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小説の中へ  [7]



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投稿日 : 2009/01/10(Sat) 14:01 
投稿者 : tate   


「そっかぁ、フラービィ君もポップスターに残るんだ。じゃあ、ノヴァに行くのはボクだ
け……かな」
 カービィが周りを見回す。
 デデデ大王がポップスターを離れるとは当然思えないし、かといってメタナイトがカー
ビィと行動を共にするとは、ちょっと……考えられない。各エリアを守護している者は当
然守りを固める必要がある。他の皆はどうだろう、と考えてはみたものの、ここに居る面
子ではかなり控えめに見積もってもカービィの足手まといになること間違いなし、だ。
「あのぉー……」
 と控えめ勝ちにバンダナワドルディが、ちまっと手を挙げた。何か言いたげな顔をする
バンダナワドルディに、デデデ大王が声を掛ける。
「何だ、ワドルディ」
「ぼく、カービィのお手伝いしたいです!」

 一瞬、雲の隠れ家を静寂が包み込んだ。

 デデデ大王は屈み込み、バンダナワドルディと視線を合わせた。その眉はきりっと釣り
上がり、きっと、バンダナワドルディにしてみれば、これ以上凛々しい顔は今までしたこ
とがない、といった表情をしている。
「ワドルディ……お前、自分が何を言っているのかわかっているか?」
「わかってます! たしかにぼくは弱いし、カービィに吸い込まれたら一撃な中ボスです。
でもでもっ、きっとお手伝いできることはあるはずです! だからぼく……」
 ぷるぷると、リンゴのような体が震えている。
 バンダナワドルディが勇気を振り絞っての行動であることは、容易に察せられた。だか
ら、面と向かって反対する者は一人もいないのだが……
「カービィ、どうしたい」
「ほえ?」
「……何というかだな。連れて行った場合、尻拭いをするのはお前になるから、一応意見
を聞いておこうと思ってだな。ワシの寛大な心遣いに感謝するがいい」
 全然フォローになってないよ、と思いながら、ガハハハハと笑うデデデを横目にカービ
ィはバンダナワドルディに歩み寄った。同じぐらいの大きさの相手の頭を、ぽふぽふと軽
く叩く。
「うん、いいよ。一緒に行こ。頑張ろうね」
「うう……がんばります!!」
 バンダナワドルディのつぶらな瞳が、うるうると潤む。
 これからが本番だからそんなに感動されてもね、そんな言葉が喉元まで出かかったが、
カービィは敢えてその言葉を飲み込んだ。


