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小説の中へ [4]



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投稿日 : 2008/12/10(Wed) 20:11 
投稿者 : tate   


「うおぉっ!」
 ビュートの攻撃に押され、後退するばかりだったデデデ大王が、何かに躓いてひっくり
返る。慌てて足元に視線をやると、そこには壁をぶち破る道具にされたファイアーライオ
ンが横たわっていた。腹がせわしなく上下に動いている、まだ息はあるようだ。
 動きの止まったデデデ大王に、白銀の太刀が容赦なく襲い掛かる。
 ビュートは太刀を逆手に持ち直すと、尻餅をついたデデデに向かって振り下ろす。デデ
デ大王は床の上を転がり、その一撃を何とかかわす。だが目標を失った太刀の切先は、ず
ぶりとファイアーライオンの体に深く突き刺さった。
 対峙する相手は、眉一つ動かさず刀を引き抜く。反った刃の先が赤く濡れている。その
足元には、ファイアーライオンから流れ出た血液で水溜りが出来つつあった。
 このままでは、ワシもファイアーライオンも殺られる――!!
 デデデ大王は取り落としたニューデデデハンマーを拾い上げ、空いた左手でファイアー
ライオンのたてがみを掴むと、廊下にまろびでた。
「な……何だこれは!!」
 そこでデデデ大王が見たものは、赤い絨毯の上に伏した部下達の姿だった。
 召集したファンファンやグランドウィリー、Mr.チクタクだけではなく、哨戒兵である
ワドルディ達が目を回してひっくり返っている。刀で斬られた様子ではない。どちらかと
いうと、拳で互いに殴りあいそのままひっくり返った、という感じだった。ダークマター
に取り付かれた者とそうではない者が、互いに殴り合い気絶したのだろう。
 背後からは、ひゅっと刀を降る音が一回、聞こえてきた。太刀に付いた血糊を打ち払っ
た敵の姿が、妙にリアルに感じられる。このまま見逃してくれそうな相手ではなさそうだ。
 デデデ大王は大きく息を吸った。
「お前ら、起きろーーー!!」
 足元に転がっていたワドルディの一匹が、びくりと体を震わせぱっと起き上がった。デ
デデ大王の姿を認めると、慌てて槍を拾い上げて敬礼をした。
 ひっくり返っていた他の者達もわらわらと起き上がってきた。
 背後からは瓦礫を踏む音がひたひたと近づいてくる。
「皆の者、とにかく城の外に逃げろ!」
 デデデ大王の咆哮に、意識を取り戻した部下達は蜘蛛の子を散らしたかの如く、各々城
の外に向かって駆け出した。
「ワシ達も行くぞ。ファイアーライオン、もう少しの辛抱だ」
 手にしていた得物を右側に大きく振り向く。ハンマー頭が壁を叩き割り、瓦礫が飛び散
り埃が舞い上がる。その隙にデデデ大王もまた駆け出した。

「後は……空か」
 上空の戦況がどうなっているのか、屋内にいるビュートが与り知るところではないのだ
が、ワムバムジュエルが彼の助太刀に来ないところを見ると、戦いは続いているようだ。
 だが先まで聞こえてきていた砲撃の音もぱったりと止み、かといってここから上空の様
子を窺うこともできない。
「助太刀しようか、ビュート殿」
 空を見やったビュートの視界に、赤いマントが映った。それまでほとんど表情の変わら
なかったビュートの双眸に、剣呑な光が宿る。
「露骨に嫌そうな顔はしないでくれたまえ、流石の私も傷付く」
 フフフっと含み笑いを零したのは、ドロッチェだった。
「お前の助けなど、必要とはしていな……」
 ドロッチェはビュートの鼻先にステッキを突きつけ、その言葉を遮る。
「ビュート殿は空を飛ぶ術を持たないだろう? それに今、空で戦っているのはかの名高
い剣士であるメタナイトだ。ここは私に華を持たせてくれないかな」
「……好きにすればいい。私は逃げたヤツらを追うことにしよう」
 ふいと踵を返したビュートの項を一瞥し、ドロッチェは天井に走る亀裂から空に向かっ
て飛んだ。

