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小説の中へ [19]



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投稿日 : 2009/05/13(Wed) 17:07 
投稿者 : tate   


 雲の隠れ家からほぼ強制的に連れ出されたチナツは、ワムバムジュエルとビュートの財
布を借りて、ヨーグルトヤードの街にやってきていた。新しい服を買うために、だ。
 あの時はどうしようもなかったとはいえ、ウサたんアップリケの付いた、しかもサイズ
の合っていないワンピースでは動き回るのに支障が出るのは明白だ。
 本当はオレンジオーシャンの街に立ち寄りたかったのだが、そこを敢えて避けたのは、
仏頂面曰く、あそこの近くにはメタナイトの要塞があるから、あまり立ち寄らない方がい
い、とのことだったから。
(服が買えれば、どこでもいいと言えばいいんだけどね)
 予想外だったのは、あの仏頂面があっさり財布を丸ごと寄越したことだったかもしれな
い。金に執着がないのかもしれないが、だからと言って他人に財布を丸ごと貸すなんて、
チナツにはできないと思う。ビュートとの付き合いはまだ一週間程度ではあるけど、ビュ
ートの行動や思考回路はニンゲン離れしすぎている気がする。ヒトという器の中に、何か
別の生物でも入っているんじゃなかろうか。
(ま、使ってもいいと言うのだから、財布の中身は有効に使わせてもらおう)
 急ごう、あまりここで時間を潰していると、戻ったときに皮肉の嵐が吹き荒れかねない。
 チナツは小走りに、ヨーグルトヤードの街の中へ消えていった。

  *

 レインボーリゾートに向かったビュートは、デデデ城の内部を一通り確認し終え、夢の
泉に向かっていた。別行動中のチナツも、用事が済み次第、デデデ城に戻ってくることに
なっている。
 その城の内部には、ダークマターが数体居ただけだった。黒丸を介して情報を引き出し
たところ、それらはドロシアが描き出した見張りなのだと言う。侵入者を撃退するよう命
令されたとのことだ。敢えて排除するものでもなし、彼の行動を邪魔するものでもないの
で、そのまま哨戒を続けさせている。

 そして、夢の泉は先にビュートが足を運んだ時とは全く様相が変わっていた。
 噴水の頂上には球形の闇が鎮座し、絶えず闇を噴出している。これは悪夢とダークマタ
ーが融合したものだと、ドロッチェは言っていた。であれば、視覚的には闇に見えるが、
実体は人々に悪夢を与える負の力なのだろう。
 ビュートは黒丸を従え、夢の泉の闇に歩み寄っていく。
 距離をつめると、闇がぎょろりと目を剥き、ビュートを見た。
(……確かに、こいつは悪夢の残滓だ)
 唇の両端が、薄く釣りあがる。
「黒丸、あいつに私達の立場を伝えろ」
「わかりました〜……って、伝えるまでもなく、私やビュートさんのことは知っているみ
たいですぅ。マジルテから放たれたダークマターの一体みたいですよ〜。うーん、でも
ぉ……」
 球体を保っていた闇が突如蠢き始めた。内部から何かが飛び出そうとしているかのごと
く、表面が激しく波立つ。そして星型弾がビュートと黒丸に向かって打ち出された。
 ビュートは鞘に収まったままの刀を軽く振り、それらの弾を叩き落す。その一つが、黒
丸が漂っていた近くの地面とぶつかり、土煙を舞い上げた。
「きゃ〜〜〜! 何で攻撃してくるですぅ?」
「さあな」
 ビュートはさらに足を踏み出し、闇に近づいた。威嚇するかのように目を剥いた闇は、
暫くビュートを睨め付けていたが、何かに気が付いたのか、表面を小さく震わせると目を
閉じてしまった。
 意思を外部に伝えることすらやめてしまったのか、「声がしなくなったですぅ?」と黒
丸が不思議がっている。
(そうだ、残滓ごときはそうして大人しくしていればいい)
 暫く夢の泉の闇を眺めていたビュートは、不意に踵を返した。
「こいつには夢の泉が再び機能しないように、この場を抑えて貰うことにしよう」
「ビュートさんはどうするですぅ〜?」
「デデデ城の奪還に来たモノの妨害でもしてやるかな。だがその前に、気になった設備を
もう一度見に行く。ドロッチェか……チナツなら扱い方がわかるかもしれないが」
「あのヘンな機械のことですね〜。早くチナツさんが戻って来るといいですぅ〜」
 一人と一体は、口を閉ざしてしまった闇を残し、デデデ城へと戻っていった。

