×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

小説の中へ [18]



------------------------------------------------------------------------------- 
投稿日 : 2009/04/22(Wed) 02:57 
投稿者 : tate   


 メタナイトが乱入してきた会議の翌日のこと――
 デデデ大王はブロントバートからデデデ城周辺の状況の報告を受けていた。簡単に纏め
るとこうだ。
 カービィ達が見たという、絵画化が解けつつあったデデデ城は、すっかり元通りに戻っ
ているとのこと。
 そして、夢の泉は光がなくなったばかりか、泉の直上に、ダークマターともナイトメア
とも判別付けがたい漆黒の物体が鎮座しているとも。ペイントローラーとスラッドが二人
掛かりで戦いを挑んで尚、健在を保つ敵である。言うまでもなく手強い相手だ。

 何らかの策が必要だな、と思考の海に沈んでいたデデデ大王を引き揚げたのは、ブレイ
ドナイトとソードナイトの二人だった。ブレイドナイトが、もぞもぞと煮え切らない態度
で口を開く。
「陛下、大変申し上げにくいことなのですが……」
「何だ、言ってみろ」
 はっ、とソードナイトが言葉を引き継ぐ。
「我々二人は、メタナイト様と共に宇宙へ参ろうと考えております。陛下の護衛を務める
立場でありながら……」
 よい、とデデデ大王はソードナイトの言葉を遮った。
「その程度のことはわかっておる。故に、お前達にはワープスターをハルバードに乗せる
ために、暫し働いてもらおうと考えておったところだ」
 デデデ大王の穏やかな物言いに、ブレイドナイトとソードナイトの緊張が解けた。
「して、我々は如何すればよろしいでしょう」
「カービィにくれてやるワープスターは、ロロララ城にある。ワドルディが報告してきた
時点で、数人の技師を送り込んで修理をさせておるから、それを回収し、ハルバードに積
み込むのだ。メタナイトへの文はこちらだ」
 ブレイドナイトに一通の書簡を手渡した。
「あらかじめワシからも一報は入れておくが、後はお前達に一任する。期日は間に合わせ
ろよ」
 ブレイドナイトとソードナイトの二人は、びしっと敬礼をするとデデデ大王の自室を後
にした。

 デデデ大王は一つ溜息を吐き、こめかみを押し揉んだ。やはり体全体を襲う倦怠感はな
かなか抜けない。偽ドロシアとの戦いの影響だろう。アレから満足に休憩も取れていない。
 部下たちはここ数日で体を休めることも出来ようが、デデデ大王も同じように休息を取
り、安穏と時間を費やすことはできない。
 携帯電話を手に取った。そして、木のマークが付いたボタンを徐に押した。
「おお、ウィスピーか。そちらの状況はどうだ」
『こちらは、時折ダークマターの襲撃がありますが、森に生きる者がよく働いてくれてい
るおかげで、大した被害は出ておりません』
 スピーカー越しに、ウィスピーウッズの嗄れた声が聞こえてくる。元気そうな声だった。
「そうか。六日後にメタナイトが動く、同調する者にはオレンジオーシャンの要塞へ向か
うように伝えるのだ」
『オレンジオーシャンが騒がしいことは、存じ上げております』
「ほう? メタナイトがそちらにも向かったか」
 ははははは、とウィスピーウッズが笑う。
『あの御仁がこのような平穏な森にわざわざやって来たりはしませぬよ。植物のネット
ワーク網を介してそういう情報が入ってきているのです。そうですか……こちらの森でも
メタナイト殿に同調したい者もいるでしょう。その旨、周知は致しましょう。時に大王様、
デデデ城の方は……』
「ふん、そちらについても数日中のうちに奪還に動く。奪還戦は敵の勢力もある程度見え
ておるが故、そのために戦力を寄越さずとも構わんぞ。お前はお前の支配地域の守りを固
め、後塵の憂いを無くすよう尽力するのだ」
『御意に』
 ボタンを押し、ウィスピーウッズとの通話を終了した。

「次は、夢の泉にいるというダークマターへの対処を考えねばならんか……。経験者の意
見を仰ぐのが手っ取り早いか」
 部屋から顔を出したデデデ大王は通りすがりのワドルディを捕まえると、ペイントロー
ラーとスラッド、そしてフラービィを呼んでくるように命じた。