  *

「ジャベリン、そっちはどんな具合だスか?」
「ラスイチ……せいっ! 一通り片付いた。そちらはどうだ」
「こっちもあらかた片付いただスよ」
 オレンジオーシャンでは、要塞を襲撃してきたダークマター達をメタ・ナイツを中心に
撃退しつつあった。
 そこいら中で爆発が起こってはいるものの、それらのほとんどは外層部に端を発したも
のばかり。正門で戦いを繰り広げているジャベリンナイトも、メイスナイトの加勢もあっ
て敵の侵攻を食い止めていた。
「ダークマターも大したことないだスな!」
 確かにそうだ、とジャベリンナイトは思う。
 話に聞いていたダークマターは、あのピンクの悪魔が死力を尽くしてようやく撃退した
敵のはずだった。だが、今オレンジオーシャンを襲っているダークマターは、彼らメタ・
ナイツの一撃で容易く霧散していた。
 個々の力が弱い。そして戦いにも慣れていない。まるで、生まれたての赤子の手を捻る
かのような印象だった。
『状況報告を』
 アックスナイトの声がスピーカー越しに聞こえてきた。
「外層部のダークマターはほとんど撃退した。正門から要塞内部への侵入は阻んだはずだ。
外壁の損傷状況はこれから確認する」
『了解。内部のスキャンを行っているが、入り込んだのは数体だ。そいつらも、内部のク
ルー達の応戦で何とかなりそうだ。二刻後までに外壁の損傷状況を報告してくれ』
「わかった」
 ぷつんという音と共に、通信が切れる。
 二人が話している間、辺りをきょろきょろと見回していたメイスナイトが、はてと首を
傾げた。
「トライデントはどこに行っただスか?」
「……アイツは、戦いの最中姿が消えた」
「逃げただスか!?」
 違う、とジャベリンナイトが頭を振る。
「本当に言葉の通り、姿が消えたんだ。どこに行ったのかは皆目検討が付かない」
「そんな……だス……」
「アイツが自力で戻ってくるのを期待するしかない。今は自分達の仕事に専念しよう」
「そう……だスな! ふらりと戻ってくるかもしれないだスし! ワシは外壁左方を見て
くるだス」
 ぱたぱたと駆け出したメイスナイトの背中を見送りつつ、ジャベリンナイトは口を開い
た。
「聞いていたな、アックス」
『ああ。こちらで戦闘中に空間の歪みを検知している。ひとまずはオレの方で状況を確認
する』
「頼む」
 ふぅ、と溜息を一つ洩らすと、ジャベリンナイトもまた要塞外層の状況を確認するため
に、足を踏み出した。

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投稿日 : 2008/12/21(Sun) 23:24 
投稿者 : guri  


 夕陽が空を橙色に染め上げ、デデデ大王の影を長く伸ばす。
「くそっ……このままでは済まされん、どうしてくれよう」
 落ち延びつつ、デデデ大王は考える。
 傷ついた部下達-特に深刻なファイアーライオン-。
 カブーラーやメタナイトは、未だに交戦しているのが見てとれるが、
ビュートや未知の戦力が参戦してきたら、多勢に無勢、著しく不利となるだろう。
 デデデ城が落ちたとなると、夢の泉の防衛機構も瓦解した事になる。
 どの事態も一刻として猶予ならない。
 頼みの綱のカービィはいつ見つかるか不明である、賭けをする訳にはいかない。

 城から東に大分離れた小高い丘の上、息も絶え絶えな部下達を横にさせ、
デデデ大王は、腹巻から桃色の携帯電話を取り出した。
 雷のマークが書かれたボタンをポチっと押す。
「ワシだ、すぐに来い。息子も連れてな」
 程なくして闇夜の空から白いモコモコが降りてきた。
「クラッコ、クラッコJr、只今参りました」
「へいかー、おひさしぶりでございます」
 クラッコJrが礼儀正しく眼を下げる。
「うむ、待っておったぞ」
「地上付近は気圧が高くて辛いんですが……」
「くらくら〜」
 ゲッソリとした口調でクラッコがボヤく。
「緊急事態じゃ、我慢せい!」
ドサッドサッ
 そう言いつつ、ファイアーライオンを、Mrチクタクを、クラッコへと乗せはじめる。
「こ、この方々はっ、どうされたのですか!」
「ちだらけだぁ」
 デデデ大王親衛隊達の変わり果てた姿に、異常を感じクラッコが叫ぶ。
「皆やられた、主城も落ちた。急ぎ各地に散らばった戦力を集めねばならん」
「はっ!」
「はいっ!」
 ただ事では無い事態とやっと気が付き、二人は居ずまいを正してデデデ大王を見つめる。
「クラッコ、お前はこいつ等を医者に連れて行き、
その足でロロララ城とメタナイト要塞の奴等を全員引っ張って来い」
「了解致しました、では早速」
 クラッコは背に乗った者達へ刺激を与えぬように、ゆっくりと飛び出した。
「クラッコJr、お前はブライトとシャインを呼んできてくれ。電波が届かんのだ」
「りょうかいいたしましたっ!」
 クラッコJrは親を真似ると、ピュンッと勢い良く空へ飛び出した。

「後は、間に合うかは解らんが……念のため呼んでおくか」
 岩のボタンと氷のボタンと草のボタンを押し、
ヘビーモール、アイスドラゴン、ウィスピーウッズへと連絡を取る。
「これでよい……」
 己一人ではビュートに敵わぬ。
 デデデ大王は焦る心を抑えながら、地べたに座り身体を休める事にした。
 西に見える城の上空、時折残照に照らされ煌く影が見える。
 メタナイト、Pウィスプ、頑張ってくれ……。

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投稿日 : 2008/12/22(Mon) 22:43 
投稿者 : フラービィ  