  *

 マジルテに残ったドロッチェは、ドクと共にモニタを眺めている。その顔は珍しく険し
いものだ。
「ノヴァが消えた? 確かに、ノヴァはマルクとやらが破壊する任を負ってはいたが、あ
れの自己修復能力は並外れたものではないはずだが……」
「そうなんじゃがのう……しかし、確かにこのタイミングで一度ノヴァは現れたんじゃ。
それが次の瞬間、忽然と消えておる。消えたものは、いくら星の力を繋いだところで、呼
び出せはせんじゃろう」
 モニタに映し出されたエネルギー推移のログには、確かに巨大なエネルギーがぽっと消
えた跡が見られる。
 厳しい顔付きで腕を組んでいたドロッチェは、やがてふぅと息を吐いた。
「となると、スターロッドの代替物を真剣に探す必要がありそうだね。先日のビュート君
の話を踏まえるとトリプルスターでも代用にはなりそうだが……ドクは引き続き作業を続け
てくれたまえ」
「承知したよ、団長」

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投稿日 : 2009/05/15(Fri) 12:15 
投稿者 : ヨツケン  


草原に鈍い金属音が鳴り響き、煙が立ち上ぼる。煙が発生している場所には漆黒の剣を持
ったダークマターと、蒼き身体を持つ氷竜が互いを睨み合う様に対峙していた。
「ギャゴオォォ!!」
「来ルガ良イ……下等生物、コノ金属片ト同ジにシテヤロウ!!」
ダークマターはボロボロに成った金属片から剣を抜き放つ。ダークマターが剣を抜いた金
属片には、土を掘るためと思われる刃が無数に着いていた。
「ゴオォォ…ゴギャアァ!!」
「…フン、下等生物ガ」
不意にアイスドラゴンが深く息を吸い込んだあと、口から巨大な氷塊を無数に吐き出す。
ダークマターは暫くそれを眺めて居たが、氷塊が自分に迫って来ると、抜いたまま下げて
いた剣を構え、未だに氷塊を吐いているアイスドラゴンに向かって飛ぶ。
「フン……!!」
ダークマターの振った剣が氷塊を一つ、又一つと次々に破壊して行く、既に空中の氷塊は
半分以上ダークマターの漆黒の剣に砕かれて草原に落ちていた。
「……コレデ終ワリカ」
そう言って、ダークマターが最後の氷塊を砕き剣を下げ辺りを見渡し、アイスドラゴンを
探す、しかし周りをいくら見渡してもアイスドラゴンの姿は見えない。
「逃ゲタカ?……当然ダガナ……」
その時、ふとダークマターの周りが影に覆われる。不思議に思ったダークマターが上を見
上げると、さっきの物とは比べ物に成らないほどの超巨大な氷塊がダークマターの頭上に
降りかかる。
「ゴオォォ!!」
「……仕方ナイ、下等生物相手ニハ勿体無イガ【アレ】ヲ使ウカ」
氷塊が落ちて来るなか、ダークマターが意識を集中させ、剣を構えると、漆黒の刀身に黒
き雷が宿り、強い闇の気を放ち始める。
「深キ闇ノ淵ニ堕チルガ良イ…」
ダークマターが黒き雷を帯びた剣を十字に振ると、漆黒の刀身から雷を帯びた半月状の黒
き刃が生まれ、まるで豆腐を斬るかの様に容易く氷塊を四つに斬り分ける。
「終ワリ…ダ!!」
斬れた氷塊の隙間をすり抜け、漆黒の刀身を氷竜に向けた後、まるで閃光の様に竜との間
合いを一瞬の内に詰め、アイスドラゴンの身体を闇と雷が一閃する。
「ゴギャアァ……」
「所詮ハ下等生物……私ノ敵デハ無イカ……」
断末魔の叫びを上げ、竜の身体がしばらく宙を舞ったのち、草の上にその巨大な身体が
落ち砂煙を立てる。それを見ながら騎士は剣をどこかに仕舞い、落ちた竜に近付く。
「手駒ヲ増ヤスカ…」
騎士が何かを念じると、何処からか小さなダークマターが飛んできて騎士の前に現れる。
それを騎士は先程斬ったばかりのアイスドラゴンの身体に入れ、操らせる。
「此レで良イ……後ハ、ゼロ様ノ命ニ従イ、夢ノ泉ニ向カウノミ……」
「ゴオォォ…」
アイスドラゴンが小さく唸り、騎士はその場を離れ、夢の泉への道を辿る。その背を追い
ながら、氷竜が口から出される息で、周辺を凍てつかせる。未だに其所には煙が立ち上ぼ
っていた。