---
 思考回路的、戦力バランスを鑑みて、ソドブレはメタナイトサイドに割り振りました。
ミーハーな彼らのことですから、メタ寄りな行動を取ることと思われ。

時間軸:ややこしくなってきたので、タイムテーブルで記します。
    ※笹ブレの時間軸は確定されていないので、仮置としました。
:
0日 (会議)
1日 ←今ここ
2日 (デデデ会議)
3日 
4日 
5日 (笹ブレ@ベジタブルバレー/仮置)
6日 
7日 (メタ約束の日)
:

-------------------------------------------------------------------------------
投稿日 : 2009/04/30(Thu) 22:07 
投稿者 : ヨツケン  


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 暗闇を静かに照らす満天の星空の下に少女は居た、辺りには水の出ていない噴水以外に
何も無く、延々と大地が広がっている。 
「あれは……」
 不意にルナは噴水の側に浮いている混沌に満ちた黒い球体を見付け、その先に眼を向け
る、そこにはルナの良く知る青年の姿が有った。
「……スラッド?」
 思わずルナは青年の名前を呼ぶ、しかし青年はそれに気付く様子すら見せずに地面を蹴
ると、黒い球体に飛び掛かる。
「……!危ない!!」
 黒い球体から無数の星が放たれ、青年に向かって飛んで行くのを見て、ルナが叫ぶが、
無情にも星は青年の身体を貫き、青年は地に落ちる
。
「スラッド…スラッドぉ!!」
 少女は必死に声の続く限り青年の名前を呼ぶが、青年は倒れたままピクリとも動かない。
「お願い動いて……」
 少女の頬を一筋の涙がゆっくりと流れ落ちると、そこで悪夢は静かに終わりを迎えた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「う、うん……スラッ…ド……」
 青い瞳を静かに開きながら、少女が独り呟く、いつの間にか少女の眼からは涙が流れ落
ちている。
「スラッド……良かった、夢かぁ……」
 ベッドにもたれ掛かりながら寝ているスラッドを見つけ、涙を拭きながらホッと胸を撫
で下ろすと両手を青年にかざす。
「よいしょっ…と……」
 ルナは意識を集中させてスラッドの身体を浮かせると、先程まで自分が寝ていたベッド
に寝かせ、自分はバスタオルと着替えを持ってシャワールームに入って行く。
「あんな悪夢の様な目に、スラッドを合わせる訳にはいけない……」
 そう呟くと少女は服を脱ぎ小さな個室に入ると、頭上の雨雲をつつき、降ってきた雨に
しばらくの間、身体を打たせる。
「スラッドは私が絶対護る……」
 何かを包む様に両手を合わせ、眼を閉じて静かに神経を集中させる。
「我が魔力をこの手に集め…魔を退け、癒しと護りを与える光とせん……魔晶精製……」
 少女が呪文を唱えると、少女の身体から光が溢れ、そしてゆっくりと光が手の中に集ま
り、小さな指輪を形作る。
「はぁ、はぁ…やっぱりこの魔法は疲れますね…でもこれでスラッドは大丈夫……」
 頭上の雨雲をつついて、雨を止めると、個室から出て、雨に打たれて冷えきった身体を
指輪を握ったまま優しく拭く。
「うぅ…寒い……」
 身体を小さく震わせながら、ピンクと白の縞模様の下着を履き、白いシャツと赤いチェ
ックのスカートを着て、純白のローブに身を包む。
「早く暖まらないと……」 冷たい身体を擦りながら部屋に戻ると、ベッドで寝ているスラッドの姿が眼に入った、
とても暖かそうである。
「暖かそうだなぁ……」
 少女はスラッドの寝ているベッドに近付くと、起こさないように静かにベッドに潜り込
むと、スラッドに身を寄せる。
「(少しだけ……暖めさせて下さいね……)」
 寝ているスラッドに囁くと少女は顔を赤らめながらも、後ろからスラッドを包む込むよ
うに抱き付き…かけた瞬間。
「……冷水シャワーじゃ寒くなるの当然だと思うんだけどな。」
 いきなり目の前の影が反転し、自分の額に手を乗せる。苦笑を返すその顔に、少女はさ
らに真っ赤になる。
「あっ、なっ、す、スラッド!?…い、いつ起きたの?」
「ルナが入り込んだ辺り。…つか、魔法使った疲労で倒れたんだからむやみやたらと使う
なって。」
 どうやらシャワーの事ではなく、自分がベッドに入っている状態のことを言っているら
しい。
 スラッドはいまだ冷たい少女の髪をくしゃりと優しく撫でると、すぐにパッと起きてベ
ッドから抜け出し、起きだそうとするルナを軽く押しとどめて毛布をかけた。
「俺入ってたし、その前はルナ入ってたしで一応暖かいかなぁと。」
「でも、スラッドは…」
「俺は仮眠レベルで平気なんだよ。…もう倒れないから、安心しろって。」
 そう言ってスラッドはぺふっと少女の頭を撫でる、毛布に残った暖かさを感じながら少
し寂しそうな顔をした少女は、すぐに自分の手にあるものを思い出す。
「あ……スラッド、その…これ。」
「?」
 上体を起こして差し出された手を見て、スラッドは小首をかしげながらその握られた手
の下に自分の手のひらを置く。
少女が手を開くと、スラッドの手に落ちたのは一つの純白の指輪。
「…これは?」
「お守り…みたいなもの。魔法とか、特殊なエネルギー物質から身を護ってくれるように
と作ってみたんだけど…。」
 説明を聞いて、スラッドはその指輪を握りながら手を戻す。
「そっか、……ありがとうな、…って、これはありがたいんだが…」
 神妙な顔でお礼を言ったスラッドだったが、傍と気づいてジト目になりつつぺしっ、と
少女の額を軽く叩く。
「いたっ…」
「だから、魔法連発すんなっての;……なるべく怪我しないようにするけど、怪我した皆の治療は今んとこルナが頼
りなんだからな?」
「はうぅ〜…。」
 しゅんと頷く少女に「よし。」と微笑みかけつつもう一度撫でると、スラッドはすっと
踵を返す。
「あ…どこに?」
「水汲んでくる。…すぐ戻ってくるから、ちゃんと寝てろよ?」
 その言葉に頷いて少女が横になるのを確認し、スラッドは桶を持って部屋を出る。
「…心配させちまってごめんな。…ほんとにあんがと。」
 出る間際に呟かれた言葉はしっかりと少女の耳に届いて…彼が残したぬくもりに包まっ
て、少女は少しだけ幸せそうに目を閉じた。