 オレンジオーシャンの要塞で、ナイツに憑いたダークマターを叩きのめしたバル達は、
アックスナイトからこれまでの顛末を聞かされていた。
「――というわけで、要塞を襲撃してきたダークマターを粗方倒したところで何かが起こ
り、どうやら自分達はダークマターに憑依されてしまったようだ。トライデントとメイスの
話を聞く限り、バトルウィンドウズが噛んでいたようだがな」
「それからのことは私達も知ってのとおり……ということですね」
 ルナがアックスナイトの言葉を引き継いだ。
「ま、そんなところだ。が」
 一つ頷いてはみたものの、アックスナイトは渋面を作ったままだ。
「結局のところ、自分らがダークマターに憑依されてから艦長達がやってくるまで、要塞
で何が起こっていたのかはわからないわけで……もう少し映像がサルベージ出来ないかや
ってみよう」
 そういうと、アックスナイトはモニタの前に陣取った。
 その背が「邪魔をするな」と語っているのを見て取り、三人のナイツは改めてバル達に
向き直った。
「それにしても、こんなところでバル艦長に遭うとは、思ってもみなかっただスよ」
 懐かしい顔に出会えた喜びのせいか、はたまた元々人懐こい性格をしているのか、先程
からメイスナイトは破顔しっぱなしだ。笑顔で迎えられて気を悪くする者は、早々は居な
い。かつての所業からナイツとの間にわだかまりを残していたバルも、すっかり緊張の取
れた顔つきをしている。
「……でも『遭う』なんだな」
 そんなトライデントナイトの突っ込みに、うへへと後頭部をかくメイスナイト。
「皆さんはこれからどうするつもりです? 見ての有様ですが、このまま要塞に留まって
いただいても構いませんけど」
 ジャベリンナイトが、バル、ルナ、カプセルJを順番に見遣る。
「俺は早いとこ、このボディをどうにかしたいところだ。メックアイの技師が、オレンジ
オーシャンの街に来ているはずなんだ」
 カプセルJは自身の腹を軽く二、三度叩いて見せた。
「が、要塞がこんな有様で、街の方まで無事かは怪しいところだな」
 ふう、と肩を竦めて大げさに溜息を吐いてみせる。
「艦長とルナさんは?」
 私? と白いローブの少女が、自身の顔を指差した。
「そうね……他にも闇の発生源があったから、そっちも気にはなるけど……」
「おかしい」
 メインコンピュータの損傷具合を確認していたアックスナイトが、ふと手を止め、顎に
手を添えた。小首をかしげ、再びキーボードを何回か叩く。
「どうかしたのか?」
 カプセルJが歩み寄り、アックスナイトの肩越しにモニタを覗き込んだ。他の面子は遠
巻きに、二人の背中に視線を向けている。
「自分が最後にアクセスした時よりも後に、誰かがコンピュータを操作したようなんだ。
ディスクの最終更新時が、今日の朝方になっている」
「む、それは面妖な……誰が操作したのかはわからんのか?」
「ログをチェックしている。……メタナイト様がログインされた? 何かファイルを残し
ているぞ。何だろう……」
 メタナイトの名を聞き、ナイツの三人が慌ててモニタに駆け寄った。
「メタナイト様が何でログインしているだスか? ワシらはメタナイト様を見ていないだ
ス!」
「そりゃなぁ……俺達ダークマターに憑依されていたわけだし」
 とはトライデントナイトの呟き。
「しかし、メタナイト様が敢えて残されていったということは、重要な情報なのだろう。
アックス、中身はわかったか?」
「急かすなよ、ジャベリン。今デコード処理を掛けている……と、終わったか。さてと中
身は何かな」
 再びアックスナイトがキーボードを叩く。
 開かれたファイルには、たった一行、こんな文字が残されていた。

 (97, 0.25)

「何だスか? それは」
「何だろうな……」
 アックスナイトも首を傾げる。
 もしかして、と声を上げたのはジャベリンナイトだ。
「リングレーダーの座標のように見える……アックス、いつものマップにこの座標を表示
させてみてはどうだろう」
「成程、早速やってみよう」
 間も無く、メインモニタにリングレーダーとプププランドのマップが展開された。
「座標入力、と」
 アックスナイトの声と共に、光のポイントが一つ、モニタ上に現れる。
 それは、グレープガーデンとヨーグルトヤード、オレンジオーシャンからほぼ等位置に
あった。
「そんなところに何かあったか? 俺は知らないぞ」
「ワシも知らないだス」
 言葉にはしなかったが、ジャベリンナイトも首を横に振り、覚えがないことを伝える。
「何があるのかはわからんが……この場所に向かえ、ということなのか? どうするよ」
 アックスナイトがくるりと、スツールごと体をくるりと半回転させた。背後に突っ立っ
ていた面々をじと、と睨め付ける。
 トライデントナイトとジャベリンナイトが、互いの顔を見合った。
「俺とジャベリンでその場所に向かってみる。アックス、地図を出してくれ。つーわけで、
俺達は出るけど、艦長達はどうする?」

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投稿日 : 2009/01/10(Sat) 21:19 
投稿者 : ヨツケン  