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投稿日 : 2009/05/15(Fri) 21:06 
投稿者 : ノーザンライツ  


目を閉じて横たわっているうちに、いつの間にか眠りこんでいたらしい。
目を覚ますと、視界の端にスラッドの姿が映り、ルナは上体を起こした。
スラッドはこちらを振り返って、どうした、と笑みを浮かべる。

「眠っちゃってたみたい」
「いいんだよ。しっかり体力回復しとかねぇと」
「うん……」

ベッドの端に腰かけ、何事か考えこんでいるスラッド。
銀の瞳は、虚空の一点を凝視して動かない。

「考えごと?」
「ああ。メタナイトと一緒にフロリアへ行く方と、大将とこの星に残る方に、
戦力を二つに分けるんだと。パーティ分割ってやつさ。どっちにつこうか、考えてた」

戦力分割。それはつまり、スラッドとは別行動に状況になる可能性もあるということ。
先程の悪夢が頭に浮かび、胸の内に形容しがたい不安が生まれる。
離れ離れ……相手が危機に陥っていても、何もできないどころか、それを知ることすらできない。
胸中にかかる靄を払うため、ルナは両手を握りしめた。

「スラッド」
「ん」
「もし、別れ別れになっちゃったら……その指輪が、スラッドのこと、守るから」

その言葉に、スラッドは開いた手の上へ視線を落とした。
ルナが魔力でつくりだした、少しの混じり気もない、純白の指輪。
魔法などの特殊なエネルギー攻撃から、装備した者を守る道具。
ルナの気持ちがこめられた、とくべつなアイテムであった。
声はまだ弱々しげだったが、はっきりとした思いが感じられる言葉。
スラッドは微笑み、指輪をつまんで、はずれてしまわないよう、しっかりと指に通した。

「ありがとな。……別行動になっちまったら、これをルナだと思うことにするよ」
「……うん」

親しいふたりには、沈黙でさえここちよく感じられた。

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投稿日 : 2009/05/17(Sun) 21:45 
投稿者 : guri  


〜デデデ大王の追憶〜

 時は遡る事、ダークマインド襲撃の少し前。雲のアジトの深夜のお話、外も暗く満天の
星空が煌いている。熟睡したクールスプークの明かりを頼りに、デデデ大王とフラービィ
がゆったりと、だが丁寧にデデデハンマーを修理していた。二人は修理に没頭しながらも、
時折流れる談笑に心を躍らせていた。
「……不思議?何が不思議だというのだ?」
「さっきの話のビュートってヤツの事さ。デデデ城を襲ってきた剣士のコト」
 話は目まぐるしく移り変わっていた。好きな食べ物の話や趣味道楽、果ては自らの持つ
技術の披露やダークマターの話まで広がってゆく。いつしか話題は、デデデ城を襲撃され
た時の話になっていた。
「ああ、アヤツの事か。わしのような最強無敵の大王サマが、逃げを打ったのが不思議だ
ったかな?」
 フラービィの問いを、デデデ大王は軽い口調で茶化す。片腕を持ち上げ作った力こぶに、
何時ものフラービィなら笑ってくれただろう。
「……そうじゃないんだ」
 だがフラービィの表情は沈んでいた。
「そうじゃない、僕が知らないんだ」
「そりゃお主にだって、知らぬ事もあるだろう。寧ろ、博学過ぎて怖いぐらいだしなぁ」
 フラービィは知らない事を心底疑問に思っているようだった。
「自分の知ってる事が世の中の全てだと思ってはいかんぞ、フラービィ。謙虚な心を大事
にせねばいかん、わしの年になっても、知らぬ事など山ほどあってだな……」
「違うんだ、デデデ」
 思わず年長者らしい説教をしかけたデデデ大王を、手で抑えるフラービィ。
「もし、もしだよ?この世界が物語の中です、って言ったらデデデは信じる?」
「物語?というと、書物や民謡などで詠われるアレか?」
 デデデ大王は唐突な問いに眉を潜めつつも、言い知れぬ気迫に思わず答える。
「うん」
「唐突な質問だのぉ、俄かには想像出来ん話だな」
「そうだよね……。でも、僕はそれが本当なんだって知っている」
「……どういうことだ?」