------------------------------------------------------------------------------- 
投稿日 : 2009/05/10(Sun) 01:44 
投稿者 : フラービィ  


夜遅くになって、正常運転を再開した空に浮かぶ月も西へ沈みかけている。通常ならほと
んどの生物が寝ている時間であろう――実際、隠れ家の住人はほぼ全て寝ている――が、
どう考えても睡眠時間が不足している人のうちの一人、フラービィは未だに起きていた。
体内時計が狂っている、というのも一因であろうが、最大の原因は脳が睡眠を欲していな
いことである。
「今何時だ? って、時計も無いのに何を言ってるんだ僕は」
脳が睡眠を欲していない、というよりは、様々な考えが脳をめぐって寝るどころではない、
の方が適当である。
「せめて解決策ぐらい考えないと寝れないからなあ。……特に、仲間内でのしこりは取り
 除きたい」
対象は二人。スラッドとブライトだ。勿論、スラッドのほうは解決策はすでに出ている。
問題はもう片方だ。デデデがああ言ってくれたおかげで、多少は疑いは晴れたようだが、
それでも、フラービィを疑いの対象から外さないのは明らかであろう。事実、会議の部屋
を去るときも、太陽からの痛い視線を感じていた。ある意味『敵』発言より深く心に突き
刺さる感じがあったようだ。
「……あー、何も思い浮かばない」
誰か答えを教えてくれよと呟きつつ、自身の黒い髪をぐしゃぐしゃにする。どうやら思考
が迷宮入りしてしまったようだ。後回しにしようにも後でそのしわ寄せが来る事ぐらいは
容易に想定できる。
「ある意味脅威なんだよな。こういうやつは。どうしたもんかな……」
しかし、後で厄介な事が起こるとはいえ、答えが見つからない以上は考えるのをやめざる
を得ない。このまま無駄に考えても、ただ時間が過ぎていくだけである。それよりは何か
をするか、いっそのこと寝るかの方がまだ時間を有効に使える。
「寝れるかって」
――最近独り言が多くなったと、このごろ思うようになってきた。前はそんな余裕すら、
  ……無かったんだろうなぁ。
過去のことを思い出すと鬱になるため、何かをして気を紛らわすことにしたらしい。バッ
クパックから様々なものを取り出し、無言の化学者がそれを組み立てていく。装置の全貌
が少しづつ明らかになってきた。月は完全に沈み、太陽が昇りかかっている。
「……ふう、『F式爆薬製作機』完成、っと。朝になっちゃったなあ」
装置の間から朝の日差しが差し込んでいる。眠気というものは、来ない時は本当に来ない
ものであることを、フラービィは痛感していた。
――熱中しすぎって、怖いな。
一人、苦笑いした。
「さてと、反応開始といくかな」
吹っ飛びませんようにと祈りつつ、装置を起動させた。どうやら全自動らしいが、仕組み
はフラービィの頭の中にしか入っていないようである。誰かに説明を要求されても、絶対
に話さない、プライド的なものをこの化学者は持っているらしく、恐らく今後誰一人とし
てこの装置を真似できる者は現れないだろう。
――最大限に有効活用させてもらうよ。世界観どころか世界をも壊しかねない、この力を。
  ……ゼロ。
----------------------------------------------------------------