煙の出が治まった。森の上を覆っていた煙も次第に晴れていく。
その森の中を、一台のウィリーが走っている。下手したら木にぶつかりかねないスピードで。
それに乗っているのはバンダナワドなわけであるが、彼は、森を通らずに行きたいと主張していた。
だが、森の中を通ったほうが早いとウィリーに言われ、現在に至る。
不意に前方が開けた。そこにいたのは、カービィとフラービィだった。
「……お約束、ですか」
カービィとウィリーがバンダナワドの方を見る。フラービィは一応どういうことかはわかったらしい。
もっとも、この先何を話してくるのか等はわからないが。
「ああ、気にしないでください。それより……」
マジルテの異変、城への襲撃など、一通り伝え終わると、息を少し吐き出し、その場に座り込んだ。
「……変だね。ほとんどダークマターが絡んでる」
黙って聞いていたフラービィがいきなり口を開いた。全員が驚いて彼のほうを見る。
「ダークマターは、ポップスターに普通にいるような生物じゃない……よね?」
全員が大きくうなずく。バンダナワドに至ってはバンダナが取れるくらいの勢いだった。
「いくらなんでも、異常です。今までに二三回しか来た事がありませんし……」
もう一度、フラービィの頭の中で何かが引っかかった。今回は慎重にそれを探ってみる。
(「ダークマターがいることは普通ではない。でも塔の中で遭遇した。ということは……」)
異常。それはわかるのだが、その先に考えが進まない。大きな見落としをしたような感覚に包まれる。
ふと、寒くなってきたことに気が付いたのでバックパックからマッチを取り出した。
「……焚き木、拾ってきてくれない?」

嵐の前の静けさ、とはこのことを表すのだろうか。メタナイトとドロッチェの間には緊迫した空気が張り詰めている。
……不意に風が止まった。先に仕掛けたのはドロッチェだった。小さめの爆弾を投げてきた。
メタナイトはそれを切り払い、次の一瞬でドロッチェに切りかかった。
が、彼の剣は虚空を薙いだ。後ろに気配を感じ、前進しつつ振り向くとそこにはドロッチェがいた。
ドロッチェはステッキを振りかざし、アイスレーザーを撃った。
メタナイトは一旦上空へと上昇し、加速を付けてドロッチェの方に向かう。
(「テレポート、か」)
二回ともかわされ、背後を取られた彼の結論だ。落ち着いて対処法を考える。
わけにもいかない。ドロッチェはいくつもの爆弾を投げてきた。
いくつかを切り払い、一つを器用に弾き返す。残りは全てかわした。
弾き返された爆弾をドロッチェはサッとかわすが、そこをメタナイトが切りつけた。
反応が少し後れ、剣の切っ先が彼を掠めた。

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投稿日 : 2008/12/23(Tue) 02:36 
投稿者 : guri  
 

 闇が森を覆い、焚き火の照らす光だけが周りを紅く染めている。
 引き摺ってでも、デデデ城に連れて行こうとするバンダナワドルディに、
 カービィは暫しの休憩を提案した。
 きっと僕の怪我を気遣っての事なのだろう。
 そう思い、フラービィは嬉しく思う反面、足手まといになってる事に気が咎めた。
 せめて、僕に何か出来ることはないだろうか、
 フラービィは必死に思いを巡らせていた。

 僕は元居た世界で、この世界を見ている。
 せめて、その情報が役に立てばいいよな、ゼロの弱点とかさ。
 でも、ゼロ4なんて聞いた事ないよなぁ……。
 あの本に何て書いてあったっけ……、

―この本は あなたの望む世界へ あなたを連れて行ってくれます―

 僕は、こんなダークマターだらけの世界は望んでないよ。

―無意味なものは 何一つありません―

 意味、あるんだろうか。こんな足手まとい。
 フラービィは煩悶し、頭をガシガシと掻く。

パチパチ……パンッ

 枝が乾いて弾ける音で、思考が遮られる。
 焚き火を囲むように、疲れて寝ているウィリー、沈んだ表情のバンダナワドルディ、
 そしてカービィ……あれ?
 カービィの居るはずの空間が、ぽっかりと空いていた。
 辺りを見回すと、ガサガサと頭上の木々が揺れている。

ひゅるりひゅるりら……ポテッ

 真っ赤な林檎が、目の前の草むらに綺麗に着地した。
「ごめんごめん、当たらなかったー?」
 ピンクの球体が、葉っぱの影から手を振る。
「カービィ、何やってるのさ」
「ケガに良いと思ってネ、食べ物探してたんだ、食べてー」
 それは君だけの特権じゃぁ……と、思いつつも。
 好意に感謝し―お腹もすいてたし―林檎を齧る。
「あれ……痛くなくなった」
 不思議と痛みが引いていく、足首を回しても痛くない。
 これって僕の体がカービィみたいになったのだろうか、それとも食べ物が特殊なのだろうか。
「良かった!これでデデデ城まで行けるねっ」
 フラービィの疑問をよそに、樹から降りたカービィが満面の笑みを浮かべる。
「ん、ありがとうカービィ」
 今は意味があると信じよう。
 きっと、カービィ達の役に立つ為に呼ばれたのだから。

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投稿日 : 2008/12/23(Tue) 18:51 
投稿者 : 笹  