「僕の世界では、この世界ポップスターを中心としたお話を、一つの物語として纏められ
ているんだ。僕はその作品が大好きだった。行ってみたいぐらい好きだった。カービィと
ナイトメアとの戦いも、ゼロとの戦いも、みーんな見た事がある」
「ある日、本を読んでいたら吸い込まれて、この世界の花畑に倒れていた。物語の主役だ
ったカービィに助けられて、いつしか一緒に居るのが当然みたいになっていた」
 フラービィはとうとうと話し出す。本に書いてあった事、自分の世界の事。いつしかデ
デデ大王はハンマーから手を離し、腕組みをしつつ静かに聞いていた。
「こんな話をしてゴメン……だけど知っておいて欲しかった」
「フラービィって言うのも本当の名前じゃないんだ。お話の主役だったカービィをもじっ
て付けたんだ、怪しまれないようにね」
 全て語り終えたフラービィが口を閉ざす。デデデ大王は顔を上げ、窓の外の星空を眺め
る。そこには満天の星々が広がっていた。アクアリスの蒼い星が、肉眼でも確認出来るぐ
らいの大きさで瞬いている。この美しい世界が作り物だとでも言うのだろうか。
「わしはー、その物語ではどういう扱いなのだ?」
「カービィのライバル、かな。負けたのが悔しくて、特訓して空飛べるようになった努力
のヒト」
「本当になんでも知っとるのだな……」
 デデデ大王は納得せざるを得なかった。特訓していた事、ましてやその理由は誰にも話
した事がなかったからだ。
「お主の世界では、どうやって世界が作られたか解っておるのか?」
「ビックバンっていう大爆発で生まれた、って言われてる」
「爆発で生まれたとな……その前は?」
「んー、解ってないかな」
「そうか、ならば気にする事では無いな。神か悪魔か、はたまた異世界の人間か。世界の
誕生を全て理解してる者など何処にいるだろうか」
「デデデ……」

「ときに、フラービィよ。お主が知らない者は他に誰がおる?」
 デデデ大王の眼がキラリと光る。
「し、知らなかった者?」
「うむ、把握しておくに越した事はないからなっ」
 デデデ大王は思う、この世界に本来存在しない者であるならば、フラービィの様に特殊
な技能を持っている可能性が高いはず。先程の感傷も何処へやら、フラービィの持つ知識
を最大限に活用しようとしていた。
「んー、自分にルナちゃんに、そのビュートって剣士だけだよ。それに……ゼロ4も入る
かもしれないけど」
「ゼロもイレギュラーな存在だと言うのか。他にも居る可能性がある事であるし、皆に伝
えるべきかもしれん」
「え、いやそれはマズイんじゃぁ……」
 悪戯に広める話でもない、とフラービィは思う。
「案ずるな、異世界から本を介して来訪した、とだけ説明すればよかろう。鏡の世界とい
う前例もある。異世界の存在というだけであるならば、そう受け入れ難い話でもない」
「そっか、そうだね……」
「お主にはその様な者達、そうだな『本の迷い子』と定義しようか。その迷い子が現れた
場合の分析を頼みたい。我等にとって有用であるか、危険であるか。また危険であるなら
ば、どのような危険かをだ」
「うん、解ったよ」
 フラービィはコクリと頷く。
「お主にしか出来ぬ仕事じゃ、頼んだぞ」
 そこでふと思い出したように、デデデ大王が問う。
「そういえば、お主の本名は何と言うのだ?」
「そ、それはっ――