同日AM2:00 補足:F式の「F」はフラービィの頭文字です。

-------------------------------------------------------------------------------
投稿日 : 2009/05/12(Tue) 23:01 
投稿者 : guri  


 星の瞬く間隙を潜り抜け、小さな魔導師が軽やかに舞い飛ぶ。マルクはポップスターを
離れ、帰路の旅路へとついていた。
「へい、ヘイ、HE〜Y♪」
 お気楽陽気にくるっとターン。マルクはご機嫌であった。任務は全部完了、やりたい事
も全部出来た。おっと帰りつくまでが遠足なのサー。あれ、何か声が聴こえる……?

「み〜〜〜〜〜〜〜〜つけたぁ!!!」
 マルクの眼前に紫服の令嬢が飛来する、全速力で飛んできたドロシアはマルクを毬のよ
うに跳ね飛ばした。
「いったぁ、何するのサ!前方不注意なのサ!」
「ってえぇぇ、マルク!?なんで貴方が!!」
「ドロ……シア!?」
 抗議の声を上げたマルクが、幽霊でも見たかのような表情で固まる。
「ボクが飲み込んだはず……」
 言いかけて、マルクは慌てて口を閉じる。口笛吹いて誤魔化しても手遅れである。
「成る程、あんたに取り込まれちゃったって訳……ね」
 鷹揚に筆を突きつける、虹色に煌く筆先が魔力を高める。それがマルクには銃口を突き
つけられているように感じた。ドロシアは言下に言い放つ。
「返しなさい」
「無理なのサ」
 だがマルクは、にべも無く即答した。
「キミの……そのなんだ、分身はボクの中で溶けて消えた。もうボクの意思でも分離は不
可能なのサ。大変大変悲しいコトだけど、まぁ許してちょ〜よ」
 マルクの大仰な仕草に、ドロシアがギリッと唇を噛む。
「なら……あんた切り刻んでも取り出すしかないわねっ!」
 ドロシアが勢いよく筆を振るう、目の前に描かれた筆の軌跡が刃となって、マルクへと
飛来する。だが、その刃はマルクの側で弾けて、消えた。破片が液体となって虚空を漂う。
「……っ」
「良いのかい?」
 唐突にマルクが問う。
「ボクに歯向かうのは、ゼロサマに歯向かうのと同じコトなのサ」
「はっ、冗談!ゼロも私の倒すべき敵。寧ろ望むところだわ」
「ほう……」
 マルクの顔に一瞬だけ微笑みが宿る。だがそれはすぐに消えた。
「ならば仕方ないのサ、ゼロサマに仇なす者は生かしてはおけない。ゼロサマの忠実なる
僕、このマルクが相手するのサ!」
 マルクの羽が輝き光る、幾千もの矢が撃ち放たれる。ドロシアは宙を蹴ると後ろへ飛ん
だ、後退しながら虹色の障壁を幾重にも描き出す。