「そうですね…私も一緒に行きます!!他の闇達が何をしたか気になりますし、それに…」

少女が手を純白のローブから出し、手のひらに七色の魔力の球を作る…

「新しい魔法も試したいですし…」

魔力の球を消しながら少女が振り向きジャベリンとトライデントの方に行き…

「と言うわけで、よろしくお願いします♪」「あぁよろしく頼む」

少女は二人のナイトに無邪気に挨拶をして、二人が返す。

「さて、艦長達はどうするだスか?」

メイスナイトがバルとカプセルJの方に向き直し、二人に聞く…

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投稿日 : 2009/01/12(Mon) 00:02 
投稿者 : 笹  

「さっきも言ったが、俺はこのボディを何とかしないといけない。
 どちらにせよ、このままじゃそう長く戦えないからな」
 カプセルJが体を捻ると、周囲にギギギギィという金属音が響き渡った。
横にいたルナが思わず両耳を塞ぐ。
「…そうだったな。それにしてもメックアイの技師だっけか…
 誰か、そんな話聞いてるか?」
 トライデントナイトがナイツ達の方を振り返る。
ジャベリンナイトは無反応、アックスナイトは首を振った。
「あ!」
 そこでメイスナイトが素っ頓狂な声を上げる。
「どうした、メイス」
 メイスナイトはカプセルJの方にどてどてと数歩近づくと、口を開いた。
「メックアイの技師って、もしかしてバードンのおばちゃんだスか?!」
「お、おば……?」
 予想だにしていなかった発言に、トライデントナイトが言葉を失う。
「バードンか…そうだな、確かに、技師団にはバードンの女が居たな…」
 カプセルJが応じる。…情報が手に入る割には、嬉しそうではないのは気のせいだろうか。
「やっぱり!前に要塞に遊びに来て、お茶を出してあげたことがあるだスよ〜。」
「……あのおばちゃんか……」
 メイスナイトが嬉しそうに言う後方で、アックスナイトが大きくため息を付いた。
「……まぁともあれ、何か知っているのか?」
「話した時に、泊まっているホテルの名前を聞いただスよ。
 と言ってもわしは要塞を離れられないだスから……」
「では、地図を下さい。ワシが案内しましょう」
 今まで黙って聞いていたバルが口を挟んだ。
「お前、傷は良いのか?」
 カプセルJが問い返す。
「大丈夫です」
 回復魔法とは凄いものですな。バルはルナの方に会釈をする。
唐突に話を降られたルナは、一瞬とまどった後に微笑み返した。
「それに、ワシは仮にもこの地の住人だった物ですし、
 何より貴方とはグレープガーデンでの縁もあります。旅は道連れと言うでしょう」
「そうか……では頼む。正直この体で一人では不安だからな」
「艦長……分かっただス、すぐ地図を用意するだスよ〜〜!!」
 感極まったメイスナイトがコンピュータに飛びつき、
 アックスナイトがそれを引き剥がす。
「こら、俺がやる、落ち着け!」
「……とりあえず全員決まったようですね。
 カプセルJさん、もし何か困ったらまた要塞に戻ってきて下さいね」
 場を見かねたのか、ジャベリンナイトが少し強引にまとめに入った。



 ぐぅーーー

 雲の隠れ家に、不可思議な、それでいて有名でもある音が木霊した。
発信源のピンク色の球体が硬直している。
「あはは……腹が減っては戦は出来ぬ、って言うしね」
 フラービィが苦笑いしながらフォローを入れる。
「ヨシ、じゃあ食事をかいてあげヨウ」
 会話から離れていたペイントローラーがクレヨンを取り出す。
「え、い、良いよっ、現地調達するからさっ!
 行こう、ワドルディ!」
「え、良いの?」
 まさかの解答に、フラービィが思わず問い返す。
カービィがフラービィにすり寄ってきた。
「ペイントローラーのご飯、あんまり、その……
 アドちゃんのご飯は本物と同じ味がするんだけどね……」
「カービィ、聞こえてルヨ」
 そう言いながら、ペイントローラーは自ら作った食料を風呂敷に包み、
バンダナワドルディに手渡した。弁当にでもしろと言うことだろうか。
「ま、まぁ、じゃあ善は急げ、行って来るね。
 フロリアから順番に行くのが効率良いよね」

