! ……そうでした、クラッコ殿が陛下に会わせたいモノがいるとおっしゃってい
たのですが、その者も連れて参ってよろしいですか?」
 「会わせたいモノだと?」と、デデデ大王の目がさらに開かれる。
「クラッコが連れてきたのか」
「はい」
 デデデ大王はしばし黙考した後、
「話ぐらいは聞いてやろう。連れて来い」
 と言った。

「デデデ、クラッコを呼んでどうするの?」
 ブレイドナイトの背中を見送り、ふうと大きな溜息を洩らしたデデデ大王を、フラービ
ィは見遣った。
「とにもかくにも、場所を変えねば近い内に次の攻撃がくるだろう。クラッコならば、隠
れ家の場所を移動させることも出来る」
「ああ、成程ね」
「しかし、カービィどころかペイントローラーもメタナイトも何も報告を寄越さんとは、
一体やつらは何をして居るのだ!」
 雑事をほったらかしてデデデハンマーの改造にきゃっきゃしていたのはデデデ自身じゃ
ないか、などという突っ込みが口を出掛かったが、デデデ大王の攻撃の矛先がフラービィ
に向いたらたまったものじゃない。
 ぶつぶつと不平を洩らすデデデ大王に、フラービィは一応同意の苦笑を送っておいた。

 悪びれた様子一つなく部屋に入ってきたクラッコは、シルクハットにステッキを手にし
たマジシャンを伴っていた。
 彼はウィズと名乗り、ポップスターの存在する宇宙をディメンションミラーに投影した
もう一つの世界から来たと言った。この場にはいないが、カービィを投影したシャドーカ
ービィもまた、鏡の国からやってきたのだと言う。
「ウィズと私は以前、鏡の国に現れた闇、ダークマインドとの戦いの中で協力し合った仲
だそうです。鏡の国のクラッコと私は同一の存在ではありませんが、鏡の国のクラッコは
私を投影した分身とも言える存在、その基盤となるものは同じはず。その私が共闘したの
ですから、信用して構わないでしょう」
 と、強引というか無理が通れば道理引っ込む的な理論の展開で、クラッコは二人が何者
なのかを説明した。が、
「信用できんわ」
 とデデデ大王は一刀両断にした。
「大王様……それはあまりにも」
「黙れ、クラッコ。ウィズと言ったな、お前は何をしにポップスターに来た」
「……端的に言えば、復活したダークマインドを倒すために、と言ったところかねぇ。ダ
ークマインドはどうやら、こちらの世界に来ているようだから」
 空にふわふわと浮いたまま、ウィズが言葉を発する。シルクハットとマントの間隙から
覗く暗がりに双眸が光って見えるが、それだけだ。表情は全く読み取れない。
 ふん、と苛立ち混じりの鼻息を洩らし、デデデ大王は腕を組んでベッドの中でふんぞり
返った。
「そうか。ならば、ダークマインドとやらを倒すまでの滞在は認める。ダークマインドと
やらを倒して、さっさと元の世界に返るがよい。シャドーカービィとやらも連れてな」
「大王様! それはあんまりなのでは……」
 クラッコがウィズを庇うかのごとく口を挟むが、デデデ大王はそれを黙殺した。
「だが、ワシは寛大だ。シャドーカービィとやらの傷が癒えるまでは、この隠れ家を使う
がいい。――そうだ、クラッコ。今すぐこの隠れ家を移動させるのだ」
「移動、ですか?」
「ああ、この場所がどういうわけか敵に知られている。この状態で更なる攻撃を受けては、
どうにもこうにもならん。さっさと移動させて来い!」
「は、ははは、はいっ! 今すぐに!!」
 ぴゅーっとクラッコが慌てて部屋を出て行った。
 部屋の中に、デデデ大王、ウィズそしてフラービィの三人だけが残ったのを見て、フラ
ービィは徐に口を開いた。
「ねえ、デデデ。ダークマインドはきっと、僕たちの敵でもあると思うよ」
「……どういう意味だ?」
「さっき、ウィズは『復活したダークマインド』と言ったよね。ダークマインドは、鏡の
国を襲った闇の眷属なんだ。ドロシアはゼロの力により『復活』した。ダークマインドも
また、『復活』している。……無関係とは思えないんだ」
「ゼロが絡んでいる、と?」
「うん。少なくとも、僕はそう思う」
 ウィズは沈黙を保ったまま、二人の会話に耳を傾けている。
 デデデ大王は、フラービィの言葉を頭の中で反芻した。ダークマインドはゼロにより復
活させられた存在……ゼロにより復活させられたドロシアは、ゼロの部下になったのかも
しれない……ダークマインドもまた、ゼロの部下としてデデデ大王達に襲い掛かってくる
可能性はゼロではない、とフラービィは言っている。
 デデデ大王の表情が険しくなった。
「ウィズよ、お前はどうやってダークマインドを倒すつもりでいる?」
「……んー、シャドーに頑張ってもらう、かな。鏡の国には、マスターソードというすべ
てを切り裂く万能の剣があってね、それを使えばおそらくダークマインドも倒せると思う
のだよ」
「ほう?」
「と思っていたのだけどね、マスターソードはまっぷたつに折られてしまったらしいのだ
よ。さて、どうしようかねぇ」
「……つまり、打つ手立てがないということか」
 そういうことだねぇ、とウィズはふわりふわりと漂いながら、ステッキをくるりと一回
転させた。
「どう思う、フラービィよ」
 と、すぐ脇に立っていたフラービィを見上げたデデデ大王の口元が、わなわなと震えて
いる。口調は落ち着いてはいるが、内心は全く持って穏やかではないようだ。怪我をして
いなければ、ハンマーの一振りでウィズはとっくにお星様になっているだろう。
「多分、本当のことを言っていると思う。マスターソードでダークマインドを倒せると言
うのは事実だし、それにこの状況で嘘を吐くメリットは、多分彼にはないと思うよ。僕個
人の考えを述べるのなら、ダークマインドに関する知識は彼らの方が多分に持っているだ
ろうし……戦えるモノは多くいた方がいいと思う」
「手を組め、と」
「まぁ、そういうことかな」
 再びデデデ大王は口を閉ざした。眉間に寄った皺はそのままだが、もうウィズを排除し
ようという雰囲気はなかった。
「ウィズよ、ワシらと共に闇と戦うか?」
「うん? ……そちらがよければ、願ったり叶ったりだねぇ。私一人ではダークマインド
を倒すことは到底叶わないからね。シャドーも……おそらく同じことを言うだろうね」
「ふん。ならばワシ達は現時点を持って、鏡の国と共同戦線を敷こう」
 こうして、雲の隠れ家の一室で、ポップスターと鏡の国の共闘が決まった。

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