「はっはっは、どうやら空中戦は私に分があるようだぞ、メタナイト君」
 ドロッチェが距離を取り、何度目か分からないアイスビームを放つ。
メタナイトは冷気を紙一重でかわし、それが描く直線に沿って高速で接近する。
しかし後一歩のところでドロッチェはテレポートし、背後から爆弾を投げつけてくる。
動きを読んで斬りかかるが、ドロッチェはふわりと身をかわすため、
マントに切り込みを入れるのがやっとで、致命傷に至らない。
 ――分が悪い。確かにその通りだ。
メタナイトは空を飛べるとはいえども、それは機械仕掛けの翼によるもの。
一方のドロッチェは自らの力で自由自在に飛翔し、あまつさえ瞬間移動を使いこなす。
足場すらない大空に置いては、メタナイトは翼の限界に制約を受けざるを得ず、
そこが大きな差となっていた。
「音速の騎士もその程度かね」
 ドロッチェは黄金の杖を取り出し、一振りする。
杖の先端から三つの星が高速で飛び出した。見るからに高密度なエネルギーを纏っている。
それらは直線的に散ったかと思えば、それぞれ別の位置から鋭角に方向転換し、
メタナイトの方へ向かってくる。
「…くっ…!」
 メタナイトはその場で高速回転し、竜巻のようになって三つの星を弾き飛ばした。
星は明後日の方向に跳び去り、エネルギーを使い果たしたのか収縮してドロッチェの元に戻る。
「ほう、早さだけでなく、力もあるじゃないか」
 ドロッチェが顎に手を当てて言葉を発する。余裕の表情だ。
「…………」
「それが攻撃に使えたら良いのだろうがね」
 再び爆弾を投げてくる。
 確かに、竜巻化するエネルギーを攻撃に集中すれば、ドロッチェの動きにも追いつけるだろう。
メタナイトは事実、そう言った技も持っている。
しかし、もしそれをかわされれば隙だらけだ。ここでその挑発に乗るわけにはいかなかった。
 弧を描く爆弾を蹴り落とし、斜め上後方に跳ぶ。
「!」
 刹那、背後に何かの気配を感じ、振り向く。
そこには巨大なダークマターが浮かんでいた。


「随分時間をかけてしまっタナ……」
 ペイントローラーが愛用の極太クレヨンを懐にしまう。
目の前の城壁には、盛大な数の落書き…もとい芸術が描かれていた。
Mr.シャイン、クジラ、ポピーブロスJr.、ルインズスター、赤鉛筆……
見るからに強固なものから何に使うのか分からないものまで様々だが、
城壁の大きさを目一杯いかした巨大なそれらは、端から順番に実体化して空へ向かっていく。
「弟子の稽古ではなく、自分の修行もせねばナァ」
 ペイントローラーはその場に座り込むと、目を細めた。


 巨大な、クレヨンのダークマターがドロッチェに体当たりを仕掛ける。
その動きは鈍重で、ドロッチェには易々とかわされてしまった。
  ピッ――
 小さな音がして、ドロッチェの頬に小さな傷が入る。
ダークマターのその巨体は、メタナイトの姿を隠すのには充分だった。
そうしている間にも、マンボウが、トマトが、いぬたまごが、ドロッチェの周りを取り囲んでいく。

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投稿日 : 2008/12/25(Thu) 00:24 
投稿者 : tate   


 階下で奮闘していると思しきデデデ大王の応援にいかんと、階段を駆け下り、廊下をひ
た走っていたブレイドナイトとソードナイトの二人は、薄暗い廊下の先に人影を一つ、発
見した。
「ソード、敵のようだ」
「ああ。行くぞ、ブレイド!」
 デデデ城では無論、プププランドではあまり見ない人型の人影が、腰に下げていた武器
に手を掛ける。間違いない、この人影はデデデ大王に仇なす存在だ。
「これ以上の横暴は、このブレイドナイトが許さない!」
「デデデ大王様に刃を向ける輩は、我々が退けてくれる!」
 裂帛の叫びと共に、二人の剣士が人影に向かって切りかかった。
 人影……逃げたデデデ大王を追って廊下に出たビュートなのだが、彼は得物を鞘に収め
たまま、二人の初撃をいなした。
「貴様らの主なら、疾うに逃げた。それでも私と戦うか?」
 鞘に収まった刀を腰だめに構えたまま、ビュートが問う。
 ブレイドナイトとソードナイトの二人には、彼の言葉が真実か否かはわからなかったが、
メタナイトは依然上空で戦いを繰り広げている。デデデ大王が逃げたからといって、二人
がここで引く謂れはない。
「無論だ!」
 二人の剣士が床を蹴った。