「待て」

 今まで和やかだった場の空気が、一瞬で凍り付く。
無理もない。厳しいその声が――メタナイトの物だったのだから。
「な、何……メタナイト?」
「フロリアには行くな。他の星から回るんだ。
 そして……何かおかしかったら一度帰ってこい」
 有無を言わさぬ圧力に、咄嗟に誰も反論できない。
「……なんでだ。明らかに効率が悪いぞ」
 それでも比較的早く口を開けたのは、デデデ大王。
「……襲撃の直前、星々のエネルギーがフロリアに集中して流れ込んでいるのが観測されました。
 明らかに異常事態、今フロリアに乗り込むのは危険です。
 カービィが星を一つ回るまでには、私が原因を解明いたします」
「……」
 それでは、この作戦が根本的に危ういではないか。
とはいえメタナイトのこと、何か考えがあって今まで黙っていたのか……。
「そう言うことだそうだ。フロリア以外の星に行き、異常があれば……
 いや、一つ願いを捧げたところで一度戻ってこい」
 デデデ大王はメタナイトを信じることにしたのか、カービィにそう言い放った。

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投稿日 : 2009/01/15(Thu) 06:16 
投稿者 : tate  


 ワドルディを引っ張り、早速出かけようとするカービィに、デデデ大王が声を掛けた。
「ところでカービィ、宇宙にはどう行くつもりだ?」
「そんなの、ワープスターで行けばいいでしょ」
「そのワープスターはどう準備するつもりだ?」
「夢の泉にお願いすればいいでしょ」
「ほう?」
「うん!」
 笑顔のカービィに、嘆息するデデデ大王。カービィに引き摺られているバンダナワドル
ディも、先程から眉がハの字になりっぱなしだ。どうやら、自身の言に無理があることに
気がついていないのは、当のカービィだけらしい。
 見かねたフラービィが、助け舟を出す。
「ねえ、カービィ。君はこれから何をしに行くの?」
「ん? そりゃ、スターロッドを直しに……」
 あ、とカービィが口をあんぐり開けた。
「ああーーー!? ダメじゃん、夢の泉にお願いしてもワープスター出してもらえないじ
ゃん! どーすんの? ねえ、デデデってば!」
 頭を振り、やれやれとばかりにデデデ大王は大げさに溜息を吐いた。
「今頃気づいたか、バカめ。そういうと思って、一応当ては付けてある。もうしばらく時
間が掛かるから、そいつでも食いながら待っとれ」
 と、デデデ大王はバンダナワドルディが手にしている包みを指差した。

 それからしばし――西の空がオレンジ色に染まりだした頃、一体のブロントバートが雲
の隠れ家にやってきた。
「おお、よくぞ戻った。して、どうだった?」
 汗だくで埃まみれになったブロントバートは、肩で息をしたままこういった。
「アイスバーグのお城は無事でした。おっしゃっていたワープスターも、どうやら使えそ
うな状態との事です。最終調整に少し時間が掛かるそうですが、明日の午前中までには飛
べるようにするとの事です」
「そうか、ご苦労だった」
 ぺたりと床の上にへたり込んだブロントバートに、デデデ大王が労いの言葉を掛ける。
 何でもメタナイトの進言で、アイスバーグにあるデデデ城の様子を調べさせていたのだ
と、カービィ達はペイントローラー謹製のお弁当を食べ(させられ)ながら、彼らが合流
するまでの顛末を聞いていた。
 高速で移動する乗り物なら、メタナイトの要塞やレインボーリゾートのデデデ城にいく
つも保管されていたそうなのだが、ダークマターの襲撃で使い物にならなくなってしまっ
た。そこで、少々雲の隠れ家からは距離があるが、他のデデデ城の状況を確認するため、
ブロントバートを飛ばしたのだという。
「ああ、そうだ。大王様」
「何だ」
「この周りを、トライデントナイトがうろうろと調べ回っていましたが……」
「トライデントナイトだと?」
「はい、他にジャベリンナイトと見慣れない少女の三人連れでした」
「見慣れない……? メタナイト、お前が呼んだのか?」
 どこぞから調達してきたのか、雲の隠れ家の片隅に持ち込んだモバイルサイズコンピ
ュータといくつものモニタの中心に鎮座していた仮面の騎士を、デデデ大王が見遣る。
 メタナイトが顔を上げた。
「はい、ナイツ達にはメッセージを残しておきましたが故、おそらくそれを頼りにやって
きたのかと。少女については存じ上げませんが……この混乱が続く中、一時的な協力体制
を敷いているものかと」
 顎に手を当て、しばらく黙考していたデデデ大王は、クラッコに三人組を中に入れるよ
うに命じた。