パシュンパシュン

 光の矢が虹を穿ち相殺される。矢と虹は砕けただの光となる。ドロシアは帽子のつばを
飛ばないように抑えつつ後退する。
「くぅー、、激しいわねぇ」
 ドロシアは後退しつつ己の軽率な行動を恥じた。あのマルクだと解っていれば迂闊に近
寄らなかったものを。ともあれ今は時間が欲しい。ドロシアの能力であるペイントの威力
は、描く絵の精密さ、超自然的な美的センス、そして注ぎ込む魔力のバランスによって決
まる。早い話が接近戦では全力が出せない、向いていないのだ。
 最もそれは魔術師たるマルクも同じはず――
「ってえええぇ、なんでこんな嵐なのよーー!!」
 輝く矢の奔流は止まる事を知らない。無詠唱で放たれる数々の攻撃に、ドロシアは防戦
を余儀なくされていた。攻撃の僅かな間隙を縫って紅の絵の具―火炎弾―を撃ってみるも
のの、マルクに触れることすらなく弾けて散った。
「ゼロの前で会った頃よりかなり強くなってるわね……」
 その力の一端が、自分の力であることがとても苦々しい。
「これは……逃げるしかないかっ」
 飛来する攻撃は虹の防護壁で何とか捌ける、このまま距離を取りつつ付近の衛星にでも
降りてーーー
「逃げるのカナ?そうはいかないのサ、キミはボクの大事な大事な……」
 マルクの口端が妖しく歪む。
「
     floria
                    aqualiss
         skyhigh
                          hotbeat
      cavios
                      mecheye

                                 halfmoon...

……全ての星々の力もて今ここに顕現するのサッ、ノヴァッ!!」
 マルクの周囲がユラリと揺れる、内側から溢れる魔力がドロシアの目にも見てとれた。
マルクの顔が恍惚に歪む、体全体が光の奔流に包み込まれる、そして……
「……がっ」
 次の瞬間、ドロシアは吹き飛ばされていた。揺れる世界の中僅かに意識出来たのは、マ
ルクの甲高い声だけであった。
「アキャキャキャキャキャキャキャッ」
 高笑いだけが五月蝿く響く、四方八方からマルクに叩きつけられ、ドロシアの体が一段
そしてまた一段と舞い上がる。手にしていた筆が弾け飛ぶ。
 意識が薄れゆく中、マルクの革靴がドロシアの脳を揺らす。気を失い制御を失ったドロ
シアの体は、重力に引かれ近くの衛星へと落ちていった。


-----


 暗く暗く薄暗く、何処か影のある星。名も無き星。唐草模様の荷物を背負い、ほっかむ
りをした群集が遠巻きに蠢いている。ひそひそ話が聞こえるが、なんとか目を開けて睨む
と散っていった。
「っ痛……」
 ドロシアは己の身体が軋むのを感じた。、このままではこの身体を保つ事も出来ないだ
ろう……。顔だけを何とか動かし周囲の様子を探ると、マルクがいた。
「おはよーさん、ドロシア♪」
 椅子のような岩に、羽根をしまったマルクがちょこんと座っている。先程までの狂気に
取り付かれていた様子は何処へやら、とても朗らかに笑っている。
「よかった、無事だった。とってもとっても心配したのサ」
「……」
「ボクがキミを初めて見かけたのは、ゼロに初めて謁見した時だったネ。お前と同じ立場
にあるものだ、って紹介されたのサ」
 突然始まった昔語りをドロシアは黙って聞いている、発声する事すら億劫なのだ。
「キミはいきなりゼロにケンカを売ったよね、懐かしいナァ」
「ボクは思ったサ、何てバカなやつなんだろうって」
 動かない体、砕けた杖、この状態でどうやったら一矢報いる事が出来るだろうか、それ
だけをドロシアは考えていた。
「……復活させられたからって、、ほいほい従う方がどーかしてるわ……」
「い〜やバカだね。下克上ってのはもっと上手くやるもんサ」
「……!?」