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〜現在〜

 雀の声が心地よく響く、すっかり元通りとなった太陽の日差しがデデデ大王の部屋へ柔
らかく差し込んでいる。デデデ大王は大きく伸びをしつつ思考を整理していた。
 スラッド、そしてチナツ。あれから、本の迷い子と思しき者は増え続けている。不確定
要素が増えるというのは喜ばしい事ではないが、フラービィの同郷がこの世界に居るとい
うのは、あやつにとって良い事かもしれぬ。
 メタナイトの独走は予想外であった、我が軍最強の剣士が抜けた穴は大きい。それだけ
でも手痛いのに、仲間からの信も厚いときている。勿論それ自体は悪い事では無いのだが、
今回の場合は戦力が流れてしまう可能性を示唆していた。
 ならば、如何にするか。それまでに蹴りを付けてしまえば良いのだ。メタが乱入したあ
の日より二日、わしの身体もルナのお陰で完全に癒えた、全力をもって戦えるだろう。幾
度か握り拳を作り、その感触を確かめると、ハンマー片手に大広間へ鷹揚と進み出る。

 皆揃っているようだ。一挙一動を注視する部下達、腕組をしているスラッドとその脇に
くっ付いているルナ。カービィとフラービィ……は居ない。既にメタナイト要塞へ向かわ
せたからだ。メタナイトはカービィに甘い所がある、独走を抑える頚木となる事を期待出
来るだろうか。フラービィの同行は本人の希望であった、『ゼロを間近で見られるチャン
スかも』だそうだ。止めようかとも思ったが、どうせどちらも戦場である、危険なのに変
わりはしない。
 コホン、と一つ咳払い。息を大きく吸い込んだ。

「時は来た!これより、デデデ城奪還作戦へ入る!皆の者、存分に腕を振るうがい
い!!」
「「おお〜〜!!!」」
 部下達の叫びが雲のアジトに木霊する。ブロントバードの帰還は人づてに知れ渡ってい
た、リベンジ戦はまだかと待ちきれなかった者も多く、熱気が強く伝わってくる。
「スラッド、お主にも付き合ってもらうぞ」
「むっ……」
「わしと共に、作戦遂行の上で最大の障害になるであろう、ビュートの排除を行うのだ」
「おう、了解だぜ大将」
 ビュートの存在については、ブロントバードの報告で把握している。出会う可能性はか
なり高いと見て良いだろう。サシでリベンジを果たしたいと言うのが正直なところである
が、今は確実な勝利を目指すべきである。
「夢の泉に湧いておるダークマターについては、Mr.シャインとルナを中心に対処しても
らう。未だ得体の知れぬ存在だ、重々気をつけてくれ」
「はいっ、任せて下さいっ」
 ルナが元気よく答える。
「その他の敵の出現に際しては、クラッコが指揮を取り――」
「ブライトさんがいないけど、だいじょーぶなのかな」
「こらっ、静かにしてなさい!」
 クラッコJrの呟きを、クラッコが慌てて咎めた。
「適材適所、という言葉がある。あやつは今回の作戦には決定的に向かんのだ、城ごと吹
き飛ばせというなら話は別だがな」
 まだ若すぎる部下の問いに、困ったようにデデデ大王は答えた。
「彼は一人で、別の大事な任務についているのです『俺の居ない間は、雲の小僧とコンビ
を組んでやってくれ。デデデ城の事は任せたぞ!』……だそうですよ」
 Mr.ブライトの声真似はとても上手く、Mr.シャインは穏やかに笑いかける。
「宜しくお願いしますね、クラッコ君」
「は、、はいっ。がんばりますっ!!」
 クラッコJrの純真な発言に場が和む。それを見てとり、一呼吸置いてデデデ大王が叫ぶ。
「ではゆくぞ、出撃だっ!!」
 デデデ大王の号令一下、皆が準備を整え雲のアジトを降りる。そこには既にヘビーロブ
スターが待機していた。バンダナワドルディがせっせと仕度をを整えている。空を飛べぬ
者達がわらわらとヘビーロブスターに、そしてクラッコに乗り込む。