 ペイントローラーの弁当を食べ終わったカービィが、ぴょんと立ち上がった。二、三回
体を捻り、小さく飛び跳ねる。
「味はともかく、お腹は一杯になったかな」
「腹ごしらえは済んだようだな」
 食事が終わったのを見計らい、デデデ大王がカービィの元にやってきた。共に弁当を囲
んでいたフラービィとバンダナワドルディも、デデデ大王の顔を見上げる。
「うん! 後は現地調達で何とかするよ」
 と、カービィはバンダナワドルディを見た。ごくり、と唾を飲み込む音が聞こえる。バ
ンダナワドルディは小さく震え、フラービィの背中に隠れた。
「ワープスターだが、アイスバーグのワシの城に一台だけ使えるものがある。お前らはこ
れからアイスバーグに向かい、そこから宇宙に向かうのだ。アイスバーグまではウィリー
達に運んでもらうよう、話は付けてある。今から出発すれば、夜更けさふけには到着する
だろう。後は、城の者に聞け」
「わかった! じゃあ、ボク達は行くね。また後でね、フラービィ君」
 カービィは小さな手をぽよぽよと左右に振る。
「うん、カービィも気をつけて」
 カービィはもう一度、フラービィに向かって手を振ると、雲の隠れ家を後にする。フ
ラービィの耳には、間も無くウィリー達のエンジン音も聞こえなくなった。


 デデデ城がドロシアに占拠されてから、丸々一日経った。
 白み始めた東の地平線から漏れる光が、ダークブルーの空に沈むデデデ城の物見塔をぼ
んやりと映し出している。それらの一つに、空を眺めるドロッチェの姿があった。
 その彼の視界に、よれよれと蛇行しながら空を飛ぶ一体のダークマターが飛び込んでき
た。
「おや? あれは……」
「あうぅ〜、ようやく戻ってこれましたぁ〜。ビュートさぁ〜ん」
 くたびれた様子のダークマターが、ドロッチェの目の前まで降りてきた。
「あれぇ〜、ドロッチェさんは、ここで何をしているですぅ?」
「君は確か、ビュート殿と一緒に居たダークマターだね」
 はい〜、と黒丸は嬉しそうにぽよぽよと揺れる。そして、きょろきょろと辺りを見回し、
ぞっとしない顔をした。それもそのはず、今のデデデ城周辺はすっかり厚みを失っていた。
まるでカンバスに描かれた絵が、ポップスターの大地に張り付いているかのようだった。
 この世に存在する万物を絵画にしてしまう――ドロシアの能力だという。絵画になって
いるとはいえ、ドロッチェは厚みのなくなった世界を歩いてこの物見塔までやってきたわ
けだし、厚みを持つ者も支障なく絵画の中で活動する事が出来るようだ。
 ――不気味なことには変わりないが。
「ビュート殿なら、ゼロ様からのミッションを受けてマジルテに向かったよ、徒歩でね。
ワムバムジュエルに乗って行くことを提案したのだが、彼は私のことがよほど嫌いらしい。
ワムバムジュエルの移動速度なら、半日も掛からずマジルテに着くというのにね」
「うへぇ〜、マジルテですかぁ……でもビュートさんは私が見張ってないと、ダークマタ
ーをいぢめるから! マジルテに向かいますぅ」
 ぴくり、とドロッチェの眉が動いた。
「ダークマターをいじめる?」
「ですぅ〜。初めて会ったその日に、ビュートさんはゼロ様から預かったダークマターを
斬っちゃったんですぅ〜! だから私が見張ってないと!」
 斬った、か。そう呟くドロッチェを、黒丸が不思議そうな面持ちで見つめている。
「って、ここでぼんやりしている場合じゃないですぅ〜。私、マジルテに行ってきますぅ」
「そうかい。では私も出かけるとしよう」
 そこで言葉を切ったドロッチェは、思い出したかのようにこう付け加えた。
「そうだ、ダークマター君。マジルテに戻るのなら道中は重々気をつけたまえ、直に至る
所で戦火が起こるだろうから」
 いなせなネズミの魔術師が、顎で眼下を指し示した。その指し示す方を見た黒丸は思わ
ず刮目する。
 何故ならそこには――無数のダークマター達がところ狭しとひしめき合っていたからだ
った。