「いい方法がある。キミはボクの仲間になって、一緒にゼロを倒すのサ」
 そういうとマルクはニッコリと微笑んだ。そこでゼロを呼び捨てにしている事に、ドロ
シアはふと気がついた。
「何言って……」
「残念ながらキミの力は返せない、だからこれを上げるのサ」
 マルクは頭の帽子を探ると、一本の杖を取り出した。赤と白のストライプに彩られた杖
の先に、ハート型の宝珠が光り輝いている。
「ゼロが脅威する宝物の一つ、ラブラブステッキなのサ」
「なによ、物で釣ろうっていう、、の……」
 文句を言おうと睨めつけた、その視線が思わずラブラブステッキに注がれ、言葉が尻す
ぼみになる。その杖の魔力は確かに強大で、失った力を差し引いても大きくお釣りがくる
ものであったからだ。
「ポップスターを侵略するにあたって、ゼロが恐れる宝物は六つあるのサ。一つは夢の泉
に眠るスターロッド、これはビュートって剣士が破壊したのサ。二つ目は虹の剣、これは
ダークマターの剣士が何処かの村から奪いとったらしい」
「さらに鏡の国に眠るマスターソードとリップルスターに保管されていたクリスタル、こ
れらはダークマインドが破壊した。そして宇宙に漂うノヴァはボクが飲み込んだ、もう復
活することもナイ……」
「最後に……このラブラブステッキ」
 その意味を汲めとばかりに、杖をドロシアへと押し付ける。
「解るかな?つまりゼロが恐れる最後の宝物って訳なのサ。アイツには破壊したって報告
するつもりだけどネ」
「ゼロを倒した後……、これで貴方の寝首を掻くかもしれないわよ……」
「構わないのサ、キミとボクは利害関係が一致した。仲良しこよしな馴れ合いより、余程
信頼出来るのサ」
 ドロシアの手がラブラブステッキを握る。その聖なる力がドロシアの傷を癒す。
「いいわ、当面は従いましょう……。これから私に何させるつもり?」
「んー、ボクはこれからゼロの所に行かなくちゃいけないけど、キミが居たら一大事だ。
そうだね、メタナイトの事を頼むとするのサ」

-------------------------------------------------------------------------------
投稿日 : 2009/05/13(Wed) 16:16 
投稿者 : ノーザンライツ  


人影をバタービルディング頂上に認めたブライトは、速くも遅くもない速度で降下していく。
やや強めの風が、水色の髪や、身にまとう衣服の端を、後ろへそよがせている。
目を閉じてただ立っているだけの相手に、ブライトはゆっくりと近寄っていく。
近付けば目を開けてこちらに気付くだろうとブライトは考えていたのだが、
手を伸ばせば触れられる距離まで近寄っても、相手は目を開くどころか、
身動きひとつせず、目を閉じていた。
考えごとをするときのように、うつむいて目をつぶるのではなく、
遠くを見つめているようなかんじで、顔は正面を向いていた。
相手が動くのをしばらく待ったが、待ちきれなくなって声をかけた。

「おい、あんた」

途端に、相手の目が開かれた。そして、まったく無駄のない動作で振り向いた。
動揺の色を少しも見せないまま、こちらをじっと見据えている。
無言で見つめ合うことに耐えられないブライトが、再び口を開く。
人間のものではないような瞳に、長い時間見つめられていたくない。
濃い群青色の瞳の奥にある黒目が、ターゲットをロックオンした照準の
如く、こちらを捉えて離さなかった。

「こんなところで、何してんだ」

問いかけると、相手はブライトの方へ体ごと向き直り、瞼を下ろして
再び瞳を閉じた。今の問いかけを自身の中で繰り返し、どう答えるのが
最善の方法なのかを、考えているように見える。
……おいおい、ただの問いかけにそこまでする必要、あんのかよ。
もしかしたらゼロに与する存在なのかもしれないという考えが頭に生まれたとき、
相手はまた唐突に目を開いて、答えた。