 それから数刻、剣戟が途切れることなくデデデ城の一角で響いていた。
 ブレイドナイトが数度目の吶喊を掛ける。一気に距離を詰め、剣を振り上げる。しかし、
鮮やかな緑色の描く軌道が対峙する者をなぎ払うのよりも早く、ビュートの居合がブレイ
ドナイトの鎧を切り裂いた。右腕から胸部に掛けて肉が裂け、鮮血が空に舞い、ブレイド
ナイトは得物を取り落としそうになる。その隙を見逃さず、ビュートは間合いに大きく踏
み込む。咄嗟にソードナイトが体を入れ替えるように前に立ち、その刃を受け止めた。
 鋼の擦れ合う音が辺りに木霊する。
 先に間合いを取り直したのはビュートだった。大きく後方に跳ぶ。それを逃しまいとし
て、ソードナイトが床を蹴る。中空に浮いた紫色の鎧を視界に捕らえ、ビュートはにやり
と笑った。
 ソードナイトが彼の意図に気が付いた時には、太刀が生み出した空気の渦に弾き飛ばさ
れ、その体は思いっきり壁に叩き付けられた。そのまま壁を伝って床の上にへたり込んだ。
「ぐ……ごほっ、ごほっ……うぅ……」
 背中を強かに打ちつけ咳き込むソードナイト。その眼前に、鋭く光る刃が突きつけられ
た。だらりと空中に垂れたソードナイトの手に、冷たい風が触れる。ソードナイトのへた
り込んだ壁のすぐ右側は崩れ、吹き抜けになっていた。
 ブレイドナイトはさらにその後方で、鮮血に塗れたまま膝を折った体勢のまま。だが眼
光だけは力を失わず、ソードナイトに刀を突きつけるビュートを睨み付けていた。
 壁の破れ目から空の戦い――丁度、ドロッチェが巨大なダークマターや不思議な生物達
に取り囲まれているところだ――に目を遣っていたビュートの視線が、ソードナイトに戻
ってくる。
「弱いな。いつぞやのブレイドナイトの方が、よほどの手練れだった」
 太刀使いからふとこぼれた呟きに、ブレイドナイトとソードナイトの体が震えた。思わ
ず刮目する。
「……そのブレイドナイトは、一体どういうヤツだった」
 膝を折っていたブレイドナイトが面を上げた。
 単なる呟きに反応されたことに驚いたのか、ビュートの眉が微かに上がる。ブレイドナ
イトとしては、返答が期待できるものとして発した問いではなかったが、ビュートは「ふ
む……」としばし黙考した。
「私に個々のブレイドナイトの顔は識別できないが……そういえば、兜の附物が短く断ち
切られていた、か」
 ソードナイトは心の中でビュートの言葉を反芻する。
 彼ら以上の剣の使い手はそれほど多くない。特に相棒のブレイドナイトと同族で、彼以
上の使い手となると、思い至るのは一人しかいない。
 だがその彼もあの日、城を出奔して以来、行方は杳として知れなかった。
 その彼の話を、こんな場所で敵から聞くことになろうとは。
 ビュートが刀を握り直す。
「言い残すことは以上か?」
 白銀の切先がゆらりと揺れた。

 一方、上空ではペイントローラーが描き出したクレヨンの生命体が、ドロッチェに波状
攻撃を仕掛けていた。個々の力は微々たる物――巨大ダークマターのような例外もあるが
――だが、物量に任せた攻撃はドロッチェを追い詰めつつあった。
 ドロッチェを中心に、円を描きながら攻撃を仕掛けるクレヨンの生命体達。小型の隕石
やら爆弾やら稲妻やら、はたまたクレヨンの生命体そのものが、アトランダムにドロッチ
ェに襲い掛かる。
「ちっ……無駄に数だけは揃えてきたようだね。全く、君達は面白い存在だ」
 ふん、と鼻をならして、ドロッチェは飛んできたいぬたまごをステッキで粉砕した。
 自在に空間を移動するドロッチェも、その攻撃は限られた範囲を対象としたものばかり。
同じく空を自由に翔ける無数の敵を相手にするのは、少々部が悪いようだった。
 クレヨンの生命体がドロッチェの動きを封じている間に――!
 剣を構え直したメタナイトの視界に、破壊された壁の間隙から覗く、ぐったりと動かな
い紫色の鎧が飛び込んできた。彼の目にそれが写ったのは本当に偶然のことだったが、城
内で何が起こっているのか即座に理解したメタナイトは、逡巡することなく、ソードナイ
トに向かって飛んだ。
 ドロッチェとワムバムジュエルを排除し、デデデ大王の掩護に回るのが彼のタスクだ。
かといってこのままソードナイトを捨て置いたら、彼は間違いなく死ぬ。……ペイント
ローラーの努力を無にするのは悪いと思うが、目の前の命を見捨てることはできなかった。
 踵を返すメタナイトの目に、ニヤリと笑ったドロッチェが写ったように思えたが、今更
選択は変えられない。
 そのまま城内に飛び込んだメタナイトは、部下に突きつけられていた刃を弾き飛ばし、
ぐったりと倒れていた紫の剣士を掬い上げた。そして、さらにその奥で膝を折っていたブ
レイドナイトの側に着地する。
「大丈夫か、二人とも」
「メタナイト様! 力及ばず、申し訳ありません……」
 メタナイトにより刃を弾かれたビュートが、空を一瞥する。そこには、相変わらず良く
わからない生物達に梃子摺っているドロッチェが居る。
「……本気で戦っていないな、ドロッチェのヤツめ」
 その呟きがメタナイトの耳朶に触れる。やはりペイントローラーの作り出した生命体に
苦戦していたのは、単なるポーズだったか。
 ソードナイトが苦しそうに呻いた。
「メタナイト様、陛下は既にこの城を脱出されているようです」
「何?」
「あの者の言なので、事実かどうかはわかりませんが」
 抜き身の太刀を手にしたビュートを、ソードナイトが一瞥した。その青年がメタナイト
に向き直る。ビュートの灰白の双眸が、黒い空をバックに寒々と光って見える。
 できる――
 直感的にメタナイトは悟る。一対一の勝負ならば後れを取ることはないだろうが、ブレ
イドもソードも、これ以上戦える状態ではない。この状況で何処までやれる?
「陛下は……デデデ陛下は、本当にこの城を離れられたのか!?」
 敢えて敵対するものに問いを投げる。メタナイトを凝視していた青年が、徐に言った。
「逃げたよ、疾うの昔にな」
 そもそもデデデ大王が城に居るのなら、このような闖入者を見過ごしておくはずがない。
大王自身が撃退に乗り出すことだろう。
「そうか……ならば!」
 メタナイトは二人の部下を抱え、大きく後方に飛んだ。そして頭上に空いた穴から闇夜
に向かって飛び立った。