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補足:大雑把な流れ
1日目夜
デデデ城落城
↓
2日目未明
デデデ達、雲の隠れ家に
↓
2日目夕方
アイスバーグの城に、ワープスターが1台あるとブロントバードが報せに。
トライデントたちが雲の隠れ家にやってくる。
カービィ達、アイスバーグに向けて出発
↓
3日目明け方
黒丸、デデデ城に帰還
↓
3日目昼?
カービィ宇宙へ

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投稿日 : 2009/01/15(Thu) 19:47 
投稿者 : guri  


 ポップスターを守護する夢の泉、デデデ城のすぐ傍にそれはある。
 というより、デデデ大王は夢の泉を守護する為に、この地へ城を建立したのだろう。
 だが、今となってはそれも虚しく。
 夢の泉は力の源たるスターロッドを失い、水の流れは淀み暗く沈んでいる。
 そこへ城から一人のローブ姿の女性が現れた。
 トンガリ帽子を被り髪は貫けるような空色、顔の大部分はマフラーで隠れており、金色の眼だけが覗いている。
「こっれが彼の忌まわしき、夢の泉ねぇ……」
「ざっまぁみろってもんだわ、毎度毎度気持ち悪い光出しちゃって、このっこのっ」
 そう言いつつ、ドロシアはゲシゲシと夢の泉の台座を踏みつける。
 彼女は、その能力ゆえに光の干渉にとても弱かった。
 三次元から二次元への変換は、相当の集中と精密さが要求される。
 よって、如何なる邪魔もドロシアの好むところでは無かった。
「まー、スターロッドは壊したしー、ポップスター侵攻はネズミ君に任せたしー」
 ドロシアは巨大な筆を取り出すと、夢の泉をそして空間を撫ぜる。
 撫ぜた部分がユラリと揺れ、ジワジワと夢の泉が絵画の世界へと浸食されてゆく。
 ドロシアの目的は、ポップスター全土を絵画の世界にすること、
かなりの時間が掛かるだろうが、彼女はその作業が大好きだった。
「ペタペタぺたーっと♪……ん?」
 目の前で彼女の意図しない黒色が集まる。
 黒色が集まると、ポンッと乾いた音を立ててダークマターが飛び出した。
「……何してんのよ、あんた」
 ドロシアの突っ込みに、ダークマターは力なくへたっていた。