「人を捜しています」

よくできた合成音声のように、相手はそう口にした。
捜し人といっても様々だ。どんな人物なのか、自分とどういう関係に
あるのか、そして、何故ここにいるのか、待っていれば答えてくれる
だろうとブライトは黙っていた。だが、相手はブライトを見つめたままで、
何も言おうとしない。質問の答え以外のことは口にしない、と決めてでも
いるのだろうか? その態度が癇に障り、ブライトはつい喧嘩腰になった。

「人を捜すにしても、中途半端なとこへ来たもんだねぇ。
ここは地上と雲上の中間地点さ、俺ら以外には誰もいない。
ちいっとばかし、場所を考えたらどうなんだ?」

今度は、瞬き程度にしか目を閉じなかった。何故、先程の問いの際に
閉じたときとは感覚が異なるのだろう、とブライトは思った。
そして何より、どうしていちいち目を閉じなければならないのだろうか。
癖か何かなのだとしたら、相当厄介な癖だ。

「ここで捜していたわけではありません。この先に、多数の反応が
確認された場所があります。そこへ向かうつもりだったのです」
「そーかよ。だったらどうして突っ立ってたんだ」

相手はまた目を閉じた。すぐ終わってくれと反射的に願ったがそれもむなしく、
相手は長いこと目を閉じたまま、ブライトの前に立っていた。
ここへ相手を置いたままにしていってしまおうか、と考えはじめた頃に、
ようやく相手は目を開いた。ブライトが驚いたのは、相手の目の中に
砂嵐のようなものが認められたからだ。普通の人間は、目の中に
灰色の砂嵐が入ることはない。そんなものが入るのは画面を有した
機械か、人間によく似た偽者か。ブライトは身構え、叫んだ。

「てめえ、何モンだ! 何しに来た? 襲撃か!」
「先の質問に答えます。……ここにいると、「ここちよい」からです。
今の質問には、問いかけられた順に答えます。私はガントレット、
人工生命体です。人を捜しに来ました」
「……人間じゃ、ないのか」
「はい」

なんとなく、納得できるところがあった。人間だと言われたほうが、
驚くかもしれない。だが、まだ敵ではないという確信を抱いたわけではない。
正体不明の存在を、グレープガーデンには行かせられない。

「おまえ、ダークマターの仲間か」

まばたきをする。質問のたびに目を閉じるのは、そういう仕様でつくられた
人工生命体だからなのだろうか。

「データがありません」
「……ない?」
「『ダークマター』に該当するデータがありません」

繰り返すガントレットに呆れながらも、ブライトはこう考える。
知らない相手と仲間になるはずがないし、仲間である存在が
メモリーにないというのはおかしい。嘘をついている可能性も
なくはないが、人工生命体は嘘をつけるものだろうか。
と、ごたごたした考えを続けるうちに、ブライトは吹っ切れた。
データがない=知らないというのなら、通してやろう。
実はダークマターの仲間で、嘘をついていたのだとしても、
質問をするたびに目を閉じる習性を利用して、追い払ってしまえばいい。

「あんたの捜してる人が、見つかるといいな」
「お心遣い、感謝いたします」
「かたっくるしいデータしか組みこまれてないのかよ。
こういうときはな、ありがとうございますって一言言やいいんだ」

ガントレットの目の中に浮かぶ群青色が、一瞬だけ、緑色に変わった。
新しいデータを登録した、そういうところだろう。

「ありがとウござイます」

ぎこちなく、発音もおかしい礼の言葉に、ブライトは笑った。
……優秀なのかそうでないのか、分からない人工生命体だな。



+

・オリジナルキャラ説明

名前 : ガントレット
性別 : 男性型
年齢 : 人間年齢で16歳
種族 : 人工生命体(ヒューマノイド

詳細…
質問の答え、警告、助言以外は発言しません。
発言するときも、文中にあるとおり、感情をまったくこめません。
みなさんのぬくもりにふれて変わる可能性もありますが…
(なにいってんの

ややこしい仕草は割愛していただいてオッケーです。
質問を受けたときも瞬きする程度か、描写を省略してください。
書いておいてなんですが、かなり面倒くさいと思いますので(汗

武器は、右手に装備した籠手型メカに雷をまとわせて戦います。
武道家タイプの戦い方をします。

捜している人の詳細はいずれお書きしますので、今は流しておいてください。



-------------------------------------------------------------------------------



前へ リストへ  次へ