 小高い丘の上で地べたに座るデデデ大王をメタナイトが見つけたのは、それから間も無
くのことだった。

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■ざっくりまとめ(2)
カービィ達、不慮の事故で森に落ちる
 ↓
デデデ城・オレンジオーシャンで戦闘発生   ←ナイツ達は今ココ
 ↓
デデデが城を脱出(夜)           ←デデメタは今ココ
 ↓
バンダナワド・カービィ達と森で休憩中    ←カービィ達は今ココ
 ↓
バルとカプセルJが野営(夜間)
 ↓
バル達、オレンジオーシャンを目指す(明け方)←バル艦長は今ココ

■カービィとデデデ達のイベントをもう少し詳細に。
カービィ達      デデデ      メタナイト
  バンダナワドカービィの元へ
    ↓       ↓
バンダナワドと合流   ↓
 ↓         城を脱出    ドロッチェと交戦
 ↓          ↓       ↓
 ↓         救援要請    ペイントローラーの助太刀
 ↓          ↓       ↓
 ↓         高台で休憩   ソドブレと共に脱出
 ↓          ↓       ↓
 ↓         デデデ・メタナイト合流
 ↓
森で休憩

こんな感じかな。何で厳密に言及しているのかというと、
カービィがデデデ達の救援に間に合うか間に合わないかは、結構大きいと思うからです。
最も、当人らには救援に向かおうとしている気配はないんですが。

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投稿日 : 2008/12/25(Thu) 05:36 
投稿者 : guri  


 星々が歌っている、宝石箱をひっくり返したような輝きの中、
 クラッコJrはデデデ城の遥か上空を、全力で駆け登っていた。
 今まで父さんの手伝いをするだけだった、お城のお仕事。
 初めて陛下直々に命令を貰った、頑張らないと。
 そう、思いつつ。

ドガンッ

 突如凄まじい衝撃がクラッコJrを襲う。
「いってて……いったい何がー」
 広い広い空の中、在り得る筈の無い衝撃に弾き飛ばされ、
 クラッコJrは、文字通り目を回した。
 Mr.ブライトの居る神殿はまだ遠い、鳥達が飛べる高度でもない。
 一体何にぶつかったと言うんだ。

「いったぁい……」
 近くから、これまた在り得る筈の無い声が聞こえる。
 可愛らしい鈴のような声だ。
 クラッコJrは、揺らぐ焦点を何とか合わせて、声がした辺りを探った。
 見付けたのは黒い艶やかな丸い体、それに向日葵の様な突起が生えている。
 中央に大きく見開かれた一つ目が、キョロンとこちらを見ていた。


 その子は、いきなりプンスカと怒り出した。
「何するですかっ、早くビュートさんのトコロに戻らないとなのにっ」
「ご、ごめんっ……」
 どっちも前方不注意で、お互い様……な、ハズなのに。
 つい、謝ってしまった。
「分かればいいですぅ、じゃ急ぐのでサヨナラですぅ」
「ま、まってっ……」
慌てて、呼び止めてしまった。
「な、、なまえ。君のなまえは何ていうのっ」
「なまえ?黒丸は黒丸と呼ばれてますぅ」
 それだけ言うと、黒丸さんはヒュンっと急降下していった。


 星々が囁いている、宝石箱をひっくり返したような煌きの中、
 クラッコJrはポーッと漂っていた。
 500mぐらい風に流された後、
 身体を左右に振り、慌てて天へと向かって駆け出した。

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投稿日 : 2008/12/27(Sat) 12:17 
投稿者 : tate   
 