「でー……ゼロ様の命令でポップスターに来たはいいものの?
 夢の泉に突っ込んで?閉じ込められちゃった、と」
 ドロシアの冷徹な眼に見つめられ、ダークマターは小さく縮こまる。
「ん?でも代わりに?泉の底で、見つけたものがある?」
 下らないモノだったら承知しないわよー、との声に押され、
ダークマターは慌てて、案内をする。
「おぉ〜……」
 それは漆黒それは瘴気、渦巻く闇は禍禍しい光を静かに放っていた。
 ドロシアはそれを見上げると、マフラーの影から笑みが覗く。
「いいじゃないいいじゃない、これがあればポップスターの住民どもの力を確実に削げるわー」
「お手柄じゃない、いいわ貴方コレに憑依なさい。え、力が足りない?手伝うからさっさとやるっ!」
ゲシ
 ドロシアはダークマターを蹴り飛ばすと、無理矢理闇にダークマターを押し込んだ。



 雲のアジト。
「ロロロ、今何処におる?……うむ一旦城に戻ってだな…………ああ、住民にも警戒を……」
 空気が薄く、息が切れ易いながらも、デデデ大王は精力的に動いていた。
 カービィ達のワープスターの手配、メタナイトとのフロリア対策――もっともコレは殆どメタナイトに任せているが――
今は携帯電話片手に、ポップスターの地図を見ながら煩悶している。
 デデデ城そして夢の泉が陥落した事で、ポップスターの守護は著しく低下している。
 敵陣営は最早なんの障害も無く、ポップスターを侵攻する事が出来る。
 その上、夢の泉が陥落した事で、敵陣営が何処を狙うかすら不明である、いや全てとも言えるだろう。
 戦況は極めて悪かった。
 だからと言ってカービィ達が戻ってきた時、ポップスター全部支配されてました、では話にならない。
 デデデ大王は夢の泉を――地図上で――大きく囲む形で、防衛線を張るように腐心している。
 呼び寄せた主力の部下達を、本拠地へ戻らせるあるいは途中に留まらせる事によって、それを果たそうとしていた。
「コレで果たしてカービィ達が戻るまで持つだろうか……」
 普段は勝手気ままでも、ポップスターの盟主を自称するデデデ大王。
 彼は雲のアジトに来てから、一睡もせず対策に奔走していた。

「ねね、デデデー」
「……む?」
 居る筈の無い声にだが聞き覚えのある声に、デデデ大王が振り向くとカービィが居た。
「ペンギンって美味しいのー?」
「な、なぬぅ!?」
 何故ココに、と聞く暇すらなく。
「食べさせてー!!」
 何処から取り出したのか、ナイフとフォーク片手にカービィが迫り来る。
 慌てて逃げようとするも体が動かない。
「ペンギンじゃないわああぁ、、、てか食べるなあああぁ」

ガバッ
 カービィに体半分ぐらい喰われた所で、デデデ大王は目を醒ました。
 足は無事かと身体を持ち上げると、ただ机に突っ伏していただけであった。
「うっかり眠ってしまったのか……何て悪い夢を」
 そしてふと気が付く。
「……悪夢!?」
 ポップスターの住民にとって、悪夢は本来存在しないものである。
 過去に見たことあるのは僅かな期間だけ、ナイトメア事件の時だけ、である。
「まさか……」
 ポップスターは除々に、だが確実に支配されつつあった。

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投稿日 : 2009/01/15(Thu) 22:33 
投稿者 : ヨツケン  

「ここら辺で間違いない筈なんだが…」
ジャベリンが地図を見ながら言う…
「雲ばっかりですね…あっ、の小さな雲が近付いて来ますよ…」
ルナが遠くを指差しながら何気無くトライデントに話し掛ける
「小さな雲だと!?」
それを聞いたトライデントがルナの指差す方を見る…
「あれは…クラッコ?」