ズシッ

 デデデ大王が無遠慮にクラッコの背に乗った、頭上に感じる重量感にクラッコは悲鳴を
あげる。
「へ、陛下ぁ、陛下は重いんですからあっち乗って下さいよぉ……」
「……お主、あの間に入りたいか?」
 デデデ大王が指を示した先をクラッコが見ると、スラッドとルナがイチャついているの
が見えた。その後ろでファイヤーライオンがとても困惑した顔をしているのが見える。
「わぁスラッドさん、凄ーいっ」
「俺が修理したんで懐いているんだ。頼むぜ、ロブッ」
 ピピピと電子音で応えるヘビーロブスター、その周辺には実に甘い空間が広がっていた。
「……謹んでご遠慮させて頂きます」
「うむ、きりきり飛べい」
かくして、デデデ大王の一行は雲の隠れ家を出発した。

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投稿日 : 2009/05/18(Mon) 13:48 
投稿者 : ノーザンライツ  


メタナイト率いる部隊がフロリアに飛び立つまで、あと数日。
人々の緊張が空気に伝わって、雲の隠れ家のそこかしこに漂っている。
武器の調達から手入れ、必要な物資の運搬。仕事は多い。
そんな中、クラッコJr.は少しでも皆の役に立とうと、隠れ家の中をせわしなく動きまわっていた。
重大な役目はなかなか担わせてもらえないが、たとえ小さな仕事でも
いっしょうけんめいにするのが、自分にできる最善のことだと考えている。
いそがしい、いそがしい。おまじないのように小声で呟きながら、クラッコJr.は角を曲がった。
そして、誰かにぶつかった。この感覚、どこかで……そうだ、黒丸。
すごくかわいらしくて、一目見ただけで心にしゃぼん玉がたくさんあふれてくるような子……。
あの子は今頃、どこでなにをしているのだろう。

「大丈夫ですか」
「うん、へーき……あれっ。君は?」

見かけない顔の少年が、床に落ちた自分を見下ろしている。
彼は手を伸ばし、両手でJr.を抱え上げると、そっと手を離して宙へ戻した。
ありがとう、とお礼を言うと、相手の群青色の目や黒い瞳が、一瞬ぶれたように思えた。
えっ、と目を凝らすが、相手の目は先程までと変わらず、氷の湖を思わせる
静けさをたたえていた。どこもぶれていない。目の錯覚だったのだろうか。

「ありがとう……それは、「ありがとうございます」と同義ですか?」
「どうぎ?」
「同じ意味でしょうか?」
「そーだよ」

今度は見間違いではなかった。相手の目が、緑色になった。
うわあっ、と普通の声程度の大きさで、思わず叫び声を上げてしまう。
だが、相手はそれを気にしていない様子で、質問をしてきた。

「この星の最高権力者は、どこにいらっしゃるのですか?」
「……さいこうけんりょくしゃ?」
「一番偉い人は、どこにいらっしゃるのですか」
「へーかだねっ。へーかなら、ここにいるけど……どうして会いに行くの? ご用?」
「私はこの星のことをよく知りません。ですから、知識を得ておきたいのです」
「そうなんだー。べんきょうが好きなんだね」
「それから」

クラッコJr.の、文字通り目の前に、一枚の紙が差し出される。
その紙には、数字と横線が等間隔で描かれた壁を背景に立つ、ひとりの少女が映っている。
これを差し出している相手と同じ水色の髪が、肩の上まで伸びている。
見えるかぎりの服装も、相手と同じだ。顔立ちだけが、やや異なる。
なんというか、こんなことを思うのは失礼だが、少女の方が人間的である。
相手と同じ無表情であるが、それでもだ。

「この少女を見かけませんでしたか」
「……ううん、見てない」
「そうですか」
「この子、だあれ?」
「私が捜している相手です」

相手は紙を懐へしまい、礼を言ってクラッコJr.と別れようとする。その背中に、呼びかけた。

「まって!」

既に歩き出しはじめていた相手は、無言のまま足をとめ、クラッコJr.を振り返る。

「へーかの場所、わからないでしょ。つれてってあげるよ」
「そうですか。ありがとう」

*

クラッコJr.が連れて来た見慣れない訪問者に、デデデは顔をしかめた。
この忙しいときに部外者の相手などしていられない、と思ったのだろう。
へーかに会いに来たんだそうです、と説明しようとするクラッコJr.だったが、
言葉を発するより早く、少年が前に数歩進んで、デデデへ話しかける。
不機嫌そうな顔をしているデデデに、少しも怯んでいないので、
ますます機嫌を損ねてしまわないか、クラッコJr.は不安になった。