 オレンジオーシャンでは、ようやく太陽が西の水平線に沈み始めていた。
 橙色に染まる外壁の周囲をバタバタと駆けているのは、トゲだらけの鉄球を担いだメイ
スナイト。その足音が辺りに響いている。
「何か、おかしいだスな……」
 先程まで、至るところから喧騒が聞こえていたはずなのに、妙に静かだ。
 確かにそこら中の外壁にはひびが走り、所々破壊されて崩れている。折れた刃先が刺さ
っている様子も見て取れる辺り、つい先程まで戦いが繰り広げられていたことは間違いな
い。だが、味方の姿も敵の影も見当たらない。
「やっぱりおかしいだス。一度ジャベリンと合流した方が良さそうだスね」
 そうぼやきつつ、踵を返したメイスナイトが足を一歩踏み出すと、がくり、と足元が一
瞬不安定に揺れた。
 慌てて周囲を見回すも、そこは相変わらず外壁に沿った通路が続き、左手にはオレンジ
オーシャンが広がっている。
 変わったことといえば、海風が外壁をなぶる音さえもなくなったことぐらい。
 疑問を抱きつつも正門へと戻ると、そこには禍々しい黒い霧を纏った鎧の剣士と、それ
と対峙する見知った背中が一つ。
「トライデント!? こんなところで何してるだスか!」
「メイス……か?」
 三叉の矛を手にしていた人物が、ふと振り向いた。それは、戦いの最中姿を消したとい
うトライデントナイトだった。
 彼が戦っている相手に見覚えはない、一体何者だろうか。
 トライデントナイトの意識が対峙する鎧の剣士から逸れたその時、鎧の隙間から黒い霧
がわきあがると、トライデントナイトに襲い掛かった。
「って、戦ってる途中よそ見しちゃダメだス! トライデント!!」
「何だ、これは! ぐぅ……ぐぁああああ!!」
 黒い霧がトライデントナイトに襲い掛かり、彼の鎧の間隙から入り込んでいく。それは
まるで、それ自身の意図でトライデントナイトを侵食しようとしているかのようだ。
「がっ……がああああああ!!」
 まとわり付く霧を振り払おうと喚いていたトライデントナイトに、黒い霧がすべて吸い
込まれたところで、彼はばたりと地に倒れた。
「トライデント! 大丈夫だスか!?」
 そう叫び、トライデントナイトの下に駆け寄ったメイスナイトの視界が突如、暗転した――

「一体、何が起こっているんだ……?」
 オレンジオーシャンの司令室でモニタを眺めていたアックスナイトは、そう一人ごちた。
 外壁を見回っていたはずのメイスナイトの姿が、モニタから不意に消えた。間もなく、
ジャベリンナイトもメイスナイト同様に、モニタを介してはいたが、アックスナイトの目
の前から姿を消した。
 モニタの一つがアラートを上げている。戦闘中に現れた空間の歪みと同様の物が、二人
が姿を消したのとほぼ同位置に検出されていた。
 慌てて要塞内部のスキャン状況を確認する。
 要塞内部からダークマターの影は消えている。だが外壁の内側に居たはずのクルー達の
姿もまた、綺麗さっぱり居なくなっていた。
 今、オレンジオーシャンの要塞内に居るのは、自分一人だけ――?
 椅子から立ち上がったアックスナイトが司令室の外に出ると、倒れ伏す三人のナイツが
目に映った。視線を上げると、他のクルー達も同じく倒れている。そして倒れた仲間達の
上空には、無数のダークマターがふよふよと浮き、その奥には一人の鎧を纏った剣士が見
えた。
 アックスナイトが呆然とこの光景を見つめていると、三人のナイツ……トライデント、
メイスにジャベリンが徐に起き上がった。兜の間隙から覗く彼らの瞳には、光がない。仲
間達に言葉を掛けようと、口を開きかけたアックスナイトにダークマター達が一斉に襲い
掛かった。

 オレンジオーシャンが夜の帳に包まれた頃、ひぃひぃ呻きながら雲が一つ、メタナイト
の要塞上空まで飛んできた。
「まったく、大王様も雲使いが荒いことだ。ロロララ城の次はオレンジオーシャンとは。
ふぅ……」
 雲の合間から覗く一つ目が、くるりくるりと辺りを窺う。要塞はひっそりと沈黙を保っ
ており、明かり一つもついていない。外壁周辺で生命が活動している気配がない。
 夜の闇がその大半を覆い隠し、外観から要塞内部の様子は窺い知れなかった。
「随分と静かですね。哨戒兵もいないとは、無用心な……」
 クラッコは全開になっている正門から要塞内部へと入り込む。
 それから程なく――
「たたた、大変だ! 誰も居ない!! 大王様に報告しなければ」
 冷や汗と思しき雲の飛沫を残しながら、クラッコは慌ててデデデ城の方へと飛んでいった。

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投稿日 : 2008/12/28(Sun) 01:00 
投稿者 : ヨツケン  


オレンジオーシャンがバトルウィンドウズの手によって落ちる一時間前、ポップスターに純白のローブを身に纏った1人の少女が舞い降りた。
「此所かな?最近、闇が良く発生してる星は?」
少女が辺りを見渡してみて言う。
「とてもそんな風に見えないケド…、」
少女の前に見える景色は今のポップスターとは関係無い位綺麗だった…
「とりあえず、闇の気配がする方へ行って見ようっと♪」
少女が呪文を唱えると、少女の背中に羽が生え、羽ばたくと、少女は何処かに飛んで行った…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ルナのステータス
性格 明るい、切れると喋らなくなり、強力な魔法を魔力尽きるまで連射する。
武器 魔力で精製した剣、だが主に魔法主体

外見 白いローブに三日月型のペンダントを着けている。蒼眼、薄い蒼の髪、キレると緋眼になる…

アビリティ 聖 星 暗黒 混沌の攻撃魔法と回復魔法+合成魔法。

一人称 私
二人称 名前くん、さん 
職業 闇狩り、ポップスターの闇を狩りに来た。

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アビリティ例
シューティング・スター
スターライトレイン
ブラッディ・レイン

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投稿日 : 2008/12/28(Sun) 01:05 
投稿者 : フラービィ  