〜〜〜〜
「メタナイト様!お久し振りです!」
ふたりのナイトがひとりの剣士の前にひざまずく…
「トライデント…ジャベリン…皆は無事か?」
ふたりのナイトはひざまずいたまま、自分達の主君に話し始める…
「はっ!自分達がダークマターに取り付かれた所をこちらのルナ殿とバル艦長達が助けてくれました!」
そうか…と言いつつメタナイトがルナの方に向き直す…
「済まなかったな、部下が迷惑を掛けて…ルナ殿」
「いえいえそんな…」
ルナが首は振りながら答える…そして辺りを見渡し、とりあえず全ての人に挨拶をかわす、そしてメタナイトがルナを呼ぶ… 
「ルナ殿…」
「何でしょうか?」
「いきなりで済まないが、カービィと共に宇宙に行ってくれないか?」
「えぇ、良いですよ♪」
返事をしながら、まだお弁当を食べているカービィに「よろしく」と言う…カービィもそれに対し「よろしくね」と言い返す。
「ではルナ殿…カービィが弁当を食べたら一緒に行って下され」

〜〜〜〜
カービィ達がお弁当を食べ終わり、2人はウィリーに乗り、ルナは魔法で飛びながらアイスバーグを目指す…
「カービィさん、最初はどの星に向かうんですか?」カービィがウィリーの上でバランスを取りながら考える…
「うーん、フロリアがダメだから…まずはアクアリスかな♪」
「解りました…それでは急ぎましょう!」

〜〜〜〜
「ところでメタナイト…」
デデデがいかにもわからないという顔で聞く…
「何でしょうか陛下?」
「何であの娘も宇宙に行かせた?」
するとメタナイトが言いにくそうに言う…
「…球体2人では不安出したので」
「…そうか」

------------------------------------------------------------------------------- 
投稿日 : 2009/01/22(Thu) 01:14 
投稿者 : tate  


 ローブの裾を持ち上げ、夢の泉から現れたダークマターを思いっきり蹴り飛ばしたドロ
シアの頭上から、不意に声が振ってきた。
「おやおや、それがドロシア殿の本性なのかな?」
 ドロシアは持ち上げていたローブの裾を慌てて戻し、振り仰ぐ。そこには赤いシルクハ
ットに赤いマント、手にはステッキという出で立ちのネズミが一匹。
「ドロッチェ……」
 あまり……いや、全力で他人には見られたくない場面を、よりにもよってこの泥棒ネズ
ミに目撃されるとは。ドロシアは怒りでぎりぎりと歯を食いしばった。
「ドロシア殿、私はポップスター侵攻を引き受けたなどとは一言も言っていないのだがね。
私にも私の仕事がある」
 ステッキをくるくる回しながら、ドロッチェが地面に降り立った。
 泥棒ネズミがちらり、と夢の泉を一瞥する。
「うん? また変わったモノを作り出したようだね……ふふふ、その辺はドロシア殿の好
きにすればいい。デデデ城のダークマター達が、攻撃の時はいつかと待ちわびていたぞ。
まぁ、ダークマター達は放っておいても自動的に敵を見つけ出して攻撃するだろうが、あ
まり羽目を外しすぎると、ゼロ様のお咎めが待っている」
「ふ、ふん! 言われなくてもわかっているわよ。あんたはさっさと自分の仕事に戻りな
さいよ。さもないと……」
 ドロシアは巨大な絵筆をドロッチェに突きつけた。あんたも二次元の世界の住人になり
たいの? と言わんばかりに睨め付ける。
 やれやれ、とドロッチェは大げさに肩を竦めた。
「ポップスターは君の好きにすればいい。私はフロリアに戻る。ポップスターの者が、ス
ターロッドの修復のためにフロリアに来る可能性も無きにしも非ず、だからね」
 と、嘆息しながらテレポートで姿を消す。
 赤い影の気配が完全に消えたのを確認してから、ドロシアは夢の泉を覗き込んだ。ダー
クマターを無理やりに押し込んだ闇が、その中で激しく暴れまわっている。ダークマター
が闇を取り込もうと奮闘しているのか、闇に取り込まれんと抵抗しているのか、おそらく
は後者だろう。
 やがて闇は先程までの静寂を取り戻す。そしてその中心に一つの大きな眼球が現れ、ド
ロシアを見上げてきた。

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