「初めまして。私はガントレット。頼みたいことがあって、あなたに会いに来ました」
「ふん、ずいぶんと唐突だな。聞くだけ聞こう」
「人を捜しています。この星か、あるいは近隣の星にいるものと推測し、
ここへやって来ました。あなたはこの星の最高権力者だと、この方から聞いています」

そこで、ガントレットはクラッコJr.を示す。デデデの不機嫌な態度が、自分にも向けられる。
それに怯えて、クラッコJr.は身を縮める。余計な気遣いだっただろうか。

「捜索の協力を申請したいのです」
「生憎だが、今は忙しい。冷たいと思うだろうが、こちらにはこちらの都合がある。すまんな」
「戦いの準備ですか」
「……どこで知ったのか知らんが、そうだ」
「でしたら、私も力をお貸しします。傭兵として扱ってください」

ふう、と息をついて、デデデがガントレットを見つめる。ガントレットは、
まったく身動きせずにデデデを見る。この沈黙は、いったいいつまで続くのだろう。
怒ってガントレットを城から追い出すのではないか、と心配になったとき、デデデが口を開いた。

「取引か?」
「捜索は、作戦に支障を来さない程度でいいのです。
あなたの部下に情報を伝えれば、それだけでも確立は増えます。
勿論、あなた方には出来る限りの協力をします。……お願いいたします」

腰を折り、頭を下げるガントレット。
デデデは、突然の訪問者からの唐突な願いに、顔をややうつむかせて考えこむ姿勢をとる。
そんなふたりの様子を、はらはらしながら見守るクラッコJr.。

「作戦に支障を来さない程度か……曖昧な言い方だな。傭兵を気取るなら、作戦の成功を第一に考えてくれ。
捜索は……協力はするが、基本、二の次だと思ってもらいたい。我々にはなすべきことがある」
「ありがとうございます」
「礼はいらん。作戦に参加するなら、この星に残るか、戦艦に乗って別の惑星に行くか、決めてほしいのだが」
「別の惑星へ向かう方に加わらせていただきます」
「なら、オレンジオーシャンの要塞に向かってくれ。クラッコJr.、案内を頼んでもいいか?」
「まかせてください! 行こう、ガントレット」
「了解です」

喜んでいるクラッコJr.のあとにガントレットが続くかたちで、ふたりはデデデの部屋を後にした。


+++

ちょっと強引な加入でした、すみません …どげざ!
恐れを知らないというか、遠慮しないというか、空気を読み取れない子(親も)です。
失礼なところがあるので、旦那が冷たかったです。当たり前ですかね。
ポップスターはあらかた捜したので、メタさん組に参加させていただきます。

「質問の答え、警告、助言以外は発言しない」と書きましたが、訂正させていただきます。
今回の文だと、「質問の答え、警告、助言、伝えておかなければならないこと以外は
ほぼ口にしない」になるでしょうか。むつかしいです、定義。
細かく考えていくといろいろと面倒そうなので「無口」なキャラでOKです。

オリジナルキャラはひとりまで、とのことなので、捜している相手は本編には登場させません。
補完できたら、します。

tateさんがおっしゃっていたデータ、こんなかんじでいかがでしょうか。

Vitality :☆☆☆★★
Offense  :☆☆★★★
Defense  :☆★★★★
Blast   :☆☆☆☆★
Protection:☆☆★★★
Agility  :☆☆☆☆★

もともとは遠距離攻撃・後方支援用で、攻撃に偏った性能のヒューマノイドを改造して
つくられたものであるため、物理・魔術問わず打たれ弱いです。属性攻撃(雷)は
強いですが、腕力そのものはそれより劣ります。
素早さを生かしたヒットアンドアウェイな戦いが中心になるでしょう。

水に弱いです。数滴かかったくらいなら平気ですが、全体が濡れるくらいに浴びたり
浸かったりすると、しばらく行動不能になってしまいます。そのぶん、電気属性の
攻撃には強いです。吸収して自身のエネルギーにすることも可能です。

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