「……朝、かな」
むっくりと起き上がって大きなあくびを一つ。昨日の焚き火はすでに消えていて、かすかに煙が出ている。
辺りを見回す。カービィもワドルディもウィリーも寝ているのがわかる。
ごしごしと目をこすりながらバックパックの中をあさり、ペットボトル入りの水を取り出した。
中身を少し飲んで再び中にしまう。そんな事をしている間にカービィが起きた。
「……お早う」
「あ、おはよう」
挨拶の後にあくびをする。まだ眠たそうな顔だ。そんなカービィに水を勧める。
ゴクンと一口、続けて二口。そんなに飲まないでくれとフラービィの目が言う。
中身が七分の一くらいになったペットボトルをカービィから返してもらった。
ほのぼのとした独特の空気が流れているが、こういった空気は必ず壊されるものである。
ズシンと大きな音と振動が彼らを襲う。ガメレオアームが落ちてきた。
ウィリーとワドルディが驚いて跳ね起きる。
「なんだあ、今のゆれは?地震か?」
「たいへん!たいへん!どおしよぉ!」
未だに現状がわかっていないウィリーとうろたえるワドルディをよそに、戦闘が始まった。
カービィの攻撃方法が無いに等しい状態は避けたい、と電池をカービィのほうに投げる。
が、ガメレオアームの鉤爪がそれを弾いた。電池が森の中へと消えた。
続けて鉤爪をフラービィのほうに伸ばしてくる。
「……んーっと」
ぎりぎりのところでかわし、少し考えた後、今度は鏡の破片を投げる。またもや鉤爪が伸びてきた。
鏡が割れて、破片が伸びた脚らしきものに刺さる。いかにも痛そうな表情をした。
その隙に電池を再び投げる。今度はちゃんとカービィの口の中に収まった。
電気を帯びた物体がカービィの頭に生える。時折パチパチとはぜるような音が聞こえてくる。
カービィが電気をためる間、ガメレオアームの気をそらさなければ――
そう思った瞬間、鉤爪がフラービィの頬を掠った。ツーっと血が頬を伝う。
が、お構い無しに空っぽの試験管を思いっきり投げつけた。
ちょうど目と目の間に当たる。いくらフラービィが非力でも、これは痛い。
ガメレオアームは空に逃げ、体の色を透明にしていく。その最中に飽和食塩水を取り出す。
カービィの充電は終わっている。それを確認すると、ガメレオアームに向かって食塩水をぶちまける。
それと同時にカービィのところへ駆け寄った。近くだとはぜるような音がより大きく聞こえる。
「空の歪んでるところ。そこに撃って」
カービィはうなずき、空を見るが、ガメレオアームを視界に捉えることができない。
フラービィは直感で
「しゃがんで、いや、ジャンプして!」
そう言いつつ自身もそこから離れるように跳ぶ。先程までいた場所から土煙がたった。やっぱり後ろか……。
ゲームの時とは勝手が違う。相手をなめていた、というのもある。が、そもそも、自分は直接戦ってはいないのだ。
そんな自分にできることは何か。わかりきっていることを自問する。
「後ろに、撃て!」
自分で言って自分で驚く。カービィも若干驚いたようだが、それでもプラズマはどうだんを撃つ。
食塩水の導電性は高い。それで濡れたガメレオアームはプラズマの威力を十二分に受けた。
動けなくなった体が空中から落下。ドサッと音がし、土ぼこりが舞う。
倒した実感が次第に沸いてきた。
戦闘の指示を出す。サポートをする。これが自分にできる精一杯だ。
そして、指示をしてゼロを倒す。これが役目なんだ。
「あのー、早く行動したほうがいいのでは……」
おどおどしていたワドルディに言われて自己の世界から戻ってくる。
「あ、うん。そうだね」
城の襲撃。だったら城に言って手助けをするのが普通か。
でも、わざわざカービィに伝えに来たって言うことは状況的にやばいよね。きっと。
「まあ、とりあえずは城へ急ごうか。行く当ても他に無いし」
「ちょっと待った。俺は三人も乗せられないぜ」
ウィリーの体はカービィサイズの者を一人乗せるのがやっとのところである。全員乗ったらつぶれるだろう。
仕方無しにフラービィは辺りを見回す。と、飛行船の残骸が目に入った。
「これを使わせてもらおうかな」
数十分後、何をどういじったのかはフラービィにしかわからないが、車のようなものができていた。
言うなればリヤカーをウィリーが引っ張る感じだろうか。
ウィリーの運転はカービィが担当し、他の二人は後ろの荷台に乗る。
「発進!」

森を抜け、オレンジオーシャンを通らずに直接城へ向かう途中だった。
「ちょ、ストップストップ!」
フラービィが叫び、ウィリーが急ブレーキをかける。荷台部分は止まらないわけだが。
ウィリーの後頭部(?)に荷台がクリーンヒットした。
「ごめん。慣性を考えてなかった」
「気にするな。それより、急に止めてどうするつもりかな?」
あっち、とフラービィが指差す。その方向を全員が向いた。赤い服にメタボな腹のヒトがいた。
「デデデじゃん。それがどうかしたの?」
「王様っていうのは城の外を散歩するのかい?」
いつもとは違う変な口調でフラービィが質問で返す。
「言われてみれば、そうですね……」
「まあ、とりあえず話を聞いてみよう」
全員でデデデのところに走っていった。
「あれは……カービィ、やっと来おったか」

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